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■女の子たちの球技生活(2)

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「でもさ、千里ちゃん、さっき勝った時に思わずハグしちゃったけど、ハグした感覚が女の子」
と久子が言う。
「あ、思った、思った」
と節子も言う。
 
「あ、それは小学校の時の友人たちからも良く指摘されてました。私、お肉の付き方が女の子型みたい」
と千里。
 
「・・・・女の子たちとハグしてた?」
 
「あ、結構しますよ」
「へー!」
 
「ね、ね、もしかして千里ちゃんって、女の子になりたい男の子?」
 
「えへへ。結構なりたいかも」
「千里ちゃんの声って少し中性的だよねー」
「何か女の子でもこの程度の声の子はいるよね、って感じ」
「声もだけど、話し方が凄く女の子っぽい」
「喉仏もあまり目立たないよね」
 
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「だったらさ。まだ新入学早々風邪引いて髪切ってなかったとか、言ってたけど、髪は切らずにおちんちん切って、女子バスケット部に入らない?今年の新入部員は数子1人だったから」
 
 
「あはは。いいですね、それ」
 
この辺りはどこまで本気でどこから冗談か分からない会話だ。
 

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少し休んだ所でトイレに行っておこうという話になり、5人でぞろぞろとトイレに行く。こういうイベントのある時の宿命で長い列ができているのでそこに並んでおしゃべりしている。
 
少しずつ列が進んで行き、やがて個室が空いたので千里も中に入って用を済ませた。
 
手を洗うのにまた並んでいたら、トイレ待ちの列の中に友人の尚子がいた。千里は笑顔で手を振っておいた。
 
2階に戻ってから久子に指摘される。
「千里ちゃん、女子トイレ初めてじゃないよね?」
「あ、えっと・・・」
 
「ああ、恥ずかしがってる様子も無かったし。場慣れしてる感じだった」
「何か手を振ってたのはお友だち?」
 
「ええ。後で追求されそう」
「私たちも今ちょっと追求したい気分なのだが」
 
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「あはは。いづれその内」
 

1時間後に2回戦があったが、相手が強豪校で、千里たちのチームは全く歯が立たなかった。80対25の大差で敗れてしまう。
 
「ああ。残念だったねー」
「あそこ強いもん」
「入部希望者が多いから、入部テストがあるらしいね」
「ひぇー」
 
「確かにあまり沢山部員入れても、試合に出してあげられないもんねー」
「うちなら、入りたい人はみな歓迎だけど」
「千里ちゃん、ほんと入らない? まあ今日は試合に引っ張り出しちゃったけど、普段一緒に練習するだけでもいいじゃん」
 
「そうだなあ。考えておきます」
 
その後は勝ち進んでいる男子バスケット部の方の試合を見学していた。
 
「ほんと男子は強いですね」
「うん。部員も30人くらい居るからね。入部希望者はもっといるんだけど、あまり多くてもどうしようもないから、試験をして絞っている」
「わあ、ここも試験!」
「でも試合でベンチに入れるのは15人までだから」
「半分は客席見学か・・・」
 
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「女子バスケット部なら確実にベンチに入れるよ」
「あはは。凄い誘惑」
「ゴールデンウィークにちょっと病院でお股を処置してこない?」
「あはは。処置したーい」
「ああ、やはり処置したいんだ!」
 

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男子チームは準々決勝を勝ち上がり、準決勝まで来る。
 
「この相手チーム強いですね」
「去年の春の大会も秋の大会も道大会でベスト4まで行ってるもん」
「ひゃー」
 
相手はひじょうに能力の高い選手ばかりのようだが、こちらもうまくチームワークで対処し、第2ピリオドまで終わっても32対26で、何とか食らいついて行っている感じだった。
 
「うちの7番の選手が頑張ってますね」
「ああ、細川君はうちのエースだもん」
「まだ2年生だけど、彼が実質チームの中心だよね」
「へー」
 
あまり点差が開かないのに業を煮やしたのか、第3ピリオドで相手チームは猛攻を掛けてくる。ところがすんでの所でこちらの7番細川君が巧みにブロックしたり、相手がドリブルしているボールを一瞬の隙を突いてスティールして逆襲したりして、全然点数を与えない。逆に細川君ひとりで20点取り、50対46と逆転してしまった。
 
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「もしかして勝てたりして」
「細川君凄い!」
 
しかし細川君は第3ピリオドで頑張りすぎたせいか、第4ピリオドになるとどうしても動きが鈍くなってしまう。すると実力差でまさる相手チームが優位に試合を進め、残り30秒で76対71とリードされた状態になっていた。しかしここでこちらの4番を付けたキャプテンが敵陣での乱戦を制してシュートを成功させ、76対73と詰め寄る。
 
相手チームが速攻を仕掛けてくる。シュートを打つ。がそこでこちらのブロックが決まる。こぼれ球を細川君が取る。残り時間は8秒! 相手チームが必死に戻って細川君の進路を塞ぐ。細川君はドリブルしながら相手の隙を伺う。相手がたまらず飛び出してくる。そこをかわして先に進む。でもその先にも敵がいる!
 
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そして細川君はシュートを打った!!
 
スリーポイントラインの外側だ。入れば3点。ぎりぎり追いつく!
 
ボールはいったんバックボードに当たり、リングの端をぐるぐる回る。
 
そして・・・。
 
外に落ちてしまった。
 
「あぁぁぁぁ!!」
と千里たちは声を上げた。
 
相手選手がリバウンドボールを取り、ドリブルで走り出した所でブザー。試合終了。
 
76対73で相手チームが勝った。
 
「惜しかったねー」
「あとちょっとで追いつけたのに」
 

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男子チームはその後3位決定戦を制して、支庁大会3位となった。千里は久子たちに「また〜」などと言って手を振って別れ、帰途に就く。
 
バス停でバスを待っていたら、尚子に声を掛けられた。
「あ、歩きながら話そうよ」
と誘って一緒に歩き出す。
 
「男子チーム惜しかったねー」
「ああ、あれ凄い試合だった。あの強豪相手にあそこまで頑張ったのは凄いよ」
「細川君、かっこいいー」
「彼人気だよ。狙ってる女子たくさん居る」
「彼女はいないの?」
「うん。いないみたい。きっと男女交際してる時間あったらバスケしてるんだよ」
「スポーツに賭ける青春か。格好良いな」
「だから、また憧れる女子も多いんだろうけどね」
 
「ところでさ。今日の女子バスケットチームに出てた子が、何か千里に似てた気がしたんだけど?」
 
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話が更に核心に来た!!
 
「あはは。それ内緒にしててー」
 
「やはりあれ千里なの〜!?」
 
それで千里は状況を説明した。
 
「なるほどー。そういうことか。だったら私も誰にも言わないね」
 

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千里が髪を切らないままでいる内に、暦はゴールデンウィークに突入する。
 
ただし、この年(2003年)は4月29日が火曜日で孤立しており、後半も5月3-5日が土日月という曜日になっていて、全然ゴールデンでは無い雰囲気であった。それでも5月3日には、ちょっと町にでも出ようかということになり、母が車を運転し、千里と2つ下の妹・玲羅を乗せてお出かけした(父は漁師仲間の人たちと宴会らしい)。
 
最初旭川の動物園にでも行こうと言っていたのだが、玲羅が「子供じゃあるまいし」と言ったので(充分子供だと千里は思ったが)、結局岩見沢市の三井グリーンランド(現・北海道グリーンランド)まで行くことになった。高速を使うと片道1時間半だが、貧乏な村山家に高速の文字は無いので下道を通って片道2時間半の行程である。
 
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朝6時すぎに留萌を出て、9時前に遊園地の駐車場に駐める。入場ゲートの方に向かっていたら、正門前で何かイベントをしているようだ。仮設の小屋が建っている。何だろう?と思って眺めていたら、呼び込みの人が
 
「あ、君たちもぜひ参加しよう」
と言って、半ば強引にそのイベントの会場に連れ込まれてしまった。
 
小中学生・オリジナル和服大会などと書かれている。
 

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「描いた絵がそのままインクジェットプリンターで和服にプリントされて、その和服を着て何か一芸してもらうというイベントです。プリントした和服はそのままお持ち帰りになれます」
などと係の人が説明する。
 
「あのぉ、お値段は?」
と母が訊くが
 
「この即席で和服にプリントするシステムのキャンペーンなので無料です」
と係の人は言う。
 
「ああ、タダなら良いわね」
と母。
 
それで千里と玲羅も参加する。会場にはたくさんパソコンが並んでおり、そこでマウスあるいはタッチパッドで描くようになっているようである。しかし、それを見るなり
 
「私、絵は苦手ー」
などと玲羅が言う。
 
「お姉ちゃん、代わりに描いてよ」
などと言うので、千里は自分のは置いておいて、まず玲羅の絵を描いてあげた。
 
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本人のリクエストで、KAT-TUNの亀梨君の似顔絵を描き、背景に花とか月とか小鳥とかを描き込む。月は手描きしたが、花や小鳥は、このお絵描きシステムに部品として登録されているものを貼り付けた上で微調整した。
 
「すごーい!きれーい!」
 
15分ほどで玲羅の絵を仕上げる。凄い凄いと言って、登録番号をメモして係の人の所に行く。母も付いていく。それから自分の絵に取りかかる。層雲峡の銀河・流星の滝をイメージした2本の滝を描き、ラベンダーを下の方に描き込む。それに古典的な御所車、手鞠、鶴、などを部品から取り込んだ。少し迷いながら描いたので30分近くかかった。細かなバランスの調整をしてからデータを登録し、番号をメモして係の所に行った。列ができていたので少し並ぶ。やがて順番が来て「はい。できてます。こちらへ」と言われて、女性に案内されて着替用の個室に入った。
 
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上着とズボンを脱いで、下着だけになり、その上に出来上がった和服を着付けしてもらう。帯はポリエステル製の半巾帯で絵柄もプリントだ。原価は数百円か?鏡に映してみると、結構可愛い! 満足して笑顔で会場の方に行く。
 

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