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■白鳥の湖(3)

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一方、ジークフリートに「自分の妃に指名するから舞踏会に来てくれ」と言われてしまったオデットは、はたはた困っていました。
 
ジークフリートが娘の姿の自分に永遠の愛を誓ってくれたら、確かに魔法は解けるかも知れません。しかしその瞬間、自分も家来たちも全員、人間の男に戻ってしまいます。そうしたら、ジークフリートは欺されたとか怒って自分たちを死刑にするかも知れません。
 
もうひとつの選択肢としてロットバルトの愛を受け入れてしまう手もあります。その場合も、やはり自分と家来は男に戻ってしまうので、今度はロットバルトが怒って、自分たちを全員殺してしまうかも知れません。
 
つまりジークフリートの愛を受け入れても、ロットバルトの愛を受け入れても自分も家来も殺されてしまいそうな気がします。
 
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結局は何もせずにこのままでいるしかないかも知れない気がします。
 
しかしその場合、ジークフリートはまたここに来て、なぜ舞踏会に来てくれなかったの?と詰問するでしょう。そして更に求愛を続けるかも知れません。
 
結局、今までロットバルトにずっと求愛されていたのが、求愛者が2人に増えて、大変になるだけという気がします。
 
そして・・・オデットは感じていました。白鳥の姿になっているとどうも身体の年齢が早く進むような気がしていたのです。白鳥の寿命を30年、人間の寿命を60年とした場合、単純計算して、白鳥の姿の間に人間の姿でいる時の倍の体内時間が過ぎているとしたら、今自分は本来白鳥に変えられた時から6年経過して18歳のはずが、体内時間としては1.75倍の10.5年経っているかも知れません(*7)。そうなると自分は現在実質23歳ということになります。
 
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そうなると、結局自分も家来たちも早く寿命を消費してしまい、早死にすることになるのではないかと。それは自分はいいとしても家来たちは可哀相だと思いました。
 

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やがて、太陽が西に沈み、暗くなって月も昇ってきますと、オデットはいつものように人間の娘の姿に変わりました。
 
オデットは意を決すると、聖堂の所に行きました。ここにジークフリートの家来かと思われる人たちが何か荷物を運んできていたのは白鳥の姿のまま見ていました。
 
ところが実際に聖堂に入ってみると、それらしき荷物が見当たらないのです。
 
「あれ?あの人たちどこに荷物を置いたのだろう?」
と思い探すのですが、見つかりません。
 
困っている内に数人の家来たちが白鳥から人間の女の姿に変わり、オデットの傍に来ました。
 
「オデット様、もしかして舞踏会に行かれるのですか?」
「うん。行って、ジークフリートの愛を受け入れようと思う」
「オデット様、あの方が好きになったんですか〜?」
「ちょっと考えたことがあるんだよ」
「オデット様が、そうなさりたいのでしたら、私たちは止めませんけど」
「それでジークフリートが豪華なドレスをここに置いていってくれたはずなんだけど見当たらないんだよ。ごめん。一緒に探してくれない?」
「はい」
 
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それでオデットも、家来たちも探し回りますが、それらしきものは見つかりません。家来たちが次々に白鳥から人間の女に変わるので、みんなで一緒に探すものの、どうしても見つかりません。
 
「おかしい。どうしたんだろう?」
とオデットは困って言いました。
 
ひとりの家来が言いました。
 
「オデット様。ドレスと馬車くらい、私が何とか調達します。それでお城においでになってください」
 
「分かった」
 
それで家来は近くの村に行き、そこの村長に、自分はヴァイセフルス伯の家来だったもので、親戚の姫君とともに旅をしてきたが、服と馬車を盗まれてしまったので、申し訳無いが、適当なドレスと馬車を貸して欲しいと言いました。村長は驚き
 
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「それはお気の毒な。私は伯爵に恩があります。お貸ししましょう」
と言って、かなり豪華なドレスと馬車を貸してくれました。
 
それで家来は湖まで戻り、オデットにそのドレスを着せて従者(女の姿なので実質侍女)が8人付いてお城へと急ぎました。
 
これがもう22時過ぎのことでした。
 

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一方、ジークフリートは、訪問客が16時頃にいったん途切れたので、私室に入って少し仮眠しました。
 
そして17時半頃、身だしなみを整えてから、舞踏会の会場である城の広間に行きました。
 
18時に、ファンファーレが鳴り、王太后陛下の開会宣言があって舞踏会は始まりました。
 
最初は王太后とジークフリートのふたりで会場内を回り、集まってくれた人たちに挨拶をしていきます。ひたすら挨拶に回り、20時をすぎた所で一休みしていると、
 
「国王陛下、**国の第3王女****様でございます」
と紹介されます。
 
長時間歩き回って実は疲れているのですが、そんなことは言ってられないので笑顔で挨拶し、立ち上がって一緒に踊ります。10分ほど踊って楽団がいったん音楽を止めた所で挨拶して自分の席に戻ります。
 
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しかし少し休んでいると、また
 
「国王陛下、**公の第1息女****様でございます」
と紹介されます。
 
それで笑顔で応じて、その姫と踊ります。そして音楽が途切れた所で挨拶して席に戻ります。
 

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これを5度繰り返した所で、母が招待した花嫁候補とは全員1度踊ったのですが、更に有力諸侯の娘が紹介され、その娘たちとも踊ります。
 
そうやって色々な娘たちと踊りながら、ジークフリートはオデットの来るのを待っていました。しかしオデットはなかなか姿を現しません。
 
21時半をすぎた所で、王太后は
「このあたりでよかろう」
 
と言い、舞踏会をいったん中断させます。
 
そして今夜ジークフリートと踊った花嫁候補に並ぶように言い、ジークフリートには花束を渡します。
 
「この花束をそなたが選んだ娘に渡すように」
と王太后は言いました。
 
ジークフリートは困ったなと思いながらも花束を受け取ります。そして期待を込めた表情の娘たちが並んでいる前を2往復しました。
 
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そして言いました。
「ごめんなさい。みな素敵な女性ばかりですが、私が好きになった女性はいません」
 
花嫁候補の姫たちは全員悔しそうな顔をしています。王太后は落胆の色を隠せませんでした。
 

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それで仕方ないので、王太后が本日の舞踏会の終了を宣言しようとした時のことでした。
 
派手なラッパの音が響き
 
「遅くなった」
と言って、27-28歳くらいの立派な身なりの男性が若い娘を伴って入ってきました。
 
「オデット!」
と思わずジークフリートは叫びました。
 
「あれは私どもが用意して聖堂に運んだ衣裳です」
と傍で侍従がささやきます。
 
「オデット、来てくれたのか。待ちわびたぞ!」
と言って、ジークフリートはオデットの傍に駆け寄り、手を取りました。
 
王太后はお気に入りの侍女と顔を見合わせています。
 
「国王陛下、遅くなって申し訳無い。お詫びに私が連れて来た者たちの踊りを余興にご覧に入れましょう」
と娘を連れて来た男性は言いました。
 
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実際オデット(と王は思い込んでいるが実はオディール)を連れてきた男性の指示で様々な踊り手が入って来て、パフォーマンスをします。
 
ハンガリーの踊り、ロシアの踊り、スペインの踊り、ナポリの踊り、マズルカ(ポーランドの踊り)と続き、広間に集まっている多数の招待客の目を楽しませました。王太后も、この者、物凄い権力と財力を持っているようだなと思い、結構気に入ります。ジークフリートが気に入ってくれるなら、この者でもよいかと考え始めました。
 
やがてオディールは王子を誘い、ふたりで踊り始めます。この踊りもかなり長時間続きました。
 
(ここがこのバレエの最大の見せ場であり、この踊りのクライマックスにはオディールの32回転グランフェッテがあります。プリマの技術力と体力の魅せ所です)
 
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王は王太后にいったん返していた花束をくれるように言います。王太后も微笑んでその花束を王に渡します。そしてジークフリートはその花束を持ってオデット(とジークフリートは思い込んでいる)の前に歩み出ました。
 

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一方、本物のオデットは侍女たちに馬車を急がせていました。
 
オデットが考えていたことはこうでした。今のままではみんな早く死んでしまう。やはり何とか魔法を解かなければならない。そのためにはジークフリートの愛を受け入れてしまおう。それで魔法が解けて自分も家来も男に戻ってしまったら、国王は怒るだろう。
 
でもそこで国王に自分はお願いする。
 
自分は死刑にしていい。でも家来は助けてやって欲しいと。ジークフリートは昨夜話した感じでは、かなり柔らかい性格だ。自分がちゃんとお願いすれば、そのくらいは聞いてくれる可能性が大きい。
 
自分はその可能性に賭けるしかない。万一の時は、ヴァイセベルジュ公を頼れば下々の者20人くらいは何とかしてくださるだろう。
 
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オデットはそう考えたのです。
 

湖からお城までは結構な距離があります。湖を出たのが22時頃でしたが、何とかお城に辿り着いたのは、もう23時近くでした。
 
「オデット様のお着き!」
と馬車から飛び降りて先に駆け込んできた侍女が大きな声で叫びます。
 
「え!?」
と言ってジークフリートは振り向きました。
 
「オデット!?」
「国王陛下、大変遅くなりました。実は拝領したドレスを何者かに奪われてしまったのです。何とか他のドレスを調達して駆けつけて参りました」
 
とオデットは謝りました。
 
「オデット、確かに君、オデットだよね?」
「はい、そうですが」
とオデットは困惑しながら答えます。
 
「だったらここにいるのは?」
と言ってジークフリートは振り返りました。
 
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そこに居たのも、確かにオデットと思っていたのですが、ジークフリートがあらためて見ると、ジークフリートが渡したドレスを着た娘はいつの間にかオデットとは似ても似つかぬ顔になっていました。
 
「誰だ君は?」
とジークフリートが訊きます。
 
「これは私が妹、オディールだ」
と彼女を連れて来た男性が言いました。
 
「ロットバルト!?」
とその男性を見て、本物のオデットが叫びました。
 
「嘘!?」
「ジークフリート王、君は今確かに我が妹、オディールに花束を渡し、永遠の愛を誓った」
とロットバルトが言います。
 
「そんな!?」
とオデットが言います。
 
「間違いだ。これは間違いだ。取り消す」
とジークフリートは取り乱して言いますが、ロットバルトが言います。
 
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「国王の言葉に二言があってよいものでしょうか?言ったことはちゃんと守っていただかないと、国民の信を失いますぞ」
 
「それともうひとつ。国王陛下は一度、我が妹に永遠の愛を誓った。だから陛下が再度、オデットに愛を誓っても、オデットの魔法は解けませんな」
とロットバルトは言います。
 
「うっ・・・・」
 
「オデットよ。私の愛を受け入れろ。そしたらちゃんと魔法は解けるぞ」
 
「こんな。。。。こんな、はかりごとをして人を騙すようなゲスに私は愛を捧げることはない」
とオデットは怒って言い放ちます。
 
「あはははは。まあ、お前を口説く時間はある。オディール、帰るぞ。嫁入りの支度をせねば」
 
と言って、ロットバルトはオディールを連れて立ち去っていきました。
 
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そして王太后はとんでもない事態が起きて、ジークフリートが魔物の類を妃に選んでしまったことにショックを受け、気絶してしまいました。
 
そしてオデットも、この展開にショックを受け、馬車に戻ると、湖に帰っていきました。
 

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