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■夏の日の想い出・受験生の冬(3)

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お正月。初詣に行くのに姉が振袖を着ていた。ボクはピンクの起毛のセーターにチェックの膝上スカート、ニーソックスである。今日みたいな日は可愛い格好をしなさい、と母の方からこういう格好を勧めてくれたのであった。父は最初ギョッとした様子だったが特に何も言わなかった。神社で一家4人でお参りした後、両親が福引きをしに行っている間にボクと姉は少し立ち話をしていた。
 
「私も振袖着るのは今年くらいを最後にしたいなあ」と姉。
「明弘さんと結婚するの?」
「なかなかその話が進まないのよ」
「頑張ってね」
 
「ね、この振袖、冬に後で貸してあげようか?」
「着てみたいけど来年にする」
「へー」
「私、来年自前の振袖買って着る」
「成人式は再来年だよね」
「うん。でも着たいから」
「服ってたくさん着てあげないと可哀想だもんね。私、成人式とお正月くらいしかこれ着てないや」
「ふつう、そんなもんじゃないの?」
 
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「でも振袖着た冬、凄く可愛くなりそうな気がするよ」
「そう?」
「やはりあれだな」
「何?」
「あんたのことは、私今日から妹と思うことにするから」
「私はとっくにお姉ちゃんの妹のつもりでいたよ」
「ふふふ」
 

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1月5日、ボクは政子と一緒に入学願書を書いて投函した。
 
ボクの願書では、学生部の人から言われた通り、志願者名は『唐本冬子』になっていて性別も女の方をマークしている。ただし願書の名前と戸籍名を結びつける書類が必要になる。
 
学校で発行してもらった内申書の備考欄に先生が「この生徒の通称は唐本冬子です」と書き添えてくれていた(らしい:実物は見ていないので)。また母に頼んで「通称・唐本冬子は、戸籍名・唐本冬彦と同一人物です」という日付・署名続柄・捺印付きの文書を書いてもらった。これを事前に学生部でもらっていた「通称使用許可済み」という学生部長名の書類と一緒に封筒に入れていた。
 
そういうボクの願書を見てみたいと政子がいうので、それを見せてから一緒に投函したのであった。
 
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「法的に改名すれば、これが通称使用ではなくなるのね」
「うん。でも改名はボク、性別変更と一緒にしようと思ってる」
「ふーん。つまり性別変更はそう遠い先ではないということね」
「そうだね。。。。大学卒業するまでには決着つけたいな」
「みんなに『冬子』名で年賀状ちょうだいって言ってたのは、改名のため?」
「そうそう。もし改名を先行してやるようになった場合、その名前を実際に使っているという証拠が必要になるから」
 

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1月中旬、ローズ+リリーがまた賞をもらってしまった。その時点で『甘い蜜/涙の影』が82万枚、ベストアルバム『ローズ+リリーの長い道』が28万枚売れていて、甘い蜜はトリプルプラチナ、ベストアルバムはプラチナ、ということで表彰されることになった。ボクたちは引退中(秋月さん的見解では休養中)で受験勉強も真っ盛りであり表彰式には出られないと伝えていたのだが、そのボクたちの代わりになんと上島先生が出てくださった。秋月さんから賞状と記念ディスクを取りに来てと言われて、ボクたちは★★レコードに出て行った。
 
「まさか上島先生が出て下さるとは思ってなかったので報道見てびっくりしました」
 
「あなたたちが出ないとなると、他に代われる人がいないのよ。部長からは誰も適当な人が見つからなければ、私が代わりに受け取るようには言われてたんだけどね。そんな話をしていた時に、ちょうど近くで他のアーティストの新曲の打ち合わせをしていた上島先生が『僕が出ようか?』と言って下さって」
 
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「私達、先生にきちんと挨拶ができないままの状態で」と政子。
「上島先生は、どうせまたそのうち会えるからと言ってたけどね。あなたたちと上島先生が今会うと、あれこれ憶測する人たちもいるから、無理して場を設けたりする必要もないでしょうと、先生も部長も言ってた」
「それは私も同感です」とボク。
 
音楽雑誌から写真だけでも撮らせてという申し込みがあっていたので、この日ボクたちは適当な衣装に着替えて、ボクが2枚の賞状、政子が2つのプラチナディスクを持って★★レコード内で記念撮影をした。ひとことだけでいいからコメントを、と言われたのでボクは
 
「ファンの皆様のおかげで賞を頂いてしまいました。そう遠くない時期にまた何らかの形で皆様に素敵な音楽を届けることができたら、と思っております」
 
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とだけ言った。
 
町添部長にも挨拶する。立ち話で済ませるつもりだったが、応接室に連れて行かれ、コーヒーとケーキ付きで30分ほど話をした。そのあと帰ろうとしてエレベータホールまで出て来た時、ちょうど開いたエレベータから△△社の甲斐さんと女子高生3人が降りてきた。
 
「あら」と甲斐さん。
「こんにちは」とボクと政子。
「わあ!」とエレベータから降りてきた女の子3人。
 
「えーっと」と甲斐さん。
「お互い認識しちゃったみたいだけど、こちらピューリーズの、ユウちゃん、ミレちゃん、ノコちゃん。こちらローズ+リリーのケイちゃん、マリちゃん」
と甲斐さんがお互いを紹介する。
 
「『CAT CHASE』聴いてるよ」とボクが言うと
「わあ、感激です」とユウ。
「なんとタイマー音に設定してるんだ」といってボクは携帯を取り出し、流してみせる。
「わあ、嬉しい!!」
 
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しばしボクたちはエレベータホールで交歓をしていたが、秋月さんが
「ピューリースの打ち合わせは18時からですよね。まだ20分ほどありますし、みんなでお茶でも飲みましょう」
などと言いだし、結局ボクたちはオフィスに舞い戻って、会議室でコーヒーを出してもらって、純粋におしゃべりを続けた。
 
今日はピューリーズは3月に出す予定の新曲の打ち合わせに来たらしい。
 
「でも、ユウちゃんたちも来年は高3でしょ。活動はどうするの?」
「そうなんですよね。今のペースの仕事しながら受験は無理なので、ライブは6月くらいにするのでいったん休み。CDは年末に1枚だけ出そうか、なんて話をしていたところで」
「CDだけと言っておいてもキャンペーンとかで駆り出されるよ」
「あ、やはりそうなりますよね」とノコ。
甲斐さんが苦笑している。
 
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「ローズ+リリーの復活はいつですか?」とユウちゃん。
「オフレコで教えてください」
 
「うーん。。。。ボクたちは今どこのプロダクションとも契約結んでないからなんとも言えないね。ひょっとしたらインディーズで夏くらいに何か作るかもね」
「その時は、★★レコードで扱います」と秋月さん。
 
「どこかのプロダクションと契約しないんですか?ローズ+リリーなら引く手あまただと思うのに」とノコ。
 
「うーん。どうだろうね。前回は一種の波に乗って売れちゃったけど、復帰してまた売れるほど、この世界甘くないよ。でも、売れる売れない関係無く、私は歌手としての活動はしていきたいと思ってるし、じっくりと私たち自身が満足できる音を紡いでいきたいなと思ってる。そんなのんびりした売り方を認めてくれる所があったらだけどね。一応、甲斐さんを含めて3社から継続的なお誘いを受けてはいるけど、どっちみち受験終わって大学入って少し落ち着いてからでないと、そのあたりは考えられないから。早くても5月くらいかな。あと、ボクたちの契約問題に関してはいろいろ大人の事情もあるっぽい」
 
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などと少し悪戯っぽい笑みで言いながら甲斐さんの方を見ていると、勘弁してという感じの顔をしている。秋月さんが苦笑している。
 
「おお、興味あるなあ。大人の事情って」とノコ。
「でもこの業界、知らなくていいことは知らないことにしておいた方がいいみたい」
 
などと明るい声でボクがいうと、ユウもノコも頷いていた。ミレは意味がよく分からないようで、キョトンとした顔をしている。政子は笑っていた。甲斐さんも苦笑している。
 
そういうきわどい話はそこまでにして、ボクたちは音楽活動自体のこと、曲作りや歌唱技術、舞台構成などの話でも、とても盛り上がった。
「おやつ無いんですか?」などとノコがいうので、秋月さんが信玄餅を持ってきてくれて、それを食べながら、また話は弾んだ。
 
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「ピューリーズのライブ、3月の渋谷のを見たっきりで、最近は忙しくて行けないんだけど、音楽雑誌に載ってる写真とかミニスカが多いよね」
「あれ、恥ずかしいんだけどねー」とミレ。
「私たちも恥ずかしい、と言うけどミニスカ穿かされるね」と政子。
 
「私たちにしてもピューリーズにしても、アイドルって売り方じゃないと思うんだけど、やはり10代の女の子にはミニスカを穿かせたいみたいね」
とボクが言うと、甲斐さんが
「だって、40代の歌手にはさすがに穿かせられないから」
などと言う。
 
「じゃ、いっそ40代になったらミニスカ穿こうか?」と政子。
「今の発言しっかり記録して次の担当に申し送りしておこう」と秋月さん。
 
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秋月さんはこの3月で結婚のため退職するということで、本当は3月になってからボクたちには話すつもりだったのが、今日は少しルーズな談話の場になってしまったので、それを先程、内輪の話として披露して、みんなから「おめでとうございます」と言われていたところであった。
 
「でもケイさんの個人的な情報は教えられないと言われて甲斐さんも教えてくれなかったんですけど、ローズ+リリーの前からケイさんって女装してたんですか?」
とユウ。
 
「全然女装の経験は無かったよ。冗談でスカート穿かされたりしたことはあったけどね。あの日、イベント設営のバイトで行ってただけだったのが、その日出演する予定の、女の子2人組のリリーフラワーズというユニットがトンズラしちゃって、その穴埋めにたまたま現場にいた私とマリが急造で代役をさせられたからね」
 
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「じゃ、その日出演するはずのユニットがもし男の子2人組のユニットだったら、おふたりは男性デュオとしてデビューしてたんでしょうか?」
「考えるに恐ろしいけど、あり得る話だね。でも男装のマリも見てみてたい気もするな」
「あー、私は男の子になりたいって思ったことあるよ」とマリ。
 
「でも、その日、ケイさんの人生変わっちゃったんですね」とユウ。
「ほんとほんと。あの活動の中で、私、自分の中の女に目覚めちゃったのよね。でも、私はあの日の事件が無くても、どこかで女に目覚めていたかもという気はするよ」
 
「本人は自覚してなかったというけど、私がケイに最初に会った時、ちょっと女性的な性格の子だなと思ったよ。字とかも女性的な字を書くし、ケイは絵も上手なんだけど、その絵のタッチがまた凄く優しいのよね。それに発想とかが割と女の子っぽいと、よく思ってた」
「へー」
「ここだけの話、ローズ+リリー以前にも何度か、私、女の子の服を着たケイを見たことあるしね」
「あはは、その辺りは内緒にしといてよ」とボク。
 
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ピューリーズの打ち合わせ相手の作曲家さんが遅れてきたこともあり、結局、ボクたちは40分くらい話をしていた。最後にボクたちはサイン色紙を交換して別れた。
 

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■夏の日の想い出・受験生の冬(3)

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