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■夏の日の想い出・受験生の冬(2)

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自宅に戻り、鍵を開けようとしていたら、ちょうど仕事帰りの父が帰宅してきた。
 
「わ、誰かと思った」と父。
「お帰り、お疲れ様、お父ちゃん」
一緒に中に入り鍵を掛ける。
 
「その制服は・・・」
「今日はコーラス部のクリスマスコンサートだったから、政子に制服借りてったんだよ。今日は遅いから明日返しに行く。昨日言ってたでしょ」
「あ、うん。しかし・・・」
「なあに?」
「お前、様になってるな、女の子の制服が」
「そりゃ、私、女の子だもん」
 
父とまともな言葉を交わしたのは何だか久しぶりのような気がした。その日の夕食の席で、ふつうのパーカーとスカートに着替えたボクの方をチラチラと見ながら、父は何か考えている様子であった。
 
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その日の夜、遅くまでボクが勉強していたら、夜11時頃、母がコーヒーを持ってきてくれた。
 
「毎晩、遅くまで頑張ってるね」
「今日は午後がクリスマスコンサートで潰れたから、その分も頑張らなくちゃ」
「頑張るのはいいけど、身体壊さないようにね」
「うん。ありがとう」
 
母が部屋から出て行こうとする時、ボクは母を呼び止めた。
「あのね、お母ちゃん」
「うん?」
「私ね、大学に入ったらすぐに」
「ひとり暮らししたいって言ってたね」
「うん。それもだけど、おっぱい大きくして、去勢もしようかと思って」
 
「去勢って、おちんちん取るの?」
「それは多分もう少し先。まずはタマタマを取っちゃおうと思うの」
「ふーん。今日何かあったの?」
「うん、ちょっとね」
「分かった」
「御免ね。お母ちゃんに私、孫の顔を見せてあげられない」
「それはもう2年くらい前から諦めてたよ」
 
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ずっとずっと先、あやめが幼稚園に入る時、ボクは母に絶対に誰にも言わないでと念を押した上で、あやめが自分の実の娘であり、母の実の孫であることを打ち明けた。その時、母は「なんとなくそんな気がしてた」と微笑んで言った。
 
「でも、お前・・・・」
「うん?」
「今日は凄く女の子っぽい」
「えー!?私いつもこんなじゃなかった?」
「いつも女の子っぽいけど、今日は特にそうだよ。女性ホルモンがたくさん出ている感じ」
 
「言っとくけど、私、ホルモン剤は飲んでないよ」
「分かってるよ。その机の引き出しの錠剤の瓶、開いてないもんね」
「あ?これ知ってた?」
ボクは机の引き出しからエチニルエストラジオールの瓶を取り出した。封のシールが付いたままである。
 
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「もう我慢できない気分になって買っちゃったんだけど、お父ちゃんとも約束したし、政子からも高校卒業するまでは止めとけって言われてたし」
「で、我慢してるのね」
「これはここに置いておくだけ」とボクは笑って言う。
 
その夜は結局勉強しながら母と3時間くらい話し込んでいた。ボクは母の高校時代の恋の話などまで聞いていた。
 

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12月25日のクリスマス。その日は終業式でもあったが、ボクと仁恵と琴絵は学校が終わってから政子の家に一緒に行った。本当はクリスマスパーティーでもしたいところだが、受験生なので今年はパス。ただし一緒に勉強しながらクリスマスケーキくらいは食べようということにしていた。(各自前日のクリスマスイブに自分の家でケーキは食べているのだが)
 
政子のお母さんが買ってきてくれていたケーキを切ってみんなで分けて食べる。お母さんはチキンも揚げてくれていたので、それも食べる。
 
「もう実質、高校の授業はこれで終わりだよね」
「3学期は出席取らないって言ってるから、出て来たい人だけ出てきなさいってことでしょ。次みんな揃うのは卒業式だろうね」
「でも先生達も大変だなあ。来週は一応休みだけどお正月は4日から補講」
「塾は30日までやって2日からまた講義始まるらしい」
「きゃー」
 
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「でも今年は私もお正月は無いと思ってるよ」と琴絵。
「でもコト、かなり自信付けてきたみたい」
「一応ネットの自動採点方式の模試では、合格水準を上回ってる」
「だいぶ頑張ったよね」とボク。
 
「冬も合格ライン軽く上回っている筈なのに更にレベル上げてるでしょ?」と琴絵。「冬は最近の模試で私よりいい点数取ってるよ」と仁恵。
「だって手を抜いたり甘く見たら絶対失敗するもん」
「それは言えるよね。世の中絶対ってことは無いもの」
「獅子搏兎だね」
「あ、なんかそれ漢文で出て来たね」
 
「でも冬、この一週間くらいで急速に女らしくなってない?」と仁恵。
「うん。自分の生き方についてけっこう迷っていたのが心が定まってきたからかな。私、女の子として生きること決めた」
「そんなのとっくの昔に決めてたと思ってた」と仁恵。
「男の子にはもう戻れないポイントを遙かに通り過ぎてると思う」と琴絵。「私、冬が男の子に戻るなんて言い出したら、その場で銃殺してあげる」と政子。「政子ならやりかねないな」と琴絵。
 
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「試験会場には当然女の子の格好で行くんでしょう?」
「もちろん。願書の写真も女の子っぽい感じで写る。なんとその写真で学生証も作られちゃうんだよね」
「願書の性別、どうするの?」
「△△△に問い合わせた。回答もらうまで3日かかったけど、結局学生部まで呼び出されて、行ってきたら、少し話をしてから、自分がどちらの性別かと思っている性別に丸を付けてください、と言われた。実物を見てから回答したかったんだろうけど、実質面接を受けた気分。模試の成績まで聞かれたし」
 
「既に試験終わってたりして。でも、じゃ、女の方にマークするんだ」
「もちろん」
「じゃ、合格したら学籍簿には女子学生として登録されるのね」
 
「そうなるよね。名前も女名前で書いてくれって。入学願書に記入した通りの名前で、受験票も合格後の学生証も発行するって言われた」
「わあ、すごい」
 
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「じゃ、冬ちゃんも4月からは女子大生なのね」と政子の母。
「今でも既に女子高生だと思うなあ」と仁恵。
「去年の10月くらいからほとんど女子高生してたよね」と琴絵。
「冬はこないだ沖縄に難病の子の御見舞いに行った時は自分で女子高生ですって言ってたよ」と政子。
 
「でも冬、学生部にはどんな格好で行ったの?」
「青いブレザーにチェックの膝丈スカート」
「ああ、例の女子高生制服っぽい服装だ」
「またスカートの許可もらって行ったのね」
「うん。先月・今月と私随分スカート穿いてるよね。それでとうとうスカート解禁してもらった」
「わ!」
 
「昨夜のクリスマスイブで、お父ちゃんから年明けからはどんな服装してもいいと言われた」
「それなら新学期からは学校に女子制服で来るの?3ヶ月だけだけど」
「いや。学校に学生服で行くという約束は生きてるから」
 
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本音としては女子制服で通いたかった。これまで様々なイベントがある度にボクは女の子の服を着て出歩いていたけど、普段は学生服で学校に行っている。色々学校から配慮はしてもらっているけど、半分は男性扱いの部分があり、それが物凄いストレスになっていた。しかし色々考えてみて、無理に女子制服を着たからといってその全てが解消されるものとも思えなかった。それに自分が女として生活するのに未熟すぎることも感じていた。だから、無理に女子制服で通して、完全には女でない面を友人達に見られるより、学生服のままで、それを着ていても女らしい自分を見られた方がいいという思いもあった。そういう訳で、ボクは半分男子生活を送っていた1年を自分のパネにしたいと思っていた。
 
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「でも冬、お父さんとあまり話が出来ないって言ってたけど、理解してもらってるじゃん」
「でも相変わらず、何も会話ができないんだよぉ」
「そのうち話せるようになるよ。結婚式で泣いて花束受け取ってくれるよ」
「結婚式!」
「花嫁さんになるんでしょ?」
「そっか・・・・私、花嫁さんになるんだ・・・・」
「花婿さんになりたいの?」
「やだーそんなの」
 
「もし、政子と結婚するなら、ふたりとも花嫁衣装なのかな」
「えっと・・・・」
「冬は多分ちゃんと男の子の彼氏見つけて結婚すると思う」と政子。
「え?それでいいの?政子」と琴絵。
「マーサにもいい彼氏見つかると思う」とボク。
「えー?政子と冬って破局しちゃったの?」
「いや、そもそも恋人になってないし」
「だってねー」と琴絵と仁恵が顔を見合わせる。
 
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「困ったなあ・・・私とマーサの関係は何も変わってないよ」
そういうとボクは隣に座っている政子のほうを向くと、肩をつかみ唇にたっぷり30秒間キスをした。政子がさすがに少し頬を赤らめる。
 
「おお!」
「心配して損した」
仁恵と琴絵が拍手をしている。
「お母さんの前で大胆」
 
「いや、この子たち、ふたりだけの時は、いつもイチャイチャしてるし」
と笑って政子のお母さん。
「このふたり既にしてるんじゃないかって私は思ってるんだけど、本人達は否定してるのよね」
 
「あ、私もてっきりしてると思ってた」と琴絵。
「え?そうなの?私よく分からなかった」と仁恵。
 
「だって泊まり込みで勉強会する時とか、政子と冬っていつも一緒に寝てるじゃん」と琴絵。
「あ、そういえば。でも私と琴絵もたいてい同じ部屋だよね、泊まり込みの時」
「でもお布団はふたつだよ。このふたり一緒のベッドに寝てるもん」
「えー?それは知らなかった」
 
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「一緒に寝るけど、してないよね」とボク。
「うんまだしてない」と政子。
「だからマーサはバージンの筈」
 
「で、結局私にはこのふたりの関係がよく分からないのよ」とお母さん。
「ほんとによく一緒のお布団で寝たりしてるみたいなんだけど」
 
「一緒に寝るのは以前からだよね」
「うん。ローズ+リリーの頃から、ツアー先とかでくっついて寝てた」
「でもHはしてないよね」
「Hまではしてない」
 
「私も分からなくなった!」と琴絵。
「ふたりって、なんとなく恋人同士。冬が女の子だからレスビアンの一種なんだろうと思ってたのに」
 
「お友達だよねー」と政子とボク。
「いや、私はその言葉は信じないぞ」と琴絵。
 
ずっと先。私と政子が各々恋人を持ちながらもふたりで恋人同等の関係も維持していることを知っていたのは、正望と琴絵・仁恵と美智子、それに青葉の5人くらいである。
 
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