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■夏の日の想い出・まつりの夜(3)

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その日は青葉のお母さんも含めて6人で夕食のテーブルを囲んだが、青葉が政子のヒーリングをしていたので千里がその日の晩ご飯は作ってくれたようである。千里はこの日のためにわざわざ買ってきたらしい巨大な鍋にたっぷりのビーフシチューを作った他、鶏の唐揚げを5kg揚げていたので、桃香が
 
「なんでこんなに大量に作ったの?」
と言ったが、きれいになくなってしまう。それで更にデザートということで、ミスドのドーナツ10個入りが3箱出てくるが、これもきれいに無くなる。
 
最後の方は桃香はポカーンという表情で見ていた。
 
「よく入るね!」と桃香。
「政子の胃袋の原理が分かったらノーベル賞もの」と私。
 
「KARIONの美空ちゃんと、政子ちゃんを並べてどちらがたくさん食べるか見てみたい」
などと千里は言ったが
 
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「あ、こないだ金沢の楽屋で美空ちゃんと《芝寿し》の食べ比べした」
と政子が言うと
 
「あ、それ見たかった」
などと千里は言う。
 
桃香が「カリオンって何だっけ?」と訊くので千里は「女の子4人のボーカルユニットだよ」と答えたのだが、この時、私は千里の「4人」という言葉を聞き流してしまった。
 

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翌9月3日は朝から、富山市にある、私の従姉の千鳥の実家=伯母の清香の家を政子を伴って訪問したのだが、市内でも交通の不便な場所にあるので、タクシーでも使おうかと言ったら千里が「送って行くよ」と言うので、彼女の運転するインプの後部座席に乗せてもらって、出かけて行った。桃香はお母さんの用事で青葉と一緒にどこかに出かけるようなことを言っていた。
 
千里は車の中で待っていると言ったのだが「別に遠慮は要らないから」と言って一緒に中に入る。千鳥と清香が歓迎してくれる。
 
清香は夫が転勤族なので、全国を渡り歩いている。千鳥が結婚した時は大阪に住んでいたのだが、その後転勤で富山市に移動してきている。千鳥は2009年に結婚したのだが、彼女の夫も全国企業に勤めているため、結婚早々に金沢に転勤になり、そこで最初の子供・多歌良を産んだ。ところがその子がまだ1歳にもならない内に次の子供を妊娠してしまって(生理再開に気づかなかったらしい。つまり再開後最初の生理周期で妊娠してしまった模様)、現在臨月である。
 
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そして今週末は夫が社員旅行で沖縄に行っているというので「ひとりだと何かあった時にいけないから」と言われて、実家に来ているのだという。
 
「先日は能登の岩牡蠣のお店の手配、ありがとうございました」
と政子がお礼を言う。
 
「いや私も知らなかったんだけど、彼が接待で食べに行って、それで知ったのよ」
と千鳥。
「その話を聞いてたんで、連絡してみた」
と私。
 
「名物ではあっても、スーパーとかに並ぶものではないから、地元に居ても知らない人はけっこういるみたい。スーパーには、普通の牡蛎がやはりRの付く月だけに並ぶんだよね」
 
「Rの付く月って何だっけ?」
「September, October, November, December, January, February, March, April」
「それ以外の時期では生殖期間に入るから食べられなくなる」
「あ、そうか。性転換するんだった」
「政子、こないだも楽しそうにそういうこと言ってたね」
「人間も毎年性転換したら面白いのに」
「それ面白いというより混乱の極致」
 
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「でも私、男になってみたい気もするなあ」
などと千鳥が言う。
 
「お母さんが性転換して男になったら多歌良ちゃんは戸惑うかも」
「取り敢えず、おっぱいが無いと寂しい」
「いや、きっとその時はお父さんが性転換して女になってる」
「お父さんにおっぱいがあればいいか」
「娘も性転換して息子に」
「息子だけ性転換してなかったりして」
「その時はちょっと手術して女の子に改造して」
 
「毎年どういう性の組み合わせになるかであれこれ楽しめるかも」
「それホントに楽しいの?」
 

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ライブが14時からで、リハーサルが11時からの予定と言うと、10時のおやつでも食べてから移動するといいと言う(政子が目を光らせる)。ライブの後で時間が取れるなら、八尾に行って一緒に風の盆を見ない?と誘われたのだが、私は
 
「実は高橋海蛍先生という人に、民謡を習っていたので、その先生と一緒に八尾に行くことになっています」
と言う。
 
「なんだ。高橋先生か。あの人のお母さんが八尾の人でしょ?」
「ええ。それで街流しも見学させてもらおうと」
「でもなんで高橋先生の所に来るのよ。私の所に来たらロハなのに。元々富山に住んでいる人に習いたかったら、提携している教室にも行かせてあげるよ」
 
「いや、プロダクションに言われて、おわら習って来いと」
 
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「あんた、自分が名取りだと言わなかったでしょ?」
「まだ私名取りじゃないですけど」
「乙女姉さんは、既に名取りだと考えているけど。あんた自分の名前も知っているよね?」
「ええ。でもまだ正式にもらった訳でもないし当面封印ということで」
 

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ちょっとおさらいに歌ってみようなどと言って、清香さんが三味線を弾きながら歌い、私が胡弓を弾くことにする。千鳥さんが合いの手を入れる。
 
「太鼓もあるといいんだけど」
と言っていたら、千里が
「私が打ってみていいですか?」
と言うので、
「やってごらん」
と言って打たせる。
 
すると、千里がいい感じで和太鼓を打つので
「あんたうまいじゃん」
と清香から言われる。
 
「歌われよ〜、わしゃ囃す」
という千鳥の声に続いて、清香さんが
「恋の礫か 窓打つ霰」
と唄って
「キタサノサ〜、ドッコイサノサ」
と千鳥さんが囃し、
「明けりゃ身に染む、オワラ、夜半の風」
と清香さんが唄う。
 
政子はおわらを聴くのは初めてということで
 
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「これってなんか垢抜けているね」
などと言っている。
 
「7月にちょっと斎太郎節を習ったね」
「うん。でもあれとは全然雰囲気が違う」
 
「斎太郎節というか大漁唄い込みにしても、越中おわら節にしても近年すごく洗練されてきているから、どちらも土着的な民謡からは少し外れているんだけど、洗練の方向性が違うからね」
 

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「でも、冬って胡弓、うまいんだね」
と政子が言うと、千鳥が
 
「政子さん、胡弓のアクセントが変」
と指摘する。
 
「一般には《きゅう》の方にアクセント置いて息をする方の『呼吸』と同じ言い方する人が多いけど、富山では《こ》の方にアクセントを置く。うちの鶴派でも同じ」
 
「へー、面白い。胡弓か」
「そうそう。そのアクセント」
 
「だけど、千里さんでしたっけ? 民謡習ったことあるんですか?」
「民謡は、やってないけど、高校時代に雅楽の合奏団に居たんですよ。それで太鼓とか箏とかも習ったんですよ」
 
「雅楽か!それは本格的だ」
「太鼓の担当だったんですか?」
「いえ、私は龍笛の担当」
 
「お、それは聴いてみたい」
 
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などという話になった時のことだった。
 

「うっ」
という声を千鳥があげる。
 
「どうした?」
「産まれるかも」
「どれどれ」
と清香が近づいて様子を見るが、千里が
 
「ちょっと見せて」
と言って、千鳥のお腹に触っている。そういえば私は千里が男の娘であることは言ってなかったので、清香伯母さんも千鳥さんも女性と思い込んでいるかもと今更ながら私は思った。
 
「これ4−5時間以内に産まれます。病院に連れていきましょう」
と千里が言う。
 
「よし、すぐ行こう」
ということで、千里と清香が協力して、千鳥を車に乗せる。
 
「それじゃ済みませんけど、私たちはライブ会場の方に行きます」
「うん、頑張ってね」
「じゃそちらも頑張って」
 
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ということで別れた。
 

今回のライブには★★レコードはお金は出してくれているのだが「そっくりさん」という建前を通して、主催や協賛などとして名前はクレジットしていない。しかし何かの時のために加藤課長が来てくれていた。ただ加藤課長は時々マスコミに露出していることもあり、知っているファンもある。気づかれると「やはり本物だ!」と騒がれる可能性があるので、今日は和服を着流しして、普段はポマードで固めている髪を自然に流して、付けひげまでして、かなり雰囲気を変えている。
 
「加藤さん、いっそ女装したらよかったのに」
などと政子が言ったが
 
「実は南君に乗せられて女物の服を着てみたものの、出来の悪いオカマにしか見えん、などと北川君に言われたんでやめた」
などと加藤さんは言っている。
 
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部下に乗せられて本当に女装してみせる所は、やはり加藤さんのノリの良さだ。その加藤さんを見て、ここまで私たちを運んできてくれた千里がお辞儀をしている。加藤さんは千里を見て、何か言おうとしたのだが、ちょうどその時、イベンターの人が来て、
 
「すみません。楽屋口に駐めてあるブルーバード・シルフィは、こちらのどなたかのお車でしょうか?」
と尋ねる。
 
「あ、ごめーん!僕のだ」
と加藤さん。
 
「今、動かすね」
と加藤さんは言ったが、
「あ、課長さん、お忙しいでしょうし、私が駐車場に移動させておきます」
と千里が言うので、加藤課長は
 
「大誤算でしたね。ケイちゃんの関係者でしたか。じゃ、お願いします」
と言って千里に車のキーを渡した。
 
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私は、車を適当な所に駐めたくらいで大誤算って少し大袈裟だなとチラっと思ったものの、政子が声を掛けてきたので、そのことは忘れてしまった。
 

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今回の伴奏は、昨年6月に長岡のライブハウスで偶然遭遇したカナディアン・ボーイズの人たち(Gt,B,Dr,KB,Sax,WindSynth)が務めてくれた。偽物ということにはしているものの、かりにもローズ+リリーの有料ライブで、伴奏は音源を流すというのは許されない、というのが、私・丸花さん・津田姉・町添さんの一致した意見であった。間に合わせのようなバンドというのもいけない。しかし、ある程度名前の売れている演奏者を使うのは偽物には不釣り合い。それでふと私が彼らのことを思い出して、連絡してみたら、面白いから付き合ってあげるよと言ってもらった。
 
まずは7月に出したばかりの新曲『夏の日の想い出』『キュピパラ・ペポリカ』
を続けて演奏してから
「こんにちは」
と挨拶する。
 
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「まるで本物でもあるかのように歌わせてもらいました。ローズ+リリーのそっくりさんのゴース+ロリーです」
 
と挨拶すると、客席が爆笑となる。
 
「それぞれの名前教えて」
という声が掛かるので
 
「私はゴース+ロリーのケイ・マライアです」
「私はゴース+ロリーのマリ・ジョーダンです」
 
と私たちは自己紹介する。マライア・キャリーとマイケル・ジョーダンをもじった名前だが《マ・ライア(真・嘘つき)》《冗談》という単語を紛れ込ませている。言葉遊びに気づいた客はけっこう居たようで、あちこちで失笑がある。ふとステージ袖を見ると、加藤さんが千里の肩に手を当てて苦しそうに笑っていた。でも加藤さんってわりと平気で女の子の身体に触るよなと私は思ったりもしていた。
 
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「今日の伴奏を務めてくれるのは、過去に本物のローズ+リリーの伴奏をしたこともあるという、カナディアン・ボーイズのみなさんです」
と言うと拍手が起きる。
 
するとカナディアン・ボーイズのリーダーの人が
「僕らもかつては本物のローズ+リリーの伴奏をしたことあるんですけど、落ちぶれてゴース+ロリーの伴奏をすることになりました」
 
などと言って笑いを取っている、
 

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