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■夏の日の想い出・食の伝説(3)

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「不思議だなあ。他の女の子とは私あまり会話が続かないのに冬とならたくさんおしゃべりができる」
「ボクって雑学だから」
「冬って何の話題にでも付いてくるよね。ただ下ネタは苦手っぽい」
「うん。苦手〜」
「男の子と話が合わないでしょ?」
「うん。ボク男の子の友だちって出来たことないよ」
「私も女の子の友だちが出来ないんだよね〜。といって男の子の友だちができたこともないけど」
「まあ、男の子と親しくなると、友だちというより恋人って方向に行きやすいだろうしね」
「それ、あるんだよなあ。でも冬と話してると何だかとても気持ちいい。時々こんな感じで話そうよ」
 
「うん。いいけど」
「服もいろいろ貸してあげるよ」
「いや、服は別に貸してくれなくても」
「あ、そうか。ちゃんと女の子の服持ってるんだよね?」
「持ってないよぉ」
「隠さなくてもいいのに」
 
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そんなことを言いながら、政子は自分の分のラーメンをきれいに食べてしまう。
 
「冬、それ食べないならもらうね」
「どぞどぞ」
 
「でもラーメンばかりじゃ何か寂しいなあ。済みませーん、チャーハンひとつ」
 
などと注文している。
 
「よく、そんなに脂っこいものばかり入るね」
「え? ラーメンにチャーハンは黄金の組合せだよ」
「うーむ・・・」
 
政子はチャーハンを食べながら、私が注文した分のラーメンもぺろりと食べ、「あ、まだ入りそう」などと言って更にもう1杯ラーメンを注文する。さっきカラオケ屋さんで6杯半ほど食べているのにここでも3杯目である。私は頭がクラクラしてきた。
 
「冬、食べないの? お腹空かない?」
「いや、政子の食べてるの見てるだけでお腹いっぱい」
「へー」
「でも、政子ってほんとに美味しそうにラーメンでもチャーハンでもお肉とかでも食べてるから、見てて気持ちいいよ」
 
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「うん、私、ごはん大好き!」
「好き嫌いってあまり無い方?」
「そうだなあ。私の苦手なものといったら、梅干しくらいかなあ」
「へー!」
 
「いや、先ほどからあそこに出てるおにぎりを食べたい気がしてるんだけど、たぶん中に梅干しが入ってるかもと思って悩んでいたんだけど」
「梅干しなら、ボクが食べてあげるよ」
「ほんと。じゃ頼んじゃお。済みませーん。おにぎり3皿下さい」
 
3皿!? 正直そのオーダーはもう私の理解の範囲を超えていた。しかし政子はおにぎりの中から梅干しを箸で取り出すと「あーん」などと言って私に食べさせ、残りを美味しそうに食べながらラーメンも食べていた!
 
「ほんとに政子って御飯食べてる時は幸せそう」
「うん。私、詩を書いてる時と御飯食べてる時がいちばん幸せ」
 
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と言った途端、パタっと箸が止まる。
 
「ん? お腹いっぱいになった?」
「冬、紙持ってる?」
「ティッシュ?」
「じゃなくて何か字を書く紙」
「あ、これあげるよ」
 
と言って、私は昨日放送局でサウザンズのマネージャーさんと話した時に「良かったら」といって頂いていたサウザンズのアメニティのレターセットを渡した。
 
「ふーん。サウザンズか。好きなの?」
「ああ。あのワイルドさが良いかな。自分には絶対出せないサウンドという気がして」
「サウザンズの曲は音が無茶苦茶だからどうも」
 
などと政子は言う。確かにサウザンズというのは楽器の音をチューニングせず適当な音程で慣らして演奏するバンドなのである。おかげで長三和音(例えばC)なのか短三和音(例えばCm)なのか判然としないような和音があったりする。好きな人はそれがいいんだと言うのであるが。(その時の偶然の楽器の状態次第なので同じ曲でも演奏の度に、そういう曖昧な和音の時もあれば明快な長三和音になっている時もある)
 
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「へー。政子って、音程の合ってない曲はダメなんだ?」
「気分悪くなる。あんた自分で音痴な癖にって言われるけど。実際自分で歌っていて自分の歌が気持ち悪くなることもある。ジャニーズとか大半のアイドル歌手とかもダメだよ。S**Pとか*居君の声を消去したくなる」
 
「政子って、やはり耳が良いんだ!」
「そうなのかなあ」
 
そんなことを言いながら政子はバッグから、先週政子にあげた赤いボディのボールペン(インクは黒)を取り出して、サウザンズのレターセットに何か詩を書き始めた。
 
「色とりどりの野菜たち」「お肉って最高」「あぁ、ラーメンつるつる」などといった言葉が綴られている。何だかとても楽しそうだ。
 
「へー。何だかそばで見てるだけで御飯が食べたくなっちゃうよ」
「ほんと。じゃ頼んじゃうといいよ。済みませーん、ラーメンもう1杯」
 
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と政子は注文しちゃった。
 
「ちょっとぉ!」
 
しかし注文してしまったものは仕方無い。私は来たラーメンを取り敢えず少し食べながら、政子の詩を見ていた。
 
「うーん。だいたい出来たかな。後は少し帰ってから推敲してみよう」
「でもホントに楽しい詩を書くね」
 
レターパッドのいちばん上には『美味しい食事』というタイトルが付けられていた。
 
「でも私らしくない。こんな楽しい詩ってあまり書いたこと無かったのにさ。この赤いボールペンを使ってると、こんな詩が書けるんだよ」
「へー」
「冬からもらったから、冬の性格を反映してるのかなあ」
 
「そのボールペン、実は古い友だちと一緒に買ったんだよ。その子、凄い元気な子でさ、スポーツ万能で。中学の時とか野球部でエースで4番だった」
「へー。冬って男の子の友だちもいたんだ?」
「違うよ。女の子だよ」
「女の子で野球部なの?」
「そうそう。野球部に入れて下さいって言って頭を丸刈りにして頼みに行ったって」
「きぇー!」
「お母さんショックで気絶しそうになったらしいけどね。公式試合には出られないんだけど、練習試合とかでは県大会で優勝したチームに完封勝ちしたこともある」
 
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「なんか冬の女の子の友だちって凄い人ばかりっぽい。インターハイで全国優勝した人とかもいたよね」
「うんうん。でも政子も多分凄い人だよ」
「私は天才だよ」
「おお、やはり凄い!」
 
「じゃ、そのエースで四番の子の元気がこのボールペンに宿ってるのかもね」
「ああ、そうかも知れない」
「しかし野球部のエースかあ。凄いボール投げるんだろうなあ。旋風を起こして」
 
と言ってから、突然言葉が止まる。
 
「どうしたの?」
「このボールペンに名前付けちゃおう。《赤い旋風》って言うの」
「へー!格好いい」
 
「よし、詩も出来たし、ボールペンにも名前が付いたところで、ラーメン残り食べちゃおう」
と言って、政子は自分の前にあるラーメンをベロリと食べちゃう。これで9杯半完食である。それを食べ終わってから、政子は私の前にある丼を見る。
 
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「あれ?それ食べないの?」
「さすがにもう無理」
「じゃ、私がもらっていい?」
「政子・・・・腹も身の内って言葉知ってる?」
「だって、まだもう少し入るよ」
 
と言って、政子は私の前にあったラーメンを取ると美味しそうにそれを完食した。私はもう笑うしかない感じであった。私はそのラーメンを3分の1くらいしか食べてなかったので、結局政子はカラオケ屋さんとこことでラーメンを10杯と6分の1ほど食べた計算になる。
 
「御馳走様! あ、ここのお勘定も割り勘でいいんだっけ?」と政子。「いいよ」と私は内心『参った!』という感じで答えた。
 
そういう訳でここでのラーメン4杯とチャーハン、おにぎり3皿で合計1500円を割り勘して750円ずつ払った。財布の中身がすっかり軽くなった!
 
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「でも、こないだのキャンプの時は、女の子の服のまま自宅に帰ったの?」
とお店を出てから歩きながら政子は訊いた。
 
「それ恥ずかしいから、中学の時の友だちの家に寄って着替えてから帰った」
「ふーん。その友だちって女の子だよね?」
「うん。下着もその子が洗濯してくれたんだ」
「へー。じゃ、その子には女の子の格好を晒したんだ?」
「うん。まあ」
「何か言われた?」
「可愛いって」
「うん。確かに可愛かった。でも今日のスカートの方がもっと可愛いよ」
「あはは」
 
「今日もそこに寄って帰るの?」
「ううん。今日は平日で今の時間帯、家には誰もいないはずだからこのまま帰るよ」
「誰にも見せないというのも、もったいないなあ」
「いいじゃん。こういう格好はボクと政子だけの秘密ということで」
「あ、それもいいかもね」
 
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ということで政子は納得したようであった。
 

翌年のゴールデンウィーク。私は花見さんにレイプされかかった政子を気遣って毎日政子の家に行き、一緒に御飯を作ったりしていたのだが、その時も政子の食欲には驚かされた。
 
「私ね。春からひとり暮らし始めて、御飯の材料買うのにお料理の本に書いてある通りの量で作ってたら、全然足りないのよね」
「ああ、料理の本に書いてある一人前って、特に少ないもん。ボクはそれで充分だけど、政子は無理だろうね」
 
「二人前で作っても全然足りなくて、四人前にしてもまだ食べ足りなくて、結局八人前くらいにして、腹七分かなって感じなの」
「ああ、そうかも知れないね」
 
その日はカレーを作りたいというので買物に付き合った。私は政子の伯母さんには「女の子の友だち」という設定にされているので、しっかりスカートを穿かされたのであるが! (男の子ということにすると、花見さんという婚約者がいるのに、ということになってしまうので女の子でいざるを得ない)
 
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メークィーン3kg、タマネギ2kg、ニンジン1kgと買う。普通の家庭であればこの量で4人家族用のカレーを5回くらいできるが、政子の場合はこれが1人2〜3食分である。カレー粉も「こくまろ」「バーモントカレー」「ゴールデンカレー」を1個ずつ買い、これを混ぜる。カレー粉は一般に複数種類を混ぜると更に美味しくなる。(但し変なのを混ぜると少し混ぜただけでも全てぶちこわしになるので注意が必要)
 
お肉も豚コマ(政子の要望で国産。私は分からないが政子によれば国産は外国産とコクが全く違うらしい)を1.5kg買う。政子は店頭で「偽装国産」も一目で見破る。
 
スカートを穿いた姿で買物しながら「知り合いに会いませんように」と思っているのだが、そんな時に限って遭遇するものである。
 
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「あれ?冬ちゃんだ」
と声を掛けられて、私は照れながら会釈する。
 
「ん?お友だち?」と政子。
「あ、バイト先で知り合った子で、小風ちゃん」と私はKARIONの小風を紹介する。「小風、こちらは私の友だちの政子」と小風にも政子を紹介する。
 
「あ、よろしく」と双方で儀礼的な挨拶があった上で、小風は
「何か凄い量の買物してるね。パーティーか何かでもするの?」
と訊いた。まあ、普通はこんな量の買い物は下宿屋さんでもしてるのでなければパーティーでもするのかと思うだろう。
 
「あ、全然ふつうの買物」
「ああ。1週間分くらいの買いだめ?」
「うーん。7割くらいは冷凍するけど、まあそれ入れて2〜3食分かな」
「冬って、そんなに食べるんだっけ?」
「あっと、食べるのは主として政子かな」
「へー!凄いね!」
「政子は両親が海外に住んでるんでひとり暮らしなんだよね。それで連休中は一緒に御飯作って食べようってことにしてんだ」
「ああ! じゃ恋人って訳じゃないのね?」
「ボクは女の子と恋はしないよ」
「ああ、そうだよね!」
 
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夏の日の想い出・食の伝説(3)

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