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■夏の日の想い出・高校1年の春(2)

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そのまま街を歩いていたら、バッタリと有咲に遭遇した。
 
「おお、奇遇〜」とボク。
「やはり愛の力かしら」と有咲。
「え、ボクたち愛し合ってたの?」
「知らなかったの? 永遠の愛を誓った仲じゃん」
「そうだっけ?」
「ああ、なんて冷たいのかしら? 私にあんなことまでしておいて」
 
ボクは実はその点がずっと気になっていたので訊いてみた。
 
「ね、有咲、もしボクが変なこと言ってたら御免。ボク、あの時、有咲とHしたんだっけ?」
「え? なんて酷いことを。私にあんなことまでしておいて、そんな言い方って無いわ」
「ごめーん。ボクやっぱりしちゃったのね?」
とボクが焦って言うと
「おほほほほほほ」
などと、有咲はわざとらしく笑った。ボクはどう反応していいのか戸惑った。
 
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「あ、そうだ。私、もうバイト決めたんだ」
と有咲は突然話題を切り替えて言った。どうもその件は棚上げのようである。
 
「へー。どこ?」
と、仕方無いのでボクもそちらに合わせる。
 
「スタジオ」
「スタジオって、写真とか撮るところ?」
「ううん。うちはレコーディングとかする所」
「へー、面白そう」
「昨日面接受けて、即決で採用してもらった」
「よかったね」
「この近くなんだ。ちょっと覗いていく?」
「いいの?」
「外から見るだけならね」
 
ということで、ボクは有咲に連れられて、そのスタジオの所まで行き、外から様子を眺めた。
 
「ここ結構有名なスタジオらしくてさ。昨日面接受けてた時は、凄い大物の歌手を見かけたよ」
「有咲、偉いね、こういう時に個人名出さないね」とボクは言う。
「そりゃ、守秘義務があるから」
「うん。それ分かっているのが偉い」
 
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しばし、スタジオの外で話していたのだが、その時、スタジオの出入口から40歳前後の男性が出てきて
「あれ? 町田君だったっけ?」と有咲に声を掛けた。
「はい。お早うございます、麻布先生」
「もう今日から入るんだったっけ?」
「いえ。来週からですが、ちょっと見学に。外からですけど」
「ああ。中に入ってもいいよ。そちらはお友だち?」
「はい」
「じゃ、一緒に見学するといいよ。但し中で見聞きしたことは一切口外しないと約束出来る?」
「はい」とボクは言った。
 
麻布さんは飲み物を買いに出てきたようで、自販機でジュースをたくさん買っていた。ボクたちは「運ぶの手伝います」と言って、ジュースを2人で分担して持った。そしてそのままスタジオのビルの中に入る。
 
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エレベータで5階まで行き降りる。コントロールルームに入るが、ガラスの向こうでは比較的名前が売れている若手ロックバンドが演奏していた。ボクたちは変に騒いだりせずに静かにその様子を見ていた。元々4ピースバンドの筈だが、フロアには8人の演奏者がいる。見知らない顔はサポートミュージシャンなのだろう。
 
ボクはエンジニアの人たちの動きをじっと眺める。眺めている内にそれぞれの機械の役割や操作が何となく想像が付いてくる感じがした。何だか面白そう。一度こういうの操作してみたいなあという気がしてくる。
 
麻布さんは大きなスライド式のレバーが並んでいる卓の前に座り、そばに座っているラフな格好の人と話しながら、演奏しているメンバーとも色々話をしながら作業を進めていた。ボクはそのラフな格好をしている人に見覚えがあったので、記憶を辿り、数年前に解散したバンドでギターを弾いていた人だということに思い至る。今演奏しているバンドのスタッフについては、ボクも確認していなかったが、多分、アレンジャーかサウンドプロデューサーなどとして関わっているのだろう。
 
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15分くらいしたところで「ちょっと休憩しましょう」という声が掛かり、バンドの人たちがロビーに出る。アレンジャーさんもそちらに行くが、ボクたちは助手の人たちと一緒にジュースを持って外に出て、「お疲れ様でした」と言って演奏者の人に1本ずつ渡す。そしてそのまま助手の人たちと一緒にコントロールルームに引き上げた。
 
ここで初めて麻布さんが口を開く。
「君、静かに見学していたね」
「部外者が騒いだりしていたら、演奏している方の気が散ります。集中してお仕事なさっているのだから。それにここの時間単価高そうですし」
とボクはにこやかに言う。
「うん。とっても高い。でも、その高いスタジオで録音したというのをステータスにしたい人たちがいるからね」
と麻布さんもにこやかに言った。
 
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ボクは演奏している人たちのことは一切話題に出さなかった。むしろスタジオの機器について、聞いても良さそうな範囲で質問をした。
 
「昔はスタジオのグレードは、何と言っても録音用の機材で歴然としていたんだよ。良い録音機器・システムを使って作られた音源と、安い機材で作られた音源では音質に明らかな差があった。それに昔は新しいテイクを録音するには前に録音したものを上書きして消してしまうのが前提だったから、演奏者の側も、新しいテイクを取るのは賭けだったんだよね」
と麻布さん。
 
「それがDAWで一新されたんですね?」
とボクは尋ねた。
「そうそう。君、こういうのに興味あるの?」
「ええ。少し」
「全部デジタルで、ハードディスクに録音するようになって、機材による差はほとんど無くなったし、前のテイクを残したまま、別のテイクを録音して出来の良い方を使うということが気軽にできるようになった。DAWで音源制作の場は、過去のものとはまるで違ったものになったんだよね」
 
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有咲も昨日採用されたばかりで、まだここのお仕事のことも機材などのこともほとんど知らない。それでも、ボクや有咲がその付近のことでいろいろ質問すると麻布さんは機嫌が良いようで、いろいろなことをボクたちに教えてくれた。なんとなくこのロックバンドのレコーディングが順調に行っているので機嫌が良いのだろうと推測した。
 
「君、そういうのに興味あるなら、この本読んでみなさい」
と言って、麻布さんはスタジオに置かれていた専門書をボクに貸してくれた。
「返すのは、町田君に渡してもらえばいいから」
「はい。ありがとうございます。ではお借りします」
 

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この時期、ボクはDTMに興味を持っていて、そのためのソフトとか買ってやってみたいなとは思っていたものの、お小遣いで買えるようなソフトでは無い。それもあって、ボクはやはりバイトしようという気持ちを強めていった。
 
学校も2年生になると補習も増えてくるが、1年生の内はそれほどでもない。やるなら今のうちだという気がしたが、この学校の規則では成績が学年全体の平均より上でないと、バイトは許可されない。ボクはぎりぎりで合格している。バイトをするためにはまず成績を上げなきゃいけないのか、ということに思い至った。
 

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月曜日。先週の答案がまとめて返された。成績表も一緒である。ボクは400人中120位になっていた。そういえば、ボクは入試の試験の成績はかなり良かったはずである。内申点が悪かったので合否判定ではギリギリの所でこの高校にパスしていたのだが、内申書を除外して試験のみならかなりの高得点だったはずなのだ。それに入試に向けてたくさん勉強した余波がある。それでこの新入生実力テストでもかなり高い点を出したようであった。
 
昼休み、奈緒と購買部の所で会ったので訊いてみた。
「奈緒、何位だった?」
「うん。11位。1桁狙ってたんだけどなあ。残念。次の実力テストまでにまた鍛えなくちゃ」
「すごいなあ。ボクは120位だったよ」
「ふーん。。。試験受ける時、女物の下着を着けてたね?」
「なんで分かるのさ!」
「男物の下着だったら、たぶん220位だったよ」
「そうかも」
「女子制服を着ていたら、100の付かない20位だったね」
「むむむ」
 
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「でも、冬、これでバイトできるんじゃない?」
「あ、そうか!真ん中より上だから、許可取れるね」
「冬、言ってたよね。女の子としてバイトしてみようかな、なんて」
「えへへ」
 
それでボクは担任の所に行き、バイトの許可証を発行してもらった。
「どんなバイトをする予定?」
「えーっと、応募してみないと分かりませんが、ファーストフードとか、シアトル系カフェとか、コンビニとか、ファミレスとか、そんな感じの所になるかなと」
「うん、そんな所なら構わないだろうね。決まったら届けてね」
「はい」
 

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その週の水曜日、朝通学途中の駅でバッタリと貞子に会った。
「お久〜」と挨拶して、ついでにハグすると周囲がギョッとする視線。ボクたち当人同士は女の子同士の気安さでハグしているのだが、知らない人が見たら男子高校生と女子高校生の抱擁だ。
 
「あ、そうそう。これ陸上部のOGに配ってるんだ。冬にも1枚あげるね」
と言って封筒を1枚もらった。
 
「若葉の学校は、冬んとこの近くだよね?」
「あ、うん。隣の駅」
「じゃ、これ若葉んとこに持って行ってくれない?」
「おっけー」
と気軽に答えて、ボクは貞子から若葉の分の封筒も預かった。
 
その日の昼休み、ボクはお弁当を食べるのは後回しにして、若葉の所にお届け物をすることにした。姉から押しつけられた!ひまわりの柄のミニトートに封筒を入れ、その日は暑そうだったので学生服を脱いでワイシャツ姿になり、定期券を持って校門を出た。
 
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電車を1駅だけ乗って、若葉の通う◎◎女子高に行く。校門の所に警備の人が立っていたので会釈して、ボクは校内に入った。職員玄関っぽい所から中に入る。そばに事務室があったので、ボクはガラス窓をトントンとノックした。
 
「はい、どうしましたか?」
「こんにちは。私、4年C組の山吹若葉の友人なのですが、中学のクラブ活動の同窓会の連絡を持って来たので、取り次いで頂けますでしょうか?」
とボクは女声で言う。
「はいはい、ちょっと待って下さいね」
と言われ、校内放送で若葉が呼び出されてきた。ついでに和泉もくっついて来ている。
 
「やっほー」とボクはふたりに手を振る。
 
「やっぱり冬だ。窓から見てて、それっぽい気がしたから」
と和泉。
「若葉。これ貞子から頼まれた」
と言って封筒を渡す。若葉は中身を見て
「了解。了解。ありがとう」
と言ったが、その後、小声で
「ね、校門の所で咎められなかった?」
と訊く。
 
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「ん?」
「だって、この学校、原則として男子禁制だからさ」
「へ?」
「中に入れる男性は写真付きの職員証を持っている先生や事務員・用務員に、同じく写真付きの保護者証を持った父親くらいだよ。それ以外はあらかじめ許可証を取ってないと入れない」
「へー」
「だから、なぜ女装もしてない冬が入ってこれたのかと」
「さ、さあ?」
ボクは曖昧に微笑んだ。
 
「まあ、女子がワイシャツ着てたって、女子にしか見えないからね」
とまじめな顔で和泉は言った。
 

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その週の金曜日、ボクが晩御飯を作りながら、何気なく合間にテレビを見ていたら全国チェーンのハンバーガー屋さんのCMが流れていた。その瞬間、ボクはそこにバイトの応募をしてみようかと思った。
 
ネットにつながっている居間のパソコンに自分のユーザーでログインし、そのハンバーガー屋さんのサイトに接続し、バイト募集の情報を確認する。ボクは応募口に電話した。
 
「ああ、高校生? バイトは禁止されてない?」
「はい。許可をもらっています」
「じゃ、明日にでも履歴書持って、お店に来て」
「はい。お伺いします」
 
ボクは母に学業に影響の出ない範囲でバイトをしたいと言った。
「そうだねぇ。まあ1年生の内ならいいか。社会勉強だよね」
「うん」
 
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ということで母も許してくれたので、ボクはパソコンで《唐本冬子》の履歴書を作ると印刷し、封筒に入れた。
 

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