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■夏の日の想い出・クリスマスの想い出(3)

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結局、ボクはその夜、遅くなったので、そのまま自転車を借りて自宅まで走って帰った。明日返しにいくことにしていた。19時すぎに自宅に帰着する。
 
「ごめーん。遅くなって」
「冬彦〜。チキンが揚げられるのを待ってるよ」と情けない感じの姉の声。
「了解。今からじゃんじゃん揚げるね」
 
ボクは小学生の低学年の頃から料理の手伝いをさせられていて、オムレツなども小学2年生の頃からきれいに焼いていたが、揚げ物は母も姉も不得手で、いつもボクの担当になっていた。その日、うちの家も少し早いクリスマスということになっていた。ただしクリスマスケーキは24日に食べることにして今日はショートケーキを家族分4個である。
 
お肉は母が切って唐揚げ粉を付けるところまではしてくれていた。ボクは油を180度に暖めると、その中に鶏肉をどんどん放り込んでいく。そして揚がり次第どんどん食卓に運んでいった。
「ねえ、先に食べてていい?」と姉。
「どうぞー。暖かいうちにどんどん食べて」
「冬彦、揚げ物が上手だなんて、いいお嫁さんになれるね」
「ボク、お嫁さんになるの!?」
「冬彦ならなってもいいと思うなあ。なんとなくウェディングドレス似合いそうな気がするよ」
「あはは」
「ねーまた女装してみない?私、服貸してあげるからさ」
「取り敢えず遠慮しておく」
とボクは笑って言った。
 
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やがて唐揚げが全部できて、ボクも食卓につき、シャンメリーで乾杯。ケーキと鶏肉を食べる。気分が良かったので、ボクは歌を歌った。
「Sul mare luccia l'astro d'argento, Placida e l'onda, prospero e il ventoVenite all'agile barchetta mia. Santa Lucia! Santa Lucia! 」
 
実はちょっと出だしの音を間違えて最後の「サンタルチア」と歌う所ではかなり高いキーの声になってしまった。中性的な声で歌い始めたものの高音になってしまったので、かなり女の子っぽい声になってしまう。
 
「へー、きれいな声持ってるね。ちょっと中性的。というかよくそんな高いキーが出るね」
「出だしの音間違っちゃった。少し高すぎ。ボク絶対音感が無いからなあ」
「私もそんなの無いや。でも、冬彦、よく私のエレクトーン弾いてるけど、私よりうまいよね、最近」
「そう?こないだから練習していた『エーゲ海の真珠』はけっこう頑張ったかな」
 
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「ああ、あれ冬彦が弾いてたんだっけ」と母。
「てっきり萌依が弾いてるものと思い込んでいた」
「私もう最近はほとんど弾いてないから『エーゲ海の真珠』みたいな転調まである曲はとても弾けないよ。ひたすらC−F−G7−Cなら行けるけど」
「全部Cコードに直しちゃうのね」
「そ、そ。シャープとかフラット嫌い。冬彦なんならエレクトーンのレッスンに行く?」
 
「今は陸上部やってるから無理だよ」
「陸上部って3年生までやるの?」
「ううん。2年生まででやめる。というか2年生の秋でやめる。そうしないとさ」
「うん」
「ボクって変にまじめに練習に出てるから、部長やれって言われると思うんだよね」
「ああ。。。」
「でも、ボクみたいに足の遅い人が部長ってのでは部がまとまらないと思う。だから、そういう問題が起きないように、2年生の秋の大会が終わった所でやめちゃうつもり。高校受験の勉強しなきゃといえば納得してもらえるだろうし」
「そうだねえ」
「考えすぎだと思うけどなあ。別に部長が一番運動能力無いといけないこともないと思うけど」と姉は言っていた。
 
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「あ、そうそう。お前たちにクリスマスプレゼント」と父。
「来週はずっと遅くなりそうだから、今日渡しとく」
と言って、父は私と姉にデパートの包みを渡した。
「わあ、ありがとう」
「部屋に帰ってから開けるといいよ」
「はーい」
 
夕食の後片付けをし、お風呂に入って22時近くに自分の部屋に入った。お風呂の中では今日の女の子サンタの衣装を着ての配達の仕事を思い出していた。随分可愛いと言われたなあ、などと思う。ボクそんなに可愛いのかななどと思って、お風呂場の鏡にむかって少し可愛い子ぶった笑顔をしてみる。ドキっとした。
 
ボク・・・・ほんとに可愛いかも・・・・待て、そんなこと考えちゃうなんてボクってナルちゃん? などと思って、シャワーを浴びて湯船につかる。はあ・・・・でも女の子の服を着るの、ちょっと気持ち良かったな、などとも思った。湯船につかったまま、つい「それ」を眺めてしまう。ちょっとお股に挟んでみた。女の子だとこんな感じかな。。。。。何かの拍子にこれ、無くなっちゃったりしないよね。。。。朝起きたら無かったとか。無くなっちゃったら、無くなっちゃったで、何とかなりそうな気もするな、などと思った。
 
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同じクラスの男の子たちは、これをいじるの、毎日しているみたいだ。でも、ボクはそんなことしていなかった。寝る前につい少しいじったりすることはあるけど、硬くなるまではいじらないし。
 
そういえば貞子から性転換するの?なんと訊かれたなあ。。。。性転換か・・・したいなあ。股の間にアレを挟んだ状態で、何も付いてないかのような股間を眺めながら、ボクは悩んでしまった。こういうことを考えている時、何かせつないような気分になるのが不思議だった。
 
お風呂から上がり、ボクは「いつもの」をする。バスタオルを腰に巻き付けて鏡に映すと、ちょっとスカートを穿いてるみたいな感じ。でも・・・おっぱい無いもんなあ。同じ世代の女の子たちはおっぱいが膨らんでいる。ブラジャーも付けている。ブラか・・・・ボクは自分の胸回りをメジャーで測り、多分A70で合いそうというのは知っていた。さっき4000円ももらっちゃったし....新しいブラ買って学校にも着けて行こうかな。
 
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ホントに女の子になりたいなあ。もっと女としての自分を自己主張しないといけないのかなぁ・・・・・ クラスに1人そんな子がいる。彼?彼女?は学生服着ていても、いつも女言葉だし、女の子になりたい!ってよく言ってる。ボクもあの子みたいにカムアウトしちゃえばいいんだろうか。なんか勇気が持てないなあ。
 
今日は「女の子」という時間を2時間くらい体験してしまっただけに「女の子の美味しさ」のようなものを味わってしまったので、今こうして自分が男の子に戻っているのが何かやるせない気分だった。ため息を付きながら自分の部屋に戻る。宿題をしなくちゃ。ボクは鞄から勉強の道具を出して、宿題をやり始めた。23時頃終わり、明日の予習も簡単に済ませた。ふだんはこのあと1時くらいまで問題集を解いたりして過ごすのだが今日はちょっと早く寝たいような気分だった。
 
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パジャマに着替えてトイレに行き、両親に「おやすみなさい」と言って部屋に入る。そして寝ようとした時、ふとお父さんからもらったクリスマスプレゼントのことを思い出した。いけない、いけない。何かな・・・去年はセーターだった。一昨年はウィンドブレーカーだった。軽いし今年も何かの衣類かな?と思って包みを開ける。
へ?
 
ボクはそれを広げて、表裏返してみて、うーん。。。と悩んでしまった。
 
「これ、どう見てもスカートだよね」
 
ちょっと穿いてみる。暖かいダウン生地のスカートで、ウェストがホックで留めるようになっている。穿いてみたが、ウェストにかなりの余裕がある。あ、そうか!これはオーバースカートだ、と思い至る。ふつうのスカートの上に重ねて穿くと、暖かいって感じだよね。えっと、ボクの場合、ズボンの上に重ねて穿けばいいのかな?? 確かにズボンの上にオーバースカートという着方はあるけど、それって女の子のファッションだよね。。。。
 
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ま、いいや。とりあえず今日は寝ようと思って寝る。
 
その日はあちこちで「歌手になれる」「女優になれる」などと言われたせいだろうか。ボクは夢の中でミニスカートを穿いてステージで歌を歌っていた。となりにもうひとり女の子がいるみたいだった。デュエットなのかな?と思う。ああデュエットなら、その相手の子と仲良くできたらいいなと思った。ボクはその隣で歌っている女の子の顔を見ようとしたが、そこで目が覚めてしまった。
 
翌朝、ボクは朝御飯の当番なので、お味噌汁を作り、玉子焼きを焼いて4つにカットして、テーブルに並べた。フライパンで鰤の切り身を照り焼きにする。それも並べたところで姉が、そして御飯まで盛ったところで父が起きてきた。母はずっとヨガだか柔軟体操だかをしていたが、みんなが揃ったのでテーブルに付いた。
 
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「あ、お父さんマフラーありがとう。暖かそうで助かる」と姉。
「へ?」と父。
「マフラー?萌依の包み、マフラーだった?」
「え?違ったの?」
「冬彦、お前の包みは?」
ボクはようやく事の真相がわかった。
 
「暖かそうなオーバースカートだった。ボクにこれを着ろということなのかなって、少し悩んでた」
「すまん。間違った。逆に渡した」
「えー?」
 
「いや、お嫁さんになれば?とか昨夜言われてたし、さっそくスカートを穿けということかと」
とボクは笑って言った。
 
「ふーん。。。私それでもいいけどね」と楽しそうな顔で姉。
「あ、お味噌汁美味しい。冬彦、お味噌汁作るのもじょうずだよね。やっぱりお嫁さんになっちゃいなよ」
「そうだねぇ。でもお嫁さんに行ける身体してないし」
「そんなのちょっと手術して改造しちゃえばいいじゃん。最近そういう人多いよ。それにこないだ出来た法律で性別変えられるようになったしね」
(特例法はこの年の7月に施行された)
「うーん。少し悩んじゃうかも」
 
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「申し訳無い。ふたりで交換してくれ」
「うん。いいよ。でも冬彦、そのオーバースカート、穿いてみた?」
「穿いてみたよ。暖かそうだったよ」とボクは涼しい顔で答える。
「へー」姉は何かとても楽しそうな顔をしていた。
 

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■夏の日の想い出・クリスマスの想い出(3)

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