広告:放浪息子(6)-BEAM-COMIX-志村貴子
[携帯Top] [文字サイズ]

■夏の日の想い出・Xデーと復活(3)

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4 
前頁 次頁 時間索引目次

↓ ↑ Bottom Top

その夜政子は私に“姫始め”を求めたので、私たちは約2年ぶりのセックスをした。
 
「最初妃登美ちゃんに電話してさ。亮平を一晩貸してと言ったら妃登美ちゃんは『いいよー』と言ってくれたのに亮平が『悪いけど私とはセックスしない』と言うからさ。貴昭に電話して『セックスしたい』と言ったけど、大輔の四十九日までは遠慮すると言うし」
 
つまり私は3番目のようだ。
 
「やはり大輔さん好きだったの?」
「まあ少しは好きだったかもね。既に別れていた人ではあるけど。でも本当に去年の夏大輔とは別れたんだよ。私はその後で妊娠した。そしてそのあと再度大輔から言い寄られてさ。まあデートくらいはしてもいいよと言ったけど、実際は1度もしなかった」
 
↓ ↑ Bottom Top

なるほどそのタイミングで松山君としたのかと私は思った(←にぶすぎるよ)
 
でも時間を置いて松山君と結婚するんだろうし、今彼は独身なのだから誰に咎められることもないだろうと私は思った。
 

↓ ↑ Bottom Top

政子はボーってしていることが多く、ローズ+リリーのアルバム制作はあと少しになってから停滞していた。私は政子のお母さんに言い、敢えてかえでの世話を政子にさせるようにした。
 
「ごめんねー。お母ちゃん頑張るね」
と言って、政子もかろうじて自分が母親であったことを思い出し、子供の世話をしていた。
 

↓ ↑ Bottom Top

大輔と青島リンナの間の子供、夏絵については、常識的には青島リンナに託すべきかも知れなかった。しかし何よりも夏絵自身が「リンナ母ちゃんの所より政子母ちゃんの所に居たい」と言った。そもそも青島リンナ自身が今は別の男性と結婚してその間に子供(敦子)もいることから、リンナは「もし可能ならマリちゃんに預かってほしい」と言った。それで2人の話し合いで夏絵は政子が養女にすることになった。
 
「子供が実の母親のところに行きたくないというのはよほどのことでは」
と政子の母は夏絵がリンナに虐待されていたのではと想像したようだが、リンナ曰く
「私楽曲の仕上げしている時期とか子供の世話忘れちゃってさ」
ということのようであった。それで数日御飯も食べられないなどということもあったようである(半分想像)。
 
↓ ↑ Bottom Top

しかし政子の家にいれば政子の母が確実に御飯をくれるから、夏絵にとっては快適だろう。それにあやめと意気投合していたのもあると思う。
 

↓ ↑ Bottom Top

百道良輔・大輔の兄弟は莫大な借金も遺していた。政子が保証人になってあげていた分もあったので、私は婚約者で弁護士の木原正望に同伴してもらい全ての借入先に完済して回った。中には法外な利子を提示した所も会ったが弁護士バッジを見ると素直に法定利息で計算し直した。
 
リンナもかなり保証人になっていた。彼女にも正望に同伴してもらい借入先を回って完済させた。その返済資金は夫の高橋俊郎さんに借りたがリンナは数年で完済した。
 
良輔・大輔のお母さんの場合は返済資金が無かったし、どこかからそれを借りたとしても返せる見込みが無いので自己破産を勧めた。金額が巨大でもあったことから、その手続きには1年近く掛かった。
 
↓ ↑ Bottom Top


政子は大輔が亡くなった後、とても詩が書ける精神状態では無くなっていた。政子がこんなに落ち込んでいるのを見たのは初めてであった。
 
しかし政子は大輔の四十九日(2023年2月10日だが実際には2月5日(日)に行った)が終わり、納骨も済ませた後、私に言った。
 
「私、そろそろ復活しなくちゃ」
「そうだね。そろそろ復活してもいいかもね」
と私も言う。
 
「私、また宮古島に行きたいな」
「ああ、いいね」
 
以前宮古島に行った時(2019.6)にお世話になった、元§§プロ社長の紅川さんに連絡したところ「いつでもおいで。好きなだけ居ていいよ」と言うので、政子とあやめ・大奈!・かえで・夏絵、政子の両親、それに世話係として雇った小平市内の女性2人(後藤令美・江川花凛)(*1) で宮古島に向かうことにした。千里の Gulfstream G450 で宮古空港まで飛んだ。
 
↓ ↑ Bottom Top

(私は多忙なのでさすがに同行できない)
 
(*1) 後藤さんは元料理人(洋食屋さんに勤めていた)だがコロナでお店が潰れたらしい。江川さんは元看護師でコロナ以降仕事が増えて感染防止に神経を使って疲れて退職したらしい。後藤さんが主として食事を作り、江川さんが主として子供たちを見ているが、ふたりの役割は固定せず、どちらも料理・子供の世話お願いしますということで了承を得ている。茶碗洗うのなどはあやめ・夏絵などにたくさんやらせてくださいと言っておいた。
 

↓ ↑ Bottom Top

現地では前回同様紅川さんの家の離れで政子一家は過ごした。付き添いの女性2人は紅川家の近くの空き家を私が買い取り、鱒渕水帆マネージャー、千里の友人男性2人が先行して宮古島入りしてもらい(Honda-Jet使用)、一週間掛けて整備してそこに泊まってもらえるようにした(通称“宿舎”)。
 
また千里の友人たちは紅川さんの許可を得て紅川さんの家の庭に防音壁に囲まれたスタジオ・ユニットも置いてくれた(ユニットハウス)。こちらは大阪で整備したものを船で?運んでくれたらしい。
 
(抱えて飛んでったということは?)
 
千里の友人男性たちはすぐ戻ったが、鱒渕は“宿舎”に後藤・江川と一緒に泊まって政子の練習などを見てもらう。
 
↓ ↑ Bottom Top

政子は大輔の戒名をお坊さんに書いてもらった紙を広げ毎日夏絵と2人で「なんまいだぁ、なんまいだぁ、1枚だぁ、2枚だぁ、3枚だぁ」??などとやっていたようである(10枚まで行く)。
 
また毎日2時間くらいスタジオに入り、発声練習などをしていた。それ以外にもスタジオに置いたクラビノーバをかなり熱心に弾いていた。スタジオには空いている時はあやめも入り、クラビノーバを弾いたり自分の10分の1ヴァイオリンを弾いたりしていたようである。あやめの練習はけっこう毬藻さん(紅川の娘さん)が見てくれていた。
 

↓ ↑ Bottom Top

4月2日(日・とず)は大輔と良輔の百ヶ日であった。
 
この日東京では須藤美智子が主導してお寺で法要をしてもらったのだが、政子は宮古島のお寺に夏絵と2人で行ってお経をあげてもらい、戒名の紙も納めて、それで“おしまい”にして、毎日のお祈りもやめてしまったらしい。
 
「もういいの?」
とお母さんが訊くと
「うん。もう大輔との縁はこれで完全に切れた」
「相変わらずドライだね!」
「千里も前の旦那が死んでから百ヶ日で仕事に復帰したらしいし、私もこれから仕事に復帰するよ」
「へー」
 

↓ ↑ Bottom Top

4月3日(月・たつ).
 
松山貴昭は車(アクア)に2つのチャイルドシートをセットし、娘の紗緒里(5)・安貴穂(3)を乗せて“母娘3人”で東京に移動。親友の佐野敏春を通して借りていた小平市のアパートに入居した。
 
「松山が女の格好してるから俺が愛人囲うみたいだ」
と佐野君。
「僕までいると男ふたりで共同愛人を囲うみたいに見えたりしてね」
と一緒に引越を手伝ってくれた麻央(*2).
 
「一応基本的な食料品も買い揃えておいた」
「すまない。幾ら掛かった?」
「唐本(冬子)がお金は出したから気にするな」
「すまん」
「直接聞いてるだろうけど今中田(政子)は沖縄の宮古島なんだよ。帰ってきたら会いに行くといいよ」
「そうする」
 
↓ ↑ Bottom Top

(*2) 佐野君と麻央は多くの人に男性同性愛の夫婦と思われている。
 
佐野敏春:外見男、体は男、心は男、恋愛Act女,Recバイ
佐野麻央:外見男、体は女、心は女?、恋愛Act/Rec共にバイ
松山貴昭:外見女、体は男、心は女、恋愛Act女,Recバイ
 

↓ ↑ Bottom Top

4月3日、政子はこんな詩を書いたぁと言って私にFAXしてきた。『お空にバイバイ』という詩である。大輔さんのことかなと思った。念のため八雲さんに詩を見てもらったが「公開は問題無い」という意見だったので曲を付けた。この歌に関しては Havai'i 99 (タヒチアン・バンド)(*3) の伴奏でというマリの指定だったので、中橋さんに照会し伴奏OKの返事をもらえた。
 
伴奏音源を作ってもらいマリに送ったら「ここをこうしてほしい」というコメントがある。私ももっともだと思ったので直してもらった。これを3回繰り返した上で伴奏完成とした。
 
(*3) Havai'i はポリネシアン民族の自称である。ただ各方言により少しずつ発音は異なる。
 
↓ ↑ Bottom Top

マオリでは Hawaiki
クックでは 'Avaiki
ハワイでは Hawai'i
サモアでは Savai'i
タヒチでは Havai'i
 
むろん「ハワイ」の語源。ここで「'」は《声門閉鎖音》、喉を一瞬閉じて息の流れを止めるような音である。日本でも琉球方言や薩摩方言には見られるほか他の地域でも例えば“柿”を ka' と発音する人がいる。
 

↓ ↑ Bottom Top

2023年4月7日(金).
 
私は伴奏音源がほぼ完成した時点で、録音技術者の長山海音(24) とともにHonda-Jetblueで朝から宮古島に飛び、『お空にバイバイ』のボーカル録音をすることにした。
 
ちょうどお昼くらいの段階で、鱒渕マネージャーの感覚で“完成”と思われる伴奏音源ができていたし、政子もちょうど目覚めたところだったので、午後いっぱい練習し、夕方19時前(宮古島のこの日の日没は18:58)の録音で完成とした。
 
ただちにこのデータを東京に送り、マスタリングに着手してもらった。これは七星さんに監修してもらったが曲順については私と七星さんが電話で話しあって決めた。
 
マリ&ケイ『空に祈る』
マリ&ケイ『気球に乗って行こう』
マリ&ケイ『スパイラルコーン』
鴨乃清見『つばさを駆って』
水野歌絵・醍醐春海『虹の隙間』
森之和泉+水沢歌月『草原に寝転がって』
 
↓ ↑ Bottom Top

未来居住・福沢聖子『ソランラソラ』
大宮万葉『雲と風の歌』
蜂矢仁美・波斯魔琴『傘を忘れる法則』
マリ&ケイ『星のふるさと』
マリ&ケイ『ふわふわのお布団』
マリ&ケイ『お空にバイバイ』
 
緊迫した感じの『空に祈る』から始まり底抜けに明るい『お空にバイバイ』で終わる。けっこういい感じにまとまったなと思った。
 
なお舞音ちゃんが書いてくれた曲名は一見「そらそらそら」に見えるが実は「そらんらそら」である。ダジャレ女王?の舞音ちゃんらしい曲である。
 
しかしこれで4ヶ月制作がストップしていたアルバムがやっと完成した。八雲課長もホッとしたようである。
 

↓ ↑ Bottom Top

この日、私は紅川家の離れに、長山さんは“宿舎”に泊まる。“宿舎”は5人まで泊まれる(無理すれば最大20人くらい泊まれる)。ただし女性専用とさせてもらう。後藤さんは「男の娘さんまでは泊めてもいいよ」と言っていた。
 
政子は私にセックスを求めたので夜中にスタジオの方で睦みごとをした(オフィスラブ)。
 
「これで帰る?」
「なんか日食があるらしいからそれを見てから帰る」
 
私と長山さん、それにアルバムリリースのための作業がある鱒渕マネージャーは翌日(4/8)朝、宮古空港から熊谷に帰還した。
 

↓ ↑ Bottom Top

4月9日(日).
 
この日は松山貴昭の妻であった露子の一周忌であった。貴昭はこちらのお寺に娘2人と一緒に行き、お坊さんにお経をあげてもらうつもりだったのだが、なんと妹さん一家が東京に出て来てくれたので一緒にお寺に行くことにした。
 
「どうしよう?私男物の喪服持ってない」
と思い、佐野君に借りようかと思ったのだが
 
「“お義姉さん”のことはよく分かってます。女物の喪服でいいですよ」
と妹さんもその旦那さんも言うので、開き直って女物の喪服を着た。
 
「大きなお花がある」
「友達が送ってくれたんですよ」
 
(「友人一同」の名義にしてある)
 
「へー。ありがたいですね」
 
それで娘たちにも黒い服を着せて一緒に予約していたお寺に行った。
 
↓ ↑ Bottom Top

一周忌の後はお寺の食堂で精進明けを一緒に食べ、その後は2家族で一緒にTDLに行くことにした。貴昭とふたりの娘、それに露子の妹さんとその娘さんは女性用更衣室で普段着に着替えた。貴昭は春物のワンピースに着替えた。
 
「可愛い。レディスを着こなしてますね」
「お恥ずかしい」
「恋人さんは・・・男の人?」
「いえ、向こうも女性です。私、恋愛対象は女性なんです」
「なるほどー」
 
妹さんは露子との結婚は偽装結婚ではと少し疑っていた感もある。
 

↓ ↑ Bottom Top

TDLの入場料は「貸し借りが面倒だからそれぞれ出しましょう」という妹さんの夫の提案でそうした。両家族ともたっぷり遊んだ。子供たちが大喜びだった。
 
(昨年USJに行ったので東西2大テーマパーク制覇)
 
「明日甑島(こしきじま)(*4) に帰られます?」
「明日夕方の羽田発福岡行きを予約しています」
「福岡から車ですか」
「いえ、私たち福岡に引っ越したんですよ」
「ホントですか!」
 
やはり子供たちの教育を考えると移住は早い方が良いと言って今年の1月に福岡の企業に転職したらしい。現在は福岡市中央区の公団に住んでいるものの、早良区あたりに家を建てるかもと言っていた。
 
妹さんは最後に言っていた。
「去年も言ったけど、もう一周忌終わったし再婚していいですからね」
「はい、ありがとうございます」
 
↓ ↑ Bottom Top

(*4) 甑島は公式には「こしきしま」だが、地元では「こしきじま」と読まれている。
 

2023年4月9日(日)は復活祭(イースター)であった。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁 時間索引目次

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4 
夏の日の想い出・Xデーと復活(3)

広告:女声男子-4-ガンガンコミックスONLINE-険持-ちよ