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しかしやはり高校に入って苦労したのは、女の子としての生活より勉強だ。もとより単にマグレだけで入った学校だから、みんなのレベルが高い。しかしボクはどうしても分からない所など、参考書を読み、クラスの人に聞いたり、家に戻ると美夏にも聞いたりして、必死に勉強した。
おちんちんが無い上に女性ホルモンを採っているから、余分な性欲はほとんど無い。美夏はその内女の子としての性欲が出てくるかもと言っていたが、まだその段階には到達していなかった。美夏のことが好きなのは変わらないし、実は伯母の目を盗んで毎日1度はキスするのが日課になっていたが、ボクの私生活の時間のほとんどは勉強に費やされ、その成果あって4月末くらいには授業の内容が、そのまま理解できるようになってきた。
学校はゴールデンウィークのお休みに入る。たっぷり宿題が出されたのでボクはそれを必死で片づけて伯母の家にずっと滞在を続けた。美夏は最初は自宅に戻るつもりだったようだが、ボクが勉強しているのを見て、それに付き合ってくれた。この頃、ボクの身体にもようやく変化が現れ始めていた。
胸は明らかに膨らみ始めた。それからお尻の感覚が変わった。お尻に脂肪が付き始めている感じだ。自分では分からなかったけど、美夏によればボクの体臭も変わったという。伯母が留守の時間帯にボクは美夏に裸にむかれて彼女の「診察」を受けた。「ボディラインが女の子っぽくなりつつある。普通の女の子なら、こういう変化は小学校の5〜6年生で現れ始めるのだけど、約4年遅れくらいで始まったというところかな」
「診察」が終わった所でボクは思い切って言った。「ボクを裸にしただけで、終わりなの?その4年後どういう身体になるのかを実地に検分させてくれないかな?」すると美夏は「いいよ」と言って自分も服を脱いで、ボクの上に乗ってきた。ボクらはお互いの身体をむさぼるようになぜまわした。
それはボクらにとってはもうBじゃなくてCという感じだった。おちんちんを入れるという作業がなくても、ボクたちは確かに結ばれた。お互いにそんな気持ちになった。
ボクたちの表情に変化があったのだろうか、翌日の昼、伯母さんから聞かれた。「あなたたち、しちゃったでしょう?」ボクたちは無言でうなずいた。「これだからね、若い子は歯止めが利かないから。でも好きなんだから仕方ないよね。でもお互いの身体をちゃんと思いやることは忘れないでね。それから、ちゃんと付けてしてる?」ボクたちが顔を見合わせると伯母さんはやれやれという顔をし、小さな箱を午前中に行ってきた買い物袋から取り出した。
「そうかも知れないと思って買って来たわ。する時には必ずこれ付けること、いいわね」ボクはちょっとだけためらったが素直に「はい」と返事をした。
「使い切ったら、薬屋さんに売ってるから自分たちで買いなさい。恥ずかしいことじゃないんだからね、大事なことだから」「分かりました」「それから、やりすぎると、お互い勉強に差し支えるから、週に1度を限度にしておきなさい。そのくらいは自制できるでしょ?」「はい」ボクらは一緒に返事をした。
ボクらに関係ができてしまったと分かると、それまでお互いの部屋には入るの禁止だったのが、その時に相手の同意がある場合との条件で1日に1度だけは一緒の部屋に入ってもいいというお許しが出た。ただし鍵はあけておくというのも条件だ。美夏は居間から戻るといきなりその権利を行使した。
「それ、どうやって使おうか」「これコンドームでしょ?初めて見た」「1個取り出して見てよ。私も見てみたい」「うん」
「使い方がよく分からない。おちんちんにかぶせて使うんだよね」「うん、多分」
「うーん」ボクらは実物のおちんちんが無いので、今ひとつ感覚が分からず悩んでしまった。「そうだ、あれなら。とにかく今日は使えないから、来週の日曜日」
そう言ってその日は美夏は部屋に引き上げた。ボクはその開かれていないコンドームを袋に戻し、箱に戻して机の引き出しに入れた。
ボクは学校から出た宿題は5月2日までに全て仕上げてしまった。それでは物足りないので町に出て問題集を何冊か買ってきた。当然美夏も付き合う。「美夏も問題集買うの?」「ううん。でも選ぶの手伝ってあげるよ」「美夏は最終的にどこの大学狙ってるんだっけ」「今のところW大かな。でもうちの学校のみんなのんびりしてるからなぁ。先生も何だかやる気無さそうだし。テンション維持するのには春紀を見ている方がいいなって感じ」「そういう春紀はどこ行くの?」「O女子大....というのは冗談で、今の自分の感覚を維持できたらひょっとしたらH大くらい行けるかもという気分になってきている」「すごい、頑張ってね。O女子大でもいいよ」「それはさすがにバレるって。それに3年後には男に戻るんだし」「ふーん」「何?」「春紀、このまま女の子になっちゃうのかと思ったのに」「どうして。女の子同士じゃ結婚できないじゃん」
「春紀、もしかして知らないの?世の中には男同士、女同士で結婚する人たちもいるんだよ」「え?ほんとに。そんなこともできるんだ。女同士って、二人ともウェディングドレス着て結婚式するの?」「さぁ、どちらかが男役って場合もあるだろうし、その辺はいろいろだと思うな」「ふーん。でもウェディングドレス二人は華やかでいいけど、タキシード二人の結婚式って、何だか変」
「変じゃないと思うよ。当人達にとっては」「そうか。それで好きなら、それでも構わないのかな」「そうよ」
ボクが最初に選んだ問題集は大学の入試に出た問題を集めたものだったが、美夏はそれを戻して「今の春紀にはこっちの方がいい」と別のを取った。それは易しい基礎演習を集めたものだった。「難問を解くのは受験技術の問題だけど、それより前に自分の基礎実力を充実させた方がいいんだよ。基礎がしっかりしている所に受験技術を付けることで、点数は大きく伸びるの。基礎が50しかなくて技術でそれを無理矢理90までのばしてもそれは不安定。テストの度に点数が大きく変動する。でも基礎が80あってそれを技術で90まで伸ばした場合、点数は安定して出る。春紀は特に中学時代あまりちゃんと出来てなかったから中学の範囲も少し復習させてくれるような問題を今はやっておいた方がいいよ」美夏の言うことはもっともだった。
ボクらは本屋さんを出た後、お化粧品コーナーで安いマニキュアを物色し、それからアクセサリーショップで髪飾りを見てから、美夏がひとりで捜したいものがあるからというので、ボクだけ先に戻った。
さっそく問題集に取り組むが、確かにやってみると自分がまるで基礎ができていないことが分かる。その問題集には、各分野の問題の前に基本的な事項がまとめてあったので、それを確認した上で取りかかることにした。分数の計算など、まるで分かっていなかったが、こないだ美夏が分数同士のわり算のやり方と約分の仕方を教えてくれていたので、今まで勘?で解いていたような問題が納得して解けるようになっている。因数分解も公式で覚えるのではなく、理屈を理解して解きなさいと言われていたので、そうやってみる。時間はかかるけど、何とか解けていくのを見て、ボクは自分の進歩を感じていた。
古文も、美夏が「これだけは絶対覚えなさい」と30個くらいの単語をリストアップしてくれたものをしっかり頭に入れると、ウソのように文章を読んで意味が取れるようになってきていた。中学時代は全てが曖昧なままだった。それでようやく動詞の活用形などが頭に入り始めていた。ボクは夢中になって問題集を解いていたので、美夏が帰ってきていることにも全然気づかなかった。ドアを随分叩かれて「伯母さんが御飯だってよ」という美夏の言葉で、やっと我にかえった。こういう集中力というのは、おちんちんが付いていた頃には経験がなかった。
ゴールデンウィークが終わりまた学校が始まる。中旬には中間試験があるが、その前に身体検査があった。ボクは何とか女の子に見える体つきになってきているので「4月すぐでなくて良かった」という感じだったが、その日の朝美夏にそのことを言うと「メンスのこと聞かれたら、半月くらい前にあったことにしておくといいよ」と言われた。
「メンスって?」とボクは何も考えずに聞くと美夏は天を仰いた。「お願いだから『メンスって何ですか?』なんて人前では聞かないでよね。バレちゃうよ。メンスは月経、生理。1ヶ月おきに女の子に来るお月様の使者よ」「あ、月経のこと。メンスともいうんだ」「ドイツ語でメンス。正確にはメンシュトルアチオンだけど、それは長いから略してメンス。明治の女学生あたりが言い出したんじゃないかな。昔の女学生って学があったから。で、メンスは定期的に来ていますか?と聞かれたら『はい』と答えておけばいいから」
「メンスって定期的に来ないこともあるの?」「十代の内はまだ女としての体がきちんとできあがってないからね。不安定な人もよくいるよ」「あぁ、それが生理不順という奴?」「そう。10日で来ちゃったり、60日くらい来なかったり」「妊娠すると来なくなるんだよね」「そう。でも元々生理不順の人の場合は、さっぱり分からないよね」「あ、ボクこないだ美夏を妊娠させてしまってないかな」美夏はまた天を仰ぐ。「おちんちんが無いんだから妊娠させられる訳無いでしょ」「あれ、そうなんだっけ」「今日帰ってきたら、ゆっくり性教育してあげるから、今日は頑張って行っといで」
実際、美夏に事前教育を受けていたおかげで助かった。実際に定期的に来ているかは尋ねられた。しかし女子の身体検査はいい。男子の場合、中学の時は、みんなパンツひとつにされてズラっと並ばされたが、さすがに女子の場合は着衣で並び、身長と体重は着衣のまま量る。そして健診は一人ずつカーテンの中に入って、一人前の子が健診を受けている間に次の子が服を脱ぎ、服を着ている間に次の子の健診が始まるという流れでボクのヌードは前後の女の子だけにしかさらさずに済んだ。ボクの後ろの子・西川さんなどチラっと見た感じ、ボクよりも胸が小さい感じだった。
その西川さんから放課後つかまってしまった。
「鶴田さん。私、鶴田さんのオッパイ見ちゃった」
「ボクも西川さんのオッパイ見たよ」
「ね、オッパイ小さい子同士で仲良くしない?」
「それは構わないけど、先に大きくなったら御免ね」
「うん。それはいいよ。この年までこの胸だったということで連合よ」
「じゃ連合」
「中学時代はいつもペチャパイって馬鹿にされてたから」
「ボクは全然気にしてなかったけど。あ、春紀って名前で呼んでいいよ」
「うん。私も玲子って名前で呼んで」
「うん」
「でも春紀っていつも自分のことボクというの?」
「うん、小さい頃からそうだったから」
「いいな。そういうの。ボーイッシュで」
「親が気にしなかったからだろうね。それから胸の大きさなんて人それぞれだし。特に、十代の内は身体の成長速度がみんな違うから、今小さくても将来巨乳になる人もあるかもよ」
と、これは美夏からの受け売りだ。
「そうだよね。私ももっと自信持って良いのかな」
「そうそう。男子なんて皆ペチャパイだよ」
「ほんとだ」
西川さんは少し嬉しそうだった。
その夜は、美夏が実家から持参していた百科事典の人体解剖図の所をボクに見せながら、女の子の性器の構造と仕組み、月経が起きる仕組みと妊娠の仕方、その前段階としての性交についてなど1時間くらいかけて説明してくれた。「じゃ、ボクには子宮も卵巣も無いから妊娠できないんだね」「そうね」
「美夏を妊娠させるには冷凍保存しているおちんちんと睾丸をくっつけてもらってから、性交をしないといけないんだ」「そうね」「じゃ女の子同士で結婚しても子供はできないのね」「そうよ。やっと分かってきた?」「じゃ、男同士や女同士の結婚が少なくて、たいていみんな男と女でしているのは、子供を作るため?」「うーん。子供目的で結婚する人もいるけど、むしろ男と女で好きになることが多いからじゃないの」「どうして?男は男同士、女は女同士の付き合いの方が多いのに」「多分、人間の本能に組み込まれているのよ」「そうか。結局人間って案外本能に忠実なんだね」
「ところで、こないだのコンドーム使ってみようよ」「え?どうやって?」
「じゃーん」美夏が取り出したのは鉛筆型の大きな消しゴムだった。直径が2cmくらいある。「ちんちんって多分このくらいの大きさだよね」「うーん、もう少し大きいかも」「うそ、もっと大きいの。しまった。でもこれをチンチンと思ってかぶせて見ようよ」
ボクは机の引き出しからこないだのコンドームを取り出し、封を切っているものを中からとりだして、かぶせてみようとしたが、最初は上下を間違い、うまく付けられないな、などと苦労した。その内逆であることに気づき、無事、消しゴムはコンドームをかぶせられた。
「難しいんだね」「多分なれればサッとできるようになるんじゃないかな」
「ヌルヌルしてるよ」「入れやすくするためでしょ。摩擦があったら入れられる側が痛いもん」「そうか」「じゃ入れてみよう」「どこに?」ボクは美夏の提案にびっくりした。
「もちろん春紀のあそこによ」「え、でもボクは膣ないよ」「もうひとつ、その近くに穴があるでしょ」「えー?まさか」「直腸と膣は元々発生学的にはおなじものが分離してできているの。同じ組織でできているから、入れられるんだよ」「ちょっと待って。だってあんな物が出てくる場所に」「だからコンちゃんも付いてるし。それとも、私の膣に入れた方がいい?」「そんなのダメ。そこはボクのおちんちんが戻ってくるまで進入禁止」「だったら、春紀のそこに入れるしかないよ」「ひゃー」ボクは諦めて美夏に全てを委ねた。ボクはそのあと2日くらいお尻が痛かった。
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受験生に****は不要!!・承(2)