広告:まりあ†ほりっく1(MFコミックス)
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■寒菊(2)

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青葉の気が安定するのを待って、自分の気の流れと切り離す。
ふたりともためいきを付いた。
「凄かったですね」
「私もびっくりした」
「漫画とか特撮とかで2人のパワーを合体して変身みたいなのありますけど、私と菊枝さんでプリキュアくらいには成れそう」
「うんうん、なれるよ。ストリーム・フラッシュは出ないけど。こんな凄いパワー、私も初めて体験した。でもこれ私が青葉よりパワーが足りなかったら、私の波動が男になっちゃってたかも」
 
「菊枝さんのほうが私より3割くらい強いです」
「うん。そのくらいだと思う。でも青葉が私くらいの年齢になったら、私もうかなわないかもね」
「でもその頃は菊枝さんのパワーもまた上がってますよ」
「うん。上げるように努力する。今年の冬は出羽三山を走るか」
「冬にですか?」
「ふつう、やらないよね」
 
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「ね、凄く快感だったから、青葉に超サービス」
「え?」
「私達、今ほとんどセックスしたも同然だもんね」
「ああ・・・セックスってあんな感じなのでしょうか」
「セックスより気持ち良かったよ」
菊枝は1度だけセックスの経験があったが。。。あれは男が下手だったのもあるかも知れないよな、とは思った。
「だからもう私達他人じゃないからさ、お互い呼び捨て、タメ口にしよう」
さっきから菊枝は「青葉ちゃん」ではなく「青葉」と呼んでいる。
「うん・・・菊枝」
「で、もうひとつ。女の子の性器、実物を観察することを許してあげる」
「え・・・・・」
 
「青葉、18くらいになったら性転換手術しちゃうんでしょ。自分の体をどういう形に改造するのか、手術する前に実物を見ておいたほうがいいもの。青葉はまさか女の子と交際したりしないだろうしね」
「じゃ、ちょっとだけ」
青葉もこの機会を逃したら、実際の女性器を見る機会は二度と無いだろうと思ったので、遠慮無くそこを観察させてもらった。
「クリトリスはここ、おしっこはたぶんこのあたりから出るかな。そして、ここがヴァギナね」と菊枝は指で指し示してくれる。
「いいなあ・・・・・菊枝が羨ましい。私もこういう形になりたい」
「手術すればなれるよ。しっかりこの形を覚えておきなさい」
「うん」
 
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ふたりは服を着た。お茶を入れて飲みながら話をする。
「今ので青葉の基本回路は女性型になったけど、肉体のほうも何とかしなくちゃね」
「うん」
「でも青葉の年齢の子に去勢手術なんかしてくれる病院は無いからね」
「そうだよね、やはり」
「資料室の壁際の列に超危険な本ばかり並んでいるのは知っているよね」
「うん。あそこはある程度力を付けるまでは読んではいけないと言われてた」
「青葉はもうその力が充分あるよ」
と菊枝は笑って言う。
 
「あの中に、性魔術入門というヘブライ語で書かれた本があるから」
「ヘブライ語・・・・」
「その中に他人の生殖機能を停めちゃう呪法が書かれている。入門という言葉が大嘘でさ。あの本に書かれているのは超高度魔術ばかりだよ」
「私、ヘブライ語なんて読めない」
「興味があったら勉強しなさい」
「うん、頑張る」
「でもそういうの掛ける前に、気の流れを自分で調整しとくといいよ。やれるよね?」
と菊枝は微笑みながら言った。
「ああ・・・・」
 
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青葉は帰る途中のコンビニでおにぎりを数個買うと、それをふつうのラップに包み直して、バッグの中に入れ、自宅に持ち帰った。変わったことするね?と菊枝に言われたが「おにぎりのパックが親に見つかると自分たちだけ良い物食べてとか言われて父に殴られるから」と青葉は言った。「少し佐竹さんから聞いてはいたけど、困った家庭みたいね」「うん、全く」と青葉は答える。
 
自宅から100mくらい離れた場所でおろしてもらった。帰ると父母ともにいない。
「お帰り。今日は父ちゃんも母ちゃんもまだ戻ってないよ。父ちゃんはどこかで飲んでるんだろうし、母ちゃんはパチンコかもね」と未雨がいう。
 
「じゃ用心しなくても良かったかな。これ今日の夕食」
といってラップにつつんだおにぎりを出す。
「ありがとう。あ、これお隣さんからもらった豚汁」
「わあ、まだ暖かい」
ふたりでおにぎりと豚汁を食べたあと、おやすみと言って各々の部屋に戻る。
 
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しかし両親がいないなら、今日はここで出来る。青葉はそう思うと、ベッドの上で結跏趺坐に足を組みめったにここではやらない瞑想をはじめた。
 
自分の体の中の気の流れを確認する。気は腰の後ろから背中を上昇し、頭頂をまわって前の方に来て、丹田に集まる。その流れの回転の具合が今までと少し違うのを感じた。これが女の子の波動なんだ・・・・と青葉は少し嬉しくなる。
 
細かな流れを確認していき、自分の性器の部分の気の流れをチェックした。そして慎重にそこから流れを外した!
 
これで自分の性器には気が行かなくなる。体の調子の悪い部分を治すのと逆の手法である。あえてそこを不調にするのだ。ただ、1度外しただけではやがて自然に流れは元に戻ってしまうだろう。だから繰り返しする必要がある。
 
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翌日の放課後、青葉は今まで自分に関係ないからと思って、まともに見たことの無かった、生理用品コーナーを町のドラッグストアに見に行った。昼用・夜用軽い日用など、ずいぶんいろいろな種類のものがある。1個買って使ってみようかな、などとも思うがみんな40個入りとか80個入りとかだ。こんなにあっても仕方ないしなあ。私まだしばらくは生理になりそうにないし・・・・などと考えていたら、「こんにちは」と声を掛けられる。
 
振り向くと、有名な生理用品メーカーのロゴが入った服を着た20歳くらいの感じのお姉さんが立っている。
「今どんなナプキン使っているの?」
などと聞かれる。
「えっと、まだ私、生理来てないんです」
と答えたら、
「ああ、でもあなたくらいの年齢だといつ来てもおかしくないわよね」
と言って、生理用品の様々な種類の説明をしてくれた。
青葉は昨日は調べきれなかった部分なので興味深く聞いていた。
 
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「まだ来ていないのなら、パンティライナーを取りあえず持っておけばいいんじゃないかな。2〜3個いつも持っておくと安心よ」
などと言う。青葉もパンティライナーなら今の自分でも常用できる気がしたので
「じゃ、小さいの1パック買ってこうかな」
などと言う。
「ナプキンは少しサンプルあげるわね」とメーカーのお姉さんは言って肩かけカバンの中から、何種類かのナプキンがセットになっているサンプルパックを渡してくれた。試供品とパックにプリントされている。ついでにこれも読んでおくといいといわれて『月経の過ごし方』『生理用品の色々』などという小冊子をもらう。青葉はお姉さんにお礼を言って、超薄型のパンティライナー40個入りを持ちレジの所に行った。
 
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レジのお姉さんが、そのパンティライナーと試供品でもらったパックや小冊子を一緒に外から見えない黒いビニール袋に入れてからふつうのレジ袋に入れてくれた。へー、生理用品を買うとこういう扱いをしてくれるのか、と青葉はまたひとつ勉強になったなと思った。
 

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数日後、学校で授業を受けていた時、隣の席の咲良が急にお腹を押さえて苦しそうなそぶりを見せた。「どうしたの?咲良」「来ちゃって・・・」と言う。生理か!「青葉、ナプキン持ってないよね?」というので「これ使って」と言い、カバンの中に入っていたナプキンの夜用を手渡した。咲良は少し驚いたようであったが、「ありがとう」と言って受け取ると、先生にトイレに行ってくる旨を告げて教室を出た。隣で一部始終を見ていた早紀は青葉に「なんで、青葉がナプキンなんか持ってるのよ」と小声で言う。青葉はめったに見せない笑顔を見せて「だって私、女の子だもん」と答えた。
 
その日の体育を咲良は休んで見学していた。早紀にあんなことを言ったものの青葉は咲良に置いて行かれたような気持ちがしていた。その日の体育はサッカーだった。男子組対女子組で、もちろん青葉は女子組に入れられている。小学校の体育のサッカーなのでフォワードもディフェンスも無い。ゴールキーパー以外は全員攻撃・全員防御である。
 
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ゴール前で男子の運動能力の高い子がシュートを打つ。青葉が瞬時に反応して体でボールをはじき返す。こぼれたボールに何人か群がりゴール前で乱戦になった。青葉も突進して何とかボールをサイドにキックしてクリアしたが、折り重なるようにして数人倒れてしまった。
 
「大丈夫?」
青葉は自分の下になってしまった女子に聞く。
「うん。大丈夫」
「おまえも大丈夫か?」
と青葉の上から乗っかかってしまった男子が聞く。
「うん。私は大丈夫」
 
「でも・・・」と青葉の下になった女子と上になった男子が同時に言った。
「青葉って、触った感触もちゃんと女の子なのね」
「おまえって、ほんとの女みたいな感触なんだな」
 
プレイを続けながら青葉は思った。元々青葉は女性的な脂肪の付き方がするように普段から気をつけている。それとこないだ菊枝に基本波動を変えてもらったおかげで体の接触があった時の反射の仕方が女性的になったために、女の子の感触を相手が感じたのではなかろうかと。そして更に青葉は思った。大事なのはたぶん、物理的な形よりも、その組織の反応の仕方だ、と。つまり女性の肉体を作るのは、物理的な部分の比重が当然絶大だけど、動的な部分もかなり重要で、そこは手術とかしなくても、自分で調整可能なのではなかろうかと・・・・・
 
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その日の夜、また両親不在だったので、青葉は自室で瞑想をしていた。最近の父母は不在率が高い。父などここ1週間家に戻っていない。そのほうがよほど気楽であるが。
 
結跏趺坐に足を組み弁才天の印を結ぶ。最近この弁才天の印が青葉は気に入っていた。それだけでかなり女性的な気分になれる。雑念を振り払って心を無にする。心が「通った」ところで自分の体の気の流れを客観的に観察する。ちゃんと性器の部分には気が通っていない。よしよし。今日は次の段階に進める。先日の菊枝とのホテルでの出来事を思い出す。あの時、菊枝がわざわざ自分の陰部を見せてくれたのは、単なるサービスでは無かった!秘法伝授だったのだ、ということに青葉は今日になって気付いたのであった。だから菊枝はしっかりこの形を覚えておけと言ったのだ。
 
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女性器の形をしっかりと頭に思い浮かべ、自分の股間の部分の気がその女性器の形に巡るように調整する。調整する。調整。。。。できた! よし。気がその形に巡るようになった瞬間、青葉はほんとうに自分のその部分の形がそうなっているかのような感じがした。
 

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「青葉、何見てんの?英単語?」
青葉が単語帳をめくりながら暗誦しているようだったのを見て早紀が声を掛けてきた。しかし単語帳に書いてある文字を見て顔をしかめる。
「何語これ?」
「ヘブライ語」
「何?それ?どこの言葉?」
「イスラエルだよ」
「どこだっけ?南アメリカかどこか?」
「うーんと。エジプトの少し北あたり」
「へー。不思議なもの覚えてるのね」
「ちょっと読みたい本があってね」
 
例の本は図解を見るだけでもかなり内容が把握できたし、このやり方なら確かに性腺を機能停止できると納得した。しかし、やはり本文をきちんと読んでからやらないと危険だ。青葉はあれからすぐに佐竹さんの娘さんに頼んでヘブライ語の教科書を取り寄せてもらい、それを休日1日で読んで、だいたいのところを頭に入れた。しかし語彙が絶対的に不足しているので、今それを補っているのである。ヘブライ語で書かれた小説程度なら何とか読めるようになっていた。しかしあの本はかなり難解な単語が含まれている。春くらいまでには読めるようになりたい。
 
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性器への気の流れを停めているおかげか、足の毛はその後1本も生えて来ていない。しかし根本を停止させないと、堤防が破られるのは時間の問題という気がしていた。負けるものか。私、男なんかには絶対ならないんだから。
 
季節はもう12月に入っていた。12月は師走か・・・・師が走る。菊枝は今頃出羽三山に入っているのだろうか。菊枝に刺激されて青葉も最近早朝に近くの山道を走り回っていた。近所の山といっても今の時期はけっこう雪があり、なかなか辛い。しかし走り回っていると頭の中が透明になっていく感覚があった。朝4時に家を出て1時間走り30分ほど瞑想をして6時頃までに家に戻る。軽くシャワーを浴びてから姉と一緒に家を出て、途中の廃駅跡で朝御飯を分けて食べ、それから学校へ行く生活であった。
 
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性器部分の気の巡らしかたは更に進化していた。青葉は自分の股間の気の巡りが、女性の外性器の形で安定して流れるようになると、更に女性の内性器の形を体内に想定し、膣、子宮、そして最終的に卵管・卵巣まで存在するかのように想像し、そこにきちんと気を通した。
 
この時期から青葉は早紀から「最近、急に女っぽくなってない?青葉」などと言われて、青葉は「だって私もお年頃だし」などと答えていた。
 

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それは4年生最後の授業の日だった。明日はもう終業式である。
 
算数の授業を受けていた青葉は、急にお腹の下のほうに違和感を感じた。え?青葉はいそいでカバンの中からナプキンを取り出しスカートのポケットに突っ込むと「済みません。ちょっとトイレに行ってきます」と教師に言い、教室を出てトイレに駆け込んだ。
 
「ははは、まさかこういう事態が発生するとは・・・・」
トイレの中で出血を少しトイレットペーパーに吸わせてからしばらく休んだあとで青葉は苦笑していた。
「私にとっての初潮だよなあ、これ」
性器の一部が炎症を起こして出血していた。ショーツが血だらけだがあいにく替えまでは持ってない。一応血はすぐ止まったものの、下着で押さえるとまた出血するかも知れない気がしたので、パンティにナプキンを付けて穿いた。気を通してないので、確かに炎症などのトラブルも起きやすいのだ。でも、ナプキン、薄いのでもいいから1パック買っておこうかな。これでサンプル残り1個になったし。
 
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教室に戻ると早紀が小声で訊いた。
「どうしたの?ナプキン持ってったよね?」
「女の子だから」
「まさか生理来たわけ・・・・ないか」
「さあ、どうかしら?」
青葉は少しいたずらっぽい笑みを早紀に見せると、またふだんの無表情な顔に戻った。
 
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