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■春遊(4)
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目次 #
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康太(ひとみ)は7月19日(金)が終業式だった。2年生は7月20-22日に近隣の海水浴場で“マリンキャンプ”が予定されていた。
ひとみはちーちゃんに確認した。
「生理が来るよね?」
「来る。ひとみちゃん8日に排卵が起きているから、22日に生理が来るはず」
それで、ひとみは終業式の日、体育委員のミズエちゃんに言った。
「ぼく22日が生理予定日だから、マリンキャンプは不参加で」
「そうか。先月24日に生理来たんだったね。でも22日は泳がないだけで、貝殻細工とか、スイカ割りには参加しなよ」
と彼女が言うので、そうすることにした。
女子クラス委員のアヤカちゃんから言われた。
「マリンキャンプの部屋割、(男子クラス委員の)高橋君と話し合って、ひとみちゃんは女子の部屋割に入れることにしたから」
「え〜!?ぼく男の子なのに」
「私と体育委員のミズエちゃんと、保健委員のサユリちゃんの部屋。3人ともひとみちゃんの裸とか見ても誰にも言わないから」
女の子の言う“誰にも言わない”というのは概して信用できないことが多いのだが、このメンツなら大丈夫かもと思った。
「それにひとみちゃん、女の子の裸や下着姿見ても平気でしょ?」
「平気じゃ無いと、どうなるんだっけ?」
「男の子はふつう、女の子の下着姿とか見ると欲情してちんちんが勃起する」
「欲情ってよく分からないけど、ぼくのちんちんは大きくならないよ。いつも小さいの」
「うん。きっとそうだと思った」
睾丸の機能が停まっているせいか、ちんちんは手で刺激しても大きくならないようである。アヤカはひとみが一種の中性であるものの、女性ホルモン優位状態にあると想像していた。
母がマリンキャンプ用にラインとかの入った少し格好良い水着を買ってきてくれたので、20日朝、家でその水着を着込んで、ひとみは夏服セーラー服を着て学校に出掛けた。
「おー、よしよし。まともな服を着て来たね」
と割りと仲の良いカスミちゃんが頭を撫でた。
「授業ではないから普段着ということで」
「なるほど。ひとみちゃんは普段からスカートなわけだ」
海水浴場に向かうバスの座席もウララちゃんと隣り合い、色々おしゃべりして行った。
向こうに到着した頃、彼女に言われた。
「ひとみちゃんと話してても、普通の女の子と話すのと同じ感覚だ」
「ぼく逆に男の子の話題が分からないかも。ひのき坂48とかのメンバーも知らないし」
「ひのき坂というグループは無い」
「無かったっけ?」
「日向(ひなた)坂か、けやき坂だと思う」
「そうか」
「それに坂は48ではなく46」
「難しい」
「でも男の子でもメンバー言える子はほとんど居ないから気にすること無いよ」
「そういうもんか」
「ひとみちゃんって、ジャンプは読んでないけど、ちゃおは読んでるよね」
「うん。ちゃおは読む。ジャンプは見てない」
「でも話題以上に発想が女の子的だよね」
「そう言われたことある」
「自分のこと“ぼく”という女子は時々いるしね。ユウカちゃんとか」
「ユウカちゃんの“ぼく”は似合ってるよね」
午前中は海に入る時の基本的な注意とか、“離岸流”のことを習い、10時から12時まで自由に海水浴を楽しんだ。お昼はカレーを食べ、1時間ほど休憩、また遊ぶ。男子には結構沖まで泳ぐ子もいたが、女子は砂浜で、砂の城とか作って遊んでいた。ひとみも砂の造形に参加した。夕方はシャワーを浴びて体操服に着替えてから、浜辺でバーベキューをした。ひとみは女性用のシャワールームを使った。
「こっちに入っていいのかなあ」
「男子用に入れるわけがない」
「来年の修学旅行では女湯にはいってね」
「それはまずいよぉ」
「ちんちん隠しているのだったら、ずっと隠しておけばいいね」
「誰にも見られなければ問題無い」
「そういう問題?」
「お嫁さんになってもずっと隠しておけばいいんだよ」
「え〜!?」
「一生誤魔化し通せば、それはもう嘘では無いよね」
「結婚して20年間性別を誤魔化し続けた人とか居たらしいよ」
「やはり達人は居るんだね」
バーベキューの後は体験施設内のそれぞれの部屋にはいった。ひとみたちの部屋ではずっとトランプのページワンとかナポレオンとかをして遊んだ。9時で消灯して寝た。女子が着替える時はひとみは後ろを向いていたが、気にすることないのにと言われた。ひとみ自身が着替える時は前を向いて着替えたが「女の子の下着姿にしか見えん」と言われた。更に
「女の子の匂いがする」
とも言われた。この3日間は実は、ちーちゃんの“趣味”で女の子の身体にされている。
またサユリちゃんに言われて、ダイアリーの生理が起きた日にマークを着けておくことにした。
2日目は、ちーちゃんからもらった少し可愛い水着を着たが
「可愛いの持ってるじゃん」
と言われた。でも女子はみんな毎日水着を替えるつもりで何枚か持って来ているようだ。
この日は朝早い内にビーチのゴミ拾いをした。その後スイカ割りをして、“ビーサン飛ばし大会”をした。2時間ほど海水浴の後、夕方は花火をしてから、またバーベキューをした。
ビーサン飛ばし大会は、ひとみは男子に参加したが、ユウカちゃんも男子に参加し、5位入賞して称賛されていた。ひとみは男子18人中10位だった。
ひとみはこの日は“多い日用”のナプキンを着けて寝た。朝起きて見ると果たして生理が来ていたので、ナプキンを交換した。
3日目は雨だった。
「これじゃどっちみち海水浴やビーチ遊びはできないね」
それで、お魚に関するビデオを見た後、貝殻細工の教室をしたりした。カラオケ大会もしたが、ひとみがClariSとかYOASOBIとかの、結構高い音域の歌まで歌うので
「よく声が出るね」
と感心された。体験施設の人が『西海讃歌』歌えますか?というので自分で集会室のピアノを弾きながら歌ったが、美しい!と言われた。なんかmp3レコーダーで録音していた。
歌詞を引用する。
『西海讃歌』藤浦洸作詞・團伊玖磨作曲
空いっぱいに空があるように、海いっぱいに海があるように
人よ人よ、心いっぱいに美しい心を持って
この空を、この海を、この土を、愛そう
長崎県ではとても愛されている歌である。長崎県の学校では卒業式にもよく演奏される。藤浦洸というと長崎県民には、この詩も有名。ローカルのお菓子のCMに長年使用された。
月の夜(よ)ばい、満潮ばい。
ばってら出(だ)そたい。明笛(みんてき)吹こたい。
伴田の孫やん、踊らすばい
ここで“ばってら”は鯖のお寿しではなく、舟の種類。満ち潮だから舟を出そうと言っている。明笛(みんてき)は篠笛に似た楽器で九州や沖縄ではよく使用される。穴のひとつが紙でふさいであり。それが震えて金属的な音が出る。
この西海讃歌の録音はこの後「こないだ来た女子中学生さんが歌ったものです」と紹介されることになる!
「ひとみはもはや“男の子”という設定を忘れているね」
「え?松山さんが男の子なんて設定があったの?」
「男の子だと主張して男子制服まで着てたよ」
「それは酷い冗談だ」
「2学期からはちゃんと女子制服を着て学校に来るでしょ」
え〜!?どうしよう?
礼音は7月19日(金)が終業式だった。夕方、山村マネージャーと一緒に熊谷から花巻空港に飛び、盛岡市内で一泊した。翌朝、南田兄弟、〒〒テレビ取材班(千里・明恵・希望)と合流する。結局高千穂峰に登った時と同じメンツである。
盛岡市内から車で30分ちょっと走り、岩手山(2038m)の登山口である、馬返しキャンプ場(一合目)にはいる。ここでトイレにも行き、装備を確認して、登り始める。2時間ほど登って4合目の新道・旧道分岐点に来る。眺望は旧道のほうが素晴らしいらしいが、安全度の高い新道を進む。
2時間ほど登って八合目の避難小屋に到達する。ここで1泊。翌朝山頂を目指す。不動平避難小屋で小休憩してから、1時間ほどで山頂に到達した。
「ここはどういうダジャレにするんですか?」
「岩手山を祝ってよ、だな」
「こうちゃんセンス悪いよ」
「千里の案は?」
「岩手山っていいわ!」
「俺のと大差無ぇじゃねえか」
山頂に30分ほど滞在してから八合目の避難小屋に戻り、ここで休憩してから下山した。盛岡市内で千里さんお勧めの“チャグチャグ馬コ”人形を売っている店に寄り1個求めた。それから仙台に移動し仙台市内のホテルに泊まり翌日“日本一低い山”日和山(ひよりやま 3m)に登った!そのあと東京に戻ることにした。
さて§§ミュージックのタレントは新幹線を利用する場合は感染予防のため人の少ないグリーン席以上に乗る。煌が山村と一緒にグランクラスに乗っていたら、近くの席にビンゴアキちゃんが乗っていた。
「きららちゃん、奇遇。ぜひ一緒に来て欲しい」
と言われる。それで山村マネージャー同意のもとで行ってみると、お料理教室の番組であった。充分なギャラは出すからぜひ出てほしいと言われる。ビンゴアキちゃんからのお誘いでは簡単には断れないので、山村がその場でゆりこに電話してOKを取り、出演することを決めた。
更に誰か(できたら若い女性タレントを)連れてこないといけないという。それで『ホワイトアスパラカス』で共演した村雨のぼりちゃんにお願いできないかということになり、ゆりこから彼女の事務所に連絡してOKを取る。それで、きららがのぼりに電話して勧誘するシーンも撮影された。一方新幹線の中でビンゴアキがきららを勧誘するシーンも彼女のマネージャーにより撮影されていた。
ビンゴアキ自身大物女優さんに誘われて出演したものの、アキ本人が多忙で誰かを勧誘する時間が取れず、どうしよう?と困っていたらしい。
しかしそれできららちゃんがエプロン姿で料理番組に出るというのが実現したのである。視聴率はかなり高かったらしい。きららが作ったのはオムライスで
「難しいのに」
「きららちゃん料理うまいんだね」
という声があがっていた。試食したビンゴアキとブリックリンも「美味い!」と言っていた。
(お嫁さんポイント上昇?)
ちなみに翌週村雨のぼりはクリームシチューを作ろうとして失敗して鍋をこがしてしまったが、きららがリカバーしてあげた。
きららはスープの大半を別の鍋に移し、生煮えだったお肉はオーブンに掛けて完全に火を通した。
「何とかなったね」
「母がよくこうやってリカバーしてたんです」
「つまりきららの母ちゃんもよく失敗してたのか」
「料理なんて失敗をどうカバーするかが勝負ですよ」
「それって人生全般に言えるな」
「刺身食べようと思ったのにうっかり豚肉買ってきたらどうする?」
「今日は取り敢えず生姜焼きにでもして明日お魚を買ってきます」
「よし。村雨のぼりは来週も調理しよう」
「え〜?」
しかし翌週は焼きそばを上手に作ることができた。毒見係!として呼び出された内野音子(うちのねこ)も「美味しいよ」と言っていた。
(実は前日に上手な人に付いて練習した)
礼音は東北遠征から戻るとバイクの免許(普通二輪)を取得するため自動車学校にはいった。約2週間で取得できる見込みである。
パリ・オリンピックは7月26日(金)に開幕した。青葉は
「開会式は私が代表で出てくるから。君たちは練習してるといいよ」
と多江とリルに言ってひとりで出て来た。実際に開会式に出たのは子供を産んだLで、競技に出場予定のRは開会式の間はオランダの千里の別荘で泳いでいた。
7月29日(月)、11:00(現地時刻)から、女子400m個人メドレーの予選が行われ、津幡組は全員参加した。(日本時間は+7時間。この場合は同日18時)
3人とも決勝に進出した。
そして同日20時(現地時刻)から決勝が行われる。結果は1位青葉、3位金堂、5位リル、だった。青葉は日本新記録も出した。
この種目の日本記録は長らく金堂が維持していたが、一時期青葉が奪取した。しかし青葉の妊娠・産休中に金堂が奪回していた。それをまた青葉が抜き返した。
青葉と多江は表彰台の1番高い所と向かって右側に立ち、金メダルと銅メダルを掛けてもらった。そしてハグしあった。リルとも握手した。
翌日7月30日11:51、女子1500m自由形の予選が行われた。3人とも決勝に進出した。
そして次の日の21:13、決勝が行われた。
結果は1位青葉、3位リル、4位多江だった。青葉はこの種目でも日本新記録を出した。
青葉とリルは表彰台で金メダルと銅メダルを掛けてもらいハグした。そして多江とも握手した。
8月1日は津幡組の競技は無かった。そして8月2日、まず11:17から女子200m個人メドレーの予選が行われ、多江も九州の高校生・山部さんも準決勝に進出した。
そしてそのすぐ後、11:40から女子800m自由形の予選が行われた。間にドーピング検査とかもあるので、多江はほとんど休めなかったが元気に泳いで、青葉・リルとともに決勝に進出した。他国のアナウンサーが「カナドウ、よくやりますね」と言っていた。
この日21:31から女子200m個人メドレーの準決勝が行われ、多江は決勝に進んだが、山部さんはここで脱落した。
翌日8月3日(土)、まず21:08、女子200m個人メドレーの決勝が行われ、多江は銀メダルを獲得した。日本新記録も出した。
そして直後、21:28から女子800m自由形の決勝が行われた。多江は全く休めないままの連続競技となったが若さで頑張った。日本のアナウンサーも外国のアナウンサーも「カナドウ驚異的な体力」と言っていた。
結果。
1位青葉、2位リル、3位多江
日本選手がメダルを独占した。青葉はこの種目でも日本新記録を出した。2022年の世界水泳で“泳ぎすぎ”をやらかしたものの出した日本記録を自ら破った!
(2022世界水泳の800mで既に規定回数往復したことに気付かず、更に泳ごうとした。本人は stop!stop!と言われて停められたのでターン不正だったかと焦った!が、まともにゴールしてたらもっといい記録が出てたのにと言われた)
日本選手の表彰台独占は翌日の日本のテレビでも新聞でも大きく報道された。
通常上位入賞者はドーピング検査を受けてから表彰式に出るのだが、金堂は連続競技になったので、800mが終わってから、まとめて?ドーピング検査を受けて、200m個人メドレーの表彰式→800m自由形の表彰式と進んだ。それで、金堂は銀メダルの直後に今度は銅メダルを掛けてもらった。
しかし200m個人メドレー1,3位の選手は800m決勝をやる間、10分くらい待たされた!
そして青葉は金メダルを3枚掛けて、紗織を抱いて記者会見し、この五輪で金メダルを3枚取ったのを花道に競技から引退することを表明した。早く発表しないと、ぜひロスまでとか言われてはたまらん!
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