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■春遊(1)

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長崎の小歌・小空(どちらも小6:ふたりは同学年の年子)の家では今日も朝から
「お姉ちゃん、ちんちん返してよ」
「今日はぼくがちんちん使いたいから1日貸しといて」
という、ちんちん争奪戦が起きていた。
 
母も慣れたものである。
「だけど小空、今日水泳の授業あるんじゃないの?ちんちん付いてたら女子水着着られないよ」
「男子水着着るから大丈夫」
「あんたその胸で男子水着を着るつもり〜?」
「今日は小歌が女子水着を着けてね」
「女子用水着とか恥ずかしいよう」
 
小空はきっと、中学に入る時は自分が学ランを着て、小歌にセーラー服を着せるつもりだ!そのために小歌に女子トイレに慣れさせてるし!
 
小歌もちんちん取られていると男子トイレが使えないから、女子トイレに行かざるを得ない。彼は姉にさんざん教育?されてスカートを穿くのは平気になっている。
 
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小空は4年生頃までは自分が男湯に入って小歌を女湯に行かせていたが、さすがに6年生にもなると無理になった。
 

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一方同じ長崎市内、康太(ひとみ)の家。康太は次の月曜から水泳の授業があると聞いたので去年使った(男子用)水着を穿いてみていた。それで母の所に行く。
 
「お母ちゃん。去年の水着が入らないんだよ。新しい水着買ってくんない?」
「OKOK」
 
それで母の手毬はメジャーで康太のバスト・ウエスト・ヒップを測った。
 
康太はこの時、母がバストまで測ったことに「変だ」と気付くべきであった。
 

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夕方、学校から戻った康太に母は
「水着買っといたよ」
と言って紙袋を渡した。
「ありがとう」
と言って受け取る。
 
そして自分の部屋に行って紙袋を開けてみて困惑する。それで母の所に行って言う。
「お母ちゃん。これお店の人間違ったんじゃないかなあ。女子用の水着がはいってたよ」
「間違ってないよ。女子用を買ってきたよ」
「なんで?」
「だってあんた乳首が立ってるし、胸自体微かに膨らんでいるというのに、男子用の水着なんて着けられないよ。ちゃんと女子用を着けなきゃ」
 
(女の子が生胸さらしちゃだめだよね)
 
「これ胸にカップも入ってるから乳首立ってるの目立たないよ」
 
「女子用とか恥ずかしいよお。それに女子用着けたら、お股の所が膨れてみっともないよ」
「ああ。ちんちんと玉袋は取っちゃえばいいんだよ。明日にでも病院に行ってお医者さんに切ってもらおう」
「嫌だ。切りたくない」
 
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母のいつもの冗談とは思うが康太は切るのは嫌だと明確に言った。母もさすがに本人が嫌だと言っているのを無理矢理手術うけさせたりはしないだろう。(*2)
 
康太は最近スカート穿いたりセーラー服着たりして「女の子する」ことには味をしめてきつつあったが、それでも性転換手術には抵抗感があった。
 
ところで、ちんちん・玉袋の切断と、性転換手術って何が違うんだっけ?
 
(陰裂形成 vulvoplasty と造膣 vaginoplasty をするかどうかだよ)
 

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(*2) タイトルとかは覚えていないが、氷室洸さんの小説にこんなシーンがあった。
 
少年達の前で医師は宣告した。
「これから君たちのペニスを切断して女の子に変える手術を行う」
 
母親達は嬉しそうだったが、少年達は怯えていた。
 

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手毬は言った。
 
「まあ、ちんちん取るかどうかはあんた次第だけど、取らないのなら、お股が膨らんでいる所を堂々と見せればいい。そしたらみんなあんたにちんちんがあることを認識してくれるよ」
 
確かにそれしかない気もした。母にしてはまともな意見だ。学校ではぼくがトイレで個室しか使わないから「松山さんチンコ無いのでは」という噂も流れているみたいだし。水着のお股が膨れているのを見たら「チンコは付いてたのか」と思ってもらえる。
 
お股の膨らんだ水着姿とか恥ずかしいけど
「松山です。女になりました。よろしくお願いします」
なんて挨拶するよりはよほどマシだ!
 
しかし事態は思わぬ方向に進むのである。
 

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礼音(立山きらら)は体育の時間女子と一緒に着替えるが、最近彼女たちから言われた。
「レッシー、最近ハイレグが多いね」
「ハイレグは通気性がいいから夏は涼しくていいし、太股をしめつけないから楽なんだよ」
「でもハイレグ穿いてて“こぼれ”ない?」
「こぼれるって何が?」
「レッシーにこぼれるようなものが付いてるわけないじゃん」
「確かにそうだ」
 
礼音は何の話だろう?と思った。
 
礼音のショーツには膨らみのようなものも見られない。
 

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一方ガールズたちの会話。
 
「レンちゃん性転換しちゃったのかなあ」
 
麻生ルミナが言う。
「少なくともちんちんは付いてると思う」
 
「ほんとに?」
「だってパンティに全く膨らみが無いよ。あれは女の子のフォルムだよ」
「一昨年まではちんちん付いてたね」
「私たち見たもんね」
 
君たち何やってんの?
 
「それにレンちゃん最近ぐっと女らしくなったよ」
「女として成長してるよね」
「完璧に女子高生の色気が出て来てる」
「私なんて、色気無しばよ、しょうかいな♪だよ」
 

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ルミナ
「もしかしたら睾丸取ったのかも」
 
「女性ホルモンは飲んでたよね」
「オーディションで優勝した時から胸があったから、ずっと女性ホルモン飲んでたのは間違い無いと思う」
「声変わりしてないから多分小学4年生頃から飲んでいたのだと思う」
 
「エムちゃん(山鹿クロム)によると、睾丸取れば女性ホルモンの効きが凄く良くなるんだって。それにペニスも縮むから、パンティで隠しやすくなるらしい。エムちゃんはパンティ脱いでも陰毛の中に隠れるから女湯にも入る自信あると言ってた。あの子胸もあるし」
 
「ああ、そういう状態かも」
 
「レンちゃん最近何度か女湯にはいったという情報もある」
「それにちんちんの切断って大手術だけど、レンちゃんそのために何日も休む時間なんて無いじゃん。睾丸を抜くのは30分くらいで終わる簡単な手術らしいよ」
「レンちゃんのパンティに膨らみが無くなったのは去年の夏頃からだよ」
「春までは膨らみがあったよね」
「パンティ剥ぎ取ってちんちんとたまたまの存在も確認した」
「去年の夏休みに睾丸取ったのかもね」
「きっと中学卒業前に睾丸取ったんだよ」
 
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「親からは中学卒業前に性転換手術受けなさいといわれたらしいよ」
とルミナ。
 
「きっと性転換手術受けるほどのお休みもらえないから、取り敢えず睾丸だけ取ったんだよ」
 
「ユカリちゃん(三陸セレン)とエムちゃん(山鹿クロム)も中学卒業前に睾丸取ったらしいし」
「あのふたりはまだ結構男の子っぽいのに」
「普通の人の目には女の子に見えるだろうけど、男の娘を見慣れている私たちの目にはふつうに男の娘に見えるよね。でもレンちゃんは女の子として完璧すぎる」
 
「レンちゃんは睾丸取るのと同時に女性ホルモンの接取量増やしたのかもね」
 
「本人はいつも女の子にはなりたくないって言ってるけど」
「それは酷い嘘だ」
「ボクシング選手が人を殴ったことはないと言うレベルの嘘」
「だいたい可愛い服着せたら嬉しそうにしてるじゃん」
「いつも女の子下着を着けている人が女の子になりたいわけではないとか、あり得ない」
「いつもスカートだし」
 
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「高校生になったから制服も女子制服に変更したみたいよ」
「こないだの沖縄行きも女子制服着てたし」
 
「あの学校、男子が女子制服着てもいいんだって」
「そういう高校を選んだのね」
 
「生理もあるよね?」
「レンちゃんから生理特有の臭い感じたこともあるから、間違い無くあると思う」
「レンちゃんの手帳には約1ヶ月ごとに赤いマークが付けてある」
「じゃ間違い無いね」
 

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ところで康太(ひとみ)は6月9日(日)にお試しで1日女の子体験をしてプールに行った。その日は“代役さん”が野球部の女子マネをした。チームはその日も勝った。翌週15日(土)の準々決勝はひとみが女子マネとして出て行ったが、この日もチームは勝った。しかし16日(日)の準決勝では昨年の優勝校に負けて、今年はベスト4で終わった。
 
試合終了後、顧問の先生は“打ち上げ”と言ってみんなを焼肉に連れて行ってくれた。ひとみは帰ろうとしたのだが「女子マネもチームの一員」と言われて一緒に行った。先生がお店の人に「男17女1」と言っていたので、ひとみは「いいのかなあ」と思ったがぼくそんなに食べないし、まあいいかと思った。
 
実際選手たちは自分の3〜4倍食べるので、男の子って食欲凄いんだなと思った。お店の人から「女の子へのサービス品」と言ってアイスクリームまでもらってしまった。店ではもちろん女子トイレを使った。
 
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次の土日、22-23日はもう試合は無いのだが、練習の補助を頼むと言われて学校に行き、体操服で、用具の準備をしたり、飲み物(麦茶)の準備をしたり、外野で球拾いをしたりした。外野の結構深い所から一回でホーム近くまで返球するので
「肩いいんだね」
と言われた。
 

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紅白戦で球審を頼むと言われてやった。その時、一度ピッチャーの投げたシュートをキャッチャーが捕れずひとみの股間を直撃した。ひとみはびっくりして転んだものの、すぐ起き上がってピッチャーに返球した。
 
「ごめーん」
「大丈夫?」
「平気平気」
「いや直撃したから」
「男の子だったらしばらく起き上がれないかもね」
「なるほどー。女は便利だ」
と言って笑ったが、なんでぼく平気だったんだろ?と思った。
 
その後トイレで確認したがタマタマはちゃんと付いてた。でも魔女っ子ちーちゃんの声が聞こえた。
「睾丸の機能を停めてるから、衝撃にも強いんだよ」
「なるほどー」
「睾丸の代わりにスーパーボール入れてるみたいなもんだから」
「ほんとに睾丸の代わりにスーパーボール入れてないよね?」
「そんなこと勝手にはしないよぉ」
 
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怪しいなと思った。
 
何かぼくの身体で遊んでるみたいだし。(寝る時ちんちんが無くなってクリトリスになってることがしばしばあるし!クリトリスいじりは、ちんちんいじりみたいな罪悪感が無いからそのまま気持ち良く寝るけど)
 
しかしその衝突のせいか、お腹の下のほうが少し痛い気がしたが、その内治るだろうと思った。
 

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6月23日(日)の夜、康太(ひとみ)が寝ようとしていたら、魔女っ子ちーちゃんが出て来て言った。
 
「今夜はショーツにおりものシート(パンティライナー)じゃなくてナプキン着けておきなよ」
「おりものが多いの?」
「朝になってみれば分かる」
 
それでナプキンを着けて寝た。
 

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翌朝、ナブキンは真っ赤になっていた。
「何が起きたの〜?」
「取り敢えずナプキン交換してきなよ」
「そうだね」
 
それで彼はトイレに行き、ナプキンを交換した。
 
「生理が来たんだね」
「これが生理なのか。こんなに血が出て大丈夫?」
「鉄分を多く含むものを食べるといいかもね」
「どんなの?」
「レバー、赤身肉、貝類、ほうれん草、ひじき、木綿豆腐とか納豆とかの大豆食品」
「お母さんが納豆とか豆乳とかで女の子らしくなれるよと言ってた」
「一石二鳥だね」
 
ぼく別に女の子らしくなりたくは無いんだけど。
 
「ナプキンの捨て方分かる?」
「難しいんだっけ?」
「くるくると巻いて、新しいナプキンのシートで包んで、それをトイレットペーパーで更に包んでから、サニタリーボックスに捨てて」
「サニタリーボックスって男子トイレには無いよね?」
「女子トイレを使うか、あるいは取り敢えずナプキンを入れておくためのビニール袋を持って行くといい」
「そうする」
 
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ぼくが女子トイレに入っても女子たちは何も言わないだろうけど、男子たちは何か言うかも。先生に見られても何と説明すればいいのか。
 
「今日水泳やっても大丈夫かな」
「水泳は見学にさせてもらったほうがいいよ。女子の体育委員に相談するといいよ」
「そうしようかな」
 

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それでその日学校に行くと、女子の体育委員のミズエちゃんに言った。
「ぼく今日生理きちゃったから水泳の授業、見学にさせてもらいたいんだけど」
「OKOK。佐藤先生に言っとくよ」
 
佐藤先生は女の体育の先生である。こういう話は男の先生には、しにくい。
 
「でもナプキンの交換どうするの?」
「廃棄用のビニール袋持って来たからそれに入れとくよ」
「女子トイレ使ってもいいからね」
「ありがと。何とかなると思う」
 
しかしそれでこの日彼は水泳の授業を見学したので、“女子水着デビュー”も持ち越しになった。
 
なお母には
「こういうものが食べたい」
と言って、ちーちゃんから聞いたものを書いたメモを渡した。母は
「まるで生理の時の食べ物みたい」
と言って、ホウレンソウの和え物、ひじきの煮物、ニラレバ炒め、まぐろの剥き身、しじみの味噌汁、木綿豆腐とか用意してくれた。ほかに
「生理の時はこれ効くのよ」
と言って、おつまみのアーモンドフィッシュを買ってきてくれた。確かに効きそうな気がした。豆乳ももらった。他にお赤飯もあった。
「何かお祝いだっけ?」
「女の子が初めて生理になった時はお赤飯作ってお祝いするんだよ」
「へー」
 
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ん?女の子ってもしかしてぼくのこと??
 
(サニタリーボックス見て、ひとみに生理が来たことを知ったのだと思う)
 

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