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■春時計(3)

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『北陸霊界探訪』取材陣は再度あの旅館を訪れた。
「あの時計の製造年らしきものが分かった」
という連絡があったからである。むろん千里も一緒である。
 
女将は
「この振り子に数字が入ってたんですよ」
と言って振り子時計の振り子を手で留めて、その裏側を取材陣に見せてくれた。
 
1893
Biu
 
という文字が刻まれている。
 
「時計屋さんに見てもらったら、恐らく製造年と場所では無いかと」
「Biu というのが場所の名前かな」
「スイスの町の名前だよ。そこにオメガとかのブランドを持つスウォッチ社の工場がある」
と千里が言う。
「時計屋さんもこれはオメガの工場のある所だとおっしゃってました」
と女将。
 
「するとこの時計は1893年にオメガで作られたのかな」
「可能性あるね」
「でも振り子停めちゃって良かったんですか」
と双葉が心配する。
「ああ。また振ればいいんですよ。どなたかやってみます?」
と女将。
 
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それで神谷内さんが振らして見たがすぐ停まる。
 
「要領があるんですよ」
と言って女将がやると、振り子は動き続ける。
 
「今の全部撮してた?」
「もちろん」
 
という訳で神谷内がやっても停まったのが女将がやるとちゃんと動いたのが放送に流れることになる。
 
「しかし1893年に作られたのなら今年でちょうど130年ですね」
「百三十年躓かずにチックタックチックタック、おじいさんも躓かずにチックタックチックタック。今もまだ動いてるお祖父さんの時計♪」
と奈那が歌った。
「あ、その歌詞素敵」
と女将が言ったので、奈那は気をよくしてフルコーラス歌った。女将は録音していた!(後で歌詞を書いた物を送ってあげた)
 
この歌は奈那自身が歌ったもの(150年版・Pf伴奏:川口遙佳)が真珠の手でyoutubeに上げられて話題になり(あの旅館の時計の映像も許可を得て使用/旅館でも食堂のBGMに流された)、ラピスララズリがカバーして『おじいさんの150年時計』のタイトルでCDにもなった。それで奈那は作詞者として莫大な印税を手にした(大学進学資金として貯金した)。
 
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また国内の時計メーカーから“振り子付き電子時計”(振り子も振れてるが形だけで中身は電子時計)が発売されてヒットした。振り子をうっかり停めて時計まで止めてしまう事故が起きないのがいいところである。本物の振り子時計はけっこう停まりやすい(味気ないという批判はあった)。このCMにもラピス版の同曲が使用された。
 
悪乗りしたおもちゃ屋さんから“風も無いのに揺れる・たぬきの金時計”まで発売された。振り子が金色の玉である。むろんCMには“あの曲”が使用された(歌:カップソープ・カップ知るか)。
 
たんんたぬきの金時計
風も無いのにぶーらぶら
それを見ていた子だぬきが時計目がけて飛び付いた
たんんたぬきの金時計
子だぬきぶら下げ、ぶーらぶら
 
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(作詞者不明・歌は賛美歌「Shall We Gather at the River?」が元になったと言われる(*1))
 
(*1)筆者は以前この歌の原曲は『タバコやの娘』(作詞・薗ひさし、作曲・鈴木静一)ではないかと書いたのだが、『たんたんたぬき』と『タバコやの娘』の双方が上記賛美歌からの流用ではないかとする、かうひい屋さんの考察が的を射ている気がする↓
たんたんタヌキの
 

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人形美術館の本館と七尾分館には本物の振り子時計(国内メーカー製)が設置された。これも『霊界探訪』でレポートした。
 
またムーランベーカリーは
「朝6時にご来店くださった方にはアンパンをプレゼントします」
と表明して、これ目当てで結構客が来たので、奈那もだが若葉も仰天した。
 
(6時には店は開けてないが店の前で配布した。昨日のパン500円も売った)
 
スタッフが大変すぎるので一応、アンパンプレゼントは(工房があるので人が居る高岡本店と七尾店以外では)8月一杯で終わらせてもらった。七尾店は通勤のため朝6時のウィングライナーに乗る人が結構居る。それでアンパンはおよそ5:30“頃”から配布した。結構ついでに昨日のパン500円を買って朝御飯(+昼御飯)にする人がいた。自販機で牛乳・コーヒー・紅茶・ほうじ茶なども売ったらこれもよく売れた。
 
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なお9月以降は100円で買えるパンの自販機を設置したらこれも好評だった。“お金を減らしたい”若葉は「お金取らなくていい。ただでいい」と言ったのだが
「無料にすると悪戯でパンを出して放置する人が出る」
と言われて100円取ることにした。自販機はその後パンの種類を増やして80-300円とした。
 
また全店舗に“振り子付き電子時計”を設置した。
店の表に置いたので、お店が閉まってても時刻が分かる。これもけっこう好評だった。
 
 

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