【夏の日の想い出・赤い服】(3)
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6月25日(土).
昔話シリーズ第5弾、スパイスミッション主演『ブレーメンの音楽隊』が放送された。
スパイス・ミッションの4人が、ロバ・犬・猫・鶏の着ぐるみを着て熱演しとても楽しいドラマになっていた。ロバたちの飼い主を演じたのはXETIMAのメンバーたち、泥棒を演じたのはWADOの4人(女泥棒の設定)で、豪華な出演者がまた話題を呼んだ。
次回はCCD主演と予告され、女子たちの歓声が上がっていた。
「でもWADOが演じた役って、男でも女でも関係なかった気がする」
「まあそれは言いっこなしで」
この役のオファーは年を開けてから行われた。結果的にはWADOの4人が揃って性転換して女になった後、最初の大きな役のオファーとなった。
青葉邸に第2リビングを作る工事は南田弟の都合がつかなかったので広沢にしてもらうことにし、彼と、千里4・真珠・明恵、朋子の5人で話し合ったが、6/19-20は中断することになる。
今売り出し中の薬王みなみが写真集撮影のため能登半島に来たのだが、新しい塗装になった "Tiger" を使用した。それで6月19日『霊界探訪』で取材しに行った。
ところが取材中に大きな地震がある。空港も飛行機も無事だったので、薬王みなみを載せたHonda-Jet
NewTigerは滑走路の点検が終わるのを待って熊谷に向けて離陸して行ったのだが、取材班はそのまま震源地近くで大きな被害が出ている模様だったS市に救援に行くことになる。
そして深夜、潰れる寸前の人形美術館のビスクドールたちを避難させる作戦に、ヘルプで呼んだ人たちを含め40人くらいですることになった。
深夜の作業でくたくたになったので、話し合いの続きは6月23日に再開される。それで改造方針が定まったのが24日で、工事は6月27-28日の2日間で実行された。元々この家の壁はパーティション方式で作られているので、そのパーティション(厚さは15cmほどある)を留めているボルトを外し、新しい位置に移動してまたボルトで留めるだけである。但し荷物は適当に移動する。
「すみません。散らかっていて」
と朋子が恐縮していた。
桃香は寝ていたが、寝ている布団ごと引っ張って移動した(それで起きないのは大したものである)。
またトイレやバスのユニットは、床や配管とともに移動して配管を調整した。
2日で改造は終わり、青葉邸に第2リビングができたのである。
Before(再掲)
After
タレントさんは直接サンルームに入ってもらうことも考えたが、
「やはりちゃんと玄関からお招きしよう」
ということになり、玄関からサンルームまで衝立で通路を作ることにした。
「この衝立にポスター貼ろうよ」
「誰のポスター貼ります?」
「タモリさんの番組でやってたみたいに、その前に登場した人の写真を貼っていく」
「だったら、前3つということで、富士川32・三つ葉・ボニアートアサドのポスターを貼りますか?」
「いや、ここでまた新たなシリーズを始めるということで、最初は青葉が曲を提供している主なアーティストのポスターを貼っておこう。その後1人ずつ替えていく」
「ああ、なるほど」
「最初は、アクアと羽鳥セシルと・・・・」
「薬王みなみ?」
「北里ナナで」
「アクアと北里ナナで別なんだ!」
「濡れ縁から音楽室に入る所も衝立の道が必要ですね」
「ここには、各アーティストの事務所の、先輩歌手のポスターを貼ろう」
「それ人選が凄く難しい気がします。“政治的”に」
と真珠は言う。
「この人が選んだのなら文句あるまいという人に選んでもらう」
「ああ」
それで千里はケイ(冬子)に電話して趣旨を伝えた上で、UFOの事務所ζζプロの実力者しまうらら、スパイス・ミッションの事務所○○プロの次期社長予定者・保坂早穂あたりに4組“順序付きで”推薦してもらって、ついでにポスターを提供してもらってほしいと伝えた。
「そのふたりといつでも直接話せるのは業界でも冬くらいだよね?」
「まあ連絡するよ。確かにその2人が選んだら誰も文句言えない」
「4人の中には本人も入れて」
「それは伝えておいたほうがいいね。どちらも遠慮する人ではないけど」
むしろ自分が中心でなければ不快な顔をする人だ。特に保坂早穂は“取扱注意”である。逆鱗が20-30ヶ所ある!しまうららさんは取り敢えず表面的には優しい。
「それとラピスラズリと常滑舞音の時にポスター貼る人をコスモスちゃんに推薦してもらって。ゆりこちゃんが選ぶと絶対変な選び方する」
「ああ」
きっと“初代川崎ゆりこ”(*34) の、かっあいい写真など発掘してきてポスター作りそうだ。
しまうららも保坂早穂も、自分のポスターが無かったので慌てて作ってプリンターで印刷したらしい!(20年くらい前の写真を使って!!)
(*34) ケイ(冬子)のこと。冬子は§§プロ(当時)から“美少女アイドル”として売り出す話があり、“川崎ゆりこ”の芸名ももらった。紅川社長(当時)は「自分の肉体的な性別は忘れなさい。設定年齢のある歌手がいるように、君は設定性別:女で問題無いから」と言われた。
しかしさすがに美少女アイドルというのに本人としては抵抗があり、一方で★★レコードの加藤課長(当時)の方から、政子と組んでデュオとして売る話(当初のユニット名は“イチゴ・シスターズ”!)が進みそうだったので、こちらは辞退した。そして“川崎ゆりこ”の芸名は、次にデビューすることになった蓮田エルミ(現在の川崎ゆりこ)に再利用された!
6月26日(日).
第3回ビデオガールコンテストの2次審査がリモートで行われた。
2次審査に参加した93名を11-12名ずつ8つのグループに分け、4組の審査員グループがこの日の13:00 と 16:00 からリモートで審査を行った。グループはレベルが平均するように分けている。
審査員団
A ケイ・千里・羽島大地・品川ありさ
B コスモス・ジュン広多・峰川イリヤ・高崎ひろか
C ゆりこ・日野ソナタ・小林雪恵・姫路スピカ
D 花ちゃん・花咲ロンド・春風アルト・白鳥リズム
羽島はシックスティーンの編集長、ジュン広多は振付師、峰川イリヤは編曲工房主宰者、小林雪恵はあけぼのテレビのアナウンサー室長、春風アルトは同社長。
アクアが入ってないのは映画製作中だからである。
各グループでは、基本的に1名のみを合格とする。但し2位がとても惜しい場合、最終的に、ケイ・コスモス・ゆりこ・花ちゃんの4人で質疑応答やパフォーマンスのビデオを再検討し、本選に出れば優勝の可能性があると思われる場合合格とすることにしていた。
それで各グループで1位になった8名中7名が地方ガールズであった!
「これって、私たちの好みと地方ガールズの傾向が一致してるんだろうね」
とゆりこ。
「それは地方ガールズのレベルが上がっているという点では良いことでもあり、地方ガールズが枠にはまりつつあるのでは?という点では危険な傾向でもある」
と花ちゃん。
それで私たちは話し合って2位の8名の内、一般応募の3名は全員本選進出とすることした。残り5名についてビデオを比較検討し、2人を本選進出とした。また3位だった子は地方ガールズ4名と一般応募4名だが、私たちは一般応募の4名にインビテーションを出すことにした。
「あなたはとても優秀でしたが、本選進出ラインのぎりぎり未満でした。もしご希望なされば“どの地域の”地方信濃町ガールズ(信濃町メイト特待生)としてでも無試験で受け入れます。レッスン代・交通費無料で歌唱・ダンス・ピアノなどのレッスンを受けられますので、ぜひご検討ください」
“どの地域の”と断ったのは、岡山からわざわざ関西に参加している子とか、福島からわざわざ関東に参加している子とかがいるからである。むろん、より高いレベルの子たちと一緒にレッスンを受けたいということである。どこに参加するかは基本的に自由なので、稚内から那覇の教室に参加してもよい!そういう希望をした人は過去にもいないが。
そして13名(地方ガールズ9名・一般応募4名)で本選は争われることになった。
青葉は世界水泳を終えた後、6月27日に帰国した。
・・・はずなのだが、私やコスモスは彼女の居場所を見失った。千里に拉致されたのだろうかと思い、千里に電話してみると、千里も行方を見失っているらしい。
「青葉の隠れ方も段々レベルアップしてるな」
「GPS発振器でも付けとく?」
「外されちゃうよ」
「体内に埋め込んじゃうとか」
「無茶な」
「全ての千里にはGPS発振器が埋め込まれているから、どの千里がどこに居るかはすぐ分かる」
「マジ?」
きっとお互い鉢合わせしたりしないように、そういうことしてるんだろうなと私は思った。
27日の夜遅くになって、千里から連絡があり
「なんとか明日の昼くらいに青葉をキャッチできそう」
ということだった。
「青葉どこに居るの?」
「分からない、でも多分明日の昼には分かる。それをキャッチするからそちらは7月2-3日に、ラビスラズリ・UFOと一緒に能登に飛ぶ準備してて」
「分かった」
青葉はうまく千里もケイも撒いたつもりだったのだが、僅かな漏れがあった。
青葉は27日の晩、実は都内のホテルに泊まったのだが彪志に電話した。そして
「今すぐ会いたいのはやまやまだけど」
と言って、長時間彼と話した。
電話の後、彪志は考えた。しばらくは大きな大会も無いし、自分にも会わずに青葉が行くとすれば、伏木の自宅にいったん帰るつもりなのではと。それで彪志は思った。青葉はきっと明日28日に熊谷から能登に飛ぶだろうから、せめてお見送りしようと。
それで彪志は熊谷の郷愁飛行場に向かったのである。そして浦和にいる千里が心配しないように、今夜は帰らないことを千里(千里2A)に電話した。その電話を傍受した“司令室”の千里5は、彪志君は青葉とどこかでデートするのではと考えた。
一方彪志が郷愁飛行場に来たのを偶然千里の眷属・清川が見て千里(千里4)に報告した。それで千里4と千里5の情報交換から、青葉は彪志君と一緒に明日伏木の家に移動するつもりなのでは?と考えた。
それで飛行場を監視していたら、11時頃、青葉がレンタカーでやってきて彪志と落ち合った。ところが、彪志は青葉の飛行機には一緒に乗らず、見送りデッキに行った。
「なんで彪志君残るの〜〜〜?」
と千里5。
「仕事があるからでは」
と花星。
「よし、休みが取れるようにしてあげよう」
と言って千里5が彪志君の会社に工作しようとしたら、彪志君は今週いっぱいお休みをもらったことが判明する。
「だったらどうしてデートしない訳?」
「取り敢えず彪志君を伏木に連れて行きましょうよ」
と小道。
「じゃさ、ヴィクトリア。彪志君を拉致して伏木まで連れてってよ」
「私がやるの〜?」
「それとも半日くらい司令室見てる?」
「無理〜!」
それで千里6(ヴィクトリア)は、オスのキツネを4人呼んで全員黒ずくめの衣裳に覆面を付けさせる。ひとりにテレビカメラを持たせ、一緒に郷愁飛行場の送迎デッキに行く。千里だけは素顔である。空港スタッフが見ているが笑っている。拉致作戦というのは堂々とやるものである!こそこそやると怪しまれる。
それに千里が居てテレビカメラも居ると、またテレビの企画か何かだろうと思ってくれる。
彪志君が青葉の乗った飛行機が飛び立っていくのを手を振って見送り、帰ろうとする。千里も覆面をして出て行く。カメラ係がカメラを回す。
「我々はネオショッカーだ。お前を拉致してカタツムリ女かハリモグラ女にする」
と千里(ヴィクトリア)は言った。
「千里さん!?何の冗談ですか?」
と彪志。
「カタツムリ女とハリモグラ女とどちらがいい?」
「女のフィアンセがいるから女にするのは勘弁してください」
「女同士のほうが気持ちいいぞ。ちんちんは無くなるから諦めろ」
「そんなあ」
それで彪志の手を後ろで縛り、アイマスクをし、猿ぐつわも噛ませる。
スタンバイしてもらっていたHonda-Jet
blackに連れて行く。搭乗ゲートを通るが空港スタッフは笑っていた。パイロットのエリッサも笑っていた。
飛行機が離陸してから猿ぐつわは外す。
「伏木まで連れて行くから青葉と今週いっぱいデートしなよ。お休みもらってるんでしょ?」
「ああ、そういうことですか。分かりました」
「それでカタツムリ女とハリモグラ女とどちらがいい?」
「どちらも勘弁してください」
「どっちみち、彪志君は今年中には誰かに性転換されて女になるらしいから」
「なんでそうなるんですか〜?」
「ちんちんがまだある内にたくさん青葉と愛し合っててね。赤ちゃんも作っちゃうといいよ。来年からはレスビアンになるから。無事女になれたら、お化粧品セットと女物の下着に、通勤用のスカートスーツ買ってあげるね」
「どこまでマジでどこから冗談なのか分かりません」
「私全部マジなのに」
(6番はわりとマジである。嘘が酷いのは2B,3,4の3人)
それで千里は能登空港に降りると、伊呉三姫(ミッキー)に用意してもらっていたステップワゴンに彪志を乗せる。拉致に付き合ってくれたキツネ4人は空港の駐車場で休んでいてもらう。ミッキーが駐めていたマイクロバスの中で“赤いきつね”とお稲荷さんを食べて休んでた。千里はミッキーの運転で伏木の青葉邸まで行った。
それで玄関前に彪志君を降ろし
「青葉が帰って来るまで青葉の部屋で待機しててね」
と言った。
「青葉まだ帰ってないんですか?」
「『警戒探訪』編集部に拉致されたから」
「ああ、可哀想に」
「たぶん1〜2日で用事は終わると思うから」
「分かりました」
それで千里6は能登空港に戻り、キツネたちと一緒に熊谷に戻った。
一方、彪志より早い便で能登空港に着いた青葉は、千里(千里4)と真珠たちに拉致されて、S市に向かった。そしてレストラン琥珀の再建問題で手助けをした。
そのあと6月29日夕方、8ヶ月ぶりに自宅に戻り、彪志と週末まで水入らずの時間を過ごした。
7月1日(金).
女子寮の移動第5弾が発表された。
石条ぼたん A402→A602
宮地ライカ A407→A505
知多めぐみ A408→A506
多くの女子寮生たちの声
「ぼたんちゃんは、両隣がイリヤちゃんとコリンちゃんで、あけぼのテレビ・グループをまとめたもので、ライカちゃん・めぐみちゃんは隣がリエナちゃん・マイコちゃんで、CAT sisters(*35) をまとめたものだろうね」
この結果、A4階が完全に空いた。
C5 白鳥 薬王 姫路 花咲 ---- 品川 坂田 悠木 常滑
C4 三田 恋珠 花貝 斎藤 原町 石川 安原 桜井 甲斐
C3 七尾 容子 暢香 瑞絵 佐藤 立花 太田 中村 水谷
C2 鈴鹿 夕波 古屋 松島 鹿野 ---- ---- ---- 直江
C1 ---- 今川 大空 ---- 左倉 ---- ---- 上野 ----
A6 大仙 石条 山本 ---- ----(鈴原)長浜 七石
A5 美崎 ---- 豊科 箱崎 宮地 知多 ---- ----
A4 ---- ---- ---- ---- ---- ---- ---- ----
A3 春野 広瀬 酒田 花畑 米田 南里 西浜 ----
A6に入れられた七石プリムの件は後述。
(*35) しばしばサロンで(無料の)おやつを食べながら、花ちゃんまたは稲田姉妹などとおしゃべりしていたグループ。暇そうなので舞音や水谷姉妹と一緒にコスプレする役に徴用され、とても忙しくなった。
周囲が大量に移動した中、同じ場所に留め置かれた美崎ジョナが悩んでいたので花ちゃんは彼女に声を掛けた。
「君も次の曲が売れたら新館に移動になるから頑張れ」
「はい、頑張ります」
とジョナも答えた。
その表情から、この子も少しは精神的に進歩したなと花ちゃんは思った。
美崎の場合、繰り上げ1位というので下手に頑張りすぎて、そのプレッシャーに潰れたのではないかという気もした。最初から2位か3位だったら、もっと伸びていた気がする。素質としてはとても高いのに。
今年は1位が、年齢が対象外だったとか、実は男の子だったとか、実は人間ではなくアンドロイドだった!?とかで、辞退しても繰り上げ優勝はしないように、コスモス社長に提言しよう、と花ちゃんは思った。
一方、ケイとコスモスは、7月2日朝、ラピスラズリの2人、UFOの3人と一緒に能登空港に飛んだ。ここで、ラピスとUFOを運んだHonda-Jet
DeepBlueを操縦したのは、山村マネージャーである。人数の都合でどうしてもパイロットを2人乗せられなかったので、たとえエンジンが脱落して主翼がもげたとしても(どんな事態だ?)安全に着陸させてくれそうな山村にお願いした。
また〒〒テレビのスタッフもこの日午後からの取材に向けて動き出していた、知らないのは青葉だけである!
青葉が休暇の終わる彪志を送って能登空港まで来る。そして彪志がラピスたちの乗ってきた機体の帰りの便に乗って熊谷に向け飛び立って行くのを送迎デッキから見送る。そして降りてきたところで、私たちは青葉の前に現れる。
コスモスが笑顔で
「大宮万葉先生、お帰りなさい。金メダルおめでとうございます」
と言って、青葉にケーキの箱を渡す。
青葉は思わず
「ありがとう」
と言ってケーキの箱を受け取った。
「大宮万葉先生、金メダルおめでとうございます」
とUFOの3人も言う。
青葉は泣いていた!
「私、どこに連れて行かれるの?」
などと言っている。
コスモスが笑顔で
「大宮先生の御自宅にお邪魔していいてすか?」
と言うと青葉は意外だったようで、
「いいけど」
と答えた。
それで初海が運転する青葉のマーチ・ニスモに私とコスモスが同乗し、私は道々、ミュージシャンアルバムの取材を青葉の家ですることになったことを説明した。青葉は最初は「そんな勝手に」と怒ったものの、すぐにそれが自分の負荷を小さくすることだと気付き、(多分)同意してくれた。
それでその日のうちにUFO, 翌日(7/3 Sun) にスパイス・ミッション、ラピスラズリ、常滑舞音、と合計4組の取材をしたのである。
取材の時、通路のポスターはこうなっていた。
表側
●UFO:アクア、北里ナナ、羽鳥セシル、UFO
●SPM:アクア、北里ナナ、UFO、スパイス・ミッション
●Lapis:北里ナナ、UFO、スパイス・ミッション、ラピスラズリ
●舞音:UFO, スパイス・ミッション、ラピスラズリ、常滑舞音
裏側
●UFO:しまうらら、松原珠妃、谷崎姉妹、リダン♂♀
●SPM:保坂早穂、貝瀬日南、南藤由梨奈、森風夕子
●Lapis:アクア、北里ナナ、姫路スピカ、白鳥リズム(*36)
●舞音:北里ナナ、姫路スピカ、白鳥リズム、ラビスラズリ(*37)
(*36) 本番前に見た時は、日野ソナタ、コスモス、ゆりこ、桜野みちるだった。
(*37) 本番前に見た時は、アクア、姫路スピカ、白鳥リズム、ラピスラズリだった。
ポスターの張り替えは、コスモスから直接真珠に指令が出て行われた。司会者が驚かないように、町田朱美にだけ話を通していたので、青葉とケイは知らなかった。(はるこは何も考えていない!)
またコスモスは青葉にアクアが映画製作終了後に作るアルバムの編曲作業を依頼した。青葉は自分の家の隣にいつの間にか熊谷のコテージと同じくらいの広さのスタジオができているのに、びっくりしていた。
助手となる立花紀子と南田容子は、最後にインタビューした常滑舞音およびインタビューワーのラピスラズリを熊谷に帰す飛行機の往便で能登空港にやってきて、伏木の青葉邸隣!のスタジオに入った。
映画『お気に召すまま』のアフレコ作業は予定を1日だけオーバーし、7月1日に終了した。大曽根部長が謝っていたが、みんなこの程度の遅れは想定内だったようである。
「某映画なんて製作が3ヶ月遅れたから」
「それだけ遅れると次の予定が入ってる人が多いのでは」
「そうそう。だから役者さんが揃わなくて更に遅れたんだよ」
「ああ。『****』か」
「間が空くと前どういう展開だったか忘れちゃうし」
「あの映画、興行成績も悪かった」
「***さんはあれで借金20億抱え込んだらしいよ」
「20億借金できるところが凄いけどね」
「僕なら20万円くらいしか貸してもらえない」
「俺なら2千円くらいしか貸してもらえない」
「基本タレントって信用無いし」
「クレカも作れないし」
「アクアちゃんならブラックカードでしょ?」
「え?ぼくクレカとか持ってません」
「・・・・・」
「アクアが買い物するシーンが存在しない気がする」
「確かに」
「ぼくがスーパーやデパートとかで買物しようとしたらサイン求める列ができちゃうから買物なんてできません」
「だよねー」
「買い物しない人はカードも要らないのか!」
「でも通販とかで使わない?」
「VISAデビットで充分です」
「なるほどー」
「お金が充分ある人は後払いにする意味無いもんね」
「即時決済してしまったほうが管理も楽だし」
「ブラックカードなんて会費高いばかりだしね」
7月2日(土).
KDDIで大規模な傷害が発生。§§ミュージックではスマホ社員証を使っていた人たちが会社や社員寮!などのゲートを通れない事態となり、警備員を立ててゲートで手作業で社員証をチェックするなどの対応に追われた。
郷愁村では客室・コテージ・別棟の大浴場!に入れない客が続出。紙のQRコードを印刷して渡すなどの対応に追われた。
§§ミュージックでは検討中(というより近い内に導入するつもり)だった、タレント・信濃町ガールズたちのスマホidカードの導入を見送ることを決めた。
「だいたい、うっかりバッテリー切れにする人いるし」
「エーヨとか、東雲はることかは、その手のトラブルが多い」
「その子たちこそ、よくidカード紛失するから有用だと思ったんだけど」
映画の製作が終わったので、楽屋係をしていた夕波もえこはあけぼのテレビに復帰した。しかし鹿野カリナはこの機会に仮免卒業ということにして、キャスター担当表を改訂した。
_17:00_18:00__19:00_
月夢夜_|コリン・あまめ
火ツイス|プリム・ふうか
水みなみ|ぼたん・あらた
木リエナ|イリヤ・カリナ
金レモン|金平糖・もえこ
やっとアンカーキャスターが5人揃って、19時台を1人1日ずつ担当すれば良いことになった。1年半くらい前に、中村昭恵・悠木恵美・水谷姉妹・常滑舞音・桜井真理子(など。組合せは頻繁に変わっている)の5組でやっていた頃の状態にやっと戻すことができた。
しかも今度は以前のように“デビュー間近の子にキャスターをさせて経験を積ませる”のではなく、あけぼのテレビキャスターとしてA契約をしているので、しばらく安定で運営することができる。
カリナがA契約になったので“出席番号”はこのようになっている。
56.鈴鹿あまめ 57.夕波もえこ 58.薬王みなみ 59.古屋あらた 60.松島ふうか、61.鹿野カリナ、(62予定?).山本コリン
(本当は薬王みなみが56だったのだが、みなみが「“親分”(*38) たちを差し置いて上の番号は取れない」と言って番号を交換してもらい、自分が夕波もえこの次になった)
(*38) 鈴鹿あまめのこと。夕波もえこ・薬王みなみ・古屋あらた・松島ふうか・石条ぼたん、たちからこう呼ばれている。あまめが中学生とは思えない落ち付きと機転、たくみな会話術と豊富な話題で、そつなく番組を進行させることから、あけぼのテレビのスタッフでも、こう呼ぶ人が多い。
あまめは多分、ジャンルこそ違え、アクア以来の逸材。
今回の改訂で、七石プリムは18時台に正式にアサインされた。
「あんたが女子寮に住んでたら17時台を任せるのにねー」
と夕波もえこから言われる。
「女子寮に住むなんて無理ですー」
「でも夏休みの間は女子寮に滞在してもらうからね」
「え〜〜!?」
(↑“滞在”で済むといいね)
花ちゃんは七石プリムに
「君にはA608を用意した」
と告げ、彼のIDカードに女子寮に入れるフラグを立ててあげた。鈴原さくらも女子寮に入れるフラグが立っているが、彼の場合はそもそも性別が女に設定されている。しかし七石プリムの場合は性別は男のまま女子寮フラグが立てられた。
そのプリムは小林雪恵アナウンサー室長から声を掛けられた。
「プリムちゃん、いつもズボンのスーツ着てるけど、足に傷とかあるんだっけ?」
「いえ、特に」
「だったら番組に出る時はスカートのスーツ着ててくれる?女子の場合、ズボンのスーツは略式の服という扱いになるからさ。キャスターはきちんとした身なりしておかないといけないし」
「あ、はい」
(↑なぜ自分は男ですと言わない?)
それでプリムは
「スカートススーツとか恥ずかしいよぉ」
などと呟いていた。
(↑学校にはセーラー服で通学しているくせに。信濃町ガールズとしてバックダンスする時もスカート穿いてるし)
そして松島ふうかが、プリムのスカートスーツ選びに付き合ってあげた!ついでにスーツ代も取り敢えず立て替えてあげた!
なんて親切な先輩!
さて、映画の製作が終わったので、夕波もえこと共に楽屋係をしていた立山煌も解放されたが、用賀の男子寮に帰ろうとしたら、
「立山君、君もこちらに来て」
と高村友香マネージャーに言われて、夕波もえこ、説明板係の広瀬みづほと同じ車に乗せられ、女子寮に来る。
「ちょっとidカード貸して」
と高村さんに言われるので渡すと、高村さんは寮母執務室のパソコンで何かしている雰囲気だった。
「君に女子寮新館のC607をアサインしたから。今日から8月末まで、ここに泊まれるから」
立山煌は仰天する。
「何でぼくが女子寮に泊まるんですか!?」
「性転換おめでとう。今夜、女の子になる手術受けるんだったっけ?」
と夕波もえこ。
「性転換とかしないよ!ぼくは女の子にはなりたくない」
「もしかして話聞いてないの?」
と高村さん。
「何の話ですか〜?」
「私も頼まれた」
ともえこは言っている。
それで、高村マネージャーは、立山煌と夕波もえこを寮母執務室に入れる。この時執務室には寮母の天羽亜矢子(高崎ひろか・松梨詩恩の母/水森ビーナの父の前妻)がいたが、
「席外してます」
と言って、隣の警備室に移動してドアを閉めた。
「映画の製作が終わったからアクアのアルバムを作るんだけどね。タイミングが物凄く難しい」
と高村は言って、ホワイトボードに日程を書く。
6.08 『黄金の流星』サウンドトラック
6.14 『黄金の流星』映画公開
8.10 『お気に召すままサウンドトラック』
8.10 『お気に召すまま』映画公開
8.17 アクアのアルバム発売
「アクアのアルバムは映画で使用された曲も含むし、映画公開の余韻が残っている内に発売したいから、これ以上遅らせることはできない。本当は7月に発売したかったけど、それはさすがに不可能だから映画公開直後ということになった」
「だって今日まで映画製作やってたのに、無理ですよ」
「それで7月発売案はボツになった。8月17日に発売するには、最悪8月7日くらいまでにはマスターを完成させておく必要がある」
「2週間でプレスできるんですか?アクアのアルバムならミリオン行く可能性あるのに」
「幾つかのプレス工場に分散して生産してもらう」
「ひゃー」
「だからアルバムは今夜から作り始めて7月一杯くらいで完成させる必要がある。アクアはその後『竹取物語』の撮影も控えてるしね」
「かなり厳しいスケジュールですね」
「そうなると本人が試唱して最終アレンジを固めて、それから録音するというやりかたでは間に合わない」
「2〜3ヶ月かかりますよね」
「それで試唱してアレンジを固めるまでの作業を、君たちに代理でやってほしい」
「ああ、そういうことですか」
「アクアの音域が凄く広いから、代理できる人が限られるんだよ」
「なるほど」
「だから女アクアの代理を七尾ロマンちゃん、男アクアの代理を立山煌ちゃんにしてもらいたい」
「分かりました」
「それで立山ちゃんには、その間女子寮に泊まり込んで作業してほしいんだよ。作業が終わった後、男子寮まで帰るの辛いから」
つまりかなり遅い時間までやるんだ!
「えっと学校は?」
「こちらから送迎する。学校が終わる時間に迎えに行くから、終わったらこちらにすぐ来て」
「分かりました。でもぼく男なのに女子寮に泊まり込んでいいんですか?」
「君は女の子を襲ったりするような人じゃないと見込んで許可する」
「襲ったりしませんよ!」
「一応君のidカードでは、スタジオと研修所のある地階、君の部屋を確保した新館6階以外のフロアには入れないけどね」
「それで問題無いと思います」
と言ってから煌は
「あれ?」
と言った。
「代理歌唱者は、ぼくと七尾ロマンちゃんと言いませんでした?」
「彼女は毎週火曜と土曜に地上波テレビ局の番組収録があるんだよ。それで火曜日と土曜日は夕波もえこちゃんに代わってもらう」
「なるほどー」
「立山煌ちゃんは今の所あけぼのテレビ以外のレギュラーが無いのでこの1ヶ月はこの作業に専念ということで。あけぼのテレビはその間、新人の三国舜君に代行してもらう」
「うまいタイミングで三国君、入りましたね!」
「うん。とても助かった」
実際には、編曲者の大宮万葉さんの作業が、色々割り込みがあったためスタートが遅れ、7月5日に最初の曲が仕上がってきた。それで七尾ロマンと立山煌の作業も7月5日スタートなった。煌は5日の朝までは男子寮にいて、その日の学校が終わった所で、SCCのバイク部隊の男性に学校から女子寮まで送ってもらい、作業を開始した。
以降、アルバムが完成するまで煌は女子寮に滞在し、夏休みに入るまでの平日は毎朝夕バイクで学校に送り迎えしてもらうことになる。
この期間、新館6階には下記のメンツが泊まり込んでいた。
C607 立山煌 C608 今井葉月 C609 アクア!
煌とロマンが代理歌唱者を務めているので、葉月はMVの作業をしていた。つまり夕波もえこまで含めて4人がかりでアクアの作業の準備をすることになる。
またエレメントガードのメンバーと追加演奏者8人(Vn×2/Fl/Cla/Sax/Tp/Tb/Horn)は、女子寮すぐ近くのマンション“メゾン・ドゥラ・カデット”(*39) に泊まり込んでいる。ここは元々古いアパートが建っていたのを2月に土地ごと買収し、播磨工務店の手で6階建て36室のマンションに建て替えられたものである。食事は女子寮から配送する。女子寮の飛び地のようなものだが、セキュリティは普通のオートロックマンション程度である。警備員は居ない。追加演奏者の中には男性もいる。
ここに立山煌も泊めても良さそうなものだが・・・
「煌ちゃん“が”ファンの女子とかにレイプされるかも」
と花ちゃんが心配して、彼は女子寮に泊めることにしたのである。
女子寮なら門と玄関に警備員が居る。
(*39) メゾン・ドゥラ・カデット maison de la cadette は“乙姫様の家”を直訳したものである。英語で言うと house of the second daughter. “乙姫”(おとひめ)という言葉は“兄姫”(えひめ)に対して、2番目の姫という意味である。関西の言葉でいえば“こいさん”。それをフランス語に直訳した。
女子寮が、パレ・ドゥラ・メール "Palais de la Mer" 海の城=龍宮城という名前なので、そこからの発想と“2番目”というのの掛詞(かけことば)である。
ちなみに“龍宮城”の命名者は海浜ひまわりで「鯛(たい)や鮃(ひらめ)が舞い踊り歌う場所」という意味。ひまわりは女子寮の不法滞在者(*40) だったわりには結構運営に絡んでいる。
(*40) 海浜ひまわりは元は§§プロ(当時)のタレントだったが、2014年春に引退した。それで退寮するように言われていたのに一向に荷物を片付けなかった。それどころか、しばしば寮に勝手に来て泊まっていた(当時はセキュリティなんて無かった)。ついに、ゆりこ副社長の命令で、荷物が倉庫に移動されたが、今度は倉庫に勝手に机とベッドを持ち込み泊まっていた。それにここで通販の荷物を受け取ったりしていた。
かくして彼女は6年間不法滞在を続けたが(電話番やお使いなどの雑用もさせられていたし、タレントの付き添いなどもしていた)、2020年春、コロナ対策で食事を食堂で食べる方式から各部屋への配送に切替た時、その配送係として雇われ、不法滞在者から正式の雑用係に昇格した。
彼女の不法滞在の理由は不明だが、寮生たちの間では、実家に戻ると速攻で父が経営する会社の有力社員と結婚させられるからではと想像されていた。
彼女の代わりに“弟が女装して大阪支店長の所にお嫁さんに行った”とひまわりは言っていた。
でも確かにひまわりの弟というのは、紅川さんがてっきり妹と思って
「君も、お姉さんみたいにアイドルやる気ない?」
と勧誘しかけたほどの“美少女”だったらしい。(歌もひまわりより上手いとか)
“女装してお嫁さんになった”の真相は不明だが、寮生たちの間では
(1) 支店長さんは女性なので普通に結婚した。
(2) 支店長さんはゲイなので普通に同性婚した。
(3) 弟さんは女の子に性転換してお嫁さんになった。
(4) 弟さんは性転換まではしてないが睾丸を取りおっぱいも大きくして、ウェディングドレスを着て結婚式を挙げた。周囲は普通の女性と思っている。
という4つの説が出ている。(4)が“女装してお嫁さんになった”というのにもっとも近い気もするが不明。
ひまわりが卵子を提供して代理母さんに産んでもらい跡継ぎの子供も作ったらしいという怪しげな噂まで出ている。
7月上旬から2クール、12月までの予定で恋珠ルビー主演・岡原襟花共演の『魅惑の美少女シンデレラ・シンドルバッド・2』の放送が開始された。このドラマの主題歌は恋珠ルビー&花貝パールの名義で6月29日に発売されている。また劇中歌を岡原襟花が歌い、こちらのCDはルビーたちのCDの1週間前、6/22に発売された。
さて、アクアは7月1日に一応『お気に召すまま』の制作が完了した後、アクア(ロザリンド)、姫路スピカ(シーリア)、の2人だけで若干の追加撮影とセリフ収録を行なって、7月3日(日)に解放された。
「お疲れ様。じゃアルバム作るよ」
「え〜〜!?」
でも2日だけ、7月4-5日はお休みをもらった、2人とも八王子の家に入り、Fは理史と、Mは彩佳と水入らずの時を過ごした。
そのあとアクア2人は女子寮のC609に泊まり込み、約1ヶ月間、アルバム制作の作業をすることになる。
7月8日(金).
安倍晋三・元首相が奈良市で銃撃を受け死亡した。世界中に衝撃が走った。
§§ミュージックではあらためてタレントの警備体制を見直し、idカードの暗号化キーの変更、女子寮・男子寮の警備強化などの策を進めた。
7月9日(土).
昔話シリーズの第6弾CCD主演『西遊記』が放送された。このネタなら3時間枠でも行けるところだが、実はCCDの時間があまり取れないことから通常の2時間枠での放送となった。
孫悟空:四本、沙悟浄:初沢、猪八戒:明山、三蔵法師:松井
という配役である。最初プロデューサーは、リーダーの松井君を孫悟空にするつもりだったが、彼は美男子すぎて孫悟空には合わない。それで彼は物語の主役のはず?の三蔵法師役をしてもらうことにした。
しかし日本では過去に三蔵法師役を、夏目雅子・宮沢りえと女優さんがしていることもあり、三蔵法師を女性キャラと思い込んでいる視聴者が結構いる。それで
「松井君は女性キャラなのね」
「松井君の女装って似合うよね」
「なんなら性転換してもいいよね」
「私の奥さんになってほしい」
などと言われていたようである!
金角・銀角は、サウザンズの在杢と獄楽が演じてくれた。CCDにとっては大先輩なので、スタジオでは恐縮していたが、多数の映画・ドラマに出ている獄楽の演技力には、彼らも感心していたようであった、
お釈迦様には森原准太(32)、観音様には本騨真樹(ほんだまさき 30歳)が配されていて、
「本騨真樹(ほんだまき)君の女装もまだまだ行けるよね」
などと言われていた。
もちろん観音様も男性キャラである!ちなみに大林亮平(34)は閻魔大王だった!
7月9日(土).
昨日女子寮の移動は発表されなかったので、移動はもう終わったのだろうと思われたところで、C1階に残された、今川ようこ・佐倉まみ・大空由衣子の3人が花ちゃんのところに来て言った。
「花ちゃん、私たちをA棟に戻してください」
「なんで?」
「私たちがA棟に戻れば新館がA契約の人、旧館がB契約の人というので、スッキリすると思うんです」
「別にA契約もB契約も関係無いと思うけどね。寮の部屋は、基本的には入ってからの年数と年齢で並べている。但し売れた人は別扱いで上に上げる」
「でも私たち新しい名前もらったし、また新たに仕事に取り組んでいきたいと思うんです。だから再スタートするには、いったんA館に戻って『売れるようになってまた新館に行くぞ』と思って頑張りたいんです」
「うーん。まあそこまで言うなら戻ってもいいよ」
ということで、この3人をA7階に移動することにした。
「わー!以前のトップフロアだ」
と3人は喜んで?いた。
これでA4階とC1階が空くことになった。(C1にはカウンセラーの上野さんだけが住む)
今川ようこ C102→A701
左倉まみ C105→A702
大空由衣子 C103→A703
「私たち、初の旧館出戻りだね」
「過去にフロアダウンした子は居ないって瑞絵ちゃんが言ってたよ」
「すごーい!私たちが§§ミュージック始まって以来最初のフロアダウン」
「そうだ。出戻り組とか結成しない?売れないシスターズみたいに」
まあ好きにして。
この3人の移動による結果:
C6 ---- ---- ---- ---- ---- ---- 立山 今井 AQUA
C5 白鳥 薬王 姫路 花咲 ---- 品川 坂田 悠木 常滑
C4 三田 恋珠 花貝 斎藤 原町 石川 安原 桜井 甲斐
C3 七尾 容子 暢香 瑞絵 佐藤 立花 太田 中村 水谷
C2 鈴鹿 夕波 古屋 松島 鹿野 ---- ---- ---- 直江
C1 ---- ---- ---- ---- ---- ---- ---- 上野 ----
A8 衣裳 衣裳 衣裳 衣裳 ---- ---- FS FS
A7 今川 佐倉 大空 ---- ---- ---- ---- ----
A6 大仙 石条 山本 ---- ----(鈴原)長浜 七石
A5 美崎 ---- 豊科 箱崎 宮地 知多 ---- ----
A4 ---- ---- ---- ---- ---- ---- ---- ----
A3 春野 広瀬 酒田 花畑 米田 南里 西浜 ----
A8の“衣裳”とは常滑舞音のコスプレ衣装を入れた部屋!
FSはFlower Sunshine の4人に割り当てた部屋
7月10日(日).
参議院選挙が行われた。§§ミュージックでは、18歳以上のタレント・信濃町ガールズの多くが事前に期日前投票を行なった。これは当日投票に行って投票所が混乱する事態を避けるためである。
アクアMは公示日の翌日、極めて目立たない白いN-BOXで期日前投票所の新宿区役所第一分庁舎に男物の紺色スーツ姿で来ると、さっと投票して、さっと帰った。アクアを見た人は数人だが、さすがに投票所ではサインを求めたりはしなかった。
アクアFは期日前投票が始まるとすぐに八王子市役所の元八王子事務所に白いヤリスで来ると、水色のワンピース姿で投票所に入り、さっと投票してさっと帰った。人が誰もおらず選挙の係員と立会人以外にはアクアを見た人は居なかったと思う。実はおキツネさんに監視してもらっていて、人が居ないタイミングを狙って訪れたのである。
姫路スピカは実は選挙のキャンペーンをしていた関係で投票日に女子寮近くの小学校(白鳥リズムの母校)で投票し、投票する所がテレビ局のカメラにも映された。ただしスタッフが一般の人をシャットアウトしてくれたので、もみくちゃにされたりはしなかった。
白鳥リズムは高3だが、12月が誕生日なので、まだ選挙権が無い!
リズムはクラスメイトたちから
「リミちゃん、今度から18歳になったら、性転換手術受けて性別も変更できるようになったんでしょ?冬休みに手術して正式の女の子になって高校卒業したら?」
などと言われている!
小学生時代ずっと男の子と誤解されていて、なりゆき上男子トイレも使っていた(小便器を使うのは得意)ことから、中学に入った時「なんでセーラー服着てるの?」と訊かれ「お父ちゃんに『小学校卒業するから男の子からも卒業しよう』と言われて、ちんちん切られた」と言ったジョークが、いまだに生きている:本人が更にしゃべってる感もあるし。
7月11日(月)の売上統計で、薬王みなみ2枚目のシングル『無茶言うなよ』の累計売上がとうとう101万枚に到達し、§§ミュージック5人目のミリオン歌手となった。
みなみはツイッターのアカウントから
「みなさんのお陰です。ありがとうございます。これからも頑張ります」
というメッセージを出した。
1.アクア(28)
2.常滑舞音(13)
3.北里ナナ(10)
4.ラピスラズリ(6)
5.薬王みなみ(1)
(以上ミリオンの枚数順)
7月11日(月).
アクアのアルバム制作は元々が無茶なスケジュールだったこともあり順調に!遅れていたのだが、この日の夜、伏木に行っている南田容子から連絡があり、編曲作業をしている青葉の妊娠が判明したという。
コスモスが電話で直接青葉と話したが、青葉は明るい。
「すみませーん。確かに妊娠しましたけど、まだそんなにお腹大きい訳でもないし、頑張って作業の遅れは取り戻しますね」
「いや駄目です。休んでください!」
それでコスモスは青葉の母と直接話し、こういうことを決めた。
・当面青葉は21時以降、6時前の作業はさせない。
・作業は充分な休憩を取りながら進める。
コスモスは、千里に連絡し、青葉の作業時間に制限が掛かるので、場合によっては一部の楽曲を代理で編曲してもらえないかと頼んだ。
「じゃ青葉があとのほうでやるつもりでいる楽曲を念のためこちらでも編曲しておく。青葉の作業が間に合ったら、そちらを活かす」
「すみません」
「でもコスモスちゃん心配する必要は無いよ。青葉はちゃんと間に合わせるから」
「そうですか?」
私とコスモスは、電話で話した。
「千里さんにも言ってないのですが・・・」
と言ってコスモスは、現役水泳選手である青葉の妊娠が、もし“不祥事”として世間に捉えられたらどうしようか?と訊いて来た。
私は答えた。
「それは運だと思うけど、彪志君とは結婚する予定なんでしょ?」
「今週末に話し合う予定だそうです」
「結婚している女性が妊娠出産するのは、おめでたいことであれ、不祥事ではないよ。それに青葉は、オリンピック・世界水泳で金メダルを取ったから、それを花道に引退と思う人も多いだろうしね」
「青葉さん、引退しますかね?」
「青葉はパリ五輪に出ると思うよ」
と私は言った。
それで、万が一青葉の編曲が使えなくなった場合、千里か私が“名義貸し”して実際には青葉の編曲であっても私か千里が編曲したことにしてアルバムをリリースしようということを決めた。
とにかくこのアルバムは絶対に発売日程を変えられないのである。
7月13日(水).
美崎ジョナ2枚目のシングル『松前・白神岬』がリリースされた。
前回Ozma Dream から提供してもらった『岬・別れと出会い』は1万枚も売れず、作曲者は「私たちの曲は彼女に合わないみたい」と言って次の制作を辞退した。それで秋田有花は新たな作曲者を模索していたのだが、花ちゃんは言った。
「あんた自分で曲を書いたら?」
「えー!?」
「高校生にもなれば曲くらい書けるって」
それで、音楽大学出身の作曲家・鮎川ゆまの作曲講座を受けさせた。
ただし音楽理論はしっかりしているがレスビアンで“女たらし”の鮎川ゆまの所に、こんな美少女をひとりで行かせるわけにはいかないので、腕っ節の強い!夕波もえこをボディガード兼任で一緒に受講させた。
それで作曲の勉強をした美崎ジョナが“銀河アップル”のペンネームで書いた最初の作品がこの『松前・白神岬』なのである。
彼女の本名“リンゴ”というのがリンゴ・スターから採った名前なので、それをもじって、リンゴ→アップル、スター→銀河とした。今はまだ“銀河”=“星屑”!だけど、その内進化して立派な星になれるといいね、という命名である。
歌詞については、本人があまり自信が無いというので、今回は海浜ひまわりに書いてもらった。ひまわりはバイクマニアで毎月1度はどこかにツーリングに行っている。今回は美崎の故郷・北海道松前で見た風景を思い出しながら詩を書いている。美崎は詩を見て「すごーい。あの風景がこんな素敵な詩になるなんて」と感動していた。
美崎が書き上げた曲は花ちゃんにかなり添削してもらった。その上で編曲を松本花子のサブシステムである“立山月菜”にさせた。これは旅情演歌の編曲をする“立山陽菜”を改造し、ペンタトーン(ヨナ抜き)ではなくクロマティック(全音階)に変更、また美崎の歌唱力を考えて音域も2オクターブ半まで拡大した“旅情フォーク”のシステムである(立山陽菜は音域1オクターブ!)。
今回の曲がある程度売れたら定着させることにしている。立山陽菜の“妹”という設定である。
シングルには下記2曲を収録した。
『松前・白神岬』(弐輪恋娘作詞・銀河アップル作曲)
『あの人の忘れ物』(白樺星如作詞・立山月菜作曲)
どちらもアコスティックギター伴奏のバックにオーケストラが入るようになっている。ドラムスやキーボードは入っていない。フォーク色の強い見せ方である。実はアヴリル・ラヴィーンを意識している。
音源制作の時にギターを弾いたのは山鹿クロムであるが、美崎も猛練習中で、テレビなどに出る時は自分で弾きなさいと言われている。オーケストラは信濃町バンドである。
「あの人の忘れ物」は、憧れている彼氏が銀色のボールペンを落としたのを拾った少女が、それを彼に届けてあげる場面を夢想してドキドキする心情を歌ったものである。若い人にしか書けない詩。同じ北海道出身ということで色々美崎のことを心配してくれていた高崎ひろか(23)が歌詞を提供してくれて、松本花子(立山月菜)に作曲させたものである。“白樺”は高崎の出身地・帯広の“市の木”である。“星如”は下の名前で悩んでいたら妹の松梨詩恩が“聖女”を提案し、それは恐れ多いといって字を変えて“星如”にしたものである。
なお海浜ひまわりのペンネーム“弐輪恋娘”は“バイク大好きむすめ”と読むらしい(読めん!)。
7月13日(水).
石川ポルカが先日コロナの濃厚接触者として隔離されていた間に大半を制作したアルバム『おもちゃのポルカ』が発売された。
実は初めてのアルバムである!
制作の指揮をしてくれた品川ありさが
「嘘!?ポルカちゃんってアルバム出したことなかったの?」
と驚いていた。
「私シングルが全然売れなかったからアルバムの話なんて全く無かったんです」
今回は全曲を松本花子に書いてもらった。
ポルカの曲は、過去に様々な作曲家から提供してもらっているが、松本花子を使用するのは初めてである。彼女が隔離されていた1週間の間に曲が12曲できてきたので、どんだけ速筆なんだ?と驚いた。中にはポルカ自身が詩を書いた作品も2つ含まれていた。
伴奏は、先日原町カペラのライブ伴奏を務めた“Cold Fly Special”である。
Gt.松元蘭 B.花咲鈴美 Dr.木原扇歌 KB.米本愛心
栗原リアは『お気に召すまま』の制作中、田倉友利恵もドラマやバラエティに多数出ていて余裕が無いようだった。
7月20日(水).
立山煌3枚目のシングル『山があるから山ガール/阿寒をなめたらあかん』が発売された。どうも煌の歌のタイトルは前回の『北岳に来ただけ』といい今回の曲といい、ダジャレ路線でいくようである。
下記の曲が入っている。
『山があるから山ガール』(平野鉄郎作詞・峰京子作曲)
『阿寒をなめたらあかん』(蜂矢仁美作詞・南海妃呂作曲)
『アルプス一万尺替え歌編』(アメリカ民謡/作詞者不明)
『山賊の歌』(田島弘ほか作詞/小島祐嘉作曲)
煌は現在女子寮に泊まり込んでアクアのアルバムに関する作業をしているのだが、この音源は5月中に制作していたものである。
『山があるから山ガール』は山ガールたちに捧げる歌で、女声のバックコーラスが入っている。これは七尾ロマン・薬王みなみ・夕波もえこの3人(“まろみ”スペシャル)が入れたものである。“まろみ”のメンバー常滑舞音が「私もやりたーい」と言っていたが、スケジュール的にとても無理で、夕波もえこが代わった。MVには関東の山岳団体に入っている30代以上の女性登山家さんたちに出演してもらっている。30代以上にしたのはむろん、煌ファンに嫉妬されないようにである!
『阿寒をなめたらあかん』は全国の山をダジャレで制覇しようという壮大な計画?の始めで、蜂矢仁美から提供を受けた。北海道出身の高崎ひろか・松梨詩恩の姉妹がMVには映っている。ふたりは実際にHonda-Jet
Silver(高崎姉妹優先機)で釧路空港日帰りして、雌阿寒岳・雄阿寒岳・阿寒湖の映像を撮ってきた。ビーナも合成でもいいから入れるつもりで実は吹き替え役として美崎ジョナにも行ってもらったのだが、ビーナは合成用の映像を撮る時間も無かった。結果的にジョナの映像がMVに残った。ジョナは往復の機内でも高崎姉妹に励まされ「いい先輩たちだなあ」と思った。
『アルプス一万尺替え歌編』は先日舞音が歌番組で即興で歌ったバージョンを煌が歌った。『ランラランラ』のコーラスを入れたのは今回は七尾ロマン・薬王みなみ・夕波もえこの3人(“まろみ”スペシャル)である。
『山賊の歌』も『アルプス一万尺』同様、多数の山男たちにより歌詞が作られてきた歌である。「雨(雨)が降れば(が降れば)川(川)が出来(が出来)」という歌(*41).
今回エコー部分を歌ったのは弘原如月(夢島きらら)である。
(*41) この歌の1-2番の歌詞を書いたのは田島弘さんという人だが、筆者が以前、数日かけて調べたものの、この人のブロフィールはどうしても不明であった。作曲者の小島祐嘉さんというのは後に日本赤十字神奈川県支部事業部長を務めた人。
小島氏の2010年の公演での説明によると、この歌は1960年代半ば頃に赤十字のキャンプで人形劇をやり、その人形劇の挿入歌として作った歌だという。
この時作られたのが現在の1-2番で、その後、多くの山男たちが歌詞を追加してきたと思われる。またこの歌は鳥海山の山小屋で作られた歌という説もある(そこで歌詞が追加された??)。またこの歌はバスガイドさんに習ったという人が物凄く多く、バスガイドさんたちの間で伝搬する内に歌詞が変化したり増えたりした可能性もある。
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【夏の日の想い出・赤い服】(3)