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■12時になったら(3)

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ひゃー!女の子の服?ははは。
いそいで教室に戻り、荷物をカバンに詰めて「さよなら」と周囲の同級生に言って学校を出た。
 
いったん家に帰り貯金箱から少しお金を出す。今年はあまり欲しいゲームとかもなくて、お年玉をまだ全然使っていなかったので、8000円もあった。それを持って、ジーパンとTシャツで町に出る。ユニクロに入る。
 
僕はしばらくその付近を何度も通過だけしていたが、やがて「よし」と決意をすると、レディースコーナーに足を踏み入れた。やはり下はスカートだよなあ。。。。ちょっと恥ずかしいけど。上は中学生らしいシンプルなので・・・
 
結局1000円のブラウス、2500円のフレアースカート、それに300円の女の子用のショーツ、1000円のブラジャーを買った。上だけ女物着て下着は男物ってのはないよね。
 
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レジに並ぶ時が物凄く恥ずかしかったけど、別に何も言われないのでホッとした。試着室を借りて、僕はその服を身につけてみた。手でいじって髪型を少し変える。鏡に映してみると、けっこう女の子に見える気がした。あ・・・鳩美ねえちゃん、僕の眉を細くカットしてたな・・・・
 
僕は着てきた服を袋にまとめて入れると、スカート姿で試着室を出た。ちょっと恥ずかしい。でもきっと大丈夫、と僕は自分に言い聞かせる。開き直り、開き直り。
 
100円ショップに入って眉毛切りを買った。トイレ(さすがに女子トイレに入る勇気は無いので多目的トイレ)で鏡を見ながら眉をカットしてみた。切った眉毛が顔の下のほうに付着するので僕は顔を洗った。その顔を洗ったので少し顔も引き締まって、より女っぽくなった気がした。よし。
 
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まだバスケ部の練習はやっているだろうか・・・・僕はバスに乗って学校に戻った。バスの中で片方のイヤリングを右耳に付けた。体育館に行ってみる。
 
バスケット部の練習はまだ続いていた。少し女の子たちのギャラリーができている。その子たちの集団から少し距離を置いたところで観戦する。小柄な身体で敏捷にコート上を駆け回る大季は僕の目にも格好いい、と思った。バスケット部って夏休み中もずっと練習してるのかな?
 
僕はふとその大季の左耳にペンギンのイヤリングが付いているのに気付いた。その日大季は「これお守りなんだ」と言ってイヤリングをつけてプレイしていたのだが、そこまではその時僕は知らなかった。練習は試合形式でやっていた。華麗にループシュートで得点してこちらに戻ってくる時、一瞬目が合った。僕のほうに向かって笑顔で片手をあげる。反射的に僕も笑顔で手を振った。
 
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でもこれでギャラリーの中の数人が僕に気付いた。
「あなたも大季のファン?」その中のひとりが訊く。
「ええ。まあ」「じゃ、こっちで一緒に応援しようよ」というので僕は彼女たちに近づいた。直接知っている子がいませんように・・・・
 
その時ひとりが「あ・・・」と言った。「そのイヤリング」
あはは。気付くか、やはり。
「それ、今日大季がしてるイヤリングと同じのじゃない?もしかして」
「うん。まあ」
「ねえ、大季とはどういう関係?」
「えっと、幼なじみ」
「今の関係は?」
「えー?関係も何も、こないだ久しぶりに会ったばかりだから」
と僕は彼女たちの鋭い視線に堪えながらも笑顔をキープして答える。
 
「でもそのイヤリングは?大季、何かのお守りと言ってたけど」
へー、お守り?と僕は内心思いながらちょっとだけ創作する。
「私がこないだ落としたのを大季さんが拾ってくれたから、そのままお守りにあげたの」
と僕は答えた。すると「わー、私も何か落として拾ってもらいたい」などと彼女たちは言っている。次回観戦に来る時、この子たちいっせいに落ちやすいイヤリングとかブレスレットとか付けてくるのでは?などと僕は思った。
 
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とりあえず僕が恋人というほどの存在ではないようだと判断して彼女たちは安心したようだが、僕はまだ大季の気持ちを測りかねていた。
 
1時間ほど観戦していたら練習は終わった。終わりのミーティングの前にギャラリーは追い出されてしまったが、僕は「あ、忘れ物」といってファンの子たちの集団から離脱すると、体育館を出てすぐの所に置いてあるベンチに座って待った。さっきの練習で華麗に疾走する大季の姿が頭の中に浮かんでいた。格好いいなあ。
 
やがてバスケット部の部員たちが出てくる。僕は立ち上がった。
「やあ」
「お疲れ様でした」
「たぶん待ってくれてると思った」
 
僕と大季が見つめ合っているので、一緒にいたバスケ部員たちが
「先に行くぞ、大季」と言って行ってしまう。
 
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「あ、歩きながら話そうか」
「はい」
 
「イヤリング付けててくれたんですね」
「これ、お守りにしたいんだ。もらっていい?」
「ええ。ファンの子たちから、大季さんがお守りと言ってたと聞いたので、私が落としたのを大季さんが拾ってくれて、それでそのままお守りとしてあげた、というストーリーを捏造しておきました」
「あはは。じゃ、僕もそういうことにしておくよ」
「私もこれ付けて応援してていいですか?」
「うん。お願い」
 
なんかこないだの時より自然に『私』という一人称が使える気がした。スカートなんて穿いているせいだろうか。
 
「夏休み中もずっと練習してるんだ。時々でいいから応援しにきてくれる?」
「はい。大会は日曜ですか?」
「地区大会が9月の第二土日にあって、次の週の土日が県大会」
「応援に行きます」
「それで優勝したら聞いて欲しいお願いがあるんだけど」
「何だろう・・・でも優勝できるよう祈ってますね」
「ありがとう」
 
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そんなことやこないだの祭りのことなど話している内に校門の所まで来てしまった。僕たちは何となく校門の手前で立ち止まり、けっこうな時間立ち話をしていたが、やがて先生が来て「おーい、もう閉めるぞ」という。僕らは校門を出て、がらがらと扉が閉められるのを見ていた。
 
「サリちゃん、どっち?」
「こっち」と右手を指す。
「僕はこっちなんだ」と左手を指す。
「じゃ、また来ます」
「うん」
大季が手を差し出す。僕はその手を取る。大季が僕の手をしっかり握った。大季が笑顔で手を振って別れる。
僕はよく女の子がやるように首をかしげててのひらだけを動かす感じでバイバイをして別れた。
 
しかし何度も応援に来るとなると、替えの服はどうしよう・・お小遣いもそうたくさんある訳ではない。それに洗濯とかをどうするか・・・
 
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翌日僕は鳩美に電話してみた。そちらのアパートに行って相談したいことがあるといったら今日はいつでもいいよというので、僕は家を出てから途中で昨日着た女の子の服にチェンジして鳩美のアパートに行った。
 
鳩美は僕が女装で来たのにびっくりしたようだったが、ぼくが状況をかいつまんで説明すると、変に茶化したりせず、まじめに話を聞いてくれた。
 
「そうか。佐理もいよいよ女装に目覚めたか。私は佐理って、もともとそういう傾向というか素質というか、あると思ってたよ」
「えー!そう?」
「性格的に女性的な面あると思ったことなかった?」
「あまり意識したことないけど」
 
「女の子の服は私が少し買ってあげるよ。私の服で中学生でも着られそうなのも少し譲るし」
「ありがとう」
「洗濯も私が引け受ける。あと着替えするのにも場所に困るでしょ」
「うん。この格好には途中の駅の多目的トイレ使って着替えたけど」
「うちに来て着替えていいよ。そうだ、佐理用に小さなタンス用意してあげる」
「ありがとう。すごく助かるかも」
 
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「でもさ・・・・」
「なあに?」
「佐理、女の子の仕草とか、ちょっとした行動パターンとか、覚えたほうがいいね。女の子レッスンかな」
女の子レッスン!?はは。
 
「佐理、一緒にちょっと外出しよ。下着とかの替えがまずは必要だから少し買ってあげるし。佐理の仕草とかもチェックできるし」
「うん」
「そうだ。服のサイズをまず確認しないとね。ちょっと寸法計らせて」
といわれて僕はからだのあちこちにメジャーを当てられた。
「アンダーバストは78。A75でいいかなあ。ウェストは・・67、ヒップは・・・92あるね。あんた完璧に女の子体型」
「え?そうなの?」
「むしろ男物のズボンが合わないんじゃない?今度から普段でもレディース穿きなよ」
 
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鳩美は僕と一緒に外出するとまずは歩き方から、視線のつかいかた、話す時の姿勢などなどいろんな点を注意された。
「こういうのはふつうの女の子だと、小さい頃から少しずつ注意されて身についていくのだけど、佐理の場合、今からそのやり直しね」
 
スーパーの下着コーナーに行く。鳩美はA75のブラを2枚、ショーツはMサイズで3枚1000円のを2セット。それにガードル2枚とブラパッドを買ってくれた。
「これをブラカップの中に入れておくといいよ」
「うん」
「それとガードルしておかないと、万一女の子にあのあたり触られた時もろに男の子の形が相手に分かっちゃうから」
「そっか」
そのあとアウターのコーナーに移動して、少し制服っぽいチェックのスカートに可愛いピンクのスカート、ブラウス、Tシャツ、カットソーなどを買ってくれた。
 
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「ごめんなさい。たくさんお金使わせちゃって」
「ううん。私もなんか楽しいから。お金は出世払いにしておくね」
「うん」
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