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■TSBコンテスト(3)

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翌朝、ホテルをチェックアウトすると、書店で地図を買い、履歴書に書かれていた住所の場所を探す。結構苦労したが何とか見つかった。あまり高くなさそうな鉄筋の賃貸マンションという感じ。問題の部屋に行き、おそるおそる鍵を入れると開いた。
 
中に入ってみる。意味もなく「お邪魔します」と言っておそるおそる奥へ進む。誰もいない。ここに住めということなのだろうか。家具は一通りそろっているが、タンスの中は空っぽであった。玲子からメッセージか何かがないだろうかと思って探すが、それらしきものは無い。賃貸契約書だけが見つかった。山崎美智子名義でここが借りられている。家賃は月8万円。場所から考えて妥当な金額か。家賃の引落し口座は持っている通帳の口座になっている。契約されたのが今月初めになっていた。
 
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結局のところさつぱり分からない。しかし取り敢えず....
 
私はお腹が空いたので戸締まりして外に出て近くにあったファミレスに入り、ランチを食べた。どうやらここでしばらく暮らせということのようなので、そのためには色々買う物がある。まずは着替えが欲しい。食器や調理器具なども買わねば。それより...
 
私は新宿に出ると真っ先に携帯電話を買った。これがないと始まらない。国際電話で玲子の所に掛ける。つながらない。それどころか、電話番号が違うというメッセージが流れる。そんな馬鹿な。何度も掛けている番号だ。間違っているはずがない。ふと思い立って、自分が手術の直前まで勤めていた会社に掛けてみる。今日本は13時。ボルチモアは23時、まだ誰か残っているに違いない。「Hello」懐かしい同僚の声がした。急に休んで済みません、と謝ろうとすると向こうは意外な答えを返してきた。「どうしたの?寝ぼけちゃった?」と言う。
「君が急に帰国したのはびっくりしたよ。でも結婚するんだったら仕方ないよね。おめでとう。いい奥さんになるんだよ」「え、ありがとう」私は虚を突かれた感じで、何だかよく分からないことを言って電話を切った。
 
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近くのマクドナルドに入ってハンバーガーを食べながら考えてみる。どうやら私は結婚するために会社を辞めて日本に帰国したことになっているらしい。つまり日本で暮らせということなのだろう。ということは、こちらで仕事を探さなきゃと思って、突然さっき同僚に言われた「Make him a good wife」という言葉を思い出した。奥さんか....そうか、自分は女になったから、いつか男性と結婚して奥さんになるのかな、と想像し見知らぬ夫のために御飯を作ったり洗濯をしたりしていることを想像していたが、次の瞬間男性とのセックスのことを考えると、ちょっと抵抗感を感じた。はぁ、とため息を付くと、私は取り敢えず暮らしに必要な物を買いに店を出た。
 
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私はすぐ仕事を探そうと思ったがその前に自動車の免許を取っておくことにした。住民票を取りに行ってみると、ちゃんと山橋美智子の住民票は取れた。これで自分はこの名前で法的に存在していることを確認できたので、自動車学校に入学の手続きを取る。貯金をかなり使うことになるが、やはり免許がないと不便である。高多啓太の名前では免許があるのだが、それは使えない。しかし元々運転はできるので、最短時間で免許を取得することができた。
 
続けてえり好みは一切しないつもりで職安に行き仕事を紹介してもらう。幸いにも都内でパソコンのオペレータ兼雑用係の仕事を得ることができた。複数の企業で設立した、小さな事業を行う事業所で、職場はほとんどが老年の男性。女は私一人だけであった。おかげで平均的な女性からは少し背が高すぎることについては誰も不審に思っていないようだ。今更女の子を誘惑しようという色気も残っていなかったので、とても楽に仕事ができた。事務所内にパソコンが何台もありLANでつながっているのだが、設定その他が分かる人は誰もいないので結局、システム全体の面倒を見る羽目になる。最初に聞いていた話とは仕事の内容が変わってきたが、その分給料を上げてくれたので、よけい助かった。
 
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女の子が一人しかいないため、休みが取りにくいのがちょっとだけ辛いところだが、どうしてもきつい日は生理ということにして休ませてもらった。自分が「生理」になった日はしっかりダイアリーにつけておき、変な間隔にならないよう気を付けた。
 
その後玲子とは全然連絡が取れない。しかし返済するお金は残っているはずだ。私は毎月少しずつ別口座にお金を積み立てていた。1年ほど働いているとさすがにお年寄りの男性ばかりの職場にも変化が欲しくなった。そこで週1回エレクトーンを習いに行くことにした。これはさすがに女の子が多い。ちょっとドギマギしたが、おかげで女の子の友人ができた。最初はおそるおそるの付き合いという感じであったが、次第にごく普通に付き合えるようになっていった。同じクラスの中に私と同じくらいに背の高い女の子がいて、特に彼女とは仲良くなれた。
 
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時々水泳にも行くようになった。水着姿になるのはかなり勇気が必要であったが、水着を着た自分を姿見でよくよく見て、大丈夫だよなと自信が持てたので通いだした。身体を動かすというのは、とても気持ちがいい。
 
休日にはしばしばエレクトーンで知り合った友人と一緒にショッピングなどに出かける。恋の悩みを相談されることもあり、一応人生の先輩としてアドバイスなどしていた。言えないけど、男心が分かるのが実は強みだ。
 
こうして自分が以前は男だったなんてことはほとんど忘れてしまえそうな日々が続いていった。ただディレーションは数日おきに必ず実施していた。また差出人無しで時々荷物が送られてきて、中に女性ホルモンが入っていたので、それを書いてある処方通りに服用していた。その荷物が届くたびに、私はどうやら玲子に忘れられている訳ではないようだ、と思い、その内また会うこともあるのだろうか、と考えたりしていた。
 
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日本に戻ってきてから1年半した頃、身の回りに大きな変化があった。私が勤めていた事業所が出資先の事情で本社に吸収されることになり、私はそのまま大手企業の本社ビルの一室に勤務先が変わることになった。スタッフも増えることになり、若い男性が2人加わってきた。
 
その中の一人、春前淳次さんが問題である。彼はコンピュータに詳しい人で以前独立系のソフトハウスにいたこともあるらしい。何かとシステムのことで話をする内に、どうも私個人に興味を持ってしまったようだった。
 
お茶やお食事によく誘われ、最初は適当に流していたのだが、そうそう断ってばかりもいられない。少しずつ応じるようになる。そしていつしか週末にデートまがいのことをする仲になってしまった。
 
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「好きだ」と告白されたが、私は男性に対して恋心のようなものが持てない。だから、お友達としてなら付き合ってもいいと答えたが、それを彼はかなり拡大解釈しているようだ。
 
彼に告白されてから1月もしない内に、半ば強引にホテルの一室に誘われることとなった。私も開き直りゼリーを用意していく。そして一人でシャワーを浴びさせてもらい、きれいに洗った上で内部にゼリーを仕込んだ。これでトラブルなく入れられる筈。
 
しかし彼は最初から私が濡れていたことから、逆に感激してしまったようである。彼は私の身体をむさぼるように何度も何度もせめてきた。男性との初めての体験になったが、男の立場では経験があるから、それほど慌てることもなく済んだ。思っていたよりも気持ちが良かったので、これなら、またしてもいいかなという気がした。なにせ入れられること自体は日々のディレーションで慣れている。そして彼と私は週末ごとに結び付き合う関係になった。しかし彼はもっと私に期待していたようであった。
 
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彼とそういう関係になってから1ヶ月後、私はいきなりプロポーズされてしまった。目の前にダイヤの指輪があるのを呆然と見つめる。何と答えていいか分からなかった。
 
「あの....私、黙ってたけど、以前に手術受けてて、子供が産めない身体なの」
それだけ言うのが精一杯だった。彼は少しショックを受けていたようだった。いったんそのまま指輪を持ち帰ったが、その夜、私のマンションを訪ねて来た。
 
「考えたんだけど、別に僕は子供を産む道具として君が欲しいわけではない。君そのものが好きなんだ。僕は兄貴がいて、そちらはもう結婚して子供がいるし、僕には孫はできなくても構わないと思う。それにどうしても子供を育てたくなったら養子の口を探してもいいと思うし」
 
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そう言うと彼は「だから結婚して欲しい」と改めてプロポーズされた。私はそれまで彼に対して恋愛的な感情を感じたことはなかったが、この時突然、彼を愛おしく思ってしまった。「淳次さん....」
 
私は言葉では返事できなかったが、その顔はほとんど結婚に同意したも同然であった。彼が私を押し倒してくる。しまった。ゼリーの用意が。しかし彼は構わないようだった。抵抗を感じて少し戸惑ったようだったが、ゆっくりと優しく入れてきた。するとこちらも自然に受け入れることができた。ゼリー無しでもできるもんなんだなぁと、ちょっと驚いた。
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