■男の子の義務(4)

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お母さんが薄手のセーター、ポロシャツを脱ぎ、膝丈のプリーツスカートを脱ぐ。お母さんはDカップのブラジャーをしている。それを脱ぐと少しぽっちゃりしたお母さんのヌードがあらわになる。お母さんの裸を見たのって、幼稚園の頃以来だよなあ、と私は思っていた。
 
お父さんは少し寒がりだ。フリースを着ているが、それを脱ぎ、ブラウスを脱ぎ、ロングのペンシルスカートを脱ぐと細身のボディがあらわになる。お父さんはお仕事をしているが、会社勤めの人にはブラウスにペンシルスカートという人が多い。でも、お父さんのバストはお母さんより凄く大きい。たぶんFかGじゃないかという感じ。いつもお母さんが「お父さん、おっぱい大きくて羨ましい」なんて言ってる。お父さんもブラとショーツを脱いで裸になってしまう。 
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私もトレーナーを脱ぎ、膝下のフレアスカートを脱ぎ、それからキャミソールを脱ぐ。私はまだおっぱいが無いのでブラジャーはしていない。でもお母さんは私の乳首を見て
 
「少し大きくなってきたね。下着ですれて痛くない?」
などと言う。
「今のところまだ大丈夫だけど」
 
「カップ付きキャミソールとか付けたら?」
と姉が言う。
「あんたも一時期使ってたね」
と母。
「そうそう2年くらいあれやってたよ。最初からブラジャーというのは胸を締め付けられる感覚だけが先行して快適じゃないと思う」
と姉。
 
「じゃ、温泉から帰ったら、ランジェリーショップに見に行こうか」
「うん」
と私は嬉しくなって答えた。
 
ランジェリーショップは男子禁制なので一度も入ったことがない。何だか可愛い下着が売っているなあと遠くから見ていただけだった。
 
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私がショーツを脱ぐと「おちんちん無くなってすっきりしたね」と姉から言われる。
 
「うん。女の子のお股って、シンプルでいいよね」
「ただし体内に隠れている部分が複雑なんだけどね」
「うんうん。こないだ保健の時間に習ったよ。女の子の身体って神秘的だね」
 
「元々人間の身体って女の子の身体が基本形なんだよ。お母さんのお腹の中にいる間に、男の子の場合は男性ホルモンの作用で身体が変化して男の身体になるんだ」
 
「へー」
「だから男の子を女の子にする手術というのは、変化してしまった部分を元に戻す手術なんだよね」
 
「つまり私、本来の形に戻れたのか」
「そうそう」
 

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のんびりと脱いでいた妹が服を脱ぎ終わるのを待って5人で一緒に浴室に移動する。
 
「わあ、広ーい」
と私は感動するように声を挙げた。
 
「ああ、男湯って狭かったでしょ?」
とお父さんが言う。
 
「うん。ここの旅館、以前にも泊まったけど、男湯は5−6人も入ればもう満杯という感じだったよ。ここ40-50人は入れそう」
 
「まあ男の人って、烏の行水(からすのぎょうずい)みたいな人が多いから、広くする意味が無いんだよ。女はのんびりと入るから、その分広く作るんだよね。浴槽も男湯はあまり無かったでしょ?」
とお母さんも言う。
 
「ひとつしか無かった。ここはいろんな浴槽があるんだね?」
「そうそう。その大きなのが美人の湯、その向こうが楊貴妃の湯、あっちにはクレオパトラの湯とか、ユミカオルの湯ってのもあるよ」
 
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「ユミカオルって何だっけ?」
「古代、昭和の時代に、お風呂にすごく気持ちよさそうに入るというので有名になった女優さんだよ」
「へー!」
「50歳近くになっても凄く若い身体を維持していたらしいよ」
「それは凄い」
 

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まずは身体を洗うが、洗い場で隣の席に座った姉から
 
「ちゃんとひだの中まで洗ってる?」
と訊かれ
「うん。ちゃんとしてるよ」
と私は笑顔で答えた。
 
それで身体を洗った後で浴槽に入ろうとあるいていたら
 
「ちょっとあんた」
と呼び止めるおばさんがいる。
 
「あんた、男の子じゃないの? 小学生は混浴はダメだよ」
 
「あ、済みません。この子、こないだ女の子になったばかりなんですよ」
と近くに居た姉が弁明してくれた。
 
「え?そうなの? あら、そういえばおちんちん付いてないね」
「12月に女性資格獲得手術を受けたばかりなんですよ」
と私は言う。
「あ、そうだったんだ。体つきがまるで男だからさ」
「少しずつ女の子らしい体型になっていくと思いますよ」
と姉は笑顔で答えた。
 
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お風呂からあがった後はみんなで御飯を食べに行くが、女性専用《美人御膳》なるものをみんなで注文した。
 
「この料理は女性ホルモン類似物質のイソフラボンを大量に含むから女の人しか食べられないんだって」
とお母さん。お母さんはお風呂の後なので可愛い金魚柄の浴衣を着ている。 
「へー。でもすごく美味しいのに」
と私は柔らかいお肉を食べながら言う。
 
「世の中、けっこう男性は食べてはいけないものってあるよね」
とお父さん。お父さんは古典柄が好きらしく、手鞠やお花などの模様の浴衣を着ている。
 
「実は女性は食べられないものもあるんだけど、概して特殊な味のものが多い」
と姉が言う。
 
「特殊な味って、まずいって意味?」
「まあ深くは追求するな」
 
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黄金週間が終わって3学期が始まる。
 
前学期で女性資格獲得手術を受けた康代は、ちょっとお嬢様っぽい服を着て学校に出てきていた。
 
「何だか清楚なお嬢様って感じ」
「こういうの着てみたかったんだよね〜。でも男じゃ着られないから」
「女の子になれて良かったね」
 
一方男性資格廃止手術を受けた敏は沈んだ表情ではあるものの、結構可愛い感じの女の子の服を着て出てきていた。
 
「可愛いじゃん」
「どうせ男じゃなくなっちゃったから、開き直って女の子のまねをしてみることにした」
と敏は言っていた。
「うんうん、いいと思うよ。その路線で行きなよ」
と言われて、敏は少し苦笑いするかのような表情をしていた。
 

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6月の始め頃、算数の授業を受けていた時、私は下腹部に何か不思議が感覚が走るのを覚えた。
 
隣の席の秀美が、私の肩を叩くと
「これ持ってトイレに行っておいで」
と言った。
 
渡されたのは・・・・ナプキンだ! もしかしてこれって。
 
私は先生に断り女子トイレに飛び込んだ。個室に入り座ってみると、あのあたりから血が出ていて、ショーツにも少し付いている。
 
とうとう来たのか。
 
私はそう思うと、取り敢えず血をトイレットペーパーに吸わせる。そしてショーツに秀美からもらったナプキンを取り付けた。ナプキンの使い方は保健の授業で習っているし、実習もしていたので問題無い。でもとうとうこれを使うことになったのかと思うと感慨深い。
 
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でもこれをこのあと50歳くらいまで毎月しないといけないって、女の子ってけっこう大変なのかもと思った。
 

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昼休み、あらためて秀美に「ありがとね」とお礼を言った。
 
「そちらのおうちは家族共通のナプキン使ってるの?」
「みーんなバラバラ。お母さんはソフィア社のだし、お父さんはセンター社のだし、お姉ちゃんはエリー社なんだよね」
「じゃ、理花も自分の好きなのを買って用意しておくといいよ」
「でもどこのが自分に合うってどうすれば分かるんだろ?」
「お店に行けばサンプルセットくれるよ。それをひととおり使ってみるといいよ」
「そうする!」
 

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「だけど敏ちゃん、すっかり女の子気分でいるみたい」
と私は言った。
 
「ああいう生き方もいいと思うよ。実際、女で通ると思うし、あの子」
と秀美。
 
「でもこれでトップ5人と下の5人とが抜けて、男子も最初30人いたのが20人に減っちゃったね」
と私は言う。
 
「4年生から6年生までの3年間に1学期に1人女の子になり、1人男ではなくなるから、合計18人の男子が消えるからね」
「男女比もずいぶん変わるよね。4年生の最初は女子10人と男子30人だったのが、男性資格失った子も女子に準じるとして一緒に数えると、6年生の終わりには女子28人と男子12人になる」
 
「元々小学校高学年の男の子を女の子に変えようというのは自然に産まれてくる子供の男女比がいびつだから、それを調整するのが最初の目的で始まったらしいよ」
「ああ、そうだったんだ?」
「生物学的には、オスの数よりメスの数が多い方が、群れは安定するんだって」
「それは何となく納得するな。逆だと悲惨だよ」
「ほんと昔は悲惨だったらしいよ。少ない女を巡って、男同士で血を見る争いをしていたって。レイプ事件も多かったらしい」
「こわいなあ」
 
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「元々人数の少ない学校とかでは全員女の子になるか男子でなくなるかで、小学校卒業時には男子0という学校もあるらしいよ」
「それもいい気がするけどなあ。だって男のままおとなになるって可哀想」
「思う、思う。スカートも穿けないしさ」
 
「成績上位の男の子を女の子に変えるのは、頭のいい男は戦争を始めがちというのが科学的に証明されたかららしい」
「へー」
「逆に成績下位の男の子から男性器を撤去するのは、頭の悪い男は犯罪をおかしがちという統計結果があったかららしい」
「ふーん」
 
そこにロミちゃんがやってきて言った。
「今、国会で小規模クラス制度ってのが審議されているよ。小学校の学級は30人以内で、そのうち男子は18人以内にしようという話」
「それって・・・」
「うん。4年生から6年生の各学期の成績でトップは女子生徒になることを許可され、ビリは男子生徒ではない状態にされるわけだから、小学校を卒業する時には男子はゼロになる」
 
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「要するに男の大人はほとんどゼロになっちゃうのか」
「元々手術対象外の朱徳院小学校出身の子と、あと外国人の男とかはいるけどね」
 

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私はここ数ヶ月の女の子生活をしている内に疑問に感じてきたことをふたりに投げてみた。
 
「気のせいかも知れないけど、女性資格獲得手術と、男性資格廃止手術って実際問題として同じものってことない?」
 
「その問題については100年ほど前に提出されたユキコの仮説というのがあって、実は同じものではという説はある。でも多くの人が検証したところでは、同じものであるということを証明することができなかったんだ」
と秀美は言う。
 
「そうなんだ!?」
「でも実はロミちゃんと、お互いのお股を見比べたんだよ」
「へー!」
 
「違いが分からないよね、という結論に達した」
と秀美。
 
「でもおかげで私も自分はほとんど女の子であるという確信を持てたんだよ」
とロミ。
 
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「それで最近ロミちゃん元気なのかな」
「密かに女子1位を狙っている」
「へー!」
 
「女子1位になれたら、お嫁さん資格を得られるから、戸籍上の性別も女にしてもらえるもんね」
「そうなんだよ」
 
女性資格獲得手術を受けた人の性別は戸籍上「女」になる。一方、男性資格廃止手術を受けた人の性別は「男」と書かれていた性別のところが消されるだけで、何も書き込まれない。事実上法的な性別は無い状態になる。
 

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「もっとも今のままでも私は男じゃないから徴兵に行かなくて済むけどね」
「それはいいよね」
 
男子の場合は中学を卒業したあと10年間の兵役に行かなければならない。その10年間に1%ほどの兵士が戦死する。
 
「だけど小規模クラス制度がもし成立して男の子がほとんどいなくなったら、軍隊はどうするんだろう?」
「徴兵が居なくなるだけだから問題無いと思うよ。実際問題として現在軍の7割は志願兵だもん。自然減に任せてもいいと思う。実際うちの国は、もう800年戦争やってないからね。軍役は全部海外の紛争地の管理だもん」
 
「事実上社会を女だけで運用しているのが長期の平和につながっているとも言われているね」
 
「でも野党は対案を出しているらしい。さすがに男をゼロにするのはまずいのではないかということで、小規模クラスはいいけど、女性資格獲得手術と男性資格喪失手術をするのは、1学期と2学期のみにしようと」
 
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「なるほど」
「すると18人の男子のうち6人は女の子になって、6人は男の子ではなくなって、6人は男の子のままということになる」
 
「まあその程度は男がいてもいいかもね」
「うん。おちんちん付けたまま一生を送りたいって人もいるだろうし」
 

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「何かさ、礼央(れお)君、今学期はビリを狙うらしいよ」
「うそ。何で?」
「あの子、本当は女の子になりたいんだって。それでずっと勉強頑張ってたけど、どうしても1番になれないから、いっそビリになって男性資格喪失手術を受けちゃおうという魂胆」
 
「いいの〜?」
「お母さんも賛成してくれたって。それで男じゃなくなった時の名前も付けてくれたって。礼央美(れおみ)にするらしい」
「ああ、彼なら礼子(れいこ)かなと思ってたけど、そういうパターンもあるか」
 
「お母さんから言われたらしい。男の子を育てる楽しみのひとつは、その子を女の子に変える時にもういちど名前を考えられることだって」
 
「確かに女の子から男の子に変わろうという子は少ないからね」
 
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性別を変更することなく18歳に達した人は1度だけ自分の性別を変更することが認められているので、年間数百人、女から男に変わる手術を受ける人もあるらしい。女性資格放棄手術と呼ばれるものである。
 
(男から女になりたい場合は女性資格認定試験に合格する必要がある。但し国立大学に入る程度の学力が必要である。女から男になるのは本人の希望さえあれば自由である) 
「うん。男の子だと、だいたい7割くらいの確率で、女の子になるか男の子ではなくなるかだから。礼央ちゃんは礼央美になれたら、お母さんたちは女の子扱いするつもりらしい」
 
「それもいいよね。私たちも女の子として扱ってあげようよ」
「賛成賛成」
 
私たちは礼央ちゃんが良き《女の子ライフ》を送ることができることを祈った。 
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