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■男の子の義務(2)

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4年生の3学期は5月から8月までである。僕たちは毎度、保健の時間には男女に別れて授業を受けていた。おちんちんとタマタマのサイズを測られる時はちょっと緊張するけど、そのあと看護婦さんから気持ち良いことをしてもらうのは大きな楽しみでもあった。
 
6月に授業を受けていた時のことである。僕は看護婦さんにおちんちんを握られ上下されていた時、今までにない感覚を覚えた。
 
「あっ」
と看護婦さんが言って、何やらビニールのカバーのようなものを僕のおちんちんの先に取り付けた。何かがこみあげてくるような感覚とともに、おちんちんの先から液体が飛び出し、そのビニールの中に収納された。
 
「あれ?おしっこ出ちゃったのかな?」
と僕は焦って言った。でも看護婦さんは微笑んで
 
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「違うよ。これは赤ちゃんの元なんだよ」
「えー? だって赤ちゃんって女の人が産むんじゃないの?」
「産むのは女の人だけど、その元は男の子が生産するんだな」
「へー!知らなかった」
「君、これが出るようになったから、次からは毎回このカバーを取り付けてこの液を採取します」
「はい、お願いします」
 
看護婦さんはハンディ端末から出てきたシールをビニールの袋に貼り付けた。
 
「それどうするんですか?」
「検査して品質合格したら、妊娠したい女性に提供します」
 
「あ、それで赤ちゃんが生まれるんだ!」
「うん。そうなんだよ」
「知らなかった!」
 

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僕の担当看護婦さんは次回の授業の時に検査結果を教えてくれた。検査した所こないだ取った液には、赤ちゃんの元は入っていなかったらしい。でもその内入るようになるよと言われた。
 
3学期。期末テストが行われて、女子の1番・マリアがお嫁さん資格を獲得。ビリの莉魅が出産義務を課せられた。
 
男子の1番になったのは良太(りょうた)だった。彼も女性資格獲得手術を受けて女の子になれることを喜び、新しい名前として良美(よしみ)というのを付けてもらった。同じ字でも音読み・訓読みが変わると随分印象が変わるね、などとみんなから言われていた。両親は彼女の結婚式の積み立てをすると言っていた。
 
男子でビリになったのは広夢だった。彼は男性資格廃止手術を施されて男ではなくなることにショックを受けたようで、精神的に錯乱していたので両親がすぐに呼ばれ、その日の内に手術を受けた。ふつうは「男の子である最後の夜」を過ごして翌日男ではなくなる手術を受けるのだが、たまにこういうケースもあるという。
 
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お父さんは広夢が男の子でなくなったことにがっかりし、夢が無くなったと言って、広夢から夢をとってヒロという名前を彼に付けた。でもこういう命名はちょっと可哀想だよね、と僕たちは言った。
 
良太の方はふつうに翌日、みんなに祝福されて、笑顔で手術室に行った。
 
「私、せっかく女の子になれるし、アイドル歌手を目指そうかな」
などと彼女は言って、
「良美ちゃん、歌うまいから行けるよ」
「顔ももともと可愛いしね」
「そうそう。男の子のままにしておくのもったいないと思ってた」
 
などとみんなから言われていた。
 
一方のヒロの方は男性器を取られてしまってしくしくと泣いているということだったのでみんなでお見舞いに行き、元気づけてあげた。
 
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「母ちゃんから新しいパンツ買ってきたからと言われて見たら、全部前の開きが無くて」
「仕方ないよ。そこから出すものが無くなっちゃったんだから」
「ちんちん無しで生きて行く自信が無いよ」
「女と同じと思えばいいじゃん」
「そうかなあ」
 
付いているお母さんも
「あんた、おちんちん無くなって割れ目ちゃんできたんだから、今後はあんたのことは娘と思うことにするから」
と言う。
 
「そうか。娘のつもりになってみるかなあ」
「そうだよ。あんたちんちん無いから、お嫁さんにしてくれる人あるかも知れないしね」
「うん。少し考えてみる」
 
「あれ、おちんちんあったらお嫁さんになれないの?」
「お嫁さんにしてくれる人もあるにはあるらしいよ」
「へー」
「おちんちんが無い人がお嫁さんにしてくれるのでは?」
「あ、そういうのもあるかもね」
「うん。おちんちんの無いお婿さんと、おちんちんのあるお嫁さんってケースもあるらしいよ」
 
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悩んだら気軽に相談してね、と彼には言って僕たちは病室から去った。
 

そしてこの日。僕は保健の時間に出した液に、はじめて赤ちゃんの元が入っていたよと言われた。
 
「自分でもしたくなることない?」
「実はあります。でもしちゃだめと言われたから我慢してます」
 
「もしどうしてもしたくなった時はこの袋何枚かあげておくから、これに出して翌日サイセイ室に持って来て」
「分かりました!」
 

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9月から僕たちは5年生になった。
 
ヒロちゃんは沈んだ顔はしていたが、お母さんに買ってもらったという可愛い女の子用の服を着て学校に出てきて黙々と勉強していた。
 
そういえば男性資格を剥奪された人って、その後はたいていよく勉強するようになるらしい。ただ体育は苦手になることが多いんだって。
 
僕はヒロちゃんなどを見ていて、やはりビリになるとまずいなと思い、5年生になったら少し自分で勉強するようになった。3年生や4年生で習ったことでよく考えてみると理解していないこととかもあったので先生に教えてもらって、しっかりと理解できるようにしていった。
 
一方、おちんちんを気持ち良くするのは、何度かどうしても我慢できなくなり自分でしてしまったことがあった。でも言われた通り、ちゃんと渡された袋の中に出して、翌日サイセイ室に持って行った。
 
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そういうことが5年生の1学期に数回あった。毎週看護婦さんにしてもらっているものも含めると、この学期に僕は15回の《サイセイ》をしたことになる。
 
「どうしても我慢できずにしてしまったので持って来ました」
と言うと
「いいのよ。でも週に3回くらいまでで我慢してね」
「はい。頑張ります」
「この赤ちゃんの元を子供を産みたい女の人にあげて赤ちゃんが生まれるの。だから、これを出すのは実は男の子の義務なんだ」
「へー。そうだったのか」
「君は立派に義務を果たしているよ」
「そうですか。良かった」
 
僕はおちんちんで気持ちいいことするのが後ろめたい気もしていたので看護婦さんから言われて、ちょっと誇らしげに思えた。
 
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そして5年生の1学期の期末テスト。
 
「男子の一番は理史(さとし)」
 
と僕の名前が呼ばれた。
 
「うっそー! ビリにならないように頑張っていたら1番になっちゃうなんて」
 
「じゃ女の子になれるんですか?」
と僕は訊いた。
「そうそう。陰核と膣を設置して、それを守るのに大陰唇・小陰唇、いわゆる割れ目ちゃんを作るから」
「嬉しい!!」
 
「それ作るのに邪魔なんで、陰茎・睾丸・陰嚢は除去するけどな」
 
「スカート穿けるんでしょ?」
「そうそう。可愛いの買ってもらうといいよ」
 
「わーい!」
 
僕はまさか自分が一番になれるとは思いも寄らなかったので、凄く嬉しかった。
 

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その日、家に帰ると先生からもらった紙をお母さんに見せる。
 
「何何? 理史君は今学期の成績が一番でしたので、女の子になることを認めます。え?あんた女の子になれるの?」
 
「うん」
「良かったねー!」
とお母さんは凄く喜んでくれた。
 
中学1年の姉も
「弟って面倒だなと思ってたけど、あんたが妹になるんだったら歓迎」
などと言ってくれる。
 
小学3年生の妹は
「お兄ちゃん、女の子になるの?」
と言う。
 
「うん。だから明日からはお兄ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんだからね」
 
「へー!すごい。3人とも女の子だったら、一緒に温泉に入れるね」
 
「そうだね。今まで僕だけ別になってたけど、これで姉ちゃんともお前とも一緒に入れるね」
「嬉しい!」
 
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まだ会社にいるお父さんに連絡してケーキを買ってきてもらい、お母さんは冷凍ストックしている鶏肉でフライドチキンを作ってくれた。
 
それでお父さんが買ってきてくれたケーキをみんなで食べて、僕が女の子になることを祝ってくれた。
 
「理史も女の子になるのなら、今度は温泉にみんなで一緒に行けるね」
とお父さんは楽しそうに言う。
 
「僕だけひとり別だったからね」
 
「でも名前何にしようか?」
 
「それだけど私も会社から帰りながら考えていたんだけどね。こういう時は今の名前の1文字は残した方がいいらしいんだ。それで理史(さとし)の理の字は残して理花(りか)というのはどうかな?」
 
とお父さんが言う。
 
「あ、可愛い!」
と姉が言い、
 
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「読み方が変わっちゃうのね。それもいいかもね」
とお母さんも賛成してくれて、僕の明日からの名前は理花ということになった。
 

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その夜は
「このおちんちんは今夜が最後だから」
と言われて、裸にされておちんちんの写真を撮られた。
 
「明日からはみんなと同じ女の子だね」
「お兄ちゃん、良かったね。あ、お姉ちゃんだった」
「うん。今日まではお兄ちゃんでもいいよ。明日からはお姉ちゃんって呼んでね」
「うん」
 
「でも僕、女の子のこと、全然分からないや。おしっことかどうすればいいのかな」
「女の子になってみたらすぐ分かるよ」
 
「だよね」
「案ずるより産むが易しってね。大変なことは前もって考えていると不安になることもあるけど、なってみればたいしたことないんだよ」
「そうだろうね」
 
と言ってから僕は不安そうに言う。
 
「女性資格獲得手術って痛いのかな」
「麻酔掛けてくれるから痛くないよ」
「あ、そうか!」
「でも傷が治るまでは多少痛いよ。それは我慢しなきゃ。女の子になれるんだから」
「うん。頑張る」
 
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夜9時以降は絶食なので、お腹もすくし早めに寝ることにした。朝起きたらお母さんが「手術が終わった後で着る服」といって可愛い女の子服を渡してくれた。楽しみ!
 
男の子として最後の登校をして、クラスメイトからも「良かったね」とか「羨ましい」とか言われる。それで10時僕はみんなに見送られて手術室に行った。
 
「では女の子になる手術をします。いいですね?」
とお医者さんから言われ
 
「はい。お願いします」
 
と受け答えした後は、麻酔で眠ってしまって何も覚えていない。目が覚めた時僕は病室に寝かされていた。おそるおそるお股の付近に触ってみるが、まだ麻酔が効いているようで感覚が無かった。目が覚めたらナースコールしてくださいと書かれた紙が貼ってあったのでボタンを押す。
 
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お医者さんが来て
「傷口のチェックをしますね」
と言い、その付近の包帯を外す。それで僕は初めて自分の新しいお股を見た。
 
「わあ、きれい!」
と僕は声をあげた。
 
「うん。女の子のお股ってきれいだよね。見たことなかった?」
「初めて見ます」
 
「これが大陰唇、その内側のここが小陰唇。ここに陰核、別名クリトリスがあるから。傷が治ったらいじってみてごらん。男の子だった頃におちんちんをいじっていたのより、ずっと気持ちいいから」
「へー!それは楽しみです」
 
医師は僕のお股に触りながら説明する。
 
「ここからおしっこが出てくるのよね。それからここが膣、別名ヴァギナ」
「何するところですか?」
「赤ちゃん産む時にここから出てくるの」
「そんな小さな所から出てくるんですか!?」
「いざという時は広がるから」
「すごい」
 
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痛みは思ったほど無かった。夕方、お母さんとお父さんが姉と妹を連れてお見舞いに来てくれた。
 
「もうお姉ちゃんになったの?」
と妹が訊くので
「そうだよ。私はもう女の子だから」
と答えた。
 
「へー。おめでとう」
「ありがとう」
 
「そして私たちの息子から娘になったのね」
とお父さんが言う。
 
「うん。娘になりたてだけど、よろしくお願いします」
「こちらもよろしくお願いします、お嬢さん」
 
「お嬢さんって、私のこと?」
「そうだよ。女の子なんだから」
「なんだか、くすぐったいような気分」
「すぐ慣れるよ」
 

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3日目に包帯が取れたので、お母さんが買ってくれていた女の子用のパンティを穿いてみる。何だか不思議な感じだ。今まで、おちんちんのあるお股に男の子用のボクサーを穿いたら、お股の所におちんちんとタマタマの形の盛り上がりができていた。でも、女の子のお股はスッキリしている。前開きの無いパンティがピタリと股間に吸い付く。そこには何の突起も無い。
 
「ちょっと、スッキリしすぎたかな。でもこれいいな」
と私は独り言を言った。
 
スカートも穿いてみた。歩いてみようとしたらいきなり転ぶ。
 
なんで〜?
 
と思ったが、要するに膝がスカートにぶつかってしまうのである。少し考えて、膝から上を動かさずに、膝下だけ足を動かして歩いてみたら、うまく歩けた。男の子と女の子では歩き方から違うんだなあ、と私は思わぬ発見をした気分になった。
 
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これまでは導尿していたのだが、もうふつうにトイレでできますよと言われたのでトイレに行ってみる。
 
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