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■男の子の義務(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-12-19
※本作品はフィクションであり、固有名詞は全て架空のものです。 
 
9月。僕たちは小学4年生になった。4年生になると、3年生までの教科、国語・算数・理科・社会・体育・音楽・図工に加えて2つの科目が増える。ひとつは家庭科で、将来良き家庭人になるため、お裁縫や料理などの勉強をする。もうひとつは保健でこれもやはり良き家庭人になるために必要なものと言われたけど、僕たちはよく分からなかった。
 
保健の時間は最初に男子と女子を分けられた。女子は別の授業を受けるらしく視聴覚教室に行った。僕たち男子はサイセイ室という所に連れて行かれた。ズボンとパンツを脱いで並んで下さいと言われる。何するの?おしっこ??
 
おちんちん丸出しだから、人のおちんちんに触る子とか、大きさ比べしてる子とかもいる。僕の小さいから恥ずかしいな。何か凄く大きなおちんちん持ってる子もいる。あんなに大きかったら邪魔じゃないかしら??
 
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看護婦さんがひとりずつおちんちんの大きさを定規で測っている。それからタマタマの大きさも、何かスパゲティの量をはかる板に似た道具で測っている。僕もサイズを測られてから、奥のベッドに寝てと言われた。看護婦さんが僕のおちんちんを握って上下に動かし始めた。
 
何?これ?すっごく気持ちいいじゃん。
 
「これ自分でやったことある?」
と看護婦さんから訊かれる。
 
「いえ、無いです」
「じゃここから液が出たこともない?」
「おしっこなら毎日してますよ」
「おしっこじゃないものは?」
「何か出るんですか? うんこは別の所から出るし」
「うん。いいのよ。でもこれ自分で握って動かしたりするのは勝手にしないようにね」
「はい、分かりました」
 
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結局、4年生になって始まったこの保健の時間で、僕たち男子は毎回おちんちんとタマタマのサイズを測られた上で、看護婦さんにおちんちんを握られて何だか気持ち良くなるということをした上で、余った時間は校庭の草むしりをしたり、体育館の掃除をしたりして過ごした。
 

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12月。一学期が終わるので期末テストが行われた。普段あまり勉強してないのでテストは苦手だ。テストは2日掛けて行われる。1日目が国語・算数・音楽・図工、2日目が理科・社会・体育・家庭である。女子だけは更に保健のテストもあるらしかったが、男子には無かった。
 
そして3日後、成績発表が行われるが、これは4年生以上では男女別に一番の点を取った子といちばん悪い点を取った子だけが発表されるらしい。よけいな競争心・闘争心を起こさせないための配慮なんだって。
 
最初に女子の1番が発表された。
 
「1番。亜架音君。君はとても優秀なので、お嫁さんライセンスを発行する。これを持っていればいつでも結婚ができるんだよ」
 
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「わぁ!嬉しい!」
と亜架音は喜んでいた。お嫁さんになるということは結婚して「奥さん」になれるということである。奥さんになると、仕事はしてもいいししなくてもいいので、のんびりとした人生を送ることができる。
 
みんな亜架音に「おめでとう!」と言っている。今日は亜架音の家はお赤飯でも炊くかな。それともフライドチキンかな。いいなあ。
 
「赤ちゃん産んでもいいんでしょ。どうすんの?」
「私、子供3人くらい産みたいなと思ってるの。私一人っ子だったから、姉妹のいる家庭にあこがれていたのよね」
「それもいいよね〜」
 
亜架音は将来設計も描いているようである。頭のいい子だから、いい奥さんになるだろうな。亜架音って絵を描くのも好きみたいだし、家庭の奥さんしながらきっと画家としても活躍するのだろう。
 
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「次に男子の1番を発表します。晃(あきら)君」
 
「やった!」
と晃君は喜んでいる。
 
「晃君は、とても優秀なので女性になることを許可します」
 
「おお、凄ーい!」
と級友たちから称賛の声が上がる。
 
「女性になるため、女性資格獲得手術を受けてもらいます。陰核・膣・大陰唇・小陰唇を形成します。陰核があると女の悦びを体験できますし、膣があるとセックスもより楽しめます。また、これらの器官を保護するため、女の子の象徴でもある大陰唇・小陰唇を設置します」
 
晃君はその意味が分かっているようで嬉しそうな顔をしているし、女の子たちも晃君に良かったね、などと言っている。でも僕は何を言っているのか、さっぱり分からなかった!
 
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「僕、割れ目ちゃん欲しかったんだぁ」
と本人は本当に嬉しそうだ。
 
「なお、それらの器官を設置する際、陰茎・陰嚢・睾丸は女性機能を使用するのにも邪魔なので撤去します」
と先生は言った。
 
「よかったね。女の子になったら可愛いスカートとか穿けるよ」
「女の子になったら、おっぱい大きくなるから、ブラジャーも付けられるんだよ」
「女の子は可愛くメイクアップとかできるんだよ。口紅とかアイカラーとか塗って」
「女の子であれば、そのうち可愛いお嫁さんになれるかも」
「女の子は穴の開いてないパンティ穿くんだよ。お股に変な物付いてないから要らないもんね」
「女の子はトイレは座ってのんびりとできるんだよ」
 
女の子たちから祝福の言葉を浴びて、晃君はほんとに嬉しそうだ。へー。女の子になるって、そんなにいいことなのか、と僕は彼女たちのことばを半分も理解できないまま、嬉しそうな晃君を見ていた。
 
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その日は夜から絶食して、翌日が女性資格獲得手術ということだった。
 
「お母さんに何か言われた?」
「うん。お母さんに褒められちゃった。女の子になれるって凄く名誉なことだもん。昨日はお祝いにケーキ買ってきて唐揚げも作ったんだよ。おこづかいももらっちゃった」
「すごいねー」
「良かったねー」
 
「名前はどうすんの?」
「晃子(あきこ)にするんだって」
「へー。子の付く名前って古風だね」
「僕がもし女の子になったら、どういう名前にするか、ずっと考えていてくれたんだってよ」
「そのままアキちゃんでいいから便利ね」
「そうそう」
 
「じゃ手術終わったら、私たちの仲間ね」
「うん。楽しみ〜」
 
そう言って晃君はクラスの女の子たちに手を振って手術室に運ばれていった。
 
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その日はビリの子の発表もされた。
 
「まずは女子のビリを発表します。多魔枝君。君は成績が悪かったので、出産奉仕を3回しなければならない」
 
「ちぇっ。大変そうだけど、私、あまり頭良くないし頑張るよ」
「多魔枝、落ち込まないでね」
「うん。また何かいいこともあるよ」
「赤ちゃん産むのって大事なことだもん。頑張ってね」
「うん。母ちゃんに叱られそうだけど、ちょっと覚悟はしてた。大丈夫だよ」
 
女の子たちから慰められて、多魔枝も少し気を取り直していたようである。
 
赤ちゃん産むのって大変らしいもんねー。それを3回はしないといけない。まあ22歳になってからだけどね。出産奉仕の義務のある女性は、36歳になるまでに3回産まなければならないのだが、多くの人が大学を卒業した後、22歳,24歳,26歳で妊娠して約10ヶ月後に赤ちゃんを出産する。
 
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でも妊娠ってどうするのかしら?ちょっと怖い気もするなあ。
 

「次に男子のビリです。純一君」
「えーーー!?」
 
本人は凄く嫌そうだ。
 
「君は、成績が悪かったので、男性としての資格を剥奪する。男性資格廃止手術を施し、男だけに許される器官である陰茎・睾丸・陰嚢を除去廃棄します」
 
「嫌だ!チンコ取られたくないよぉ!」
と言っている。彼はこないだの保健の時間には「俺のチンコいちばんでかい」と言って自慢していた。彼のおちんちんは本当に大きかった。それを切られてしまうのは辛いだろうけど、ビリだったのだから仕方ない。
 
「おちんちんが無くなるのでおしっこは身体から直接出るようになります。新しい尿道を保護するため小陰唇・大陰唇を形成します。性的ストレスを溜めて犯罪などに走ったりしないようにするため性欲解消のため陰核と膣を設置します」
 
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と先生は説明を続けた。
 
「おまえもうズボン穿けないんだぜ。男じゃなくなったらスカートとか穿かないといけないんだぜ」
「胸が大きくなってくるらしいから、おとなになったら胸にはブラジャーなんて付けないといけないんだって」
「素顔で出歩くことが許可されないからいつもお化粧しないといけないし」
「もうお婿さんにもなれないな」
「男じゃなくなると穴の開いたパンツ穿けないんだぜ。穴に通すチンコ無いから」
「男じゃなくなると立ってしっこできないんだぜ。座ってしないといけないんだって」
 
クラスメイトの男子たちから言われて、純一君はほんとうに落ち込んでいた。
 

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翌日、純一君は、泣きはらしたような顔で出てきた。
 
「お父さんから何か言われた?」
 
「お袋は泣くしさ、おやじは俺をぶん殴るし。昨日は晩飯も無かったんだぜ」
「わあ、可哀想」
 
「名前はどうすんの?」
「純一の一を取って純になるんだって。身体から棒を取っちゃうから、名前からも棒を取ってしまうらしい」
 
「へー。純か。まあ男の名前じゃねーよな」
 
やがて男性資格廃止手術の時間になる。純一君は看護婦さんたちが来ると逃げようとしたので結局ストレッチャーに縛り付けられてしまった。
 
「いやだー。やめてー。助けてー」
と叫びながら、彼は手術室へ連れて行かれた。
 
ああ。可哀想。僕ビリじゃなくて良かったなあ。
 
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1月。2学期が始まる。
 
前学期1番の成績だったので女の子になることができた晃君あらため晃子ちゃんは可愛いブラウスとスカートを穿き、髪にもお花のピン留めをして出てきて、女子からも男子からも「可愛いね!」と言われ、嬉しそうにしていた。彼女は今学期からは体育や保健の授業を女子と一緒に受ける。
 
「女子トイレ慣れた?」
「慣れた。何だか楽しいね。座ってできるの楽だし。列に並んで前後の人とおしゃべりするのも楽しいし」
「でしょ?」
「お風呂入って自分のお股見ると、何だか楽しくなっちゃう。割れ目ちゃんっていいね。開け閉めする練習だいぶしたよ。クリちゃんも触ると気持ちいいし。男の子のままだったら、あんな気持ちいいこと味わえなかったよ」
 
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彼女は他の女子に連れられて、早速学校の女子トイレにも行っていた。その日は体育の授業もあったので、みんなと一緒に女子更衣室に行って着替えていた。
 

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一方、ビリの成績だったので男性資格を剥奪されてしまった純一あらため純はお姉さんのお下がりだというチュニックと膝丈スカートを穿いて出てきていた。
 
「男じゃなくなったのに慣れた?」
「悲しいよお。漫画とか読んでてつい無意識に触ろうとすると無いからさ。あれいじるのが楽しみだったのに。チンコ無くなっちゃって俺これからどうすればいいんだろう」
「自分の股間見てる?」
「お風呂で洗う時は見るけど、洗ってて泣いてしまう。ここにはこないだまでチンコあったのに。あの皮を剥く楽しみもなくなってしまった」
「おしっこできるようになった?」
「すごく変な気分。男子トイレに入ろうとして追い出された」
「まあ、チンコ無くなっちゃったんだから仕方ないね」
「男子トイレとか男子更衣室は使えないから、女子トイレ・女子更衣室を使うんだな」
「女子トイレに入ると、何かすごーく変な感じ。小便器が無いのって、どこか異世界にでも来た感じ」
「へー。女子トイレって小便器無いんだ?」
「俺も初めて知ったよ」
「あ、俺って言っちゃいけないんだぜ」
「そうそう。私って言えっていわれたけど、なかなかうまく言えないよ」
 
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純の苦労はしばらく続きそうである。
 

2学期は4月に終了する。また期末テストが行われ、男女別の成績1番とビリが発表された。なお、女子では1度1番かビリになった人は、このランキングには関係なくなるらしい(但し過去に1度ビリだった女子で1番になった場合は対象になる)。
 
女子の1番になった緑はお嫁さん資格を獲得して喜んでいた。ビリになった日戸美は、出産義務を課されたものの「しゃあないなあ」と言い、みんなに慰められていた。
 
男子の1番になったのは秀雄君で、女性資格獲得手術を受けて女の子になれるというので凄く嬉しそうにしていた。お母さんからも喜んでもらえて、名前も秀美に改めるらしい。クラスメイトみんなに祝福されて手術室に運ばれていった。
 
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一方ビリになったのは国三君であった。彼は試験の時に風邪を引いていたということで、今回のビリはもう覚悟していたらしい。
 
「男性資格廃止手術されて、男じゃ無くなるのは悲しいけど、それも人生だって母ちゃんから慰められたよ」
「名前はどうすんの?」
「ロミ」
「へー!」
 
「いや国という字から玉を取ったらロになるだろ?」
「ほほぉ」
「玉を取る手術を受けるんだから、そういうのもいいんじゃないかって」
「面白い名前の付け方するね」
 
「男の子じゃなくなっても自分の子供だからって母ちゃんに言われてちょっと泣いた」
「いろいろ辛いかも知れないけど頑張ってね」
「うん。まあ女みたいな身体になるだけだし、頑張るよ」
 
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そういって彼は悟りきったような顔をして、みんなに慰められながら手術室に運ばれていった。
 

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