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■危険な同居(2)

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半年ほどしたころ、ボクはすこし戸惑っていた。確かに最近からだに肉が付いてきて丸みを帯びてきたのだけど、なんだか特に特定の場所に集中してお肉が付いている。木下先輩はボクの胸の付近を触りながら、結構付いてきたな、と言った。ボクが最近階段を上り下りする時に、この付近の肉が揺れて痛いんです、と言うと先輩は「ブラジャー付けるといいのに」と言った。「えー、そんなの女の子が付けるものなのでは」と言うと、先輩は男でも胸が大きい人は時々いるからブラジャーは付けるんだと言う「ほら、お相撲さん、見て見ろよ。そこらへんの女より胸あるぜ。あれだけあると、ブラジャー無しではきついよな」ボクはブラジャーなんて買ったことないからよく分からないので、先輩に一緒に付いてきてもらってブラジャーを買いに出かけた。女の人の下着を売っている店。キャー恥ずかしい。男の人でブラジャー買う人少ないから、女の人用の店で買わないといけないんだって。
 
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ボクたちが店に入っていくと店員さんが寄ってきた。「いらっしゃいませ。どんなのお探しですか」「どうせなら、可愛いのがいいな」と先輩が言う。
「そうですね。彼女、わりと童顔でいらっしゃるから、ギンガムのとか、メルヘンチックなのがお似合いですよね」と言われた。彼女?え、それもしかしてボクのこと?あ、ボク女の子に間違えられちゃったかな。でも男でブラジャー買うと思われるより、そっちの誤解のほうがましかなぁ....
 
店員さんがメジャーでボクの胸の付近を測る。ちょっと恥ずかしい。
「あら、今ノーブラなのね。70Bでいいわよ」と店員さんが言った。そしていくつか選ぶと「試着してみましょう」と言った。試着?ボクは試着室に入るが「済みません。付け方がよく分からなくて」と言う。すると店員さんが入ってきて手伝ってくれた「あなた、あまり普段付けてないのね。ブラジャーの跡が全然付いてないもの。でもこのくらい胸あったら付けてないと垂れ下がるわよ」と言われた。そして「うん、サイズもピッタリだし、よく似合ってるよわ」と言ってくれた。鏡の中でボクの胸の肉がブラジャーの中に収められている。なんだか本当に女の子みたい。ボクはまた真っ赤になってしまった。「じゃ、どれにする?」と聞かれるので、ボクは付けさせてもらった3つを全部買うことにした。
 
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家に帰ってからボクは最近感じているもうひとつの違和感についても先輩に相談した。「最近そのおちんちんがあまり立たないんです。それから睾丸もなんだか縮んだような気がして」すると先輩はボクの服を脱がせて、その付近を触った。「そういえば小さくなってる気がするな。ちょっと病院で見てもらおう」と先輩はどこかに電話を掛けていた。そして予約を取ったらしく、それから車に乗せてボクを連れだした。
 
先生は若い女の人だった。女の人にあの付近を診察されるなんて恥ずかしい、とおもったけど仕方ない。先生はボクのおちんちんを色々といじっていた。以前ならこんなことされたら立ってしまってたのだけど、それが来ない。ボクは更に何だかよく分からない検査を1時間くらいかけてされた。色々注射も打たれ、採血もされた。そして先生はカルテを見ながら言った。
「睾丸の方は完全に機能を消失しているようですね。このまま放置するとよくありません。取った方がいいです」え?え?「取るんですか?」
「そう。このまま付けておいても、この睾丸は既に精子も生産していないし男性ホルモンも分泌していない。あっても仕方ないですよ」と言う。えー?
「放置していると最悪ガン化する恐れもあります。さ、取りましょう」
ボクは先生の勢いに負けて思わず「はい」と答えてしまった。
 
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手術は部分麻酔で、30分くらいだったろうか。手術台なんてのに寝せられるのは初めて。麻酔を打たれるのも初めての経験だった。木下先輩が手術の終わったボクの手をしっかり握りしめてくれたので、少し気持ちが落ち着いた。
 
でも家に帰ると、また涙がこみげてきた。ボクは先輩に抱きついて泣いた。
「先輩、もうボク男の子じゃなくなっちゃった。だって睾丸がないんだもん」
「タマなんて別になくてもいいんだよ。実は俺もタマ無いんだぜ」え?それは知らなかった。先輩も無いんだ。でも先輩、すごく男らしいし。こんなの関係無いのかな。
 
「それか、お前いっそのこと女になるか?」と先輩は言った。え?「でもそんなことできるの?」「男を女にする手術はそんなに難しいもんじゃないんだよ」手術?そんな手術があるんだ。知らなかった。「おまえだったら可愛い女の子になれると思うけどな」へえー、女の子になる。そんなのもいいかも知れない。ボクはそういう気がした。睾丸ないと男として結婚できないだろうし。あれ?でも先輩も無いんだっけ。でも先輩くらい男らしかったら、それでも構わないって言う女の子いるかも知れないな、と思ったときボクは突然なんだか不安な気持ちになった。女の子?
 
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先輩に彼女ができたら、ボクはどうなるのかな。やっぱりこのアパート出ないといけないだろうな。奨学金は食費と半免してもらっている授業料だけで手一杯だし。バイトしている人もあるけど、ボクはその時間が惜しかった。授業のない日も丸一日専門書を読んでいないと、ゼミの準備をしっかりしておくことができない。
 
女の子?そうだ。先輩はボクに「いっそ女の子になる?」なんて言ってた。ボクが女の子になったら、先輩ボクを彼女にしてくれないだろうか。それならいいな。ボクは何だかそんな気がしてきた。考えてみると最近のボクってどこにいっても女の子と間違われる。スカート履いててお化粧してるせいかな。胸もブラジャーしてるし。トイレもいつも女子トイレ使ってるし。総合的に見ると、ひょっとしたら既にボクってかなり女の子の領域に足を踏み入れているのかも知れない。
 
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女の子か。女の子になる手術ってどんなのなんだろう。やっぱりちんちんは取っちゃうんだろうな。まぁ、いいよね。どうせボクもう男の子じゃないし。女の子のあの付近って見たことないけど、多分割れ目があって、その中におしっこ出てくる所とか膣とかあって.......何だか楽しそう!!割れ目の中からおしっこするって、どんな感じなんだろう。してみたい。ちんちんなんかなくたっていいや。そういえば子供の頃何かでお母さんに「ちんちん切っちゃうよ」と言われたことあったっけ。切られるのか。痛いかな、と思いつつボクがちんちん出したら、そこにハサミ当てられたけど、その先の記憶が残ってない。でも病院で手術で切られるんなら、麻酔掛けてもらえるだろうからいいよね。あ、そういえばボクお人形遊びが好きだったのに、お父さんが「男がこんなもので遊ぶな」って怒って取り上げられちゃって、泣いたこともあったっけ。あの時は女の子に生まれたかったって思ったんだった。でも生まれ直さなくても女の子になるという道があるって素敵だ。どうせなら、小学生頃に女の子になれていたら、中学・高校はセーラー服だったのかな。きゃー、セーラー服。今まで忘れてたけど中学の時に同じクラスの女の子に「着てみない?」と言われて着せられて、似合ってるよなんて言われて。あれずっと着てたいと思ったっけ。でも今から女の子になっても22歳じゃセーラー服は着れないな。残念。ボクは頭の中で想像と回想とが交錯していた。
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