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■桜色の日々・中学入学編(2)

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翌週、小学校の卒業式があった。
 
ほとんどの子が中学の制服を着て出席していたが、私はふつうの服で出席した。学生服は買ったものの、まだそれを着る気になれなかった。
 
みんなは、学生服なんてコスプレでもするつもりで着るといいよ、と言ってくれた。ほんとに、そうでも思わなければ耐えられない気分だった。それに今は長く伸ばしている髪も、入学式までには切らなければならない。
 
なんでこんなことに耐えないといけないのかなあ。。。制服なんてないどこか外国の学校にでも行きたい気分。
 
そんなことを思いながら、卒業式が終わり、教室で卒業証書をもらって解散したあと、私は学校の中庭で、何となく池のそばで、小さな魚が泳いでいるのを見ていた。その時、荻野君に声を掛けられた。彼も、制服はあまり気にするなと言ってくれた。
 
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「学生服なんて着てたって、みんな吉岡さんのこと、ちゃんと女の子だと思ってくれるよ。辛い気持ちになったら、友だちとかに素直に自分の気持ちを言うといい。吉岡さん、友だちに恵まれてるし。もし女の子に言いにくいことだったら僕でよければいつでも相談に乗るし」
「うん・・・ありがとう」
ホントに友だちってありがたいな・・・・・私はそんなことを思い、少しだけ頑張ろうかなという気持ちになることができた。
 
「あ、そうだ。これ受け取ってくれないかな?」
と言って、私はホワイトチョコレートの包みを荻野君に渡した。
「ホワイトデー?」
「そう。ホワイトデーの前に卒業式があるってひどいよね」
「せっかくだし、もらっておこうかな。。。。でもホワイトデーって、男の子から女の子にチョコあげるんじゃなかったっけ?」
 
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「だってバレンタインに荻野君、私にチョコくれたんだもん。逆チョコのお返しの逆ホワイト」
「なるほど、そうなるのか!」
 
私たちは笑って、そのあと、自宅近くまで一緒に歩いて帰った。
 
「だけどさ、こないだ中学の入学説明会でもらった、校則の紙見てたんだけどさ」
「うん」
「制服は、学生服とセーラー服とする、と書かれていて、学校指定の所で買うことなんて、書いてあったけど、別に男子が学生服、女子がセーラー服、とは書かれていないな、って思ったんだよね」
「うん・・・実は私もそれ思った」
 
「まあ、ふつう、女子で学生服着ようと思う子、男子でセーラー服着ようと思う子なんて、いないからね」
「ふつうはね」
「僕もセーラー服を着る勇気はないから学生服着てるけど」
「令子は学生服着てみたいなんて、言ってたけどね」と私。
 
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「あ、女子には時々そういう子いるかもね」
「でも変だよね。学生服を着てみたいなんて女子が発言しても、そう変に思われないのに、セーラー服を着たいって男子が発言したら、変態か?って思われちゃう」
「男女差別だね」と荻野君。
「ほんと」
「でもさ」
「うん」
「吉岡さんは女の子だから、セーラー服着たいって発言しても、誰も変には思わないよ」
 
「そっかー」
 
ふと空を見上げると、雨も降ってないのに、薄い虹が見えた。
 
「あれ?虹だね」
「きれいだね」
 
私たちはしばし、その天空の芸術を鑑賞していた。
 

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入学式を翌日に控えた4月8日、私は行きつけの美容室に行って、中学の男子の基準の長さまで髪を切って下さい、と言った。
 
「そっかー。ハルちゃんも、中学か」
「はい」
「ちょっと悲しいね。そんなに切るのって」
「私自身がとっても悲しいから、ことさらそんなに言わないで下さい」
と私が笑って言うと、美容師さんは
「あ、ごめんね。じゃ切っちゃうよ」と言う。
「はい、もうスパッと切って下さい」と私は答えた。
「了解」
 
そういって美容師さんは髪を切り始めた。私の長い髪が床に落ちて、花のように開いて行く。それを見ていて、涙が出て来た。だめ、こんな所で泣いちゃって思うのに、涙腺が締まらない。
 
「ね、切るのやめる?」と美容師さん。
「ううん。全部切って」と私。
「うん」
 
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「でもさ、ハルちゃん」
「はい」
「どうせスパッと切っちゃうなら、おちんちん切っちゃえば良かったのに」
「切りたいです!」
 

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翌日、かなり鬱な気分で私は学生服を着た。私は個室というものを持っていないので、仏間の隣にある2畳の小部屋にタンスを置いていて、そこに服は全部入れている。このタンスは母と共用で、上半分を母、下半分を私が使っていた。なんとなくタンスをあけてみる。可愛いブラウスやスカートが入っている。私がこういうものを着るのは、母とふたりだけの秘密だ。あと風史兄は薄々察しているみたいだけど。
 
でもこんなに髪切っちゃったら、こういう服もしばらく着れないのかなぁ、などと思うと、益々気が滅入る感じだった。
 
あ、ダメ・・・・かなり精神的に落ち込んでいるな、という気がする。この状態になると、そもそも気力を上げなきゃ、という気持ち自体が起きず思考停止のようになって、何もできなくなる。
 
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実際私はそこでかなり長時間ぼーっとしていたようで
「晴音(はると)、そろそろ出ないと遅刻するよ」
という母の声にハッとして、私はその小部屋を出た。
 
沈んだ気持ちのまま、中学校への道を歩いていく。なんとなくとぼとぼとした歩みになったので、ほんとに中学に着いたのは、けっこうギリギリに近い時間であった。
 
「ハル、来ないのかと思ったよ」と令子から言われる。
その令子が着ているセーラー服がまぶしい。わあ、私も着たいな、とまた思う。でも、だめなんだろうな・・・・
 
「ごめん。なんか気分がすぐれなくて」
「まあ、高校出るまで6年間の我慢だよ。それに学校にいる時だけ男の子してればいいんだから。学校出たら、女の子に戻って、一緒に遊ぼう」
「うん。ありがとう」
 
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令子に言われて、ほんと自分も頑張らなくちゃと思い直し、学生服姿で入学式に臨んだ。校長先生のお話、来賓のことぱ、在校生代表の歓迎の言葉、などを聞き、校歌を斉唱する。ああ、なんかここの校歌モダンで変わってるな、などと思った。後で聞いたら、10年ほど前、この学校出身のロック歌手の人が作った曲なのだそうである。
 
その後、各々の教室に行く。中学では令子・カオリと別のクラスになってしまった。小学4年から6年まで、そのふたりとはずっと同じクラスで、最も親しくしていただけに、彼女たちと離れるのもまた寂しい気持ちがした。
 
私のクラス5組で一緒になったのは荻野君や環・好美などである。好美は令子・カオリの次くらいに親しい友人で、私がなんか落ち込んでる風なのを見てハグしてくれた。環も「なんだい、元気出しなよ」と言って、背中を叩いてくれた。荻野君も笑顔でこちらに視線を送ってきた。
 
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ほんと頑張らなきゃ、と思うものの、気力が出ない。
 
「だけど、ハルが学生服を着ていると、男装している女学生に見えちゃうな」
と好美は言った。
「なんか違和感があるよね、学生服姿って」と環も言う。
 
彼女たちも元気づけてくれようとしているのだろうけど、私の心は憂鬱だった。
 

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担任の先生が入ってきた。男の先生で「館茂(たて・しげる)」と名乗った。最初の出席を取る。
 
私は鬱な気分だったので、ぼーっとしてそれを聞いていた。ふと気付くと、点呼はいつの間にか男子が終わって女子のほうに進んでいた。あれ?私呼ばれたっけ? この時は私も上の空だったので、あまり深く考えなかった。女子も最後のほうにさしかかり「雪下さん」と私の前の席に座っている好美が呼ばれて「はい」と返事をする。そしてその次に「吉岡さん」と私の名前が呼ばれた。
 
「はい」と私がいつも使っている女の子っぽい声で返事をすると先生はこちらを見て言った。
 
「なぜ君は学生服なんか着てるの?ふざけないで、ちゃんと女子の制服着なさい。それ、お兄さんから借りたの?」
 
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へ?と思うが、鬱な気分でかなり回転速度の遅くなっていた私の脳が、その先生のことばを聞いて頑張って回転して、ある結論を引き出した。私はそれまでの鬱な気分が吹き飛び、ちょっと楽しい気分になった。
 
「済みません。ちゃんと着換えて来ます」
と言ってスポーツバックを持って席を立つ。
 
私は学生服姿のまま近くの《女子トイレ》に飛び込むと、個室に入り、スポーツバッグを開ける、まず、内ポケットに入れている錠剤のシートから1個取り出して飲んだ。『へへへ。ドーピングしちゃおう』
 
実は数日前から鬱な気分だったので、ドーピングした方がいいと思っていたのにそれさえも実行できないほど、精神が落ち込んでいたのである。薬を飲んで効き出すのは本来1〜2時間後なのだろうけど、このお薬は飲むと速効で精神に作用するような気が以前からしていた。お薬を飲んだことで、私はかなり元気になった。よし。着ちゃえ。
 
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私は学生服の上下を脱ぎ、更に着ていた男物の下着の上下も脱ぐ。そしてスポーツバッグの中に入れていた、ブラジャーとショーツを身につけると、更にきちんと畳んで収納していたセーラー服の上下を取り出し、身につけた。男物の下着と学生服の上下をスポーツバッグの中に入れる。
 
個室から出て手洗い所の所の鏡に、姿を映してみる。うん。髪が短すぎるのが難だけど、充分女子中学生に見えるよね、と思うとますます気分が昂揚した。
 
教室に戻る。私の女子制服姿を見たクラスメイトの一部(たぶん同じ小学校から来た子たち)がどよめく。
 
「済みませんでした。着換えて来ました」と私は先生に言った。先生は満足そうにこちらを見て頷いて、更にこう言った。
「君、髪を少し切りすぎてるね。まるで男の子みたいな長さだよ」
 
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「そうですね。ちょっと切りすぎました。でも切りすぎたのは仕方ないから伸びるのを待ちます」と答えた。
「それがいいね」
と言うと、先生は、中学生活を始めるにあたっての注意を色々話し始めた。
 

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最初の授業では、学級委員をはじめ、図書委員、生活委員、美化委員、保健委員、などを決めた。最初だから分からないでしょうなどと言われ、先生からの指名であった。2学期から生徒同士の選挙で決めましょうと言われる。委員はそれぞれ男女1名ずつの指名であったが、私は小4の時に同じクラスだった森田君と一緒に、図書委員に指名された。小4,小5で私は図書委員をしていたので、その経歴を見ての指名かな?と思った。
 
委員決めが終わると、先生は中学校の生活でよく起きがちなできごとなどの話をした。やがてチャイムが鳴って、先生は話を終えると出て行った。
 
先生が出て行くのと同時に私のまわりにたくさん生徒が集まってきた。女生徒が多い。
 
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「どうしたの、その服?」
「えへへ。買っちゃった」
「すごい」
「入学お祝い、親戚とかからたくさんもらっちゃったから、これで制服買えるじゃん、と思ったら作りたくなっちゃって。先月下旬に頼んだから、実は昨日できてきた。ギリギリ」
 
「それで通学するの?」
「通学したいけど、そういう訳にもいかないだろうなあ。でも、今、先生からセーラー服着なさいって、言われたし、取り敢えず着ておく。ま、すぐ気付かれちゃうだろうけどね」
「でも去年は3ヶ月くらい気付かれなかったよ」
「あれはさすがに森平先生がのんびり屋さんだからだよ」
「確かに!」
 
「でも私、学生服着ていた間は、すごく気持ちが沈んでたのに、これに着換えたら、突然元気になっちゃった」
「ほんと、朝とは全然表情が違うよ、ハル」と好美。
「さっきは、この子、自殺したりしないよな? って表情だったよ」
「自殺さ・・・・」
「うん」
「私、マジで考えてた」
「死にたくなったら、私に電話しなよ」と環が言った。
「うん、もしそんな気になった時は電話する」
 
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「ね、ね、話が見えないんだけど、もしかして吉岡さんって、男の子なの?」
と別の小学校から来ていた麻紀。
「うん、そうだよ。戸籍上はね」と好美。
「でも実態は、ほとんど女の子だよ」と環。
「性転換手術とかもしてるの?」
「したいけど、私の年齢じゃ、してくれるお医者さん、いないのよね」
 
「だけど、教室の机の配置、これ男女交互に列が作られているじゃん」
とやはり別の小学校から来ていて、学級委員に指名された菜月。
 
「あ、そうだよね」
「それで、私、女子の並びのはずの所に1人男子が並んでいるの見て、あれ?と思ったんだよね。最後だから調整されたのかなとも思ったけど、男子の方はふつうに余ってるし」
「うん。うちのクラス、男子22人、女子18人だもんね」
「そうそう。その女子18人には吉岡さんも入っているわけで」
 
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「女子19人のクラスと18人のクラスがあるみたいね。もし吉岡さんを男子の方に移動したら、うちのクラス女子が17人になってバランス悪いよね」
「やはり、吉岡さんって、女子のままでいてもらった方が良さそう」
 
「でも、吉岡さん、更衣室とかトイレとかどうすんの?」と麻紀。
「女子制服着てたら、トイレは女子トイレでいいんじゃない?」と菜月。「体育の時の着替えは、ハルは小学校の時は女子と一緒にしてたよ」と好美。「じゃ、それも女子更衣室でいいかもね」と菜月。
「ハルは修学旅行では女湯に入ったしね」と環。
「へー、女湯に入れる身体なんだ!」と麻紀は感心したように言った。
 

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