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(C) Eriko Kawaguchi 2022-09-19
その日、1年生のヒロシが学校に出て行くと、クラスメイトたちから言われた。
「どうしてスカート穿いてるの?」
「おしっこ失敗しにくいようにスカート穿きなさいと言われて穿いて来た」
「確かに、ヒロシちゃん、何度か漏らしちゃったね」
「ズボンだと、ベルト外してファスナー下げて、ズボン降ろしてパンツ下げて、それで便座に座って、やっとできるでしょ?でもスカートなら、パンツ下げるだけですぐ便座に座れるから、確かに凄く早くおしっこできるようになった」
とヒロシ本人は言っている。
うーん・・・男の子の場合は、ズボンのファスナーを開けてそこからちんちん出しておしっこする方法があると思うのだけど、と数人の女子は思ったが、取り敢えず突っ込むのはやめておく。でも男子から言われている。
「ヒロシって小便器使ってなかったよな。小便器なら、ズボンのファスナー開けて、そこからチンコ出せばいいのに」
「あれ苦手〜。うまく取り出せなくて。ファスナーに引っかかると痛いし。それでいつも個室使ってた。それにぼく、ちんちん切られちゃったから、そもそもズボンのファスナーから通すことできなくなった」
「ちんちん切られたの?」
「トイレに座っておしっこしてると、よくおしっこが外に飛び出して、便器の外の床を汚してしまってたんだよね。それも言ったら、だったらちんちん切って女の子と同じ所からおしっこできるようにすればいいと言われて」
「え〜?それでちんちん切られたの?」
「ぼくも、ちんちん切るのには抵抗あったけど、その方がおしっこが楽になるからと言われたら、切ってもいいかなあと思って」
「じゃ女の子と同じようにおしっこするようになったの?」
「うん。その時、タマタマがあると、おしっこが掛かって不衛生だからというので、タマタマも一緒に取ってもらった」
「ちんちんもたまたまも無くなったんだ!」
「ちんちんもたまたまも無いなら、これ穿きなさいと言われて、今女の子用のパンティ穿いてる」
「そりゃちんちん無いなら、男の子のパンツ穿いても仕方ないね」
「ヒロシはそもそも前の開きを使ってなかったみたいだから、女のパンティで良かった気もするな」
「でもパンティって恥ずかしい」
「すぐ慣れるよ」
「じゃ、ちんちんもたまたまも無くなって、今はお股の女の子と同じ位置におしっこの出る穴があるの?」
「それだとおしっこの出る穴がパンティに擦れて炎症起こすから、それを保護するようにというので、女の子と同じように割れ目ちゃんを作って、その中からおしっこが出るようにしてもらった」
「割れ目ちゃんまであるなら、もう女の子と同じじゃん」
「だから、お前さええよければ、いっそ女の子になりなさいと言われて、どうしようと思ってる」
「女の子になりなさいというより、既に女の子になってしまっている気がする」
と多くのクラスメイトの声。
「ヒロシちゃん、男子トイレ使うの?女子トイレ使うの?」
「え?男子トイレ使うつもりだけど」
クラスメイトたちが話し合っている。そして言った。
「ヒロシちゃん、女の子と同じ形になって、スカートも穿いてるんなら、女子トイレ使っていいと思うよ」
「そう?」
「だって男子トイレは個室1つしか無いけど、女子トイレには個室たくさんあるからさ」
「あ、そうそう。ぼく個室でしかおしっこしないから、これまでも個室が塞がっている時に困ってたんだよね。それで我慢できずに漏らしたこともあったし」
「ヒロシちゃんだったら、女子トイレに来てもいいよ」
「ほんとに?」
「そしてせっかくだから女の子になりなよ。ちんちん無くて割れ目ちゃんあるなら、性別変更申請はすぐ通ると思うし」
「やはりぼく女の子になった方がいいのかなあ」
「ヒロシちゃん、性格的にも女の子向きの性格だと思うし」
「可愛いから、女の子になれば、男の子にもてるかもよ」
「そうだなあ、女の子になっちゃってもいいかなあ」
「まあ既に女の子になっている気もするけどね」
「ヒロシちゃん、女の子になるなら、名前はヒロコとかヒロミとかにするといいよ」
「ああ、ヒロコとか可愛いかも」
その日、2年生のマリオンが学校に出て行くと、クラスメイトたちから言われた。
「どうしてスカート穿いてるの?」
「金曜日にママと一緒にお風呂入っていたら、あんたのちんちん小さすぎると言われて、土曜日に病院で検査してもらったの」
お母ちゃんとお風呂に入るのか?と突っ込みたい子が多数いたが、取り敢えず話の続きを聞く。
「それで病院でお医者さんに診てもらったら、君のちんちんは小さすぎて女の子と同じだから、これからはスカートを穿きなさいって言われた」
「小さいって何cmくらい?」
「看護婦さんに計ってもらったら0.8cmと言われた」
「それではズボンが穿けない」
「だからマリオンはいつも個室を使っていたのか」
「でも男子トイレの個室は少なくてなかなか入れなくて困ってると言ったらこれだけ小さかったら、女子トイレ特別使用許可証を出せるからと言われて、証明書もらった」
と言って、マリオンは証明書を見せてくれた。写真付きの証明書だ。
「この者は医学的な理由により、女子トイレを使用することを認めて欲しいことを要請する」
と書かれており、病院長名が記載され、病院印が押されている。
「ぼく、学校でも女子トイレ使っていいかなあ」
「マリオンならいいよ」
と1人の女子が言い、他の女子も頷いている。
「でもこの証明書を使う時はスカート穿いてなさいと言われたから、スカート穿いてきた」
「まあスカート穿いてたら、女子トイレに居ても不自然じゃ無いよね」
「だいたいマリオンのスカート姿には違和感が無い」
「うん。スカート穿いてたら、ふつうに女の子に見える」
「いっそのこと、ちんちんをクリトリスに改造してもらって、女の子になったら?」
「本人が希望するなら、女の子になる手術をしますよと言われたけど、考えさせてくださいと言った」
「女の子になる手術をしてもらえるなら、してもらえばいいのに」
「マリオンは女の子になったら、男の子にもてると思うよ」
「そうかなあ」
「俺、マリオンが女だったらなあと思ったことある」
「俺、最初マリオンは女だと思ってたから、男子トイレに入ってきた時はびっくりした」
などと男子たちが言っている。
「ちんちんが大きくなる薬と、逆にもっと小さくなる薬をもらって、どちらか好きな方を飲みなさいと言われた」
「それはぜひ、ちんちんがもっと小さくなる薬を飲もう」
「そして女の子になる手術を受けよう」
「どうしよう?」
と可愛いスカート姿のマリオンは悩むように言った。
その日、3年生のサトシが学校に出て行くと、クラスメイトたちから言われた。
「どうしてスカート穿いてるの?」
「いやそれが、ぼく女の子になっちゃった」
「そうなんだ!」
「これまでそんな感じ無かったのに」
「実は幼稚園の弟が『お姉ちゃんが欲しい』と言い出してさ」
「はあ?」
「そしたら、お兄ちゃんたちが『俺は妹が欲しかった』と言って」
「うん」
「そしたら、お父ちゃんとお母ちゃんが『私たち娘が欲しかったのよね』と言って」
「うーん・・・」
「それで『お前、女になれ』と言われた」
「それでもしかして女の子になる手術受けたとか?」
「そうなんだよ。ぼくは『いやだぁ』と言ったんだけど、お前は体格も華奢で顔も可愛くて、性格も女向きの性格だからとか言われて」
「確かにサトシちゃんは女の子向きの性格だと思う」
「よくトイレの場所訊いて、女便所を案内されてたな」
「お風呂で『小学生が混浴してはいかん』と言われて男湯から追い出されてた」
「あれ、結局女湯に入ったんだっけ?」
「あの時は男湯に入れてもらえないから仕方なく女湯に入った」
「でも何もトラブル無かったよね」
「あ、サトシちゃんが女湯に居ると思ったけど、サトシちゃんならいいかなと思った」
「でもそれで女の子になる手術受けちゃったの?」
「手術終わってから、お股見てショックだった。ちんちん無くなってるし、割れ目ちゃんできてるし。おしっこしたら凄い後ろの方から出るから、それもびっくりしたし」
「確かにショックかもね」
「弟からは「お姉ちゃん」、お兄ちゃんたちからは「可愛い妹」とか言われて、お父ちゃんとお母ちゃんからも「娘ができて嬉しい」と言われたら、まあいいかなという気はした」
「まあ良かったんじゃない?」
「退院してから、女の子の服を買いに行ったけど、女のパンツ穿いたら変な感じ」
「慣れるまでは変な感じするかもね」
「スカート買ってもらって穿いたけど、いきなり転んだし」
「ああ、スカート穿いてる時はズボンみたいな歩き方できないからね」
「それにスースーとして涼しいし」
「夏は蒸れなくていいよ」
「女子トイレに入る練習もさせられたけど、痴漢でもしてる気分で恥ずかしかった」
「学校ではどっちのトイレ使うの?」
「どっちがいいのかな」
と本人は言っているが、クラスメイト数人の話し合いで
「サトシちゃんなら女子トイレ使っていいよ」
と言われた。
「やはり女子トイレか」
と本人はまだ恥ずかしそうである。
「トイレ一緒に行こうよ。手を握ってあげるから」
「助かるかも」
「もう性別の変更はしたの?」
「金曜日の夜に手術受けて、土曜日に退院したら、市役所に連れていかれて、性別変更届け出した」
「ああ、もう法的な性別は変更したんだ?」
「学校にもこれ出さなきゃ」
と言って、サトシは学校に提出する、性別変更届けを見せてくれた。
性別変更届
性別が変わりましたので届けます。
生徒氏名 サトシ・ミズナカ
旧性別 男
新性別 女
新氏名 サトミ・ミズナカ
変更理由 性転換手術を受けたため
「ああ、サトミちゃんになるのね?」
「うん。女でサトシというのは変だからと言われて。でもまだ自分の名前じゃないみたい」
「それはすぐ慣れると思う」
「ぼく、更衣室とかどっち使えばいいのかなあ」
とサトシ改めサトミが独り言のようにいうと、数人の女子が話し合っていた。
「サトミちゃん、元々女性的な性格だったし、性転換手術も受けたのなら、更衣室も女子更衣室でいいと思う」
「ほんと?助かる。男子更衣室に行けと言われたらどうしようと思った」
「女の子になったのなら、男子更衣室は使えないよ」
「チンコ無かったら、男子トイレも使えないしな」
と男子も言っている。
それでサトミは今日から、女子児童として通学することになったのである。
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新しい性活・女の子になる男の子たち2(1)