■夏の日の想い出・超多忙年の夏(3)

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目が覚めたのは午後2時くらいだった。たぶん3時間くらい寝ていたようだ。「おはよう」と政子が言った。
「あ、起きてた?」
「ううん。私も今起きた」
「気持ち良かった」
「私も」
 
「男の人とのHも気持ちいいけど、やはり女の子同士の方が凄く気持ちいいと思わない?」と政子が言う。
「うん。というより多分、私とマーサの相性がいいんだよ」
「冬は私とのHと正望君とのHで、どちらが気持ちいいの?」
「その質問には答えられないことになっております」
「ちぇっ」
「でも、女の子同士だと、一緒に昇って一緒に下りられるよね。男の人は出しちゃうと、それで終わっちゃうから、こちらの気持ちが置いてけぼり。でも男の人の構造上、それは仕方ないよ」 
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「お互い感じやすい所も分かりやすいしね。でも冬はホントに女の子的な昇り方・降り方するの?演技抜きで」「うん。青葉ちゃんに波動を調整してもらってるから、そのあたりも女の子のパターンになっちゃってる」「冬って普通の女の子と同じように濡れるし、生理もあるしね。私もあの子のおかげで肩こりとか腰痛とかに無縁で済んでる」「うん。生理は無くてもいいのにな。体質が完璧に女性になってるから、生理も自然に発生しちゃうんだって言ってた。青葉ちゃんは性転換手術前から生理あったらしいよ」 
「へー。どこから出すんだろう。。。。でも冬とは久しぶりだったな」
「ここしばらくお互い忙しかったもんね」
「それと私に彼氏がずっといたからでしょ。私が誘っても、冬ったら逃げるんだもん」「だって彼氏に悪い気がするし」
 
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「私は気にしないのにな。冬だって正望君との関係は続けたまま、私ともこういうことできるし」「最初の頃はけっこう葛藤あったよ。でも慣れだね、今となっては」
「ふふふ。でも彼は私と冬がこんなことしてるって、知ってるの?」
「それはね、まだ彼と恋人という意識がなかった頃に言っちゃってたのよね」
「あはは」
「他の男の子と寝たりしない限りは気にしないって言ってくれてる」
「ほんとに優しい人だね」
「うん。彼、マーサには嫉妬しないんだって。マーサとどういう関係であっても私が彼のことしっかり愛してくれているという確信があるからだって言ってた」「私が正望君に嫉妬しないのと同じ原理だ、それ」
「そっか」
 
「それでさ。。。。今お腹の中にいる子の父親なんだけどね」
「うん」
「それが冬だって言ったら信じる?」
「え!?・・・・・・だって、マーサとはここ1年近く・・・してなかったよね?」私は言葉の途中で急に不安になり、そう尋ねた。
「前回は去年の8月だったよ。それにそもそも冬は今女の子で精子無いし」
「女の子同士でも妊娠するんだっけ?って、今、一瞬考えちゃった。
でも、私の子供なの?」「そうなの」
 
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政子は妊娠の秘密を話してくれた。
「冬が去勢手術受ける前日、私達ホテルでHしたでしょ。8年前の6月」
「うん」
「あの時、Hしたあと冬が眠ってしまってから、私、自分のヴァギナの中の冬の精液をスポイトで吸い出したの」「えー!?」
「あの時、私『これで妊娠したら奇跡の子だよね』と言ったでしょ」
「覚えてる」
「でも実際、あの時これで自分は妊娠する、という予感が凄くあったんだ」
「・・・・」
 
「でもあの時点では妊娠できないじゃん。私もまだ大学1年で子供産むと学業に差し支えるし、それで子供産んだら絶対冬は認知したでしょ」「もちろん」
「そしたら冬は戸籍を女性に変更できなくなっちゃう」
「それで・・・」
 
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「可能な限り吸い出して、それをあの病院に持ち込んで、冷凍保存してもらったの。ついでに膣洗浄してもらって、事後避妊薬も処方してもらった」「確かに、あそこは元々産婦人科だもんね。しかしよくそんな飛び込みで冷凍保存の依頼を受けてくれたね」 
「男性側の同意があることが確認できない限り受けられないと随分言われたけど、事情があってこれが精子を保存できる唯一のチャンスだからと、必死でお願いして。受精させるまでには確実に相手の同意を取るからと言ったし」「同意取ってないじゃん!」
「いいじゃん。冬も自分の遺伝子をつぐ子供、欲しくない?」
「・・・欲しい」
 
「あの病院はあのあと潰れてしまったけど、冷凍精液は別の病院に引き継いでくれて、それを使ってちょうど8年後の6月同じ日に受精させたの。体外受精させた後、私の子宮に戻した。チャンスは1度だけだから受精卵2個入れてもらったんだけど、着床したのは1個だけ」 
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「分かった。その子、認知するね・・・・って、私、認知できるのかな?あれれ?」
「認知はしないで。できない気もするけど。これ私達、ふたりだけの秘密にしよ」
「でも。。。。」
「認知しなくても、この子が冬の遺伝子を受け継ぐ子供だってことを覚えていてくれることと、この子をずっと可愛がってくれることだけ約束して欲しい」「約束する。でもこの子には父親のこと、なんて言うつもり?」
「父親はいない。でも母は私と冬のふたりだって言うつもり」
「じゃ、マーサはお母ちゃん、私はママ、とかでは?」
「ああ、いいね、それ」
 
「昔の少女漫画にあったんだ。夫婦が離婚して、旦那が別の女の人と結婚して、それで旦那のもとで育てられてた女の子が、自分の実の母親のことをお母ちゃんと呼んで、新しい母親のことはママと呼んでたの。お母ちゃんにもママにも、ちゃんと可愛がってもらってたのだけど、子供としては何とかして呼び分けないと混乱するしね」「その呼び分け、いいかも知れないな。この子に推奨しよう」
 
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「性別は分かってるの?」
「うん、女の子だよ。私、名前も決めちゃった。絶対この名前だと思うものを思いついちゃったの。それにしていい?」「いいよ。産む人が決めていいと思う」
「あやめ、っていうの」
 
「あやめ・・・・・・」
「どうかした?」
「ううん。ちょっと昔不思議なことがあったなと思って」
 
私は8年前の9月に宇都宮のデパート(今ではもう潰れてビルも建て替えられ、まるごと大型書店になっていたが、8階に特設ステージがあり、今でもミニコンサートが頻繁に行われていた)で体験した、不思議な出来事のことを語った。 
「当時は幽霊でも見たのかと思ったんだけどね。デパートって結構あるし」
「へー。それ、未来の冬自身とこの子とに出会ったんだね」
「今にして思えばそんな気がする」
「あやめちゃん、可愛かった?」
「可愛かった。きっと美人になると思った」
「そうなるといいね」
「私達の子供なら、歌うまいよね、きっと」
「歌手になるかもね」
「あ、私達既に親馬鹿」
「ふふふ」
 
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「あれ?そういえば」
「ん?」
「昔、占い師さんに運勢観てもらった時に、私、27歳の時に子供ができるって言われたんだった。20歳の時だよ、観てもらったの」「へー」
「その時は、私子供産めないからなあと思ったんだけど、まさかこういう展開になるとは」「凄い占い師さんだね」
 
「ああ、でもマーサのお母さんからも、この子の父親のことで聞かれたんだけど」
「誰にも言わないよ、私。冬は当事者だし、私と冬の仲だから話しただけ」
「分かった。私もマーサから聞いたけど、言わないと答えることにする。でも不倫ではないと言って安心させておきたいな。お母さん、それを心配していたから」「まあ、ふつう父親の名前を言えないていったら、不倫のこと考えるよね」
「それか、本人にも分からないケースとか」
「あはは。私、そこまでは乱れてないしな」
「あと、相手が宮様なんてケース」
「そういう方面のお付き合いは無いし」
 
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「上島先生では無いって直筆FAXまで出したのに、世間ではまだ上島先生を疑ってる書き込みとか見るね」「私、上島先生の奥さんにも電話してお騒がせして申し訳ないが、天に誓って先生とは浮気などしてませんし、この子、上島先生の子供ではありませんから、って言ったよ。奥さんは笑ってたけどね。平気、平気。大きな声ではいえないけど、先生、隠し子が3人いて、みんな母親が別々だって」「あ、隠し子の話は私も奥さんから聞いてた。ナイショよって」
「あの奥さんもおおらかだよね。でも夫の浮気を受け入れられるって凄い」
「諦めてるんでしょ」
「確かに」
 
「でも隠し子さんたち、今回の騒動で先生からの養育費の送金が止まって、困ってるんじゃない?」「私が代わりに送ってる。ただし生活に最低必要な程度のお金だけど」
「え?」
「前に隠し子のこと聞いてたから、養育費の件心配して奥さんに電話したの。それで私が少額しか無理だけどそれでもよければ1年間送金したいと言ったら、送り先教えてくれた。先生に言っても絶対教えてくれないと思ったから奥さんに連絡したんだけどね。でも後で先生本人から電話掛かってきて、ほんとに助かる。この恩は一生忘れないとか言ってた。でも、私がこれまで先生から受けてきたご恩にくらべれば大したことありませんと答えた。隠し子の母親たち3人からもお礼の手紙や電話もらった」 
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「私が奥さんに電話した時、ケイさんにもよろしくって言われたんだけど、そういうことがあってたからなのか」「ふふふ」
 
「でも・・・冬って、ほんとに代役ついてるんだ」
「まあね」
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