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■夏の日の想い出・あの人たちのその後(3)

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京都でのキャンペーンライブが終わった後、大阪を拠点に活動している芸能プロダクションの社長さんが「良かったら一緒に食事をしませんか?」と言って寄ってきた。△△社と友好関係にある会社で、私も政子も高校2年生の時から旧知の人である。
 
「京都駅21時のサンダーバードに乗らなければいけないので、それまででしたら」
と言って、政子と2人で付いていった。京都駅の近くの京料理の店に入った。
 
「いや、ちょうど打ち合わせで京都に来ていたら、ラジオでローズクォーツのキャンペーンをするというのが流れていたので、おおっと思って寄ってみました。マリさんも一緒だったので感激しましたよ」
と社長さんは言う。大分で一緒に食事したイベンターの社長さんもそうだが、この人もけっこうマリ派である。
 
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「私がひとりでキャンペーンとかで全国飛び回る、なんて時にはけっこうマリが臨時マネージャー役で付いてくるんですよね。今回はローズクォーツのキャンペーンなんですけど、マキがこないだ結婚式挙げたばかりで、さすがに新婚さんを駆り出せないというので、私ひとりで全国回ることになったものだから」
 
「マリさん、そろそろステージに復活しないんですか?」
と社長さん。
「そうですね。5年後くらいなら、またやってもいいかな、なんて気になって来ているところなんですけど」
「5年って長いですね・・・」
 
「マリが言う時間がだんだん短くなってきているんですよ。最初の頃は50年後とか言っていたのが30年後20年後10年後となってきて、この秋くらいからは5年後って言ってるので、たぶん実際には1〜2年後にはローズ+リリーの復活はあるかな、と思い始めているところなんですけどね」と私。
 
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「ふふ」と政子はコメントせずに笑っている。社長さんは頷いた。
 
「やはり、アルバムの発売で流れが変わりましたか?」と社長さん。
「変わりました」と政子は素直に認める。
 
「今年2枚ローズ+リリーのアルバムを出して、シングルも2枚出して、実は年明けにも更に1枚、ちょっと特殊なものですがまた出すんですけどね。それでファンの方から、たくさん激励の手紙頂いちゃって。少しだけやる気が出て来ました」
と政子は微笑みながら言った。
 
「それは良かった」と社長さん。
「ところで、おふたりはパラコンズって覚えておられますか?」
「もちろんです。くっくものんのも、携帯の番号、私の携帯に登録してありますよ」
 
彼女たちはローズ+リリーの活動を始めて間もないころ、大阪のイベントで会い、私たちのステージを見て感動したなどといって、くっくは私にキスをしたのであった。これは私の「公式見解」では私のファーストキスである。
 
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「おお、それは凄い。実は彼女たちを来年はメジャーデビューさせようと思ってましてね」
「それはいいですね!きっとファンが広がりますよ」と私。
「あくまで大阪拠点で活動して、でも全国ツアーとかもやっちゃおうか、みたいな線を考えているんですけどね」
「いいんじゃないですか。みんなが東京に出てこなくてもいいと思います」
 
「それで、この話、あらためて津田さん(△△社の社長)の所に持って行くつもりだったのですが、彼女たちのデビュー曲を、ローズ+リリーのおふたりに書いてもらえないかなと思っていたんですよ」
「わあ」
「何と言っても年齢が近いでしょう。パラコンズの2人は22歳。作曲家として今ばりばり活動している先生方は30代くらいの人が多いですが、おふたりはまだ20歳だし、それとやはり女性に書いて欲しい気がしてたんですよね」
「確かに女性のソングライターも少ないですよね」
 
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「スリファーズとか、スーパー・ピンク・シロップとか、ELFILIESとか、女性のユニットにおふたりが提供している曲が、凄く雰囲気がいいもので、こちらもお願いできないかと思ってたんです」
「パラコンズがメジャーデビューするんでしたら、私たちも取り敢えずお祝いに何か書きますよ。ね?」と私が言うと
「ケイがさっき書いたばかりの『彼を取り戻せ』なんか、パラコンズに割とピッタリじゃない?」と政子は言った。
 
「ああ・・・そうかも」
「何かいい曲がありますか?」
「実は今日のお昼に書き立ての曲があって。東京に戻ってからデータ作ってお送りしますよ」
「お願いします」
「それにプラス1曲、書きますね。2曲必要ですよね」
「はい、ぜひお願いします」
 
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そういう訳で、その後あらためて津田さん経由で話が回ってきたのだが、私たちは取り敢えず当面の間、パラコンズに曲を提供していくことになった。
 

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その日は21:24のサンダーバードに乗って金沢に移動し、金沢駅そばのホテルに泊まった。金沢泊まりというのは大阪泊まり・博多泊まりの次くらいによく発生するのだが、ふだんは大抵駅の近くの別のホテルに泊まっている。このホテルに泊まったのは、実に3年ぶり。高校2年の時に全国ツアーをしていた時に泊まって以来であった。
 
「懐かしいね、ここ」と政子は言った。
「ほんとに。ただ高2の時はふつうのツインだったね」
「この部屋、高そう。★★レコードさんが払ってくれるから値段は知らないけど」
「ここも私とマーサのある意味原点だよね」
「うん。一緒に寝る時はコンちゃんを枕元に置いておくとか、気持ち良くなりすぎたらストップ掛けるとかのルール、ここで決めたしね」
「作詞作曲:マリ&ケイ、ってクレジットを決めたのもここだもんね」
 
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高校2年の時、ツアーの最中に私たちはこのホテルに一緒に泊まり、そこでセックスはしなかったものの、かなり濃厚な睦みごとをした。その時、私たちは「どこまでしていい」かというルールを決めて、結果的にはそれが私たちの関係の方向性も決めた。
 
「あの日、私たちHしちゃっててもおかしくなかったよね」と政子。
「というより、あの日したことって、ほとんどHだったかもね」と私。
「それは確かに。入れはしなかったけどね」
「実際問題として、心理的にはあの日、私はマーサのヴァージンをもらっちゃったのかも知れないという気がするよ」
「そうかも。あの日、冬にあげたのかも。実はあの時、私逝っちゃったしね」
「マーサは否定してたけど、明らかにそういう表情だったもん」
 
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「うふふ。。。私さぁ。結局誰にヴァージンあげたのか良く分からなくて」
「直哉君との初めてのHの時も出血したって言ってたね」
「そうなんだよね。冬と最初で最後の男女間セックスした時も出血したのに。直哉は私がそれまで処女だったと思い込んでいるだろうな」
 
「まあ1度で完全に破れるものでもないだろうしね。でも私は男の子じゃないから、結局男の子とセックスしたという意味では直哉君にあげたのかもね」
 
「そうなるのかなあ。でも実は中1の時の同級生にあげちゃってたのかも知れない気もするんだよね」
「人が来て中断したというやつ?」
「うん。でもヴァギナまでは入ってないはずなのよ」
「マーサがそう思うなら入ってないんだよ」
 
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「やはり私、冬にあげたと思いたいな。ちゃんと中まで入れたのは冬との去年6月のが最初だし。逝ったのも高2の11月このホテルで冬とした時が最初だし、高3の4月には初めて放出経験したし」
「あれ、処女膜の内側まで指入ってたよね。あの頃は私も女の子の構造がよく分かってなかったから、言われるままに指入れたけど」
「うん。入ってた。Gスポットの方が処女膜より内側だもん」
 
「じゃ、マーサの処女は私がもらったということにしようか。3年前にこのホテルで。私の処女もマーサにあげたしね」
「うん。もらったつもり」
 
私たちはそんなことを言いながらキスをして、そのままベッドに倒れ込んで20分近くお互いに濃厚な愛撫を続けた。そして唐突に政子は言った。
 
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「そういえば冬、今日は私がちょっと目を離した隙に浮気したでしょう」
「ちょっとだけ」
「その罰として、今夜は私にたっぷり奉仕すること」
「了解」
 
そういって私は舌で政子のあそこを刺激しはじめた。この夜、私たちは夜中2時くらいまで長時間愛し合い、その後『二股はギロチン』という曲を書いた。(「あんたらが言うな」と琴絵にもEliseにも笑われたが)
 

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翌日は、金沢市内で午前中にキャンペーンをした後、レコード会社の人の車で富山に移動してまたキャンペーン。更に車で移動して、新潟でもキャンペーンをした。
 
新潟のショッピングモールでのステージが終わった時、政子が「あっ」という声を上げると、凄い勢いで走って行って、会場の隅にいた男性を掴まえた。私も駆け寄った。
 
「参ったな。目立たないようにしてたのに」
とその人物は言う。
「私、ファンなんです。もし可能でしたらサイン頂けませんか?」と政子。
「うーん。引退した身だからね。でもサインならいいよ」
と言うと、政子が渡した色紙に、彼は独特の筆記体で「naka」と書いた。
 
それは解散した人気バンド・クリッパーズのベースをしていたnakaであった。
 
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「ここ目立つから、どこか行かない?」
と言うので、サイン会が終わるまで10分ほど待ってもらってから、3人でショッピングモール内のカフェに入った。(こちらのサイン会の最中にも気付いた人数人にサインを求められ快く応じていた)
 
「新潟におられるとは知りませんでした」
「クリッパーズが解散してから、あれこれ変な話もってくる人が多くてさ。うちのバンドに入りませんか、みたいな話もたくさん来たし。面倒だから、知人を頼って新潟に来て、今は市内の飲食店で働いている」
「そうだったんですか」
「今日はたまたま店休日で、飯食いにここに出て来て、帰ろうかなと思って歩いていたら、いい感じの音楽が聞こえてきたんで、ふと立ち寄ったんだよね」
 
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「うちのバンドは、クリッパーズが突然解散して、その穴埋めでサマフェスのメインステージに立てたんですよ、今年」と私。
「ああ、そうなんだ。いや、あの突然の解散はあちこちに迷惑掛けたけど、それでチャンスをつかむ所もあったんだね」とnaka。
「私たちが高校時代に突然休養に追い込まれた時も、代役でピューリーズとかXANFUSとかがチャンスを掴みましたから。こういうのはお互い様ですね」と私。
 
「でもケイちゃん、今ローズ+リリーとローズクォーツの両方を並行してやってるでしょ?よくどちらかに填り込んで片方がおろそかにならないよね?バンドの人のソロ活動って、たいていバンドの解体につながっていくじゃん」
 
「うーん。元々ローズ+リリーがあって、ローズクォーツも別に始めたという感じだし。それにローズ+リリーはほとんど私とマリのプライベートな活動なんですよね。名前が付いたのは高2の8月に『明るい水』を出した時だけど、その1年前から一緒に曲作りしてたし。本当はローズ+リリーはインディーズでもいいんですけどね」
 
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「ミリオン2発出したユニットをレコード会社が放っとく訳ない」
とnakaは笑って言った。
 
「nakaさんは、もう音楽はなさらないんですか?」と政子。
「ずっと先には、またアマチュアバンドか何かでもするかもね。でも当面は音楽から離れて過ごすのもいいかなと思ってね。ある意味充電期間だけど、一生充電しっぱなしになるかも」
 
「でも寂しくないですか?音楽しないでいるの」と政子。
「ちょっとだけ」
「3年間ライブ活動を休養してる私が言うのも何だけど、観客の前で歌を歌う時の気分って凄いもん」
「確かに気持ちいいよね」
 
「セックスみたいだと思いません?」と政子は大胆な質問をする。
「ああ、確かにあの快感はセックスの快感に通じるものあるよね。
って、俺、女子大生歌手ユニットとこんな話するとは思わなかったな」
「女子高生の私たちならできなかった質問かもね」と私も言う。
「でもマリちゃんこそ、3年も休養したら、そろそろ活動再開していいんじゃない?それでステージ上でセックスの快感を味わうといい」
とnaka。
「全くですね」と私。
「そうだなあ」と政子は遠くを見つめるような目をした。
 
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その日は新潟を20:19の東京行き新幹線に乗り、大宮乗り換えで仙台まで行って仙台駅近くのホテルに泊まった。このホテルで私たちは(むろんHした後で)『青い恋』という美しい曲を書いた。
 
そして翌日は仙台・盛岡・秋田、と新幹線で移動しながらキャンペーンをした。
 
盛岡でのキャンペーンをした時、歌が終わったところでステージ近くにやってきた、赤ちゃん連れの女性がいた。私はその女性に見覚えがあった。
 
「こんにちは、赤ちゃん、元気ですか?」
「はい。娘は無事です。痕も残りませんでした。その節はお世話になりました」
 
それは6月にローズクォーツで福島・宮城・岩手の避難所300ヶ所を巡回した時大船渡の避難所で遭遇した女性で、この赤ちゃんがやけどをしたのを、その場で偶然遭遇したMTFのグループ数人で応急処置をしたのである。
 
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「こちらへはお買物ですか?」
「いえ。ケイさんがいらっしゃると聞いてやってきました」
「わあ。ありがとうございます。でもあの時、名乗らなかったのに」
「川上(青葉)さんに、あの後また1度、霊障相談に乗って頂いたんですよ。その時、あそこで歌ったのがローズクォーツだったことを聞いて」
「なるほど」
「でも本当にケイさん、歌がうまいですね。すっかりファンになっちゃった」
「ありがとうございます」
「それに元男の方だったのに、これだけ高音が出るのも凄いです」
 
「最近、それあまり言われなくなってたね」と横から政子が笑って言う。「そうそう。なんか、私完全に女として埋没してるからね」と私も笑って答えた。
「歌手やってなかったら、元男だということバレずに生きていけるかもね」
「かもね。でも私たちほとんどプライバシー無いもんね」
「どこどこで何何を食べていた、とかネットに書かれていたりするもんね」
「こないだ私、エスカレータ乗るところで躓き掛けたのまで書かれてたよ」
「そういうのも、もう慣れたけどね」
「きゃー。凄いですね。私には歌手はできそうにないわ」
 
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彼女はサイン会の列の最後に並んでくれたので、色紙にサインをして、握手した。赤ちゃんの頬にキスしてあげた。赤ちゃんの名前も訊いて母娘連名の宛名にした。
 

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夏の日の想い出・あの人たちのその後(3)

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