広告:國崎出雲の事情-8-少年サンデーコミックス-ひらかわ-あや
[携帯Top] [文字サイズ]

■夏の日の想い出・グリーングリーン(3)

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4 
前頁 次頁 時間索引目次

↓ ↑ Bottom Top

「でどんな映画なの?」
とMは訊いた。
「ルパンもので原作は『緑の目の令嬢』(*2)という話」
「知らないや。次元と五右衛門は誰がするの?」
「ああ、ルパン3世ではなくオリジナルのアルセーヌ・ルパン」
「ああ、お祖父ちゃんのほうか(*3)」
「でもこれは『カリオストロの城』の元ネタになったと言われる作品なのよ」
「へー」
 

↓ ↑ Bottom Top

(*2)原題『La Demoiselle aux yeux verts』で直訳すると『緑の目の令嬢』である。
 
英語では直訳して"The green-eyed damsel"あるいはdamselなどという古風な表現は避けて"The girl with the green eyes"などと訳しているようである。
 
この作品は日本では南洋一郎版などでは『青い目の少女』などのタイトルで紹介されている。日本では元々、信号機の色とか樹木の色を“青”と表現するように緑色のことを青とも言う習慣があった。しかし困ったことにこの物語には2人の魅力的なヒロインが登場する。
 
オーレリー:緑色の目の女性(祖父から秘密の遺産を受け継ぐ)
コンスタンス:青い目の女性(ルパンの正体を見抜く大泥棒)
 
↓ ↑ Bottom Top

オーレリーを“青い目”と翻訳した訳本ではコンスタンスは“空色の目”と訳している。
 
ふたりはどちらも魅力的でルバンが「どちらにしよう?」などと迷う場面まである。原作ではコンスタンスは途中で死んでしまうが、多くのドラマ化・映画化では最後まで生きているように改作されている。今回の翻案でもその流儀に従った。
 

↓ ↑ Bottom Top

今回は最初、七浜宇菜にコンスタンスとルパンの2役を演じてもらおうということで企画ができた。しかしその時オーレリーを誰にするか問題になった。変なアイドルとかでは宇菜の熱演を台無しにしそうである。その時ひとりが「アクアちゃんなら理想的なんだけど」と言った。
「しかしアクアは少女役だけの仕事は受けないよ」
とプロデューサーは言ったのだが、宇菜が
「アクアが出てくれるのなら、ルパン役は“彼女”に譲りますよ」
と言い、予算が4倍になって、企画が進むことになった。アクアが出るなら4倍の制作費を掛けても採算が取れるからである。
 
話を最初聞いたコスモスは最悪Fだけで制作することも考え、Fと相談したのである。
 
↓ ↑ Bottom Top

しかしアクアが2人とも出てくれることになったので、コスモスは監督撮影に河村チームの起用を要請した。河村チームならアクアが2人いることを承知で効率のいい撮影をしてくれるのでアクアの負荷が小さくて済む。葉月をボディダプルに使って2度撮影し、あとで編集するというのでは撮影に倍の日数が必要になる。編集にも撮影に掛かった時間の数倍掛かって大変である。この物語は特にルパンとオーレリーの絡みがとても多い。
 
河村チームはまた次の日独合作と連チャンになってしまうが。
 

↓ ↑ Bottom Top

それにしても困ったのが目(瞳)の色である。多様な瞳の色がある欧米とは違い、日本では瞳の色はバリエーションが少ない。緑や青の人がいない。一時はピアスの色にしてはという案も出て、アクアも
「ぼくピアス穴開けましょうか」
と言ったがコスモスが禁止した。
 
アクアのファッションは若い人に模倣されるのでアクアがピアスをすれば中高生が大量にピアスすることは容易に想像が付き、それは好ましくないと思われた。おとななら、美容外科に行くかピアッサーをつかうだろうが、中高生はちゃんと消毒されてない木綿針とかを使って炎症を起こすかもしれない。安物のピアスでアレルギーを起こすかもしれない。
 
青少年何たらみたいな団体から苦情が来そうである。
 
↓ ↑ Bottom Top

それで極めて模倣しやすい“緑の首飾りの女”ということになった。安価な樹脂製のイミテーションも公式ストアから販売した。他社からはグリーン・クォーツやクリーン・トルマリンのものも出たようである。撮影に使用したのはグリーンサファイアである。湖水のような透明感のある緑には、エメラルドや翡翠ではなく、グリーン・サファイアのほうがいいというのが美高助監督の意見だった。
 
物語の舞台は第一次世界大戦前の1909年4-8月に設定されておりルパンの事件としてはルパンが奧さんを失った『奇巌城』事件の翌年で、彼が34歳の時である。ヒロインは21歳くらいでほぼアクアの年齢相当である。この映画は2029年にリメイクされ、その時はアクアの従妹の美濃山淳奈(その当時15歳)がコンスタンス役を演じる(コンスタンスは本当は30歳くらいのキャラだが10代に改変した)。
 
↓ ↑ Bottom Top

アクアで昨年製作した映画『黄金の流星』が1908年だったから似たような時代であり、小道具や衣裳を流用可能である。実際、街の様子の映像なども流用している。
 

↓ ↑ Bottom Top

(*3) 本来は「盗みのテクニックが美事なのでアルセーヌ・ルパンの再来だということから“ルパン3世”と呼ばれた」という設定だったが、編集者から「そんな面倒くさい設定、読者には分からん。ルパンの孫ということにしろ」と言われて、設定変更された。ルブランの原作ではルパンの妻は何人か出てきており、息子もひとり出てくる。クラリスというのは本来ルパンの息子を産んだ奧さんのひとりの名前。
 

↓ ↑ Bottom Top

§§ミュージック関係で、2023年3月1日に高校を卒業したメンバーは下記である。
 
・白鳥リズム→タレント活動に専念
・中村昭恵→女優に専念
・大仙イリヤ→あけぼのTVのキャスターに専念
・斎藤恵梨香→社員契約に切り替え、若い歌手の製作指導に当たる。
・弘原如月→信濃町ガールズのマネージャーに転向
 

↓ ↑ Bottom Top

Traffic
・古屋きんつば(中能登)→金沢市内の大学に進学
・広瀬のぞみ(都城)→東京に出てきて信濃町エルフに参加。(リハーサル役や伴奏の仕事)
 
信濃町ガールズ:基本的には中学生以下
信濃町ミューズ:高校生世代程度
信濃町エルフ:20歳程度以上
 
これらを総称してまた信濃町ガールズとも呼ばれる。
 
信濃町ガールズのリーダーは中核生以下のまだデビューしていないメンバーから選ばれる。
 

↓ ↑ Bottom Top

§§ミュージックのタレントはA契約といって仕事単位でギャラをもらう(本人の取り分は業界最高水準となる4割)が、ガールズやミューズはB契約といい事実上の給料制である(一応ギャラ制で本人の取り分は2割(業界の標準的な比率)だが、月12万円(コロナ終息まで増額中)の最低保証があり、ほとんどの子はこの最低保証をもらっている。これは名目上は“報酬”なので確定申告が必要。専属条項があり§§ミュージックを通さない仕事はできない)。エルフは基本的に社員契約(年末調整をするので確定申告不要)。
 
(タレントも信濃町ガールズも確定申告で困らないように報酬は半分ずつ2つの口座に分けて振り込んでいる。しかしこの別口座の分を使い込み、確定申告に困って先輩に泣き付く子が毎年居る。花ちゃんやひまわりは「確定申告に困ったら貸すから絶対にサラ金は使うな」と指導している。なお別口座を用意せず社内預金にしてもよい:利率がとても高い)
 
↓ ↑ Bottom Top

なお地方ガールズはC契約といい、ギャラの取り分は2割だが、最低保証が無い。但し専属条項も無いので、ほかにモデルなどの仕事をしてもよい。レッスン代はタダである。またコロナが終息するまでは感染対策費として毎月1万円を支給している。その代わり人の多いところへの出入りをしないようにしてもらう。アルコールジェルとマスクも支給している。
 
なお§§ミュージックでは寮に住んでいる限り寮費・光熱費(wi-fi利用を含む)は不要だし食事も出る。生理用品は支給されるし、下着のクーポンももらえる。ストッキングやブラウスももらえる(元々は忙しくて洗濯する時間の無い子のために始めたもの:汚れたブラウスでテレビ局などに行かれては困る)。
 
↓ ↑ Bottom Top

寮の部屋は冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・ケトル・掃除機・テレビ・机・本棚付きである。信濃町ガールズのユニフォームなど仕事で使う衣裳は貸与される。交通もマネージャーが放送局などには送迎するし、私用でもSCCを使う限りタダ。地方の仕事は自前の飛行機で運ばれる(コロナが落ち着くまでは公共交通機関の使用は禁止)
 
また寮内にはATM、ポスト、コンビニ、クリーニング屋さんなどがあり、寮の外に出なくてもほぼ暮らせる。通常のコンビニは利用禁止だが、寮内のコンビニは利用可。ATMでは社内預金の出し入れもできる。医務室・カウンセリングルームもある。カウンセラーは§§ミュージックと直接の利害関係が無い人を(§§ミュージックではなくサマーガールズ出版が)雇っている。
 
↓ ↑ Bottom Top


しかし大仙イリヤが言っていた。
「本部生に昇格した時は『よし。アクアみたいな人気タレントになっちゃる』と思ってたけどガールズ本部生は才能のある人ばかりでメゲました」
 
それは多くのガールズたちの認識である。それでもイリヤはトークの才能を買われてあけぼのTVに自分の番組を持っており、卒業を機に正式のキャスターになったので、出世した部類である。
 
売れないことをネタにしている“売れないシスターズ”とか“出戻り組”などもいるが、彼女らもドラマの端役とかバラエティの雛壇要員程度は務まるので、テレビ局などからは
「信濃町ガールズは売れてない子でも基礎力が大きい」
と評価は高い。(*4)
 
またそれで結構使ってもらえる。普段から受け答えなどはかなり鍛えられているし、歌唱やダンスもたくさん練習している。コスモスや花ちゃんは
「何か言われた時に何も答えないのは芸能人失格。ダジャレでもいいから何か言え」
と言っている。
 
↓ ↑ Bottom Top

それで司会者などが、ネタに詰まった時に信濃町ガールズの子に無茶振りしたりする。それで何か答えるから、また使ってもらえる。
 
信濃町カールズが発足した時はデビュー前の子たちにステージ度胸を付けさせるのが目的だったのに、今や信濃町ガールズ自体が多くのタレント志願者たちの目標になっている。
 

↓ ↑ Bottom Top

この他に、羽鳥セシル、ビンゴアキ、栗原リア、松元蘭なども卒業した。セシル・ビンゴアキ・リアはタレント活動に専念する。蘭はタレントを引退し、大学に進学する。
 

↓ ↑ Bottom Top

(*4)日々のレッスン
・歌唱
・楽典
・ダンス
・ペン習字
・英語
・ビジネスマナー
・トーク
・楽器(最低キーボードは覚えてもらう。希望によりフルート・クラリネット・ギターなども)
 

↓ ↑ Bottom Top

3月9日(木)0:50、青葉が女の子を出産した。その報せはその日の始業前に東京の§§ミュージックにも伝わった。
「大宮万葉先生、赤ちゃん生まれたらしい」
「なんか妊娠出産ラッシュですね」
「ひろかさんも実は妊娠したのではなんて噂も流れてるけど」
「4月からのドラマも決まってたのにしばらく休業だもんね」
「それでスピカちゃんが代わることになった」
「ほんとにまだ妊娠してないみたいよ。ハネムーンベイビー作りたいと言ってたけど」
「来年の1月くらいに産みたいと言ってた」
「昔は新婚旅行って数年掛けてやってたから1番目の子供はたいていハネムーンベビーだったらしいね」
「へー」
「フローレンス・ナイチンゲールとかも両親が新婚旅行中にフローレンスつまりフィレンツェで生まれたからその名前を付けられた」
「なるほどー」
「新婚旅行中に妊娠して出産までしちゃう」
 
↓ ↑ Bottom Top

「そんな何年も掛けて新婚旅行して、お金はどうするんです?」
「昔の貴族は別に仕事しなくても収入があるから」
「むしろ昔のヨーロッパの感覚では労働なんて下等民のすることって考えだよね」
「へー!」
 

↓ ↑ Bottom Top

その日はアクアFとアクアMはふたりとも八王寺邸のほうで休んでいた。この日はテレビ番組の収録はあるものの、代役の蕪島順子ちゃんが行ってくれることになっている。それでMも(山城寛菜マネージャーの車で)八王寺邸に来てゆっくり休んでいたのである。
 
そこに千里がポルシェで乗り付ける。
「龍ちゃんたち、お仕事だよ」
「眠いです」
「昨夜仕事終わったの2時なんですよ」
「行く途中寝てていいから」
 
それでふたりと竜崎マネージャーを車に乗せ、出発する。山城寛菜マネージャー・彩佳・理史が手を振って見送る。
 
千里は裏口を出て林道との連絡路を走る。八王寺林業の所で車を停める。
 
「龍ちゃんたち、乗り換えるよ」
 
↓ ↑ Bottom Top

歩いてゲートを通り、グレイトスパイラルロードに入る。
 
黒いホンダジェットが停まっている。シルバーの縁取りが入っているこの機体は千里の所有機である(通常は縁取りが黄色)。本来のアクア専用機は赤である。下記の3機は原則として他の人には使わせない。それで舞音はオレンジの機体に読みかけの漫画とか好きなおやつとか置いている。(アクアは転送されることが多いので、飛行機の利用率が最も高いのが舞音)
 
赤 アクア(葉月は乗せる)
橙 常滑真音
青 ラピスラズリ
 
「こんな所から離陸するんですか?」
「今日の目的地はヘリコプターで行くには遠すぎるからジェット機持って来た。ここは直線が20km続いてるからコンコルドでも楽々離着陸できる」
「へー」
「ジェット機の離着陸に耐えられるようにこの部分は厚さ1mのコンクリートを敷いているんだよ」
「凄い」
 
↓ ↑ Bottom Top


↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁 時間索引目次

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4 
夏の日の想い出・グリーングリーン(3)

広告:放浪息子(7)-BEAM-COMIX-志村貴子