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■夏の日の想い出・グリーングリーン(2)
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目次 8
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「待ってください。万一男アクアと女アクアが居たとしてですね。この物語では、そのふたりが入れ替わるんですよね?」
「うん。だからマイヤーがロッテとしてミュンヘンに帰って、ロッテがマイヤーとしてウィーンに帰る。ロッテが苦手なお料理やピアノも優しい性格のマイヤーが上手にこなし、マイヤーが苦手なサッカーや数学も活発な性格のロッテがこなす」
(原作ではロッテが優しい性格で、ルイーズが活発な性格)
「じゃ女アクアが男装して、男アクアが女装するんですか?」
「アクア君は可愛いから女装行けるよ」
ダメだこりゃ。
実際にはここ2-3年、アクアFが男役をしてMが女役をしている。Fの女装とMの男装では同一人物に見えなくなってきたからである。Fの男装とMの女装ならわりと似た雰囲気になる。ふたりの物理的な容貌は同じでも、性別意識が違うので表情や仕草に差違が現れ、それが見た目の差となる。
それで男意識のMに女装させ、女意識のFに男装させて、どちらも中性的な雰囲気にするのである。
なお今年の日独合作アクア映画は結局双子ネタではあるが、シェイクスピアの『十二夜』をすることになった。
2023年2月。
その日アクアは言った。
「ぼくには父が2人もいるから大丈夫だよ」
その日は七浜宇菜の事務所の後輩、横須賀敦美ちゃんが§§ミュージックにお使いに来て、たまたま来ていたアクアと少し話していた。その時、敦美が
「アクアさん、2歳の時にお父さんを亡くされたんですね」
と言ったのに対するお答えである。
居合わせた花ちゃんが補足する。
「小学1年の時から育ててくれた田代のお父さんと、もうひとりは海原先生だね」
ワンティスの海原重観は、アクアの叔母・長野支香の夫で、しばしばアクアの後見人的な役割を果たしている。彼はアクアに自分を『お父さん』と呼ばせている。それで、海原と支香の娘・美奈代(後の美濃山淳奈。現在小3)はアクアを『お姉ちゃん』と呼ぶ!
「お母さんやお姉さんもたくさんいるし」
「そうですね、志水の母、田代の母は、どちらも『お母さん』と呼びます。お姉さん的な人としては、ケイ先生に醍醐先生に醍醐先生の秘書の天野さん、そして花ちゃんさんもそれに近いし」
「醍醐先生はアクアの庇護者だよね」
「守ってもくれますが、たくさんお仕事もさせられます」
「あはは」
アクアは仕事が忙しすぎて限度を超えた時、しばしば千里の所に逃げ込む。しかし休んでいるアクアをヘリコプターに乗せて撮影現場とかに連れて行くのも千里である。
2月27日(月)、高崎ひろかはコスモス社長と一緒に記者会見し、4月26日に結婚することを発表した。ひろかはもらった婚約指輪も見せていた。
・結婚に伴い、一時的に歌手・女優の活動を休養する。(引退ではない)
・作詞などの仕事は休業しない。
・今後はマイペースで仕事をしたいので、個人事務所を設立し、§§ミュージックからは独立する。(事務取扱は§§ミュージックが継続して扱う)
・妹の松梨詩恩は♪♪ハウス、水森ビーナは§§ミュージックに引き続きお世話になる。
・§§ミュージックから離れても“高崎ひろか”の芸名は継続使用してよいことで、高崎側と§§ミュージックは合意した。
記者から質問があり、結婚相手は俳優の江藤真澄(江藤レナの兄)であることを明かした。
「妊娠してますか?」
という質問には
「今は妊娠してませんけど、赤ちゃん欲しいです」
と答えた。
後になってから、実はドラマで共演した大女優さんから
「子供産むなら20台前半だよ」
と言われたのが結婚を決意したきっかけであることも語った。
結婚式は当日あけぼのTVで中継してもらい、お披露目に代える。また現在レギュラーになっているテレビ番組からは3月いっぱいで降番することを各テレビ局に了承してもらった。一部の番組は、松梨詩恩・姫路スピカなどが引き継ぐことになっている。
「ひろかさんがバレンタインに結婚すれば良かったのに」
つい先日バレンタインデーには神田あきらと金沢在住の槇原歌音が結婚してあきらは石川県に移住し、大きな話題になっていた。
「クール途中で結婚して降番すると契約違反になるので」
神田あきらは石川県から新幹線で東京に“通勤”してきてテレビ局の仕事をしている。凄い根性だ。18歳という若さのなせるワザだろう。
§§ミュージックの事務所は昨年10月に引っ越していったんビルの3F,5Fの2フロアを借りていたのが、その後2Fが空いたので、今年2月、5Fにあった部屋を2Fに移動した。この時、社長室に隣接してコスモスの私的休憩所を設定して、そこにコスモスと夫の木取道雄が住み込んだ。あくまでふたりの私邸は北千住のマンションなのだが、来年の3月くらいまで、2人がここに“滞在”することになった。その期間にコスモスか夫の道雄のどちらか?が妊娠出産して初期の育児までする計画である。つまり子作りのための基地である。そして2月、『道雄が妊娠した』(コスモスの弁)らしい。
川崎ゆりこ副社長も12月に妊娠し、5〜11月は産休を取る予定である。
“道雄の妊娠”という話を聞き、§§ミュージック会長のケイは緊急幹部会議を招集した。ケイ以外に集まったのは下記でる。
・取締役制作部長・村山千里(醍醐春海)
・取締役(無役)田代龍虎(アクア)
・音楽部長・川内峰花
・音楽部次長・花咲ロンド
・音楽部長代理・米本愛心
・マネージング部長(デスク)沢村朋代
「何もコスモス社長とゆりこ副社長と同時に妊娠しなくてもいいのに」
と愛心が言った。全くである。もう少しずらしてくれたら良かったのに。
「それぞれの予定日はいつですか?」
「ゆりこ副社長は8月下旬が予定日。5月下旬〜11月下旬が産休。コスモス社長は11月上旬が予定日だけど産休は要らないと言ってる。そのために事務所の隣に引っ越してきた」
「産休無しというわけにはいかないよ」
「じゃ前後1ヶ月休むとして10月〜12月がお休み」
「するとコスモス社長が臨月に入ってからゆりこ副社長が産休明けるまでの10-11月が課題だな」
千里は言った。
「その間は取締役の私とケイとアクアの3人交替で社長室に詰めない?」
アクアが
「ぼく無理ですー」
と言う。
「今既に仕事がオーバーフローしてるからな」
「アクア5人くらいに増やしてあげようか」
「なんかコンピュータでも増設する感覚だ」
「ほぼ備品扱い」
「しかしアクアが5人になったら仕事は10倍になる」
「ありそうありそう」
「死ぬ〜」
「仕方無い。10-11月は私と千里の交替で社長室に詰めようよ」
とケイ。
「それが妥当でしょうね。幸いにも仕事の少ない時期だし」
と花ちゃん。
「私は30人いるしケイは40人いるから何とかなるかな」
と千里。
「アクアは3人しか居ないから辛いよね」
とケイ。
この人たちはどこまでがジョークか分からんな、とロンドは思った。
千里は提案した。
「ケイのマネージャーの鱒渕水帆さんあたりにさ、今年いっぱい社長室に常駐してもらえないかな、連絡係として。肩書きは社長室秘書とかで」
「ああ、やってくれると思う」
「鱒渕さんなら安心です」
彼女はみんなの信頼度が高い。山村マネージャー(勾陳)などは全く信頼が無い。ケイが鱒渕に連絡するとやってくれるということたった。
それで、デスクの沢村、スケジュール管理の元締め・美咲瞳と一緒に作業する。今年いっぱい、美咲の机も社長室に移すことにした。マネージャーの大部屋には美咲のアシスタント・山門麻耶のほうが常駐する。この機会にスケジュール担当はもう一人増員することにした。タレント総数が100人を越える大所帯のスケジュールを美咲瞳・山門麻耶という2人だけで管理しているのも大変である。
一応システム部のスケジュール管理チームが10人ほどでプログラムも援用してサポートしている。ジェット機・パイロットや車・ドライバー、また伴奏陣などの手配はそちらでするし、ダブルブッキングなどは彼らもチェックしている。それでも美咲の記憶に頼る部分は大きい。コスモスは「瞳ちゃんはこの事務所でアクアの次に重要な人」と言って彼女には月給を500万払い(上司の沢村より高い)、専任のドライバーと料理人に雑用係も付けている。一方でコロナ防御のためスーパーやコンビニなど人の多い場所への出入りと公共交通機関の利用を厳禁している。瞳に何かあったら§§ミュージックは大混乱に陥る。
アクアFは(夫が?)妊娠中のコスモスがわざわざ八王寺の自宅まで訪ねてきたので恐縮した。
「ちょっと面倒な役をしてもらえないかと思って」
「何をするんですか?」
「アルセーヌ・ルパンの『緑の目の令嬢』」
「令嬢?」
「もちろんアクアが緑の目の令嬢を演じる。ついでにルパンも演じる。この物語ではルパンは脇役で傍観者にすぎないけどね」
「みちお(アクアM)がOKするとは思えません」
「だから、ふじえちゃん(アクアF)の所に来たのよ」
アクアたちはここ2年ほど、Fが八王寺邸に住んでいて理史と半同棲しており、Mは代々木のマンションに住んでいて彩佳と完璧に同棲している。元々Mが彩佳と同棲しているので自分が寝るところが無いといってFは九重に八王寺の家を建ててもらったのである。
(Fも理史と同棲したいと言ったがコスモスから“怖い目で”『ダメ』と叱られた。Mの彩佳との同棲は黙認してるのに!)
一昨年アクアに『白雪姫』に出てくれと要請に来た時は、コスモスはFは承諾するだろうからというのでMを説得するために代々木に来た。しかし今回は八王寺に来た。その理由はFもコスモスの話を聴いて分かった。
Fは、ビキニの水着を身に着けると、八王寺邸に同居している竜崎マネージャーを伴い、ホワイトステンレスの“鏡”を通って代々木のマンション10階の部屋に移動した。八王寺の家と代々木のマンションは直線で50kmほど離れており、鏡を使うと約30秒で移動できる。ここを通れるのは、アクア、竜崎、千里、コリン、緩菜、そしてキツネたち(北海道系)などである。アクアMも通れるはずだが、通ったことはない。そもそもMは、マンションの10階の部屋に鏡があることを知らない!(鏡が通れることも知らない)
アクアはこのマンションの10Fと18Fに戸を持っており、Mは広い18Fのほうを使っている。狭い10FのほうはFの専用エリアでMはFがそこを何に使っているのか知らない。都心の休憩場所かななどと思っているが、実は鏡を置くのが目的である。ちなみにこの10Fの戸の購入価格は6500万円である(18Fのは2億円)。
エレベータで18階に昇り、アクアの部屋にはいる(Fも鍵を持っている)。彩佳は朝食の準備をしているようだったが、Fが指を口のところに立てて「しー」と言うと笑顔で頷いている。Fはそのまま寝室に行くとベッドの下のほうから布団に潜り込み、裸で寝ていたMのペニスをいきなり咥えた!
「ん?彩佳?」
と眠そうな声。FはたいがいMのペニスを舐めてから、「ばあ」と言って顔を出した。Mは一気に目が覚めた。
「ばか!何するんだよ。万が一にもぼくたちの間で赤ちゃんできたらまずいじゃん」
「ばかねえ。フェラでは妊娠しないって。それともみっちゃん(Mのこと)に生出ししてあげようか」
「よせ」
「だったらボクに入れてよ。ボクは妊娠してもいいから」
「しない」
Fが妊娠して産休を取ったら、きっとMは過労死する。
「それでお仕事の話だよ。クリちゃんグリグリしてあげるから聴いてて」
「待って。仕事の話ならリビングで」
と言ってMはベッドから抜け出した。それでFも一緒にリビングに行く。Mは取り敢えずその辺の青いワンピースを着た。(アクアは男物の服を持ってない)Fも竜崎に持って来てもらっていた白いワンピースを着た。
なおMは額に口紅で落書きされていることに気付いていない!
Fは言った。
「ギャラは4億円なのよ。それを事務所と山分け。だからボクとみちおで1億ずつ」
すると彩佳が
「やるやる」
と言った。
「それもしかして、ぼくとふじえの2人必要なの?」
とMが訊く。
「そそ。2役。美少女と紳士」
「なるほどー」
「宇菜ちゃんとの共演なんだけどね」
「宇菜ちゃんと一緒なら、やるよ。“彼”と約束したしね」
「じゃやっていいね。気乗りしない場合はボクがひとりでやって、みちおには同時進行になるドラまをやってもらおうと思ってた」
「ドラマ?」
「XANADU(ザナドゥ)って40年前にオリビア・ニュートンジョンが演じた映画のリメイク」
「もしかして女の子役?」
「音楽の女神様の役。ローラースケートができることが条件」
「ドラマで女神様やるよりは宇菜ちゃんとの映画のほうがマシっぽい気がする」
「じゃやるね?」
それでFはコスモスにメールして
「MもOKです。ドラマは誰か他の人でお願いします」
と連絡した。
それでXANADUは、常滑舞音で制作されることになった。舞音は元々ローラースケートができる。玉突きで舞音にオファーが来ていたドラマは恋珠ルビーに回された。CMの一部は薬王みなみや川泉パフェ・水谷姉妹らが起用された。
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夏の日の想い出・グリーングリーン(2)