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美夏はできるだけ大人っぽい服を着て、メイクも少し濃ゆめの色でまとめてみた。眉を細くカットした上でしっかりとペンシルで描く。これだけで年齢が5つは上に見える、と自分では思う。
そして情報誌で調べた場所にドキドキしながら近づいて行った。軍資金に万札を数枚、銀行からおろして来ていた。「ここだ」心臓の鼓動を抑えるようにして、そのピンクのドアを開ける。
「いらっしゃい」とすぐに声が掛かった。「あら、あなた女の子?」とても可愛い顔をした多分18〜19歳かなという感じの女の人が声を掛けてきた。いや女の人じゃない。きっとこの人も.....
「多分、あなた生まれながらの女の子よね」
「あ、はい。生まれた時からおちんちん付いてません」
美夏はかなり開き直って来た。
「あのぉ、お姉さんは本当は男の方なんですか?」
「うふふ。ハッキリ言う子ね。気に入ったわ。私はもう男じゃないの。全部手術しちゃったから。私は真知子。よろしくね」
と言う。やっぱりそうなんだ。信じられない。声だって女の人の声にしか聞こえない。
「今日は、どんなタイプの子と遊びたいの?」
とその真知子さんが訊いた。
「タ、タイプ?」
「おちんちんはあるけどタマは無い子、完全性転換済みの子、まだ両方ある子、それからまだオッパイも無い子」
美夏は反射的に
「オッパイはあって、おちんちんもタマもある人いますか?」
と言った。オッパイも無かったら完全に男の身体だ。そういう人と密室で二人きりになることは、春紀を裏切る行為のような気がしたのだ。オッパイのある人なら、半ば女の人に分類してもいいだろう。
「空いてるわよ。ハルカちゃん!」
やって来たのは真知子さんに負けないくらいきれいな人だ。この人におちんちんやタマが付いてるの?信じられない。
「あの、私プレイとかよく分からなくて。ただ見たり触ったりするだけ、というの構いませんか」
「もちろん、いいわよ。ここは色々な要望の人がいるから」
とそのハルカさんが答える。
「えっと、料金は今払えばいいんですか」
「後でもいいけど今でもいいわ。ところであなた高校生くらいじゃない」
「あ、それは....」
美夏はヤバイかなと思って口ごもる。
「いいのよ。気づかなかったことにしてあげるから」
と真知子さんが言った。
「学生割引ということで、5000円払ってくれる?」
「あ、はい」
美夏は財布からお金を出して渡す。そしてハルカさんと一緒にひとつの個室に入った。
「あの、ハルカさん、とてもきれいですね」
「ありがとう」
「でも、おちんちんもタマも付いてるんですね」
美夏は次第にこういう言葉を口に出すのが平気になってきている自分に驚いた。
「そうなの。取っちゃうと後戻りできないからまだ決断が出来ないでいるのよね。お金の問題もあるけど」
「手術代って高いんですか?」
「完全に女の子の形にするのには100万円くらい。タマを抜くだけなら30万円くらいね。タマ抜きだけなら簡単な手術だけど、それでも技術のしっかりした所でしてもらわないと、大きな血管が通ってる場所だから」
春紀のお母さんは春紀の身体の手術に幾らかけているんだろう、と美夏は疑問に思った。
「あのぉ、見せてもらっていいですか?」
「もちろん。全部見せてあげる」
ハルカさんは服を全部脱いだ。
ボディラインは完全に女の子体型だ。腰もきれいにくびれている。バストは大きい。Dカップくらいありそうだ。でも股間には普通の女の子の身体に付いていないものがあった。「ちょっと待って。洗うわ」と言ってハルカさんはその付近にシャワーを当て、石鹸で洗っていた。そしてタオルで拭くと「OK。自由に触っていいわよ」と言った。
美夏はおそるおそるそれに触る。意外と小さいものかな、と最初は思ったが、美夏が触り出すと、それは大きくなり始めた。
「あ、ごめん」
「いえ、いいです。反射的なものでしょう?」
美夏は気にせずその大きくなってきた物の握り具合を見たり、少し全体の形を観察したりした。
「小さい時と大きい時で、どのくらい差があるんですか?」
「私のは平均的な男の人のよりは小さいと思うけど、小さい時で3cmくらい、大きくなると14cmくらいだよ」
とハルカさんは答えた。計ってみたことがあるということか。
「4倍以上に変化するんですね。すごいなぁ」
美夏は制限時間いっぱいまで、ひたすら観察をしたり質問をしたりした。
その日、美夏が今日は海水浴に行っているというので、春紀は補講が終わった後、図書館で数時間勉強した後で下校した。その時、校庭では陸上部の人達が砲丸投げの練習をしていた。
「あ、あれ、憧れの春紀ちゃんだ」
順番を待ちながら何気なく校舎の方を見ていた男の子が言った。それは1年の時に春紀にラブレターを渡して見事に振られた子だった。
「先輩の好きな人ですか?」
と後輩の男の子が訊く。
「うん。好きだったけど彼氏がいるんだって」
「じゃ仕方ないですね」
「鶴田春紀って言ってさ、顔も可愛いけど、頭もすごくいいんだぜ。学年の中でも10位以内に入ってるんだから」
「鶴田春紀?」
「ん?何か知ってるの?」
「いや、俺の中学の1年上に鶴田春紀って居て、この高校に学年で一人だけ合格したんですけど、だけど男だったから」
「それは別人だろ。同姓同名だよ。春紀って名前は男も女もあるから」
「でも鶴田春紀という名前自体はそう多くないですよ」
「じゃ何か、あの子は実は男で女装しているとでも言うのか?」
「いや、そんなのバレちゃいますよね。いくらなんでも」
「そうだよ。だって、あの子が男だったら、俺は男を好きになったことになる。俺ホモじゃねえし」
彼は何か考えているようだった。
翌日、美夏は午前中いつもの通りにバイトに出た。早苗は本当によく焼けていた。これで白いアイメイクなどしたら一時期流行ったヤマンバだ。さすがにそんなメイクは店では許されない。「昨日はありがとうね。ちょっと行ってきた」
「行ったの?すごーい。後で色々聞かせてね」「うん」
お盆が近いせいか、お客さんの数が少ない。いつもよりは少しペースを落としていいので、昨日のハードな行程の疲れを取るのにちょうどいい。しかしそれで余計途中で眠くなってきた。美夏はゴミ袋を持って外に出しに行った。袋を所定の場所に置き、ついでにひとつ伸びをして頭の中に新鮮な空気を取り入れる。そして店内に戻ろうとした時、ふと目の端にそれは飛び込んできた。美夏はそれには気づかない振りをして、そのままドアの中に消えた。早苗と前島さんが抱き合ってキスしていたのだ。向こうも夢中で周りのことには気づいていない感じだった。ドアの向こうで美夏は大きく肩で息をした。
「なーんだ。私はタダのダシに使われただけか。あははは」
美夏は首を振ると仕事場に戻った。
そこに店長が声を掛けてきた。
「亀井さん、君は13日から17日までの間は休み無しで良かったんだっけ」
「はい、大丈夫です」
「いや、どうもお盆の間の人手が足りない感じでね。君の友達でその間だけでも臨時に入れるような女の子っていないかな。経験無くてもいいんだけど。ただできればスタイルはいい方がいい。あまり太った子だと制服の合うのが無いから」
美夏は瞬間的に春紀のことを考えた。さっき前島と早苗のラブシーンを見て急に春紀のことが恋しくなってしまったのもあったかも知れない。
「ちょっと心当たりあります。今日上がった後で訊いてみます」
と答えた。
「え?バイト?ボクが?」
春紀はちょっと戸惑った。
「うーん、うちの高校はバイト禁止なんだけど」
「13日から17日まで5日間だけでいいのよ。それくらいならバレないでしょ」
「でも補講が」
「その後で構わないと思うよ。特に午後3時頃から夕方7時くらいまでが混むから、その間の人手があると助かるのよね。お勉強はその後で一緒にやろうよ」
「うーん、そうだなぁ」
「うちの制服可愛いよ。春紀も可愛い服着るの好きでしょ?男に戻ったら、こんなの経験できないからさ。女の子している内に一度してみようよ」
「それも面白い気がするな」
春紀は簡単に落ちた。
昨日が一緒に勉強できなかったので今日は2日分したら、終わったのがもう夜の12時近くだった。遅い時間まで居間を使うのは伯母さんに悪いので今日は途中から美夏の部屋でしていた。春紀が美夏の額にキスをして自分の部屋に戻ろうとした時、美夏は言った。
「ねぇ、今日はHしようよ」
春紀はびっくりした。
「今日はまだ金曜日だよ」
「いいじゃん。今週は今日したいんだもん」
「仕方ないな」
と春紀は言っているが嬉しそうだ。美夏に近づいて抱きしめて、唇にキスをした。
「ねえ、裸になって」
「うん」
春紀は嬉しそうに服を全部脱ぎヌードを美夏に見せた。こういう反応の仕方は男の子だよな、多分。と美夏は思った。しかしそのヌードは昨日見たハルカさんのとは全然違う。
ハルカさんも女の子体型だと思ったが、春紀の身体を今見るとハルカさんはやはり男っぽかったんだなと思った。ボディラインのきれいさとバランスが違う。バストはハルカさんよりは小さい。今春紀はCカップを付けている。しかし股間には何も無い。いや、無いどころかそこには本当に女の子の印があることを美夏は知っている。
「触っていいよね」と言って美夏はその股間に手を触れた。本当はここにはちんちんがある筈なんだ。ハルカさんにあったように。そしてそれを海パンに収めたら前島さんみたいに盛り上がるんだ。そう思った瞬間、前島さんと早苗のキスシーンが網膜によみがえった。不快だ。美夏は急にイライラして春紀に当たった。
「どうして春紀おちんちん取っちゃったのよ。遊べないじゃない」
「ごめん」
「本当に男の子に戻ってくれるの」
「もちろんだよ。高校卒業したらちゃんと手術してもらうから」
「こんなもの付けちゃってさ」
美夏は春紀の割目の中に指を入れると、その奥に指を進めた。穴にぶつかってハッとする。
美夏は引き出しの中から、いつかの鉛筆型消しゴムを取り出した。コンドームを1枚取り出してかぶせる。
「そこに入れさせて」
「また?しばらくしなかったから飽きてくれたかと思ってたのに」
と春紀は頭を掻きながら言う。しかし抵抗することもなく、ベッドの上に横たわって膝をまげた。
「違うの。今日は前に入れたい」
「え?」
「だって、こっちの穴に入れるのが本来でしょう」
「ちょっと待ってよ。ボクの処女を奪っちゃうの?」
「私に奪われるのは嫌?」
「いや、美夏にだったら構わない。でも消しゴムで?」
「私が春紀のおちんちんもらってくっつけて、それで春紀とセックスすればいいの?」
「いや、そんなことない。その消しゴムで構わないよ」
「素直でよろしい」
美夏は慎重にその場所を開き、ゆっくりとインサートした。
「どう?感じは?」
「よく分からない。でも初めてなのに、あちらの時よりスムーズに入っちゃった」
「それは、本来ここは物を出し入れするようにできている所だからね」
「出し入れって?」
「おちんちんを入れて、赤ちゃんを出すのよ」
「え?赤ちゃんってここから出てくるの?」
「他にどこから出てくるというの?」
「あ、そうか。ここが子宮とつながってるんだもんな。でもこんな小さな所からよく出てくるな。すごい。あ、ボク今日のこれで妊娠しちゃったらどうしよう?」
春紀は相変わらず性に関する知識が怪しい。美夏はつい吹き出したくなったがまじめに答えてあげた。
「大丈夫よ。ちゃんとコンドーム付けてるんだから」
「あ、そうか。だったら安心だよね」
美夏はサービスで出し入れしたり中で回したりしてあげた。春紀は何だかとても気持ちよさそうにしている。私がこの人の女の部分の開発を益々しているのかも知れないなと美夏は思った。しかし春紀が気持ち良さそうにしているのを見て自分も満たされてくる感じがした。やがて抜いたが春紀は眠ってしまいそうだ。美夏はそっと部屋を出て、春紀の部屋に入り、そこのベッドで睡眠を取った。
翌々日。補講が終わった後、春紀は町に出て美夏が勤めているファーストフードに向かった。うまい具合に美夏が店内でテーブルの掃除をして回っていた。
「ハロー、美夏、来たよ」
美夏は春紀を店長さんの所に連れて行った。店長は即OKを出してくれる。女子更衣室に連れて行き、Mサイズの制服を取り出して春紀に着るように行った。春紀の体型は美夏とほとんど変わらない。自分が着ているサイズで大丈夫と判断できた。
春紀はこういう店で働くのは初めてだったが、お客としては何度も入ったことがあるので、何となく何をすればいいかは見当が付いた。まずは店内の掃除をして周り、ゴミ出しをし、また番号札を持って待っているお客様の所に商品を届けたりした。4時すぎになると少し店内が空いてくる。そこでレジでの挨拶がすぐに覚えられるかチーフに試された。大丈夫と判断してもらえてテスト的に30分ほどレジ打ちをした。美夏は春紀が要領よく覚えていくので感心し、またこんな彼を持っているというのは自分は幸せ者かもと思った。その時前島の姿が見えた。美夏はまた急に不快な気分がした。
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受験生に****は不要!!・転(3)