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■春眠(3)

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そうして青葉は彪志と一緒にみどりの窓口に行き、彪志の分の特急券を追加で発行してもらった。そしてまだ開いてた構内のコンビニで夜食やおやつなどを調達しておく。
 
そんなことをしてからホームに行ったら、ほどなくサンライズは入線してきた。ふたりで指定の部屋に入る。
 
とりあえず下の段のベッドに並んで腰掛けた。
「この列車、シャワーも付いてるけど、浴びてくる?」
「えー?そんなのもあるんだ。いいね」
 
やがて車掌さんが回ってきたのでシャワー券を2枚求めた。
「おふたりはご兄妹ですか?」と尋ねられた。
「はい、そうです」と青葉がにこやかな顔で答える。
「私がひとりで出雲まで行く予定だったのを、兄が心配して岡山まででも付いていくといって、急遽特急券を追加したんです」
「なるほどですね。お気を付けて」
と、車掌さんは特に不審には思っていない雰囲気であった。
 
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「青葉って、平然と嘘つけるんだ?」と彪志が呆れている。
「女の子は誰でもこのくらいはできますよ〜」と青葉。
「そういうものなのか・・・・」
 
交替でシャワー室に行ってきてから、東京駅で買ったおやつを開けて摘む。おやつの箱を間にして、ふたりともベッドの上に座り込んでいる。
 
「なんかシャワー浴びてきたら少し落ち着いた。さっきまではけっこう心臓がドキドキしてたんだけど」
「なんで?」
「だって・・・・・好きな女の子とふたりで個室にいるなんて、男なら誰でもそわそわしちゃうよ」
「ふーん」と青葉は謎を掛けるような笑顔で彪志を見た。
 
「青葉はその・・・ドキドキしたりしないの?」
「さあ、どうかな?」と青葉は答えをはぐらかせる。
 
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「あ、そのストラップ使ってくれてるんだ」と彪志はようやく青葉の携帯のストラップに目が行った。
「うん。すごく嬉しかったから。誕生日のプレゼントなんてもらったの、生まれて初めてだったもん」
「そっか−。去年は何も贈ってあげなくてごめん」
「ううん。去年は私携帯持ってなかったし」
「それは確かに」
 
「でもね」と青葉はうつむき加減な視線で言う。
「うん」
「私も少しドキドキしたかな」
「やはり?」
「だって、気になる男の子とふたりだけの空間にいるんだから」
 
「俺って青葉にとって『気になる男の子』?」
「凄く気になる男の子。そして・・・」
「そして?」
「好き・・かも」
 
青葉はそのことばを真面目な顔で言った。笑みを停めて真剣なまなざしを彪志に投げかけた。
 
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「青葉・・・・・」
「・・・・?」
「初めてだよね。『好き』って言ってくれたの」
青葉は少し照れるように笑顔を作ると視線を外しながら言う。
「好きかもってのは、実はけっこう前から思ってた。でもまだ『好き』って言い切れるだけの自信が無い」
 
「自信なんかなくてもいいよ、今は。一緒にいる内に、それが事実になるから」
「一緒にいれば・・・・・か」
「俺と青葉って、たしかにふだんは遠い所に住んでいるけど、俺はこの2年間、ずっと青葉のそばに心だけは居たつもり」
「心・・・・・・そうかも知れないね」
「俺、これからもずっと青葉のそばに心は居るつもりだよ」
 
「私・・・けっこう、彪志のことを心の支えにしてたかも、という気はする」
「これからも心の支えにして」
「そうだね」
と青葉は笑顔で言った。
 
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「じゃ、私、あらためて言う」と青葉は少し真剣な表情に変えて言った。
 
「私、彪志のこと好き・・・・多分」
 
「『多分』付きか!うん。いいよ、今はまだ」
「ごめん。まだ断言しきれない」
「少しずつ俺達の心の距離が近づいていけば、すぐ断言できるようになるさ」
「そうかも」
 
「でも彪志と今夜同じ個室で過ごしたなんて、お母ちゃんには言えないなあ」
「俺も親父にさすがにこれは言えない」
「桃姉だと煽られそうだけど。せっかく個室で一緒になったんなら、やっちゃえって」
「ははははは。俺、理性のタガが停めてるけど、青葉と本当はやっちゃいたい」
 
「うふふ。何なら、どちらかの段で一緒に寝る?」
「ちょっと待て〜! そんなことしたら、もう俺理性のタガが吹き飛ぶよ」
「ごめん、冗談」
「え?上段で一緒に寝るの?」
「違う違う、ジョークってこと」
「あ・・・・ごめん」
 
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「でも一瞬、本気にした?」
「男の子をそういうからかいかたして、やられちゃっても知らないよ」
「彪志は、私をやっちゃいたい?」
「もちろん」
 
彪志が青葉を真剣なまなざしで見つめた。
青葉も真剣に見つめ返す。
彪志がふたりの間に置かれていたおかしの箱を脇に寄せ、身体を近づけてきた。青葉は目を閉じない。
距離1mが50cm, 30cm と近づき、10cmを切る。
 
そして接触。
 
あれ?と青葉は思った。以前嵐太郎とキスした時はキスした瞬間、体内の気が乱れまくってアラートが点きっぱなしの状態になったのに、今彪志とキスしても青葉の体内の気は全く乱れない。むしろ流れはそのままで勢いづいている感じだ。えー?キスしたら、ああいう状態になるものと思い込んでいたのに! 乱れるんじゃなくて快感!
 
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あ・・・・と青葉は思い出す。
 
ずっと前に菊枝とふたりの気の流れを合体させたとき、物凄い勢いで気が流れた。あの感覚に似てるんだ!菊枝はあれをセックスに似たものと言っていた。そうか。きっと相性がいいと、身体の接触でこういう状態になるんだ! 青葉は、もしこのまま彪志とセックスしてしまったら、あの時、菊枝と体験したのと似たような状態になるのかも知れないという気がした。青葉はそれに純粋な興味を抱いた。ちょっとしてみたい気もするな。実際、今日は彪志とどこまで行くのだろう?
 
青葉はキスしたままの状態で、彪志に身を寄せた。そして彪志に抱きつく。彪志も青葉を抱き返して、ふたりはしばらくそのままの状態でいた。
 
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その時間に耐えられないかのように、唇を合わせたままの状態で彪志が青葉の背中にまわした手で背中を撫でるようにする。青葉も彪志の背中を撫でるようにする。彪志は迷っている感じだったが、やがて青葉の唇に自分の舌を当ててきた。
 
青葉は日香理がキスには2種類あるんだよ、ということを言っていたのを思い出した。ふつうに唇を接触させるだけのキスと、お互いの舌を相手の口の中に入れ合い絡め合う、ヘビーキスあるいはフレンチキス。日香理は彼氏とのHを断った日、その代わりに、今日だけ特別だよ、と言ってフレンチキスをしたと言っていた。今、彪志はそのフレンチキスをしようとしてる!
 
青葉は唇を開いて彪志の舌を受け入れるととともに、自分の舌も彪志の口の中に侵入させた。絡め合う。さっき食べたお菓子の味がしちゃう。あはは。でも、なんかこれ凄い!エロい!こんなことまでしたら、もう相手と何してもいい感じ。まるで恋人みたい!!あれれ??私と彪志って恋人なんだっけ!?青葉は体内の気の流れが益々勢いづいているのを感じていた。これ、凄い快感!!!
 
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青葉は身体の姿勢を少し変えて、自分の後ろの方に少し倒れ込む感じの重力を掛けた。彪志がいったん唇を離し「あ・・・」と言いながらも、青葉を押し倒すようにした。青葉の上に彪志が乗った体勢のまま、しばらくふたりはお互いの身体を撫で合った。
 
「俺・・・・・」
「うん?」
「恋愛ではやれそうな時はやれる所まで行っちゃえ、ってポリシーなんだけど」
「・・・私もね、よく恋愛相談とかされるけど、迷ってる子にそういうこと言うよ」
「行っちゃっていいの?」
「ここで、この続きはまた今度、なんて言ったら、そういう時に限って、その『今度』ってのが、なかなかやってこないの。恋愛って、そういうものだと思う」
「同感」と彪志。
 
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「あ、でも・・・・」と彪志が少しだけ迷うように言う。
「まさか、こんなことが起きるとは夢にも思わなかったから、俺『アレ』の用意が無い・・・・・」
「私、持ってる。恋愛相談してきた子にしばしばあげてるもんだから」
「青葉、どうかした国なら処刑されてるな」
「うん。私、日本に生まれたから生きてられるんだと思う」
 
「でも・・・俺、どこに入れればいいんだっけ?」
「誘導してあげる。コンちゃん付けたらやりやすいハズ」
青葉は笑って言うと、いったん身体を起こして彪志から離れ、荷物の中から箱を1つ取り出し、その中に入っていた『アレ』を1枚切り離して彪志に渡した。
「なんかたくさん持ってない?」
 
「さすがに地元では買いにくいから、東京に出て来たついでに10箱買って来た」
「わ」
「だって欲しがる子、たくさん居るんだもん。買いに行くの恥ずかしいから頂戴って言ってくる子もけっこういるし」
「今時の中学生は凄いな・・・・・」
「でも自分で使うのは初めて」
 
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などと言って、青葉は服を脱いだ。
 
ポロシャツを脱ぐと、ブラジャーが顕わになる。スカートを脱ぐとパンティが見える。ブラの中には豊かな乳房、パンティはなめらかなラインを示していた。そこには突起物のようなものは認められない。彪志がごくりとつばを飲み込む音がした。
 
青葉は彪志を見つめたまま、ブラを外し、Bカップサイズのバストを露出させる。そして、パンティを脱いで何もぶらぶらしていない、すっきりしたお股を彪志に見せた。
 
「何度か話には聞いてたけど・・・・完璧に女の子のボディだね」
「えへへ」
 
青葉はそのまま彪志に抱き、唇にキスする。
 
「俺も脱ぐ」といって彪志は服を脱ぎ、既に大きくなっているソレにアレを装着した。抱き合ったままベッドに倒れ込む。また深いキスをする。
「ここを使って・・・手術が終わったら、ちゃんとふつうに入れられるようになるけど」
と言って、青葉は彪志のソレを、足の付け根のところに出来ている空間に誘導した。両足を軽く閉じ締まり具合を調整をする。「わ。なんかこれ気持ちいい!」
「そう?良かった」「俺も初めての経験だけど、少し頑張ってみる」「うん」
と言って青葉は彪志に優しいキスをした。
 
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お互いに初めてだったので、少し時間が掛かった気もする。でもしている最中青葉の体内の気の巡りは物凄く勢いづいていた。菊枝があのふたりの気の合体がセックスみたいなもの、と言っていたのを理解した。ほんとにあの感じに似ている!気の巡り自体は彪志の気と合体しているわけではなく、お互いに独立に回っているのだけど。青葉は彪志にされながら、彪志の体内の気の巡りも観察してみた。凄い勢いで巡っている。これ彪志もきっと気持ちいいハズ!
 
そして彪志が逝った瞬間、彪志の気の巡りが「オーバーラン」っぽい状態になったのを感じ取った。そうか!男の子って出しちゃうと、それで戦闘機がヒットバリヤーで急停止させられたような状態になっちゃうんだよね。話には聞いていたけど、そういう変化を実地に見るのは初めてだ。わあ、やはりセックスって1度経験しておくべきものだったんだな、特に私みたいな者には。青葉は真剣にそう思った。これ自分で経験せずに、他人のセックス絡みの恋愛相談なんて受けられない!
 
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彪志の気の巡りが「オーバーラン」状態から急速に鎮まっていく。青葉の方の気の巡りはまだまだ高速に駆け巡っていたが、それでも少しずつスピードが落ちていき、ソフトランディングを目指している感じだった。青葉は彪志の気の巡りが急降下していくのにあわせて、彪志の背中を優しく撫でていた。
 
「私・・・・」
「うん」
「彪志のこと好き」
「俺も青葉のこと好きだよ・・・今度は『かも』とか『多分』とか無いんだね」
「うん。断言する。私、彪志のことが好き」
「ありがとう。俺も青葉のことが好き」
 
ふたりはまた深いキスをして愛を確かめあった。
 
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