【夏の日の想い出】(3)

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翌日は仕事だったので、政子と一緒に事務所に出て行った。そこで花見さんが仕事をやめたことを聞いた。「何かあったの?」と聞かれて、政子が昨日花見さんがボクをレイプしようとしたこと、それで浮気もしていたことが分かったので昨日の夜、叔母と一緒に向こうの家に行き、不貞行為を理由に婚約破棄して鍵も返してもらったことを言った。須藤さんは驚いていた。
 
「でも結果的に政子ちゃんがフリーになったことは歓迎だな」などという。
「婚約者のいる女の子は売り出しにくいからね」
「え?何かそういうことを気にするような話になってきているんでしょうか?」
「実はさ、大手の○○プロダクションから、ローズ+リリーのマネージメントを任せてくれないかという話が来ていてさ」
「え〜!?」
「ま、その件はまた話があるかも知れないけど、とりあえず今日はコミュニティFM局で5分間、インタビューと楽曲を流すから」
と言われ、台本を見せられた。
「向こうは一応この通りに質問してくれるはずだから、この通り答えてね」
「分かりました」
ボクたちはその応答をしっかり頭に入れた。
「生放送だから、もしミスった時は慌てずに、お互いにフォローしあって」
「了解です」
 
コミュニティFMなので、ほんとに小さな事務所の一郭にガラス張りで防音になっている放送スタジオがあった。ボクらはちょっと緊張して座ったが、前の楽曲とCMが流れている間、マイクオフの状態でDJさんが冗談などを言って笑わせてくれたのでボクらは少しリラックスして、放送に臨むことができた。
 
最初に先日作ったCDに収録されたカバー曲「ふたりの愛ランド」が流れる。そしてDJさんがボクらを紹介してくれた。
「今日はとっても可愛いデュオの紹介です。今流れた曲を歌っていたローズ+リリーのおふたりです」
「はじめまして、ローズ+リリーです」ボクらは声をそろえて言った。
「おふたりは今月デビューしたばかりなんですってね」
「はい。できたてのほやほやです」
 
「あらためて、簡単な自己紹介を」(え?)
「まず、あなたから」とボクは指さされてしまった。そんなの台本に無かったよ!
「あ、えっとリードボーカル担当です」
「うん。リードボーカルの?」「はい」「お名前は?」名前?何を言えばいいんだろう?まさか冬彦とは名乗れないし。あ、でも生放送だから即答しないと。
「あ、すみません。リードボーカルのケイです」
「おお、ケイさん」「で、あなたは?」と政子が指さされる。
「はい、カウンターボーカルのマリです」政子はボクが焦っていた間にとっさに自分の愛称を考えていたのだろう。
「なるほど、ローズさんとリリーさんじゃないのね」
良かった。これは台本にあった話だ。
「ええ。バラとかユリといった優しい花のように咲く音楽を目指しています」
 
その後は多少の順序の前後はあっても、だいたい台本通りの応答が続いた。ボクらは何とか無難にインタビューを乗り切ることができた。
「でも最初に流した『ふたりの愛ランド』、元々は男女のデュエット曲ですよね」
「えぇ。それを女の子ふたりで歌うのも面白いんじゃないかという選曲なんです」
「ケイさんがわりと中性的な声だから、ケイさんが本来の男性パート歌うと良さそうなのに、実際にはケイさんが本来の女性パートを歌って、マリさんが本来の男性パートを歌ってますね」
 
「ええ。実は最初はおっしゃったような担当で歌ってみたのですが、何かしっくりこなくて。それでパートを入れ替えてみたら何となく面白くなったので、そちらを生かしたんです。このCD実は1日で作っちゃったのですが(さすがに3時間で作ったとは言えない)、それでほとんどの楽曲が一発録りに近い中で、この曲だけリテイクしたんですよ」
「たしかにその組み合わせが不思議な雰囲気を出してますよね」
 
曲紹介も含めて5分間のインタビューだったのだが、けっこう色々なやりとりをした。5分って長いもんだな、とボクは感じながら話していた。
「では最後に、このCDのタイトル曲の曲紹介をしてくださいますか」
「はい。ローズ+リリーのデビューシングル『明るい水』からタイトル曲『明るい水』です。どうぞ」
とボクが言ったのと同時に楽曲が流れる。その曲にかぶせて、DJさんはボク達を再度紹介し、ボクらは挨拶をして、5分間の生放送が終わった。
 
CMが流れている間にボクらはDJさんやスタジオ内のスタッフさん達に挨拶して部屋を出た。スタジオの外で須藤さんがパチパチと拍手をしてくれた。
「何とか破綻無くやったね」
「名前で焦りました」
「ごめん、ごめん。それ私も何も考えてなかった。でもこれでケイちゃんとマリちゃんということになっちゃったね」
「ええ」
「でも『ケイ』ってどこから出てきたの?」と政子。
「いや、単なる思いつき。あ、苗字の頭文字かも」
「あ、啓介を意識してたわけじゃないのね?」
げっ。そういえば、花見さんは啓介だった。あの人もケイじゃん。
「あ、それは考えてなかった。しかしよりによって・・・・」
「まあ、いいんじゃない?私はケイを振ってケイと歩む道を選んだのかも」
 
しかし放送の威力は凄かった。夕方4時というあまり聴取率の高く無さそうな時間帯であったにも関わらず、放送直後からボクらのシングルを掲載している大手音楽サイトからのダウンロードは、放送後3時間で1000件を越え、ネットでもかなりの書き込みが出て、そこからの広がりで翌日の朝までに3000件を越えたのであった。ダウンロードは2%もらえるので3000件で4.8万円になる。ふたりで山分けして2.4万円ずつ。翌日須藤さんからボクたちに連絡があった時、その数値を聞いてボクらはほんとに驚愕した。
 
それからの4ヶ月ほどは夢のようであった。『明るい水』は結局9月いっぱいまでに5万近いダウンロードがあった。気をよくした事務所は大手のプロダクションと委託契約を結び(あくまでボクらはこちらの所属)、積極的なプロモーションをしてくれた。9月には即第二弾のシングル『その時』をリリースした。また5曲入りで、タイトル曲は超売れっ子の作曲家さんに書いてもらったもの。ボクらは名前を見た時に仰天した。また3曲は過去の有名なヒット曲などで、「恋に落ちて」「渚にまつわるエトセトラ」「A.S.A.P.」。「A.S.A.P.」は「ふたりの愛ランド」が好評だったのでそれと同じ方式で、元歌の女性パートをボクが、男性パートを政子が歌った。
 
ボクはこの時点でかなりきれいな女声を発声できるようになっていたのだけど、「あの中性的な声がいいから」といわれて、タイトル曲では敢えて中性的な声で歌い、カバー曲の3曲ではここしばらくカラオケに通って鍛えた女声で歌った。
 
そして最後の5曲目は「君たちで作ってみて」と言われ、政子が詞を書いて、ボクがそれに曲をつけて1曲仕上げた。「遙かな夢」という、高校生の女の子らしい甘くせつない曲になった。この曲ではボクは中性的な声でメロディーを歌い、女声で政子と別のサブメロディーを歌った。そのためまるで3人で歌っているように聞こえる。実際、「ローズ+リリーって3人組なんですか?」という問い合わせがかなり来たのであった。
 
このシングルは10万ダウンロードを越えるヒットとなりボクたちは雑誌の取材に応じたり、ラジオ局で紹介してもらったりを繰り返した。それがまた作品のダウンロードを後押しした。ただ、事務所はボクらの素性を基本的に隠した。バレてしまうと、あまりにも問題がありすぎるからである。高校生コンビということだけ出して本名も誕生日も出さなかった。
 
写真などは出回っているし、違法撮影されたライブの映像なども動画投稿サイトに掲載されたりしたので、顔バレはしているものの、政子などは「ローズ+リリーのマリちゃんに似てるね」などと友人から言われながらもシラを切り通していたらしい。ボクのほうは性別が違うから、そういうことは周囲から言われずに済んでいた。
 
あまり顔をさらしたくないので、テレビには出演せず、僕らはライブとラジオへの出演のみに限定した活動をした。この秘密主義は様々な憶測を呼び、実はローズ+リリーは実在しないとか、有名歌手の覆面ではとか、実はボカロイドではとかいった説まで出るほどだった。
 
また、ボクたちの活動はあくまで学校の放課後と土日限定にしていたので、ボクたちは一応ふつうに高校生としての日々を送ることができた。ただ土日には時々殺人的な詰めこみスケジュールが入っていることもあった。
 
ライブもコンサートホールやライブハウスでのものが中心となった。9月はまだデパートの屋上や遊園地の片隅でのライブもあったものの10月以降はその手のものはしなくなった。デパートの屋上などでローズ+リリーが来ます、なんて出してしまうと、人が殺到して混乱の極致になる危険が出てきたためである。実際、9月下旬に某デパートでやったライブでは、中高生のファンが熱狂してベンチなどが壊されたりして、事務所はデパート側に被害を弁償したり平謝りだったのであった。ライブハウスだと、有名歌手のライブなどにも慣れているので、この手のトラブルは出さずに済む。
 
楽曲の売り上げ、そしてラジオ番組出演のギャラ(当初言われていたものより、大幅に値上げしてもらった)は、ボクたちはもう計算していられないような額になっていった。ボクらはそれを用意した口座に入れてもらっていたが、残高をネットで確認すると、桁数を数えるのに悩むような数値が表示されていた。
 
しかしその狂想曲のような状態は、年末にある雑誌に載ったスクープ記事で終わりを告げたのであった。
 
「ローズ+リリー」の正体をすっぱ抜いた記事がボクたちの実名付きで掲載されていた。ボクたちはその扇動するような記事のタイトルを見た時、天を仰いだ。世間は「ローズ+リリー」のケイがボク、つまり男の子であったことに驚いた。事務所もこれ以上正体を隠してはおけないというのでボクたちふたりも同席させて緊急記者会見をした。
 
かなりきわどい質問もされたが、ボクたちは事前に事務所でシミュレーションしておいた範囲で答えた。ボク自身について、性同一性障害なのか?ただの女装なのか?というのも訊かれたが、個人的な情報なので答えられない、というので押し通した。しかし学校では凄い騒ぎになってしまい、ボクは年内の学校への出席を控えることにした。自分の親からも詰問されてボクはちょっと精神的に参ってしまいそうだったが、政子や友人たちに支えられてなんとかこの時期を乗り切ることができた。
 
なおこのすっぱ抜きの情報を売ったのは花見さんであるらしいことが、事務所の調査で判明した。政子は物凄く怒っていた。政子はその怒りのおかげで精神的にたいへんな時期を過ごせたようであった。当の花見さんは事件後失踪してしまっていた。
 
ローズ+リリーの様々なスケジュールはいったん白紙に戻された。こういう騒ぎになってしまうと、ボクたちの親が同意した形できちんとした契約を結ぶことができないと活動が不可能になってしまったからであった。政子の両親はタイから緊急帰国して事務所の人と会ったが話し合いは不調な様子だった。ボクの両親は事務所の人と会おうともしてくれなかった。
 
結果的にローズ+リリーの活動はそれで終了してしまったのであった。ただ、このスクープの直前に録音をし終えていた3枚目のシングル『甘い蜜』に関しては、政子の両親もボクの両親も、発売に反対はしないと言ってくれたので年明けに発売された。それがローズ+リリーの最後の作品になったのであった。この作品は80万ダウンロードのビッグヒットで、有名ランキングサイトで3位に入る大健闘をした。
 
ボクも政子も1月いっぱいまでは学校を休んだが、学校の先生がボク達に配慮してくれて、各々の自宅まで「出張授業」をしてくれたので、ボクたちは出席日数不足にならずに済んだ。
2月になると、世間も少し落ち着いてきたので、ボクらは学校に出て行った。クラスメイトたちは事前にその件について騒がないようにと学校側から言われていたようで、かなり普通に接してくれた。ボクたちはこうしてふつうの高校生に戻ったのであった。
 
ローズ+リリーの活動で得られた物凄いお金については、事件でキャンセルになった様々なイベントなどに関するキャンセル料の補償にと、ボクと政子は自主的に返上したいと申し入れたのだけど、それはボクたちの親の同意がないと返上することもできないようであった。その問題については、2月になってから、ボクの両親と政子の両親が会って弁護士さんの事務所で話をし、その弁護士さんに事務所の社長と交渉してもらって、所得税・住民税として払わなければならない金額を差し引いた額の半分を返上するということで、話がまとまった。残った金額は信託銀行に預けて、当面の間、実質的に凍結されることになった。
 
ボクらはその後ふつうの高校生生活・受験生生活をして、ふたりとも大学に進学した。ボクと政子はその後も仲良くしていた。
 
こんな事件があったので、政子の母が日本に留まることになったこともあり、ボク自身も両親の目があったので、ボクは高校在学中は女装することはできなかったが、大学に入ると、ボクは家を出てアパートを借り、母親にだけ言って、ひとりで女装生活を始めた。やはりローズ+リリーの活動をしていた時から、ボクはもう「女の子」になってしまっていて、後戻りはできない精神状態になっていた。高校卒業までの1年3ヶ月を男の子として過ごしたことも反動となって、ボクは完全に「女の子」のほうに性別の針が振れてしまったのであった。
 
ボクは・・・・いや、大学に入ったのを機に、私は自分の一人称を「私(わたし)」
に変えた。最初は友人などの前で「わたし」とか「あたし」とか言うのに少し心理的な抵抗があったけど、すぐに慣れた。
 
その頃、須藤さんはあの事務所を辞めて(実際問題として騒動の責任をとって辞職することになったようであった)、自分の事務所を設立していたが、私たちの卒業を待って、また私たちに接触してきた。政子のほうは消極的ではあったが、ボクが芸能活動に前向きだったので、一応一緒に契約をした。しかし政子の契約は、人前で歌わない、テレビやビデオに出ない、などというとんでもないものであった。それで須藤さんはボクにバンドのボーカルをしないかという案を持って来た。
 
都内で活動していてセンスのいい演奏をしていたもののボーカル(と喧嘩別れして)不在であった3人組のアマチュアバンド(ギター・ベース・ドラムス)「クォーツ(Quarts)」をスカウトし、4人セットで「ローズクォーツ」(Rose-Quarts)として売り出すことになった。クォーツのリーダーはベースのマキという人で最初会った時、私は「なんか凄い変人」と思ったが、すぐに仲良くなることができた。向こうも「ローズ+リリー」の騒動は覚えていたので、そのケイと聞いて「変態とやるのは嫌だ」と思ったらしいが、私が実際には「ほとんどふつうの女の子と変わらない」感じだったので、こういう子となら一緒にやってもいいかと思ったと後から言っていた。
(なお、Quartsは 4分の1のQuartに複数形のsを付けたもの)
 
ローズ+リリーという名前の権利は元々は△△社に属するという契約をしていたのだが、その契約が保護者の承諾を得たものではなかったことから無効ということになってしまっていた。その結果、ローズ+リリーという名前の権利はボクと政子に属していたので、須藤さんの事務所の方で使うにも問題は無かったのだが、一応義理として、その件について使いますということを前の事務所に挨拶に行って伝えた。
 
社長ともにこやかに会談してきた。
 
「あの頃は爽やかな女子高生という感じだったけど、1年ちょっと経って、少し色っぽさが出てきたね」
などと言われた。
「性転換手術はしたの?」
などと聞かれる。
「いえ、まだです」
と私は焦りながら答える。
「手術したくなって手術代なかったら出してあげるから」
「あ、ありがとうございます」(汗)
私は困ったような顔で答える。
 
「でもフルタイムになりました」
「フルタイム?」
「1日24時間・週7日、女の子の格好で過ごしてます」
「なるほど、少なくとも『趣味の女装』ではなくなったわけだ」
「はい」
と私はにこやかに答えた。
 
「ローズクォーツ」のデビューシングルは7曲入り(もはやシングルとは言えない気がしたのだが・・・・)で、タイトル曲は「ローズ+リリー」の「その時」と「甘い蜜」書いた大物作曲家さんが、私の再デビューを聞きつけて「祝電代わりにあげる」といって書いてくれた「萌える想い」というテクノ風の曲。両A面として「ローズ+リリー」でも好評だった「ふたりの愛ランド」を入れた。
 
「ふたりの愛ランド」というので、私はてっきりマキさんとデュエットするのかと思ったら、ひとりでデュエットしてと言われた。「え?」
「冬子ちゃん、きれいな女声と中性的なボイスと両方持っているから、そのふたつを使い分けてひとりデュエット」「ひぇー」
 
このほか、クォーツの持ち歌でフュージョン調の「Love Faraway」、私と政子がローズ+リリーで使うつもりで1年前に書いたままになっていた「あの街角で」、過去の有名ヒット曲から「川の流れのように」、そしてなぜか「佐渡おけさ」。
 
「どうして突然民謡なんですか?」
と私は聞いた。
「いやあ、こないだたまたまラジオで聞いて、いいなあと思ったのよ。絶叫系の曲は冬子ちゃんの声に合うしさ」
 
ということで、私はなんと1ヶ月間毎日、新潟まで新幹線で往復して民謡教室に通わされたのであった。ついでにマキさんも一緒に通わされて、マキさんは民謡の太鼓を習わされたのであった。この往復の新幹線の中で私はマキさんとたくさん音楽の話やそれ以外の話もして、結果的にこれが私達の連帯感を作ることにもなった。後から思えば須藤さんの目的はそちらだったかも知れないという気もする。
 
そして7曲目が問題で「ふたりの愛ランド・裏バージョン」であった。両A面の方の「ふたりの愛ランド」は、女声と中性ボイスでデュエットしているのだが、こちらは女声と男声でデュエットしようというのであった。私は念のため聞いた。
「あのぉ、その男声って誰が歌うんですか?」
「冬子ちゃんに決まってるじゃん」と須藤さん。
「あはは」
私はもう恥は捨てて、自分の女声と男声を使い分けて「ふたりの愛ランド」を、半ばやけくそで吹き込んだ。
「ああ、なんかこの投げ槍な感じがいいなあ」
などと須藤さんは言っていた。
 
そうして完成した「ローズクォーツ」のデビューシングルは8月3日にダウンロード開始となった。CDはプレスせずに、ダウンロードのみの販売としたが、先着ダウンロード1万名にローズクォーツ製のペンダントをプレゼントなどという企画をした。
 
「わざわざ応募してもらって送る方式にするのは、ファン層を形成するため。葉書出すだけでアクセサリーもらえるなら結構出してくれるでしょう。で、葉書出した人は高確率でローズクォーツのファンになってくれると思うのよ。それに、うまい具合にバンド名の『ローズクォーツ』(Rose-Quarts)とパワーストーンの『ローズクォーツ』(Rose Quartz)とを掛けることができたしね」
 
ちなみにこの8月3日は、私が「リリーフラワーズ」の突然の失踪で、政子とふたりで、代役でデパートのイベントをこなした日からちょうど2年目に当たる日だった。
 
「萌える想い」は須藤さんが足とコネで地道に宣伝しただけであったにも関わらず最初の1ヶ月で3万ダウンロードを越えた。マキさんは
「すげー、2%もらえるということは、4万8千円÷4人?1万円超えるギャラもらうの初めて」
と言ったが、私は
「桁が違いますよ。48万円です。1人12万円」
と訂正した。マキさんは絶句していた。
 
しかし、2chなどでは、やはり「ふたりの愛ランド・裏バージョン」が話題になっていた。投げ槍に歌っているのが脱力感もあっていいなどといった書き込みを見て、私はもう苦笑いするしか無かった。
 
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