【夏の日の想い出・いろはに金平糖】(3)

前頁次頁時間索引目次

1  2  3  4  5  6  7  8 
 
2022年1月1日 10:00.
 
§§ミュージック恒例の年会を始める。
 
今年も昨年に続きリモートでの実施になる。§§ミュージックの契約タレントおよび全国の信濃町ガールズたちが、各々の拠点あるいは自宅から参加する。今年も昨年同様、お年玉は振込にさせてもらっている。但し地方ガールズにはQUOカードで配った:振込だと親から「ちょっと貸して」と言われてしまうという声があった。
 
A契約タレント・信濃町ガールズ本部生(五反野研修所)
 
昨年同様、男子の本部生たちも五反野の研修所(女子寮)に入れている。ネオンは自宅にネット中継設備を持っている。学校近くのマンションに1人で住んでいる大崎忍(後述)は女子寮に来た。アクア・葉月については後述。
 
コスモス・ゆりこなどは、信濃町ガールズたちの親に挨拶するのに、コスモスは関西研修所、ゆりこは東海研修所、花ちゃんは東北研修所、日野ソナタさんが九州研修所に行っている。“最もアットホームな研修所”沖縄研修所には明智ヒバリが常駐している!
 
ビーナは女子寮内の天羽家に来て、長姉・高崎ひろかと一緒にリモート参加する。でも配布された食事はほとんど次姉・松梨詩恩に食べられた!
 
信濃町ガールズ北海道・関東・北陸・中国・四国(ホテル赤城)
 
昨日のカウントダウンライブでバックダンスをしたメンバーは信濃町ガールズ関東のメンバーも含めて全員(北海17 中国四国24 北陸14 関東36 合計91名)を熊谷市のホテル赤城(定員132室144名)(*7)に移動させている。
 
信濃町ガールズ東北(仙台市。若林公園内合宿所)
信濃町ガールズ東海(名古屋市。若山民謡教室内宿泊室)
信濃町ガールズ関西(豊中市。ムーラン関西本部宿泊室)
信濃町ガールズ九州(鳥栖市。§§ファン3号店宿泊室)
信濃町ガールズ沖縄(木ノ下大吉先生宅)
 
これらの拠点には、ガールズたちが保護者と一緒に集まっている。各々の拠点には付いてきた家族の人数を確認してその分の食事を手配している。
 
なお昨年同様、諸事情で各拠点に来られなかったメンバーは各自の自宅から接続している(Webカメラ付きのパソコンと光回線またはWiMAXの類いがあれば接続可能)。
 

(*7) ホテル赤城は「白雪姫」撮影のため若葉が半月で建てたホテルだが80室もあれば足りるかなと思って建てたらギリギリだった!更に10月の八犬伝の撮影でエキストラを泊めたらそれもギリギリだった。それで若葉は
「増床する」
と言って、11月にホテルを改装したのである。
 
★元々の構成:−
2F 3H×6Hの個室を8個並べて6H×24Hを1ユニットとし、これをこんな感じに4ユニット並べて1フロアとする。8×4=32室
┏━━━┓┏━━━┓
┗━━━┛┗━━━┛
┏━━━┓┏━━━┓
┗━━━┛┗━━━┛
(左右の間はエレベータ、上下の間は廊下)
 
3F 少し広めの4H×6Hの個室を6個並べて6H×24Hを1ユニットとして、2Fと同様に並べる。6×4=24室。
 
1F 2Fと同じ仕様だが、半分は共用スペースなので16室。
 
4F 半分は6H×6Hのツインルームを4個並べて 4×2=8室。残り半分は12×6Hのスイートルームを2個並べて 2×2=4室。
 
合計 16+32+24+(8+4)=84室
 
★新構成:−
 
3Fと同じ仕様のフロアを3Fと4Fの間に2フロア追加。元の4階は6階になる。
 
合計 16+32+24×3+(8+4)=132室
 
ユニット工法なので、配管を留めているボルトを外した上で、4階をクレーンで持ち上げ、2フロア追加してから、持ち上げていたフロアをその上に置き、配管をボルトで留めた。元々楽に分解できる仕組みになっているので、工事はわずか1週間で終了している。
 

最初にコスモス(関西に居る)が短い挨拶をした後、私が音頭を取って、お屠蘇代わりの三ツ矢サイダーで乾杯した。その後一昨年まではA契約タレント全員の1人1分間のスピーチがあった所を、私がA契約のタレント38名の名前を↓の順で読み上げた上で、代表して(コスモス・ゆりこ以外で)最古参の品川ありさが短い挨拶をし、他の子の挨拶は挨拶文をまとめたものをメール配布して挨拶に代えさせてもらった。
 
花ちゃん作成“出席番号順”名簿:−
 
No.生年 契約年月 名前
14 1991 2007.03 秋風コスモス
17 1992 2009.07 川崎ゆりこ
23 1999 2014.10 品川ありさ
24 1999 2014.12 高崎ひろか
25 2001 2015.01 アクア
26 1999 2015.12 西宮ネオン
27 2002 2016.04 今井葉月
28 1999 2016.07 花咲ロンド
29 2000 2016.12 姫路スピカ
30 2004 2017.01 白鳥リズム
32 2003 2018.03 石川ポルカ
33 1996 2019.01 桜野レイア
34 1998 2019.02 山下ルンバ
35 2002 2019.03 原町カペラ
36 2005 2020.01 東雲はるこ (Lapis-Lazuli)
37 2005 2020.01 町田朱美  (Lapis-Lazuli)
38 2001 2020.04 佐藤ゆか  (Vent-d'or)
39 2002 2020.04 南田容子  (Vent-d'or)
40 2003 2020.04 山口暢香  (Vent-d'or)
41 2003 2020.04 高島瑞絵  (Vent-d'or)
42 2003 2020.04 大崎忍
43 2005 2021.01 七尾ロマン
44 2006 2021.01 恋珠ルビー
45 2005 2021.03 常滑真音
46 2007 2021.04 甲斐絵代子(Ye-Yo)
47 2004 2021.05 中村昭恵
48 2005 2021.05 水森ビーナ
49 2006 2021.07 花貝パール
50 2005 2021.08 甲斐波津子
51 2006 2021.08 水谷康恵
52 2007 2021,08 水谷雪花
53 2005 2021.10 坂田由里
54 2006 2022.01 美崎ジョナ
55 2008 2022.01 立山煌
56 2007 2022.01 薬王みなみ
57 2007 2022.01 鈴鹿あまめ
58 2007 2022.01 夕波もえこ
59 2008 2022.01 古屋あらた
 
(抜けている31は2020年末で引退した桜木ワルツ。日野ソナタと明智ヒバリは§§プロ所属なので、ここにはカウントされない。ちゃっかり新年会に参加している海浜ひまわりは2014年に引退済)
 
ちなみに花ちゃんによると、完全な“出席番号”は↓だそうだ(個人的には異議があるが)
 
1.新宿信濃子 2.上野陸奥子 3.京橋セツヲ 4.立川ピアノ 5.大宮どれみ 6.日野ソナタ 7.春風アルト 8.冬風オペラ 9.夏風ロビン 10.満月さやか 11.秋風メロディー 12.スーザン 13.藤沢ナイン 14.秋風コスモス 15.川崎ゆりこ(初代) 16.浦和ミドリ 17.川崎ゆりこ(2代目) 18.桜野みちる 19.海浜ひまわり 20.千葉りいな 21.神田ひとみ 22.明智ヒバリ 23.品川ありさ 24.高崎ひろか 25.アクア 26.西宮ネオン 27.今井葉月 28.花咲ロンド 29.姫路スピカ 30.白鳥リズム 31.桜木ワルツ 32.石川ポルカ 33.桜野レイア 34.山下ルンバ 35.原町カペラ 36.東雲はるこ 37.町田朱美 38.佐藤ゆか 39.南田容子 40.山口暢香 41.高島瑞絵 42.大崎忍 43.七尾ロマン 44.恋珠ルビー 45.常滑真音 46.甲斐絵代子 47.中村昭恵 48.水森ビーナ 49.花貝パール 50.甲斐波津子 51.水谷康恵 52.水谷雪花 53.坂田由里 54.美崎ジョナ 55.立山煌 56.薬王みなみ 57.鈴鹿あまめ 58.夕波もえこ 59.古屋あらた
 

なお、この場で“大崎志乃舞”が“大崎忍”と改名することが発表された。また彼女の契約はCD制作の義務が無い“女優”契約に切り替えられたことも発表された。また本日A契約が発効した立山きらめきは“立山煌”の名前で正式デビューすることになったことも発表された(いづれも読みは同じ)。
 
煌に関しては「女の子になりたい男の子」なのか「普通の男の子」なのかをここ数ヶ月観察していた結果、スカートを穿くのはあくまでファッションの範囲であり、女の子になりたい訳ではなく、普通の男の子のようだという結論に達し、より男の子らしい書き方に変更したのである。大崎忍の場合は、もうすぐ高校を卒業するので、それを機に逆に女の子らしい書き方に変更している。
 
立山煌は年末年始のCF撮影の時、振袖を渡されたものの「ぼく男の子なんで男物の服をください」と言ったので、紋付き羽織袴を渡した。ビーナは振袖を渡したら、普通にそのまま振袖を着たので、振袖で撮影された。
 
品川ありさの挨拶が終わった所で、川崎ゆりこから「もう食べていいよー」という声が掛かるが
「嘘。もう私食べてた!」
という声があちこちからあがるのは愛嬌である。
 
この後、A契約のタレントの中で歌手契約の23組30人の歌が1組3分ずつ続いていくことになる。私はライブに備えて接続を切って仮眠させてもらった。(締めの挨拶は東海研修所に居る川崎ゆりこに任せている)
 
アクア
姫路スピカ
美崎ジョナ
薬王みなみ
常滑真音
ラピスラズリ
水森ビーナ
品川ありさ
高崎ひろか
西宮ネオン
花咲ロンド
白鳥リズム
石川ポルカ
桜野レイア
山下ルンバ
原町カペラ
ヴァンドール
七尾ロマン
ルビー&パール
甲斐姉妹
水谷姉妹
立山煌
川崎ゆりこ
 
歌唱は締め(真打ち?)を任されたゆりこを除くと、基本的に出席番号順だが、アクア・姫路スピカ・美崎ジョナ・薬王みなみ、は、ローズ+リリーのライブに関わるので、先に歌って休ませてもらっている。他にもローズ+リリーのライブに出る子は早めに回線を切って休んでいる。
 
舞音・ラピスラズリ・ビーナはローズ+リリーのライブには関わっていないが、過労なので休ませるために先に歌わせた。4人とも自分の番が終わったら、ひたすら寝ていたらしい。
 

12時過ぎに私は仮眠から覚めた。
 
熱いシャワーを浴びて身体を覚醒させ、ヨーグルトとシリアルという軽食を取る。一方別室に居るマリは、お雑煮でお餅を10個食べたらしい。体調は充分のようである。今回の妊娠では、あまり、つわりとかも出てないようだ。本人も3回目だし、かなり精神的に余裕があるようである。
 
12:30すぎにマリの部屋を訪れるが、風花がちゃんと支度させてくれている。
 
12:50にステージ脇まで行きスタンバイする。
 

2021年1月1日13:00.
 
あけぼのテレビでの放送が始まる(★★チャンネル・ЮЮネット同時配信)。
 
降りたままの緞帳の前に、加賀友禅の振袖を着た姫路スピカが登場して宣言する。
 
「これより2022年ローズ+リリー・ニューイヤーネットライブを福井県小浜市のミューズシアターからお届けします」
 
多数の拍手が鳴り響く。多数のモニターに手を振っている映像が映り、私たちはリアルに多数の観客の前で演奏するんだという気持ちになる。
 
「昨年初めてローズ+リリーさんのニューイヤーライブの司会をさせて頂いて結構失敗もしたのですが、それにもめげず今年も仰せ付かりましたので、今年はあまり失敗しないように頑張りたいと思います」
とスピカが言うと、拍手と
 
「スピカちゃん、頑張って〜!」
という声が返ってきて気持ち良い。
 
このあたりがやはり無観客のスタジオなどで演奏するのとの大きな違いだ。
 
また音響的にも、モニターやスピーカーを載せた椅子には“スカート”を穿かせているので、実際に観客が入っているかのような音響がある。
 
「それでは最初の曲『いつも太陽があるように』」
とスピカが言うと、大きな拍手があり、緞帳が上がる。
 

しかしそこにローズ+リリーの姿は無い。
 
上手から小さな女の子が出てくる。ハンディカメラが彼女に寄っていく。出てきたのは、桃香の子供・高園早月(4歳7月)である。季里子が選んであげた可愛いドレスを着ている。
 
彼女はF6サイズの大きな画用紙に愛用の!ぺんてる・クレヨンで太陽の絵、お母さん(桃香)の絵と自分の絵を描き、空を青く塗った(*9)。そしてマイクを持って言った。
 
「いつも太陽がありますように」
「いつも空がありますように」
「いつもおかあちゃんがありますように」
「いつも私がありますように」
 
早月のセリフが終わるのと同時に、落合翠のピアノによる前奏が始まる(*8).
 
上手から先生に連れられて20人くらいの制服を着た幼稚園生が入ってくる。早月は翠のそばに寄る。演奏者の隣の椅子に座り、まるで譜めくり係のようである。(この曲のピアノ譜はA4×3枚に収まっており、横に並べているので譜めくりの必要は無い)
 
そして私とマリは、下手から出てくる。会場に拍手と歓声が響く。
 
私たちは『いつも太陽があるように』を落合翠のピアノ伴奏で、サビ始まりのアレンジで演奏した。このサビの部分を幼稚園生たちが一緒に歌ってくれる。
 
「いつも太陽がありますように」
「いつも空がありますように」
「いつもおかあちゃんがありますように」
「いつも私がありますように」
 
比較的ノンポリ(死語)に近いローズ+リリーにしては珍しい、メッセージソングでのオープニングになった。正直、ここの所どうもロシアの動きが不安なので、私は余計この歌を先頭で歌いたかったのである。
 

(*8)落合翠は、落合茜=町田朱美の実姉てある。
 
現在受験の真っ最中なのだが、2万人入るホールでスタインウェイを弾くという話に飛び付いた。入試のピアノ実技の度胸付けにもなるしということで参加してくれたのである。
 
実はこのビアノ伴奏は千里を使うつもりだったのだが、千里はこの日東京で行われるWリーグの試合にも出ているので、同じ人が同じ時刻に小浜に居てはいけないのだそうである!(今更な気がする)それで千里が翠のことを思いつき、連絡したら、やってくれることになった。30日にこちらに移動してきたのだが、30日も31日も、この会場のスタインウェイを5〜6時間弾きまくっていた。
 
しかし彼女のピアノを聴いて、詩津紅も月丘さんも
「すげー、これが音大ピアノ科を狙う人のレベルか」
と感心していた。
 
風花は彼女に少しアドバイスしていた。風花は音大のピアノ科を狙っていたが入れず第2希望の管楽器科に回った人なので、美野里ほどではないが、詩津紅よりずっと上手い。
 
(技術的には)翠より上手い!
 
それで時々、風花がお手本で弾いてみせると、翠が
「あっそうか!」
と感心していた。
 

(*9) 早月の絵(10回くらい練習した)についてはこの子絵がうまいじゃん、という声が結構あった。ただ描いたのはお母さんではなくお父さんの似顔絵では?という声もあった!
 
「あれって醍醐春海の以前の結婚相手との子供さんらしいよ」
「じゃ、やはりお父さんを描いたの」
「いや、レスビアン婚で、向こうはレズの男役だから、男みたいに見えるらしい」
「そういうことか」
 
「でもレスビアン婚なら、どうやって子供作ったの?」
「あの子はその相手が産んで妹さんは醍醐さんが産んだらしい。だから、あの子のお母さんは間違い無く、その醍醐さんの元パートナーの人で醍醐さんがお父さん。妹さんのお母さんは醍醐さんで、パートナーさんがお父さんらしい。だから2人の言う“お母さん”“お父さん”が逆転するらしい(*10)」
「むずかしー!」
 
「でも、それ精子はどうしたわけ?」
「さあ。化学合成とか」
「作れるの〜〜?」
「作れないんだっけ?」
「卵子は難しそうだけど、精子くらい合成できないのかなあ」
 
(*10)この情報は恐らく桃香の周囲から漏れたものと思われるが、実際には子供たちは大人たちをこう呼んでいる。
 
早月:桃香=おかあちゃん、千里=ちーかあちゃん、季里子=ママ
由美:千里=おかあちゃん、桃香=ももかあちゃん、季里子=ママ
 
なお桃香は京平・緩菜からは「お父ちゃん」と呼ばれ、来紗・伊鈴からはパパと呼ばれている。
 

演奏が終わると多数の拍手があった。私は演奏者を紹介する。
 
「合唱、小浜市F幼稚園のみなさん」
「ピアノ、落合翠」
「絵を描いてくれた人、高園早月ちゃん」
「そして歌は、私ケイと」
「私マリ」
「ローズ+リリーです」
 
それでまた拍手がある。
 
チッチッチッチッとドラムスティックの音がして、スターキッズの演奏が始まる。中幕が上がると、その後方にスターキッズが居る。幼稚園生が先生に連れられて上手に退場。早月も翠に手を引かれて退場する。ピアノには詩津紅が座って伴奏に参加する。
 

『虹の願い』を演奏する。最新のシングルの曲である。この後ライブの前半では最近リリースした曲を中心に演奏する。
 
この曲の演奏中には背景のホリゾント幕の所に大きな虹の絵が映されていた。(放送上は合成)
 
演奏が終わって拍手をもらった所で演奏者を紹介する。
 
「アコスティックギター、近藤嶺児・宮本越雄。ベース、鷹野繁樹。ドラムス、酒向芳知。マリンバ、月丘晃靖。アルトサックス、近藤七星。ピアノ、氷川詩津紅、トランペット、香月康宏。エレクトーン、山森夏樹。以上、スターキッズ&フレンズ」
 
「追加演奏者。アルトサックス、日高久美子。フルート、大宮万葉、田中世梨奈。クラリネット、上野美津穂。ホルン、吉田邦生(くにお)。ヴァイオリン、鈴木真知子、伊藤ソナタ、生方芳雄、荒井路代」
 
名前を呼ばれた人がお辞儀をするので、それぞれに拍手がある。私たちは前半はだいたいこのメンツで演奏を続けた。今回はステージの出入りをこれまでのライブよりかなり少なくしている。また前半はPAを使用せず、自然な音の響きで演奏した。そのために、ギター・サックス、フルートなどは演奏者を2人にしている。
 
(ベースだけ小型のアンプとスピーカーを繋いでいる)
 

『恋するカレー』では背景にマリと美空が大量のカレーを食べている様子が映されていた。曲が終わる頃には2人の前に30枚くらいカレー皿が積み上げられていたが「これ多分この2人が本当に食べたんだろうな」と言われていた。
 
以下、ホリゾント幕には様々な映像が流された。
 
『ぼくたちの秘密基地』では、小学生の男女が森の中に段ボール箱で秘密基地を作り、その中でゲームをしたり、本を読んだりしている様子が映っていた。時節柄みんなマスクをしているし、歌を歌うシーン、おやつなどを食べるシーンは入っていない。ゲームはみんな任天堂スイッチで遊んでいるが、これが昭和の時代なら、野球ゲームとかトランプとかダイヤモンドゲーム!とかをしていた所だろう。
 
『歯磨き味のイチゴ』はマリがいちごに歯磨き粉を掛けちゃった(再現)映像のほか、様々な出演者が様々な失敗の様子を演じている。
 
『マチカ・マチリカ』では薬王みなみ演じる占い師(漫画に出てくる魔女のような格好をしている)が(映像ではなく)ステージ上に登場して、大きな水晶玉(実際にはクリスタルガラス)に両手を当てて占いをしているようなパフォーマンスが行われた。“舞音ちゃんタロット”のスペシャル・ラージ版も使用している。占い客として登場したのは、セレン、クロム、さくらである(3人ともセーラー服:色違いでセレンはブルー、クロムは黒で、さくらはライトピンク)。
 
『Multiply』では、猫の役として、最初に早月(2017.05.10 4歳7月) とあやめ(2019.02.03 2歳10月) が登場し、それからどんどん増えて行く猫の役でF幼稚園の園児たちが、猫の扮装で登場。思わず「可愛い!」という歓声があがっていた。
 
『白い雪・愛のテーマ』は真っ白な白雪姫の衣裳を着けた鈴原さくらが登場し、曲の途中でリンゴをかじって倒れるが、狩人の衣裳を着けた三陸セレンが出てきて、キス(寸止め)をすると生き返って立ち上がり、手をつないで退場した。
 
ここから前半最後の曲までは山森さんはこのシアターに備え付けられているパイプオルガンを演奏した。荘厳な響きがネットテレビを通して全国に流れる。ストップ(音色設定ボタン)を操作する助手は千里が務めた(顔が映らないように撮影している)。ここのパイプオルガンは助手無しでも演奏できるようにはなっているが、上手な助手がいれば楽である。千里は「こちらの思った通りに操作してくれる」と山森さんが喜んでいた。読心術のうまい千里ならではだろう。
 
『ガラスの靴・愛のテーマ』では今度はガラスの靴を履きシンデレラの扮装をした山鹿クロムが舞台の上手から下手へと走りぬけるが途中で靴を片方落とす。するとそのあと、王子の衣裳を着けた薬王みなみが出て来てその靴を拾い、愛しそうに胸に抱くという演技を見せてくれた。
 
なお、配役の性別がおかしい気がするのは、きっと気のせい!
 
『湖より・愛のテーマ』では、白鳥の衣裳を着けトウシューズを履いた三陸セレンが出て来て『白鳥の湖』のバリエーションを踊り、曲の演奏の途中からはグランフェッテで32回転を踊ってみせたので、曲の途中ではあったが、物凄い拍手があった。なおバレエでは32回転するのは白鳥ではなく黒鳥である!
 
前半最後の曲となった『Burning Snow』では、ホリゾント幕に“燃え上がる雪”の映像を流し、常滑真音が扮するアマビエの映像(舞音は映像で出演)、お寺・神社・教会でコロナ終息の祈りが捧げられる様子の映像も映し出され、私たちも祈る気持ちで歌を静かに歌い上げた。
 

私とマリ、それに伴奏者たちも全員退場して休憩する。ステージ上にはスピカの案内で美崎ジョナが出て来た。スピカから
「今月デビューする美崎ジョナちゃんです」
と紹介され、ジョナも1分ほどの短い自己紹介をして、デビュー曲の『岬・別れと出会い』を歌う。伴奏は下記のメンツが行った。
 
Gt.山鹿クロム、B.三陸セレン、KB.鈴原さくら、Dr.薬王みなみ
 
薬王みなみは酒向さんのドラムス・セットを借りて打ったのだが、酒向さんに
「この子にドラムスを貸してください」
と言ったら、可愛い女の子なので
「うん。いいよ」
と笑顔で貸してくれた!
 
こういうのは女の子を使うに限るのである。薬王みなみは小学生の頃はテニス部に居たので、結構腕力があり、きちんとテンポキープしてドラムスを演奏した。それで、酒向さんが感心していた。今日お手伝いに来ている3人の男の娘たちより腕が太い。セレンもバレエをしていただけあって運動神経が良く、ベースをしっかり弾いてくれた。なおギターとベースは各々の自前のもので、キーボードは千里のキーボードを借りている。
 

美崎ジョナの歌が終わった所でいったん緞帳が下りる。スピカが出て来てMCをしている。天候の話や、今日のお昼に食べた海の幸が美味しかったなどという話で2分ほど場を持たせる。
 
そして緞帳が上がると、アクアが2人並んでいるので、回線をつないでいる全国の観客が騒然とする。
 
『愛のデュエット』を演奏する。
 
舞台最前面上手端に4人のヴァイオリニストが立っており、伴奏を入れる。
 
2人のアクアはまずスタインウェイのグランドピアノ連弾でメインメロディー(AB)を弾き、続いてそばに置いていたAULOSのソプラノ・リコーダーでサビを吹く。隣にある総銀フルートでメインメロディーを繰り返し、今度はその更に隣に置いてあるウィンドシンセでサビを繰り返す。
 
1小節の間奏の間に立ち上がり、アルトサックスのネックストラップを首に掛け、CメロAメロと演奏。1小節の間奏の間にそのネックストラップを外してヴァイオリンを持ってサビを弾く。チェロの置いてある椅子に座ってサビのバリエーションを弾き、アコスティックギターを持ってメインメロディー(AB)を再現。最後は2小節のブリッジの間にドラムスセットの所に行って座り、各々スティックを1本ずつ持って、2人で1つのドラムスセットを叩いた。
 
今回の使用楽器:−
Piano Steinway D-274 "Concert Grand"
Soprano Recorder AULOS 502B-G (German式)
Flute Yamaha "Ideal" YFL-877
Wind Synthesizer Akai EWI-1500
Alto Sax. Yamaha YAS-875
Violin Yamaha "Artida" YVN500S
Cello Karl Höfner #4/6
Acoustic Guitar Gibson J-185復刻版
Drums Set Yamaha "RYDEEN" RDP0F5
 
(2人のアクアは連弾したピアノとドラムス以外、同じ型名の楽器を使用している。実はデュエットする楽器を同じ物でやったのは今回が初めて!)
 
この演奏中にネットでは、
 
「やはりアクアは2人居た!」
「今あけぼのテレビで2人のアクアが生出演中(**)」
という書き込みが、TwitterやLineにあふれた。
 
会場では、“2人のアクア”のパフォーマンスに物凄い反響があった。拍手が鳴り止まない。
 
がすぐ緞帳が降りてしまう。ヴァイオリニスト4人は上手に退場した。
 

カメラが楽屋に切り替わり、私は休憩していたところを、カメラに向かって笑顔を作り、観客に説明した。
 
「幕間の余興として、アクアの1人2役合成画像による『愛のデュエット』の演奏をご覧頂きました」
 
「え〜〜〜!?」
という声が返ってくる。
 
「アクアが2人居る訳ありませんからね」
と私は言った上で
 
「それでは、このあと緞帳が上がりましたら、後半の演奏を始めます」
と言った。
 
(**)特定有料番組は、開始30分以降はチケットの購入はできない。よってこの書き込みを見てからチケットを買ってあけぼのテレビ等に繋ぐことはできない。ライブが終わった後、タイムシフトで見るために購入することは可能(多くのライブでは割引になる:ハイライト・セブンスターズ、UFO、スパイスミッションなどは強気だから後での購入でも値引かない)。
 

種を明かすと、ヴァイオリニストの4人は空っぽのステージの横で演奏していたのである。そしてアクア2人の演奏は、放送映像の上で合成されたものである。本当はアクアはMとFでこのミューズシアターの真下にあるリハーサル室で演奏していた。このリハーサル室は 2018.12.31 にはマリがここで座って歌唱し、それを3Dでステージ上に表示した場所である(あの時お腹の中に居たのが今日は猫の役をした、あやめ)。ただしあの時からはステージごと場所が移動している。
 
2人のアクアは早朝、§§ミュージック所有のヘリコプター・エキュレイユ2で小浜に連れて来た(飛行時間はHonda-Jetの倍で1時間20分ほど掛かるが、自宅から飛び立てるので結果的に熊谷まで行くより早い。帰りもテレビ局で夕方から仕事があるので、東京ヘリポートに直接降りた)。
 
だからアクアと葉月は年会にはミューズセンターの中からネット参加している。そして誰も使用しないリハーサル室に楽器を用意して、これを映像機器の扱いに慣れている山村マネージャー(*11)が撮影し、副調整室に居る丸山アイの腹心のミューズセンター技術者の手でステージ上の映像と合成し、あけぼのテレビに送出したのである。
 
東京に居る則竹さんには、アクア自身の“録画映像”とアクアのリアルタイム演奏を合成して更にステージ上の演奏と重ねるのでと説明しておいた。タイミング合わせが難しいが、ステージとリハーサル室の距離が近いので時差はほとんど出ない。アクアたちはヴァイオリニストさんたちの音を聴きながら演奏したし、ヴァイオリニストさんたちもアクアたちの音を聴きながら演奏している。
 
葉月を連れて来ているのは、例によってアリバイ作りが主たる目的である!
 
なお、今回、2人に同じ楽器で演奏してもらったのは、画像が合成であるかのように装うためでもあった。夏の段階で楽器を渡して慣れてもらっていた。ついでに葉月にも全く同じ楽器を渡して念のため練習してもらっていた。
 
『愛のデュエット』は過去にこのような組み合わせで演奏されている。
 
2014.04(PV収録) ヒロシ+フェイ
2018.09(PV収録) アクアM+F
2018.09(夏Fes) 風花/翼→心亜/翼→宮本/田中成美→酒向/レイア・(リレー方式)
2018.12(CountDown) アクア+レイア
2019.07(夏Fes) 葉月+レイア
2019.12(CountDown) アクア+葉月
2021.01(New Year) アクア+葉月
 
今回(2022.01)の演奏は、2018年9月の2人のアクアによる演奏の再現となった。ただ当時は、わりとあり合わせの楽器で合奏したし、2人が別の楽器を使ったりしている。たとえば、サクソフォンはYAS62 / YAS875 だったし、ギターは LS-56 / J-185 だった。リコーダーなんて小学校の時に使っていた学校教育用のリコーダーを使っていた。今回はMとFが全部同じ楽器を使ったし、そこそこ良い楽器を使用している。演奏の品質としては多分これまでで最高のものになったと思う。
 
でもさすがにアクアの演奏がほんとうに2人で演奏したものとは明かせない。
 
実際アクアはツイッターで
 
「あれは2回演奏して合成したんですよ。1回目はライブの1時間前に、青い服を着た葉月(ようげつ)と2人で演奏し、2度目はリアルタイムで1人で演奏して、葉月の映像とスーパーコンピュータを使ってリアルタイムに差し替えたんです」
 
と発信していた。
 

(*11) 山村は2人のアクアを見て
「お前たち、また分裂したのか!」
と仰天していた。
 
「再分裂したのは合体した日の翌日くらいかなあ」
「何〜〜!?」
「こうちゃんさん、すぐ気付くだろうと思って特に言ってなかったら、全然気付かないみたいだし」
 
「こうちゃんさんって、ほんとににぶいみたいねと社長やケイ会長と言ってた」
「社長や会長も知ってたのか!?」
「普通気付くもんだと思うけど」
「う・・・・・」
 
毎日接しているのに2年間も気付かないというのは、アクアたちも信じられない気分だった。緑川さんや高村さんだけでなく、最近マネージングチームに加わった山城さんだって、アクアが2人いることに1週間で気付いたのに!
 
そういう訳で、エキュレイユの操縦も山村にさせたのである。しかし山村だけでは大いに不安があるので、千里が同乗した。
 

ライブは後半に入る。
 
前半はアコスティック楽器中心の演奏だったが、後半は近藤さんがエレキギターに持ち替えて、ここからはPAを通した音で演奏する。満を持してPA担当・有咲の出番である。
 
緞帳があがってから、回り舞台でスターキッズが登場する。
 
そして私とマリが下手から登場すると大きな拍手がある。
 
最初は『君に届け』を演奏した。この曲の担当楽器はこのようになっている。
 
Vo.マリ,ケイ Gt.近藤 B.鷹野 ASax.七星 Fl.世梨奈 Pf.詩津紅 Vib.月丘 Dr.酒向 Tp.香月 Cla.美津穂 Horn.吉田
 
PAを通すのでボリュームの問題が出ない。それでギター・サックス・フルートは1本にして、久美子・青葉・宮本は外れた。山森さんもいったん外れる。
 
『振袖』と『門出』には和楽器をフィーチャーした。演奏してくれたのは下記である。
 
琵琶.若山鶴風 箏.若山鶴花 笙.若山鶴海 龍笛.青葉
 
和楽器を入れると、和音階と西洋音階の楽器が鳴ることで“うねり”が起きやすいのだが、ここで使用している和楽器は全て西洋音階に調律した特製品なので、その心配は無い。
 
この2曲には、セレンとクロムが振袖姿(**)で出てきてコーラスを入れてくれた。
 
(**)「わぁ振袖着ていいの?」と大喜びしていた。数秒で着られるワンタッチ振袖である。きっとこの2人は成人式では振袖を着るだろう。
 
通常編成に戻して『H教授』を演奏する。今回は教授役を宮本さん、女の役を風花に演じてもらった。今回風花の唯一の出番である。風花がステージに出ている間は、竜木マネージャーに舞台脇てのコントロールを代行してもらった。
 
(通常は舞台脇に風花、楽屋に鱒渕が居て、連絡を取りながら進行させる。舞台脇の管理者は演奏者から、とっさに相談されることがあるので、楽器のことが分かっている人でなければならない。それでギタリストである竜木に頼んだ)
 

『雪を割る鈴』を演奏する。
 
ここからまたヴァイオリンが入る。また、久美子・青葉がキーボードで入る。山森さんもエレクトーンで入る。
 
そして千里がバヤン、宮本さんがバラライカを演奏する。
 
バヤンは千里以外に弾ける人がいないので弾いてもらったが、彼女は熊のミーシャのかぶりものをかぶって演奏した。
 
最初サラファンを着て出てくるダンサーは山鹿クロムと三陸セレンに頼んだ。また鈴割り役は美崎ジョナにやってもらった。
 
前半のスローな演奏が一段落する所で美崎ジョナがRPGなどでありがちな感じの、女剣士の扮装で登場。
 
鈴を割ろうとしたが・・・空振りした!
 
距離は良かったが振った角度が悪く、鈴の横を通過してしまった。
 
この鈴は電動で開くので剣は当たりさえすれば良く、腕力を必要としない。また練習の時は(小鈴の入ってない鈴で)ジョナは、ちゃんと鈴に当てていた。本番であがってしまったのかも知れない。
 

想定外の事態に一瞬ヒヤリとしたが、サラファンで踊っていたセレンがパッと飛び出して「もう一度やるよ」とジョナにささやく。血の気が引いているものの頷くジョナ。
 
それでジョナとセレンの2人で剣を持って鈴をちゃんと割ることができた。
 
ハプニングが起きるのが生ライブの面白い所であるが、そういう時にどうやってリカバーするかというのも、出演者に問われる能力である。セレンは凄いと思った(バレエの舞台を何度も経験しているのもあったかも)。
 
自分が飛び出しかけた舞台脇の風花もホッと胸をなで下ろした。
 
鈴が割れると、多数の小さな鈴が飛び出してチャリンチャリンと凄い音がする。
 
セレンはクロムの隣に戻り、一緒にサラファンを脱ぐ。下にはテニスウェアを着ている(さすがに中学生をビキニ姿にはできない:着てと言ったら、本人たちは喜んでビキニを着そうだけど)。
 
後半のアップテンポの演奏になり、セレンとクロムも激しいダンスをする。ジョナもそのそばに寄って一緒に踊る。セレンの高速回転技やクロムのバク転技なども入り、物凄く元気の良い後半演奏になった。
 
演奏者を紹介する。
「バラライカ、宮本越雄」
「バヤン、熊のミーシャ」
 
ここで客席から拍手代わりに爆笑が返ってくる。
 
「熊さん、どこから来たの?」
などと観客席から質問が飛んでくると、本人(本熊?)はマイクを取って
「ウクライナのキエフ生まれでアゾフ海でチョウザメ食べて育ちました」
と答えていた!
 
気を取り直して紹介を続ける。
 
「ダンサー、三陸セレン・山鹿クロム」
「鈴割り、美崎ジョナ」
 
ここでジョナは
「失敗してごめんなさい」
と深く客席に向かってお辞儀をしたが、客席からは
 
「ジョナちゃん、どんまいどんまい」
「次は2個割ろう」
などという声が返ってきて、ジョナは暖かい声に涙ぐんで再度お辞儀をしていた。
 

『青い豚の伝説』、『コーンフレークの花』とダンスナンバーが続き、セレンとクロムはテニスウェアのままダンスを続ける。ジョナも女剣士の格好のまま一緒に踊る。むろんストリップはしない!中学生にストリップをさせたら私が逮捕される。
 
この曲が終わった所でいったんダンスしていた3人は退場する。
 
『フック船長』を演奏する。
 
ウェンディの扮装の鈴原さくら、ティンカーベルの扮装の薬王みなみが入ってくる。ウェンディは地面に落ちている“影”を拾って困惑している。曲の途中まで行った所でフックの扮装の山鹿クロムが入ってきてウェンディを脅すが、続けてピーターパンの扮装の三陸セレンが入ってきて、フックと戦う。クロムは右利きだが、ちゃんと左手で剣を持っている。戦いは1分近く続くが、そこに時計の音が響き、フックは慌てて逃げて行く。
 
目覚まし時計を手に持った宮本さんが入ってくる。カチッカチッという音がしている(実際にはメトロノームの音)。ピーターパン・ウェンディたちは静かに退場する。
 
宮本さんの持つ目覚ましのベルが鳴り出す。宮本さんは何とかベルを停めようとあちこち触るが停まらない。床に投げつけても停まらない。最後はお玉を取り出して叩くと、やっと停まる。
 
ここで曲も終わるが、宮本さんは手に持つお玉を見て首をひねっている。そこに観客から「ピンザンティン」という声。
 
それで『ピンザンティン』を演奏する。セレンとクロムが走り込んで来て、私とマリにお玉を渡す。セレンとクロム自身もお玉を持っている。モニターの向こうで多数のお玉が振られている。さくら・みなみ・ジョナもお玉を持って出て来て、一緒にお玉を振りながら踊る。
 
そしてライブは興奮の中クライマックスとなる。
 

ここでいったん緞帳が下りる。
 
客席の手拍子がゆっくりとしたリズムのものに変わる。「アンコール!」という声も響く。30秒ほど待って緞帳が再度上がる。
 
『影たちの夜』を演奏する。この曲は演奏するのは、Gt.近藤 B.鷹野 KB.詩津紅 Dr.酒向 ASax.七星 Mar.月丘 とスターキッズの基本構成のみだが、それ以外の出場者は全員黒い服を着ていて、みんな曲に合わせて踊る。“影たちの踊り”なのである。
 
興奮の中演奏が終わると、私とマリ以外は全員退場する。
 
PAのスイッチが切られる。自然音響の状態になる。
 
私は客席に向かってアンコールの御礼を言う。私はホールの時計の秒表示を見ながら語る。
 
「では本当に最後の曲です。『あの夏の日』」
 
私は、スタインウェイ&ソンのコンサートグランドの前に座り、マリもその隣に立つ。そして私の伴奏に合わせて2人で、ローズ+リリーの出発点になった曲『あの夏の日』を歌った。
 
歌唱が終わり、コーダの最後のピアノの音の余韻が消えた所で、大きな拍手が鳴り響く。
 
スピカが舞台下手端で「本日の演奏はこれを持ちまして終了しました。ありがとうございました」というアナウンスをした所で放送時間終了となった。
 

ライブ終了後、美崎ジョナが鈴割り失敗の件で私たちの所に謝りに来たが
 
「一度失敗というのを経験しておけば、次からは大胆になれるものだよ」
と言って、笑って励ましておいた。
 
「まあハプニングってあるよね」
とマリが言う。
 
「ヴァイリンやギターの弦が切れちゃうのとかはよくあるし」
「予定と違う曲の伴奏をされちゃうくらいも割とある事故」
「あ、それは私も経験あります」
とジョナ。
 
「演奏者が転んで楽器が壊れたというのもあったし」
「ヴァイオリンの弓が新品で松ヤニが塗られてなかったとか」
「それは酷い」
 
「ピアノの調律がずれてたとか」
「エレクトーンが壊れてて鳴らなかったとか」
「特定の鍵盤の音が出ないってのはわりとあるよね」
「1音や2音程度なら弾き方を工夫して何とかなる」
「わぁ・・・」
 
「観客の投げたテープがドラムスのタムの上に乗っちゃったとか昔はあったね」
「ひゃー」
 

「落雷で全部電源が落ちちゃったこともあったしね」
「ああ、松島でやった時は大変だったね」
とマリが言っているが、私はその前に苗場でもこれを経験している。
 
「停電でコンピュータ制御の照明のプログラムが蒸発しちゃったというのも昔はあった」
と八雲課長。
 
「昔はUSBメモリーなんて便利なものが無かったからね〜」
「そうそう。だから80年代頃は本番前に3時間くらい掛けて現場でプログラムを手入力してたのよ」
「大変だったんですね!」
 
「伴奏者が迷子になってて居ないとか」
「伴奏者が居ないという事故はわりとよくある」
「伴奏者が警察に逮捕されちゃったこともあったし」
「何したんですか!?」
 
(2016.12.24 アクアの博多ドームでのライブでキーボード奏者が実は爆弾犯で、本番前に逮捕されキーボードを弾く人がいなくなったという事故?があった。千里が初見に近い状態で弾いてくれた)
 
「ともかくも何とかして弾ける人を調達する」
「バスケットの試合で審判が来てないってのがあったよ。協会側の手配ミスで」
と千里が言うと
「うっそー!?」
とジョナが驚いている。
 
「観客の中で審判できる人いませんか?って募集してやってもらった」
「凄い」
「いやスポーツの試合をわざわざ会場まで見に来る人なら、自分でもやるという人は結構多いはず」
「なるほどー!」
 
「歌う本人が来てないというのも時々あるよね」
とマリが言う。
 
「どうするんですか?」
「それに関しては、わりと人には話せない話が多い」
「うーん・・・」
 

「メンバー同志でステージ上で喧嘩になって1人が帰っちゃったというのもあったね」
「ありゃあ」
「あのバンドはそれを翌年も同じ会場でやらかした」
「お客さん可哀想」
 
(某外国バンドの実話)
 
「観客がステージになだれ込んできて楽器とかも破壊されたこととか」
「きゃー」
「上から人形が落ちてきて楽器が壊れちゃったこともあったし」
「こわぁ」
 
「刃物で刺されそうになったり、銃で撃たれそうになったり」
「え〜〜!?」
「赤ちゃんが産まれちゃったってのもあったし」
「うっそー!?」
 
(コンサートではないが、某有名女優が若い頃に舞台でやらかした実話。無理しないでと周囲が言うのを「大丈夫。まだ出てこない」とか言って出演したら舞台でジャンプした拍子に、赤ちゃんが飛び出してしまった。飛び出したということは産道移動中だったはずで、凄まじい陣痛が来ていたと思うが、よくまあその状態で演技したものである。恐ろしい精神力だが・・・休めよ!)
 
「出演者が性転換しちゃったこともあったし」
とマリが言っている。
 
「ステージ上でですか!?」
と、ジョナはそういう事態は想像がつかないようであった。
 
「まあ何か起きても『この後どうするか』ということだけ考えればいい」
 
「そうそう。私たちは常に前を見て行動しなければならない。未来は変えられるけど過去は変えられないんだから。反省なんてライブが終わった後ですればいいんだよ」
 
「とにかくその場をうまくまとめることが大事」
と風花が言うので、ジョナも考えているようだった。
 
とにかくも彼女には良い勉強になったようである。
 

ライブが終わった後、私はその日の内に東京に戻ったが、マリは3日まで小浜で過ごし、1月4日(火)に東京に戻った。伴奏者の大半は3日に帰京した。
 
マリの体調は万全で、ライブが終わってから、青山医師が
「ちょっと様子を見ましょうか」
と言われてから
「あ、そういえば、私妊娠してるんだった」
などと言ったほどだった。
 
落合翠さんは、スタインウェイのコンサートグランドをずっと弾いていた。ライブが終わった後、セットの撤去作業中は危険なので控えてもらったが、それが終わると、その日夜遅くまで弾いていた。翌日も丸一日弾きまくっていた。
 
「凄くいい経験になりました」
と言っていた。観客の前で演奏したことも良い度胸付けになったようである。
 
山森さんもパイプオルガンを弾きまくっていた!
 
普通の“借りてる会場”ではなく、ほぼ自前の会場に近いので、時間制限などもなく、ふたりとも、かなり満足した様子であった。
 

“北陸組”は、1月3日(月)に千里と一緒に帰った。千里は高岡の青葉家から、セレナで早月を連れてきていたので、その車に吉田君と日高さん・田中さん・翠さんを乗せて金沢・宇ノ気・高岡に戻っている。この付近は千里から話を聞いて、いつもながらの予定調和に呆れた。
 
12/25 Axela 千葉の紫尾家(季里子・桃香A/来紗・伊鈴)→浦和の千里家
Serena 千里家(季里子・桃香A/来紗・伊鈴/京平)→高岡の青葉家
 
チャイルドシートを着けるとアクセラには5人乗らないので京平君を拾うついでにセレナを借りてきたのである。運転はむろん季里子さんがひとりでしている。桃香には絶対に運転なんてさせられない。
 
12/30
Serena 高岡の青葉家(千里・早月)→宇ノ気(翠)→小浜
 
1/01
早月・翠・千里がニューイヤーライブに出演
 
1/03
Serena 小浜(千里・吉田/早月・田中/日高・翠)→金沢・宇ノ気・高岡
 
1/08
Serena 高岡(季里子・桃香A/来紗・伊鈴/京平・早月)→浦和
Axela 浦和(季里子・桃香A/来紗・伊鈴)→千葉
 
なお、季里子と桃香Aが高岡に来ている間、桃香Bは千里1と一緒に、高岡の旧宅の方に退避していたらしい。この旧宅は1月中に取り壊して更地にする予定だったが、まだ取り壊し前だったので、取り敢えず雨風しのぐことができたのである。
 
むろん、季里子が高岡に来ている間、千里はそちらには居ない。季里子としては12/25に浦和で“千里から”京平君を託されているから、千里は浦和に居るという認識である。12/30に浦和からインプレッサでやってきて、セレナで早月を連れ出し、1/03に戻って来て早月を置いて、またインプレッサで浦和に帰って行った、と季里子さんは思っている。
 
数人の千里が入り乱れているが、どの千里が何番なのかは、私にはさっぱり分からない!(桃香Bと旧宅で新年を迎えたのが千里1だというのが分かるだけ)(*12)
 

今回のカウントダウン・ニューイヤーライブに関する移動概観:−
 
12/29 地方の信濃町ガールズ(以下信G)が各地の拠点に集まる
 
12/30
A318 スターキッズ、ヴァイオリニスト、北陸組の3人、ライブスタッフを乗せて小浜へ。
CRJ200 信G:能登→熊谷
G450 信G:高松・岡山→熊谷
Blue/Silver/Yellow 信G:北海道→熊谷
Tiger 風帆:小牧→小浜/信G:米子→熊谷
Serena 千里が早月・翠を連れて高岡・宇ノ気→小浜
 
31日
G450 マリ・風花・鱒渕:熊谷→小浜/回送:→熊谷
 
●カウントダウン●
 
1/1朝
Ecureuil-2 八王子のアクア宅!6:00→7:20小浜ミューズ飛行場
Blue ケイ・青葉・詩津紅・美津穂・三千花・七美花:熊谷7:00→7:40小浜
Silver ジョナ・セレン・クロム・さくら・みなみ・スピカ:熊谷7:15→7:55小浜
 
●ニューイヤーライブ●
 
1/1夕
Ecureuil-2 小浜(アクアMF・葉月・千里)14:30→15:50東京HP
Blue ケイ・青葉・詩津紅・美津穂・スピカ・ジョナ:小浜18:20→19:00熊谷
Silver 風帆:小浜18:00→18:15小牧/回送:→熊谷
 
1/3
Blue/Silver/Yellow 信G:熊谷→北海道
Tiger 信G:熊谷→米子
CRJ200 信G:熊谷→能登
G450 熊谷→高松/回送→小浜
G650 熊谷→岡山
Serena 千里・早月・翠・北陸組:小浜→金沢・宇ノ気・高岡
A318 スターキッズ、ヴァイオリニスト、三千花・七美花、セレン・クロム・さくら・みなみ、ライブスタッフを乗せて小浜から熊谷へ。
 
1/4
G450 マリ・風花・鱒渕:小浜→熊谷
 

(*12) 筆者注.ローズ+リリーのライブに出たのは千里2である。アクア・葉月の付き添いで東京からヘリコプターで往復したのは千里3。そして千里1がWリーグの試合に出た。なお、フランスのLFBは12/18の試合の次が1/9で、お正月は空いていた。
 
Time Chart
12/25 千里1が青葉邸に来て桃香Bを旧宅に連れ出す(ヴィッツ使用)
12/25 千里3が浦和で、季里子に京平を託す
12/29 千里2が青葉邸に来て早月を連れ出し、宇ノ気で翠を乗せて小浜へ。
12/31 エキュレイユを八王子の家に降ろしておく。
1/01 600-7:30 千里3がアクアと葉月を連れてヘリで小浜へ。
1/01 10:00 千里1は寝ている桃香を放置して代々木第2に転送。
1/01 13:00-15:00 千里2が小浜でライブに出演。
1/01 13:00-15:00 千里1が代々木で試合に出場。
1/01 14:30-16:00 千里3はアクア・葉月を連れてヘリで東京に戻る。
1/01 15:30 千里1は高岡の旧宅に転送。でも桃香はまだ寝てる!
1/03 千里2が早月・翠・北陸組を連れて金沢・宇ノ気・高岡へ。
 
※1番は桃香を放置して来たので早く解放される、試合かライブに出たい。バヤンは2番が最もうまい。この日のWリーグの対戦相手は弱いチームで、1番でも務まる。ということで、こういう担当になった。
 
千里1は2021年はバスケ感覚の回復を図って5-7月に再開されたアメリカのWBDAに参加した。内情的には千里2はずっとフランスに居ることになっているので、アメリカのリーグには米仏双方の、入国後の待機日数や入国の際の陰性証明などの問題で参加できなかったので1番を参加させたのである。
 
また1番は、その後東京五輪でも1試合出場していて、既にWリーグでは充分強い選手の部類に入っている。日本代表に恥じないレベルまで戻ってきている。さすがにまだ2や3には及ばないが:と千里2は考えているが、京平は実は1は既に2や3と変わらないレベルまで回復していて弱いふりしているだけではと疑っている。
 
(千里は99%のジョークと1%の嘘でできている。虚空は30%のジョークと70%の嘘で出来ている。だからマジ100%の青葉もスケベ100%の羽衣も2人に勝てない←桃源の説)
 

2022年1月1日、 ΛΛテレビの昔話シリーズで、ビンゴアキちゃん主演の『オズの魔法使い』が放送された。このシリーズも今回と次回で終了予定である。
 
主な配役
ドロシー ビンゴアキ(16)
かかし 倉橋礼次郎(32)
木こり 森原准太(32)
ライオン 揚浜フラフラ(41)
西の魔女 キャロル前田(18)
北の魔女 仁田友里(27)
オズ 海野博晃(50)
緑色のガイド 羽田小牧(14)
緑色の門番 黒山明(21)
 
羽田小牧は最初かかしで考えられたものの若すぎるとして緑色のガイド役になった。ガイドの衣裳は緑色のトレーナーと膝丈スカート、緑色のストッキング緑色の帽子に緑色のパンプスが用意されていたが
 
「スカートは嫌です」
と本人が言うのでハーフパンツに変更された(衣裳係さんが採寸して20分で縫い上げてくれた)。パンプスはヒールの低いものだったので本人はパンプスであることに気付かなかったようである。放送時には
 
「やはり小牧ちゃん、女の子役なのね」
「小牧ちゃん、まだ2〜3年は女の子役で行けるよね」
などと随分書かれていた。
 
胸とか平らなのに〜と本人は言っていたが。
 
(彼自身の雰囲気が少女的だからだと思う:だからみんな女装させたがる)
 
キャロル前田の<西の魔女>は“妖しい”雰囲気が出ていて好評だった。彼はわざと中性的な声を使って、妖しさを倍増させていた。
 
揚浜フラフラのライオンは、情けない感じがよく出ていて、これも評価が高かった。こういう役は大根役者には務まらない。やはりこの人、演技力あるんだと、彼の評価も上昇中である。
 

あけぼのテレビのネットライブは新年も続いていた。1日はローズ+リリーのニューイヤーライブだったが、その後も下記のように続いて行く。
 
1.02(日) 織姫 赤いトマト
1.03(月) 深川 倉田ミチコ
1.04(火) 織姫 UFO
1.05(水) 牽牛 スパイスミッション
1.06(木) 深川 ファレノプシス
 
1.08(土) 深川 トラインバブル
1.09(日) 織姫 ボニアート・アサド
1.10(祝) 深川 三つ葉
1.11(火) 火牛 ラピスラズリ
1.12(水) 牽牛 常滑舞音
1.13(木) 小浜 アクア
 
UFO,スパイスミッションが平日なのも回線ダウンを避けるためである。7日については後述する。
 
ボニアート・アサドは、地元の織姫を選んだ。アクアは今回の一連のシリーズのラストなので小浜を使った(12/27のハイライト・セブンスターズも小浜を使っている)
 
 
前頁次頁時間索引目次

1  2  3  4  5  6  7  8 
【夏の日の想い出・いろはに金平糖】(3)