【夏の日の想い出・ボクたち女の子】(4)

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鹿島信子の家で取材後に私たちは“大暴露大会をした”が、信子もはるこのことに驚いていたし、はるこも信子の話に驚いていた。
 

4人とも性転換者としてはかなり尋常ではない経歴である。
 
青葉は小学生の時に、何らかの方法で睾丸を機能停止させた(*1)。そして密かに女性ホルモンを入手して飲んでいた。彼女が“骨格から女”と言われるのはそういう経緯がある。アメリカの病院で、15歳になったら性転換手術をしてもよいという認可をもらったが、その認可証から、射水市のAクリニックでも倫理委員間の許可が取れて、中学3年の2012.7.18に性転換手術を受けた。
 
彼女は骨格が明らかに女性の骨格であるため、IOCが女子選手として認める基準のひとつ「思春期以前に睾丸を除去していた場合」に相当し、女子選手として登録を認められ、インターハイ・インカレ・日本選手権などに出た。しかし2019.7.6、“千里1の暴走”の犠牲になり、本物の女性に変化してしまった。それで東京五輪の登録前に再度受けた性別検査では、半陰陽だったケースに該当して、“性別を変更した選手”ではなく普通の“女性の選手”として東京五輪には参加した。
 
そのため彼女の性別についてては、オリンピックの報道でも「出生時に男児と誤認されたが、子宮や卵巣もある立派な女性」と報道されている。彼女の小学校以来の友人たちが全員「そうだと思った。男の子の訳がないと思ってた」と言った。
 
(*1) 本人は魔法で機能停止させたと言っているが、千里は恐らく闇の手術で除去したのではと推測している。青葉は小学生の頃から数百万の資産を持っていたので手術代くらいは払えるはずと千里は言う。
 

私は小学校の低学年で性転換したと思っている人が多いが、実際には停留睾丸だったために睾丸が不活性で男性的な発達を免れている。小学5年生の時から女性ホルモンを摂って、男性化を抑えていた。それで私も女性らしい骨格である。そして(誰も信じてくれないが)大学1年の時に睾丸を除去し、大学2年の2011.4.3に性転換手術を受けた。
 
しかし2019.7.21、私も千里1の暴走にやられて、本物の女性に変化してしまった。
 
ともかくも、青葉も私も性転換手術を受けて特例法により性別を変更したのだが、現在妊娠能力もある完全な女性なのである。
 

私は高校1年の時に若葉に唆されて、彼女に連れられ性転換手術をしてくれる病院に行きかけたが、途中で突発事態が起きて、病院には行かなかった。しかし若葉は記憶が混乱していてこの時、私が性転換手術を受けたと思い込んでいて、かなり人に話している。この“高校1年生の時に性転換手術を受けた”という話はクロスロードのメンバーや美空たちには広く信じられている。
 
麻央は小学3年の時に私と一緒にお風呂に入ったことがあり、私に“ちんちんなど無い”のを見ている。麻央はずっと私のことを女の子と思っていたが、後に男の子と知ってからも「小学3年生の時に既にちんちんは無かったから、それ以前に性転換手術を受けていたのは確実」と人に言いふらしている!丸花さんや兼岩さんなどはこれを信じている。
 
私の母に至っては、私が小2の時に停留睾丸と診断され、その時に「停留睾丸は癌化することもあるから、安全のため取りましょう」と言われて、睾丸は手術して取っちゃったじゃん、などと言ってる。「あんた女の子になりたいって言ってるから睾丸取ってもらって良かったね」と言った記憶があるよ、とも言う。(停留睾丸を取りましょうと言う医師はいないと思う。普通は陰嚢内に引き出して固定する)。どうも母も記憶が混乱しているようである。
 
姉などは「あんたは産まれる直前まで女の子と思われていたのに、産まれてみたら変なのが付いてたから、お医者さんに頼んで切り取ってもらったはず。その証拠に生まれたての写真にちんちんが無いのが映っている」などと言っている!生まれたての赤ちゃんのちんちんを切ってくれるような親切な?お医者さんは存在しないと思う。
 

↓以下は著者のコメント(ケイは知らない)、
 
鹿島信子は罰ゲームで女装ヒッチハイク旅行している最中に出雲でケイや千里たちと偶然遭遇。《こうちゃん》が親切心?を起こして勝手に性転換手術をしてしまった。もっともやや鈍い所のある信子は自分が性転換されていることに数週間気付かなかった。
 
信子の女性器は本当は東日本大震災のため17歳で死亡した従姉のものである。《こうちゃん》はその子と多少の関わりがあったので、彼女を助けきれなかったことを悔やんでいた。それでせめて生殖器だけでもと思い、保管していた。信子を女性に改造した目的の半分はその女性器の宿主確保だった!
 
だから信子が産んだ星月(あかり 2017.12.04)は、《こうちゃん》にとっては自分の娘に近い感覚で、いつも自分のエイリアスがひとり付いている。星月はどうも“見える子”のようである。
 
信子に元々付いていた陰茎は事故で男性器を失った翻田和弥(当時17歳)に移植され、睾丸はその父(留萌P神社宮司の息子)の翻田民弥(当時46歳)に移植された。そして民弥の睾丸が和弥に移植されている(性器のドミノ移植)。
 

 

桃香の娘・早月を作った精子は、実は武矢に射精させて採取した精子である。武矢の身体に入っている睾丸は元々千里のものなので、早月の遺伝子上の父は千里になる。
 
武矢は極めて貧弱な千里の睾丸を移植され、男性ホルモン濃度が低下したことから暴力的な性格が改まった。逆に武矢の睾丸を移植された常弥は、それまでしばしば寝込みがちだったのがすっかり元気になって、75歳にして再婚するに至る。現在93歳だが、まだ70代のような若さ(見た目も70代に見える)である。しばしば民弥(67)の弟!と思われている。
 
千里は小2の頃から、小春の力によって男性器を“取り外して”いたので、男性ホルモンの影響を全く受けていない。小4の時に母の津気子に癌が見つかり、治療のために制癌剤や放射線治療なども受けるので、津気子の女性器がその影響を受けないよう千里の身体に退避させた。それで千里は以降、急速に女性化していく。
 
この時、卵巣と競合しないよう、千里の睾丸は父の武矢に移植し、武矢の睾丸を宮司の常弥に移植したのが↑のドミノ移植の右側の図である。(常弥の睾丸は廃棄)
 
だから、“骨格から女”と言われる、青葉・千里・ケイ・和実の4人の中で最も女らしい身体をしているのが千里である。
 
千里は中学の入学式直前にIPS細胞から作った本人の遺伝子を持つ卵巣・子宮・膣のセットを移植されている。津気子の卵巣・子宮はこの時に本人に戻されたが、津気子は3年間停止していた生理が再開したので驚いた!
 
千里が高校時代に性別検査を受けた時は“くうちゃん”の力で隠していたので、MRIには卵巣と子宮は写っていない。
 

東雲はるこ(月乃岬)は、友人の平野啓太が、陰茎に腫瘍ができて、陰茎を切断しなければならないと診断を受けたのに納得できなかった。それで手術直前に、彼に逃亡して他の病院でセカンドオピニオンをもらうよう唆し、自分が代りに彼のベッドに寝ていて、まんまと自分の陰茎を切断してもらった。
 
手術完了後に入れ替わりが発覚して病院も保護者もパニックになる。しかし、岬は元々女の子になりたかったので、男性器を除去してもらったのは大歓迎であること、病院側も医療ミスを公にしたくないという双方の利害が一致して岬は半陰陽で本来は女の子だったので、性器も本来の性別に合わせて整形したということにしてしまった。
 
それで岬はあらためて射水市Aクリニックの松井医師の手できれいな女性の形に整形してもらった。これが2019年5月のことである。だから、岬は元々性転換者だったのだが・・・千里1の暴走の犠牲!になって本物の女に変わってしまった(2019.7.21)。それで8月に生理が来て仰天した。
 
病院を受診したら「あなたは本来女性だったのが、男性に似た形で生まれていただけなんだから、生理があるのは普通」と言われてしまった!
 
嘘から出た真実(まこと)である。
 

陰茎切断手術直前に逃亡した啓太は、東京の病院で診てもらった結果、化学療法で腫瘍の縮小が期待できるということになり、陰茎切断を免れた。その化学療法は2年経った現在も続いており、治療薬の副作用で啓太の身体はかなり女性化している。バストもかなり大きくなり、Bカップのブラをしている。陰茎は全く立たない。実は小さくなっていることが多くて、立っておしっこができない。あまりにも小さくなっていて自分のペニスがどこにあるかどうしても分からない時もある。
「ほんとにどこにあるか分からない。きっとめでたく消滅したのよ」
などと茜(町田朱美)からからかわれる。フェラ不能なので、実質的にクンニしてもらっていると、やっと姿を表し
「ちんちん発見!ただちに爆撃します」
と言われて攻撃?され、啓太が悲鳴をあげる。
「やめろー。もげたらどうする?」
 
治療が完了した後、彼の男性機能が回復する確率は低いと言われている。しかし陰茎を切断せずに済んだので本人としては女性化は我慢している。茜は彼の男性機能が戻らなくても結婚してあげると本人には言っている。
 
彼と同じ病気に罹った、千里の友人・鞠古知佐(留実子の夫)の場合は、治療完了した後、バストはかなり小さくなったが、現在でもAカップ程度のサイズがあり、ブラジャーを着けてないと、走った時に痛いと言う。それで試合中のブラジャー着用をバスケ協会から特例として認められている。彼は留実子との間に子供も作ったが、ペニスはかなり立ちにくく、2人はレスビアンに近い性生活をしている。子供も実は射精した精液を人工授精して作ったものである。
 
千里の仲介で本人たちと会ってきた茜は物凄く勇気づけられた。但し鞠古君からは
「僕の場合はむしろ例外だから、期待しないように」
と釘を刺された。
 
「でも、やはり女装させたくなりますよね」
「そうそう。せっかくおっぱい大きいんだからスカート穿かせなきゃ」
などと留実子は茜を煽っていた。
 

“作曲家アルバム”の取材、9月20日(祝)はフェイとヒロシの自宅を訪問した。
 
この日はかなり気が重かった。ヒロシも結構微妙だが、フェイは全くの非常識人である。芸術家には、ほんとに非常識な人が多い。
 
ふたりは一応“法的には”ヒロシが夫で、フェイが妻なのだが、訪問するとヒロシが女装していて、フェイが男装していたので、私は頭を抱えた。
 
ヒロシ(27)はまるでティンカーベルのようなライトグリーンのオフショルダーのショートワンピースを着ている。彼は撫で肩なので、この格好が物凄く似合っている。男性だということを知らなければ23-24歳の女性にしか見えない。メイクはナチュラルメイクである。髪はロングの髪をお団子にしていた。
 
フェイ(27)は、ポールスミスのメンズスーツを着て、髪は七三に分けている。付けヒゲまでつけている。普通にエリート・サラリーマンに見える。
 
東雲はるこが「ヒロシさん可愛い!」と言うと、ヒロシが喜んでいた。すかさず朱美は「フェイさん格好良い」と言うと、フェイも嬉しがっていた。
 

「その格好でカメラに映りますか?」
「じゃ途中でお召し替えする」
「分かりました」
 
ヒロシは現在日本で最も人気のあるバンド、ハイライトセブンスターズ(High-light Seven-stars) のリーダーである。彼らの名前は、出身地の近くに、JTのタバコ工場があったことによる。こういうバンド名なのに、喫煙者が1人もいない。
 
デビューしたての頃はバンドと称していても実は全ての楽器をヒロシがひとりで演奏する“エアバンド”だったのだが(他のメンバーは当て振りする)、その後全員しっかり楽器の練習をして、リアルで演奏できるバンドに進化した。
 
フェイもまた人気の高いパンド、レインボウ・フルート・バンズ (Rainbow Flute Bands) の(実質的な)リーダーである:公式のリーダーは定めていない。なお営業や交渉事は全てマネージャーのルイズがしている。
 
"Flute"という名前が入っているのは、全員がフルートを吹いて七重奏するスタイルをその看板にしたからである。現在でもライブの先頭と終わりにはこの七重奏を見せる。フルートは“虹の七色”に着色してあり、下記のようになっている。
 
赤 ジュン
橙 モニカ
黄 アリス
緑 マイク
青 キャロル
藍 ポール
菫 フェイ
 
Rainbow Flutes Band ではなく、Rainbow Flute Bands なのは公式には“自分たちは1人1人がバンドであり(だからリーダーは居ない)その集合体たから”
 
と説明されているが、本当は命名した雨宮先生の書き間違いである!
 

"Rainbow"のもうひとつの意味は、彼らが全員セクマイ(セクシャル・マイナリティ)だからである。誰か何かは公表していないが、ファンの間では下記であることが知られている。
 
赤 ジュン Lesbian Soprano
橙 モニカ MTF Alto
黄 アリス 女装者 Alto
緑 マイク FTM tenor
青 キャロル gay bass
藍 ポール 男装者 tenor
菫 フェイ 半陰陽 Soprano
 
(マネージャーのルイズもレスビアン)
 
実際問題として彼らはセクマイの団体の会合で知り合い、バンド結成に至ったのである。フェイの傾向については、最初の頃本人が、FTMと言ったり、MTFと言ったりして、他のメンバーもすっかり欺されていた(FTMと思っていた人、MTFと思っていた人がある)。実は半陰陽(正確には両性具有)で、バイセクシャルであることが現在では(他のメンバーや私や千里・アイなどごく一部の関係者には)知られている。ただし出産したことから多くの人が「男装者だったのか」と思った。
 
彼(本人の意識は男なので“彼”と呼ぶ)は、出生時にペニスがあったので男児として出生届けが出された(陰裂もあったが両親は男の子と思いたかった)ものの、2016-2017年に妊娠出産したことから「この人は本来の性は女性である」という診断書を元に性別を女性に修正した(本人は性別修正は不本意だった)。ペニスが付いているのに性別を女性に修正した希有な例である。戸籍を修正してから出産したので“世界初の男性出産”にはならなかった。
 
彼が妊娠した時、実は3人の男性(?)と連続してセックスしていたので、父親が誰か分からなかった。でもその3人が話し合って、結局ヒロシが父親になることにし、フェイと結婚した。でも本当の父親が誰だったかについては、現在では分かっている。でもヒロシと丸山アイの胸の内だけに留めている。千里は知っているようだが、私も聞いていない。でもフェイは知らないし、興味もない!ついでに産んだ子供にも興味が無い!!ので放置している。
 
結局バンドメンバーで友人のモニカ(MTF post-op)が彼らの家に同居して、歌那(2017)と奈美(2021)を育てている。モニカは自分が子供を産めないので、2人を自分の子供のように可愛がっている。なお奈美は間違いなくヒロシの子供である。でもヒロシは優しい性格なので、2人を分け隔てなく可愛がっている。
 
フェイは“愛情”というものが分からないと言う。だからセックスは好きだからいつもヒロシとしているが、スポーツのようなものと認識している。ヒロシとの関係も“一緒に暮らし、セックスもするお友達”という感覚に近い。ちなみにフェイは家事などしないので、一家の“主婦”はヒロシである!
 
ヒロシは肉体的には普通の?男性だが、バイセクシュアルである。でもかなり女性的なボディをキープしており、バストこそ無いもののウェスト61・ヒップ96というキュッ・ポンなボディであり、フェイと服が共用できる。足のむだ毛・顔のむだ毛は全て永久脱毛している。彼は喉仏も目立たないし撫で肩だが、どうやってその身体をキープしているのかはよく分からない。彼は両声類だが、今回のインダビューでは自粛して?男声で話していた。
 
フェイは“愛情”が理解できないので“嫉妬”の感情も無い。だからヒロシが他の女の子や男の子と寝ても何も感じないらしい(自分ともセックスしてくれるなら満足)。それをいいことにヒロシが結構浮気をしていたのは、丸山アイから注意されて最近は控えているようである。
 
なおヒロシは一緒に暮らしているモニカには決して手を付けない。それは手を付けてしまうと、一緒に暮らすことができなくなってしまうからである。彼もそのくらいの理性はある。むしろモニカがフェイに“やられない”ように守っている!!モニカはヒロシがゲイなので自分には手を出さないのだろうと思っている。
 
フェイは愛情を理解できないので、彼はラブソングの類いをほとんど書かない(他のメンバーが書いた恋愛の歌詞に曲を付けることはある)。ラブソングが少ないというのも、レインボウ・フルート・バンズの特色のひとつである。
 

このような背景について、私と青葉は、事前にラピスの2人には説明しておいた。それでこの日はフェイのセクシャリティには特に触れなかった。フェイの子供2人だが、歌那は興味深そうに出て来て
「ラピスラズリだ!」
と言って喜んでいたので、サインを書いてあげたら嬉しそうにしていた。
 
奈美ちゃんは5月に生まれたばかりで、モニカが抱いてそばにいたが、ラピスの2人は「可愛い!」と言って喜んでいた。
 
インタビューでは、ハイライト・セブンスターズおよびレインボウ・フルート・バンズの活動歴や、各々の音楽のコンセプトについて質問したのと、活動中の様々なエピソードについて、事前に予習していた朱美が尋ねて話を盛り上げていた。
 
「じゃお色直ししてきます」
と言って、区切りの良い所でふたりは着替えに立つ。戻って来た姿を見て、はるこが「フェイさん可愛い!」と声を挙げた。
 
フェイは女子大生風のフリルのついたブラウスと紺色の膝丈スカートである。前半はノーメイクだが、後半は軽くメイクしている(本当はヒロシにメイクしてもらった!フェイが自分でメイクすると青葉並みに酷い)。髪はセミロングの自毛をふんわりと垂らしている。ヒロシの方は、ミッシェルクランのポロシャツに、ロングパンツで一応男性に見える。長い髪は服の内側に入れて隠している。
 
フェイは前半は男声で話していたが、後半は女声で話した。ヒロシはずっと男声である。
 

「そういえば、フェイさんが妊娠休業中にヒロシさんがレインボウ・フルート・バンズの代理ボーカルでライブした時、ヒロシさんはフェイさんがいつもやっているように、前半を男装男声、後半を女装女声で歌ったんでしたね」
 
「あれは受けたね。ハイライトセブンスターズでもやってよと言われたけど、それだとコンセプトが変わっちゃうから」
とヒロシは少し照れながら言っている。彼は女声は出るが、めったに人前で使わない。
 
「ハイライトセブンスターズは男性バンドですもんね」
と朱美。
 
「まあ男だけでやると決めてる訳じゃないけど、現時点では男だけだね」
「女性メンバーがいると恋愛問題が難しいですよね」
「そうそう。男女混成ユニットは、しばしば恋愛問題から分裂や脱退が起きる」
「でも女性だけのユニットもしばしばお嫁さんに行くからとやめちゃうメンバーが出ますね」
 
「やはり長くバンドやっていくのは難しいよ」
 
「でも男性だけのユニットでもしばしばお婿さんに行くからとやめちゃうメンバーが出るね」
「それもたまに聞きます!」
 
(昨日、鹿島信子のところで聞いたばかり!)
 
「ね?」
 
「いや結婚するとなるとバンドでは生活できないことあるし」
「うん。音楽家の報酬は安いから、生活厳しいよ」
「売れてるバンドでも色々工夫して、バンドメンバーが生活できるようにしてますよね」
「そうそう。編曲報酬を山分けしたりとかね」
 

取材は、フェイか天然で色々笑わせてくれるので(本人はなぜみんな笑うのか分からない)、楽しく進んでいった。ラピスラズリが、ヒロシが書いて森風夕子が歌った曲、フェイが書いて富士宮ノエルが歌った曲を歌うと
「君たち本当にうまいね」
と褒めてくれた。
 
途中で奈美ちゃんが目を覚まして泣き出したが、モニカがおっぱいを出して口に乳首を含ませると泣き止んだ。
 
「おっぱい出るんですか?」
とはるこが驚く。
「出ないけど、乳首を咥えると安心するみたい」
「へー」
「今の泣き方はお腹が空いたという泣き方じゃなかったから。多分夢でも見たんじゃないかな」
「泣き方で何して欲しいって分かるんですか!?」
「だいたいはね。外れることもあるけど」
「へー。ほんとモニカさん、お母さんですね」
「えへへ」
 
この会話は放送時も流れた。結局カメラは(本人の許可を取って)モニカを映したが、むろんバスト付近はモザイクを入れた。
 
でもこれでモニカは天然女性だったのか!と思った人も結構あったようである。更にお乳が出るということはモニカもここ1-2年以内に出産したのでは→実は結婚していたのでは?→相手はキャロルか?などと勝手な噂も広がる。
 
(キャロルはメンバーの中で唯一男性生殖能力を持つ。しかし彼は純粋なゲイで“ちんちんの無い”相手の前では立たないらしい)
 

ピーターパンの撮影は9月25日に終了したのだが、サマーガールズ出版が貸出していたチェンバロは、楽器専門の移送業者さんに頼み、10月2日に川崎市の“屋内セット”から、大田区の§§ミュージック・サテライトに移動してもらった。その後、調律してもらって、使えるようになったのは、10月4日の夕方であった。
 
『12 monthes of I love you』の制作中だったが、このチェンバロの音でこの曲の前奏とコーダを入れた。チェンバロを弾いてくれたのは、極めて多忙なアクアである。彼は『ピーターパン』の中でもチェンバロを演奏しており、かなり練習していたようだったので、せっかくなので弾いてもらった。
 

私とマリは9月末に半日ほど時間が取れたので、ふたりでマリの実家を訪問した。アルバム制作中、ほぼ放置になっている子供たちと触れ合うためでもあった。今中田家で面倒を見てもらっている子供は3人である。
 
百道夏絵 2018.08.03 (3歳2月)
唐本あやめ 2019.02.03 (2歳8月)
唐本大輝 2020.10.18 (0歳11月)
 
夏絵はお祖母ちゃんと離れて寂しがってないかと心配したのだが、あやめと意気投合して、どうも政子の母・私の母をきりきり舞いにしているようだ。かなり仲良くなっているようなので、夏絵をお祖母ちゃんの所に返す時が辛いかもという気もした(実際には夏絵はこのままずっと中田家で暮らすことになってしまう)。
 
「香蘭社の茶碗とか、ウェッジウッドのティーカップとか割られた」
「ああ。やはり食器は100円ショップのものだけ出しといて、いい食器はしまっておいた方がいいかも」
「子供の破壊力は凄いからねぇ」
 
政子はひさしぶりに大輝のオムツを交換していたのだが、唐突に言い出す。
 
「ねぇ、亀頭ってさ、亀の頭みたいに見えない所からひょいと出てくるから亀頭って言うのかな」
 
政子の母も、私の母も呆れている。
 
「何を唐突に」
「いや、男の子のお股見てたら急に浮かんだ」
「彼氏に訊いてみたら?私は男の人のことは分からないや」
と私は言ったが、政子は
 
「ちょっと大変みたいだから、あまりそういうくだらないこと訊けない」
と言っていた。くだらない話という自覚はある訳だ。
 
(亀の頭と形が似ているからという説が有力らしい。似てるの??)
 
この時、私は大輔さんがまだ体調が戻ってなくて、大変なのかなと思った。
 

私とコスモス、ゆりこ、花ちゃんは9月30日、緊急会議を開き、鈴鹿あまめの過負荷問題について話し合った。
 
実は今年デビューあるいは本格的な女優やタレント活動によりA契約に切替わった人が大量に発生したため、あけぼのテレビの運用に必要な、信濃町ガールズの絶対数が不足しているのである。それで鈴鹿あまめ、長浜夢夜、山本コリン、鹿野カリナといった実力派のガールズが、かなりヘビーローテーションになってきている。中でも、鈴鹿あまめは、ほぼ毎日出演している。タレント代表の桜木レイアからは彼女と山本コリンの労働時間が長すぎると指摘されている。
 
そこで、応急処置として、彼女の負担を減らすため、彼女が受け持っている仕事の半分くらいを、カメラ度胸があり、機転もきく夕波もえこに振り分けることを決めた。
 
彼女は今年のビデオガールコンテスト3位で、まだ基礎教育の最中なのだが、彼女だけは特例でガールズ・デビューとする(基礎教育は継続する)それで、10月以降、夕波もえこが大量に画面に登場することになる。2014年にタレントの相次ぐダウンやリタイアで、まだ教育途中だった、高崎ひろか・品川ありさをテレビドラマなどに投入したのを前例とする。
 
また、鈴鹿あまめ・山本コリン・夕波もえこ・長浜夢夜・鹿野カリナについては、B契約のまま、報酬の取り分をA契約の人と同じ4割に改訂し、7月に遡って適用することにした(10月は差額がまとめて振り込まれたので振込額に仰天することになる)。A契約に変えてもいいのだが、そうするとマネージャーが足りない!のである。
 
こういう処置は過去に急速に仕事が拡大した今井葉月で実施したことがある。彼はB契約どころかC契約のまま!2015年度中に4回くらい報酬計算法を見直している(彼の報酬計算は最初は「1回1万円」だったのが、最終的には「アクアの報酬の10%」という特殊な規定になった)。
 
実は、この「鈴鹿あまめの負荷を下げる」というポリシーに基づき、ローズ+リリーのコーラス入れも、鈴鹿あまめ・長浜夢夜から、薬王みなみ・鈴原さくらに交替したのである。
 

今年もあけぼのテレビでは昨年もやった、アニメ付き朗読劇を“土日祝の仏滅”に放送することになった。土日の夕方には、結婚式の中継がしばしば行われるのだが、仏滅の日には結婚式は(ほとんど)無いからである。
 
実際仏滅以外の土日祝日には、全て結婚式放送の予約が入っている。芸能人の人たちも今は何百人も招待した“豪華披露宴”とかができない状況だし、放送料は高くても、リアルの披露宴をやるよりはずっと安いので、この企画に結構乗ってくれているのである。それに毎回ゲストの歌や演奏でとても盛り上がる。その歌目当てに見てくれる人たちも大勢居る。
 
それで朗読劇の日程はこのようになった。昨年は9-11月に6回あったのだが、今年は4回しかない。
 
_9月04日(土)仏滅『どんぐりと山猫』(常滑舞音・白鳥リズム)
10月03日(日)仏滅『鶴の恩返し』(ラピスラズリ)
10月31日(日)仏滅『あべこべ物語』(水森ビーナ)
11月23日(祝)仏滅『不思議の国のアリス』(姫路スピカ)
 
昨年はアクアの『星の銀貨』で始めたのだが、今年はアクアはどうしても日程が取れない(実際8月末まで『白雪姫』をしていた)ので、常滑真音・白鳥リズムW主演で『どんぐりと山猫』でスタートすることになった。むろん舞音が山猫である!一郎がリズムで、馬車別当は夢夜である。どんぐり役には、ガールズ関東のメンバーが参加している。栗の木・笛吹き滝・きのこ・リスはリセエンヌ・ドオ。
 
この録音は8月中旬、舞音のアルバム制作が終わってから、ライブの練習をしている時期に強引に日程を割り込ませた。録音は熊谷で行なっている(『白雪姫』の音声録音が終わった後の施設を使った:このスタジオはサマーガールズ出版の所有である)。
 

儚げなキャラといえば東雲はるこということで、ラピスラズリで『鶴の恩返し』を制作した。むろん鶴が東雲はるこで、お婆さんが町田朱美。お爺さんは西宮ネオンが演じる。
 
『不思議の国のアリス』だが、アリスを演じるのにいちばん適しているのは誰か?とゆりこ・花ちゃん・花咲ロンドの3人で話し合ったら、姫路スピカだ!というので3人の意見が一致したので、スピカにお願いした。登場人物の多い話なので、かなり多数の出演者が入る予定である。アクアも多分どこかに出てくる。
 

『あべこべ物語』は1973年にTBSで放送された『へんしん!ポンポコ玉』の原作で、サトウハチロウの1932年(昭和7年)の作品。2016年にはキャロル前田・七浜宇菜のW主演でリメイクされている(但し放送は諸事情により半分まで放送した所で打ち切られた:もっとも未放送分も含む4枚組のDVD BOXは、その後『少女革命ウテナ』を演じた宇菜の人気で、後になってからかなり売れ、最終的には制作費を充分回収できた)。
 
水森ビーナは男の子の声・女の子の声の両方が出るので(*1)、入れ替わってしまう兄と妹の両方を1人で演じる!映像作品にすると色々制約があるのだが、「かえって朗読劇だとかなり過激なことまでできる」と制作を指揮するゆりこから言われてビーナがビビっていた!!
 
(*1)本人は「ボク女の子の声なんて出ません」と言うが、彼の高い方の声は女の子の声にしか聞こえない。
 

9月22日(水).
 
高崎ひろか・品川ありさ・白鳥リズム・姫路スピカ・西宮ネオン・七尾ロマン・恋珠ルビーの7人のシングルが同時に発売された。
 
本来、§§ミュージックでは、有力歌手同士の発売日をずらして、全員が売上ランキングの上位に入れるようにしている。考慮対象外になっている歌手は他の人と一緒に発売されることもあるが、有力歌手7人のCDを一気に発売するというのは、極めて異例だった。
 
ファンクラブ会報などでこの“集中発売”を知ったファンたちの多くが思ったのは、これは“紅白出場歌手”を決める投票だ、ということである。
 
今年の紅白について、§§ミュージックの“枠”は恐らく4組だろうと多くの人が考えた。その内、アクア、常滑真音、ラピスラズリは確実である。それで残り1組の枠を、この7人で争ってくれということなのではと考えたのである。
 
それで各々のファンクラブが頑張って“布教”してまわった。
 

発売当日のランキングはこうであった。
 
1.白鳥リズム
2.恋珠ルビー
3.姫路スピカ
4.七尾ロマン
5.高崎ひろか
6.品川ありさ
7.西宮ネオン
 
デイリーランキングの上位7位までを§§ミュージックの歌手が独占した。同じ日に発売した、金平糖クラブ・ファレノプシス・キャッツファイブが煽りを食って、8,9,10位となった。実は15日がスパイスミッション、29日がUFOのシングルの発売日だった(8日は常滑真音)ので谷間を狙ったのだが、伏兵集団?にやられてしまった。
 
ネオンはやはりこの春に結婚してから、女性ファンがかなり離れてしまったようで、ファンクラブ会員も半減したのだが、今回は“1%の可能性に賭けて”買ってくれた元ファンもいたようで、久しぶりに売上が5万枚を超えた。本人がツイッターで感謝のメッセージを書いていた。
 
そして9/27に発表されたウィークリーランキングではこうなった。
 
1.白鳥リズム
2.姫路スピカ
3.恋珠ルビー
4.品川ありさ
5.七尾ロマン
6.高崎ひろか
7.ファレノプシス
8.西宮ネオン
 

姫路スピカのファンクラブがかなり頑張り、ルビーを逆転した。ファン層のボリュームが、ルビーやロマンはまだ薄いので、ファンたちはほとんどの人が初日に買っている。しかしスピカのファン層は厚いので初日に買ってなかった人たちが「新人にも抜かれたなんて」と頑張って逆転したようである。
 
ルビーとロマンは、1月にデビューした時はロマンのファンが圧倒的に多かったのだが、ルビーはドラマの出演でファン層を増やし、現在ファンクラブの会員数でもロマンを逆転している(但し30-40代のファンが多い。ロマンは20代中心)。
 
どっちみち白鳥リズムの1位は動かなかった。しかも今回ファン層が再活性化したことから、27日の段階で51万枚を売り、リズムにとって3枚目のダブルプラチナとなった。
 
ロマン・ありさ・ひろかの順序も入れ替わったがこの付近は元々僅差だった。ファレノプシスのファンが頑張り、西宮ネオンは抜いたものの、それより上には届かなかった。ファレノプシスはデイリーの9位から7位に浮上である。
 
コスモスはNHKの音楽部長さんに電話した。
 
「紅白歌合戦に出場する歌手ですが、アクア、常滑舞音、ラピスラズリ、白鳥リズムの4組を推薦します」
「分かりました。それでラインナップを作成します」
 

ΛΛテレビの“昔話シリーズ”の残りの主演・撮影日程は下記のように決まった。日付は撮影日程/放送予定日である。撮影日程が詰まっているので、美高鏡子と沢口富恵が半々分担する。
『青い鳥』(恋珠ルビー)美高 9.3-11 /10.23
『一寸法師』(近藤夏希)沢口 9.26-10.3 /11.06
『大工と鬼六』(松田理史)美高 10.9-17 /11.20
『アルプスの少女』(ラピスラズリ)美高 11.7-20 /12.11
『セロ弾きのゴーシュ』(岩本卓也)沢口 11.21-30 /12.25
『オズの魔法使い』(ビンゴアキ)沢口 10.23-11.06 / 1.01
『ピーターパン』(アクア)美高 9.12-25 / 1.15
 
アルプスの少女は、やはりクララが東雲はるこにピッタリということでオファーがあり、この時期は『八犬伝』の撮影も終わるか、だいたい落ち着いていると思われたのでコスモスも受けることにした。当然、町田朱美がハイジということになる。鳥山プロデューサーもクララはあまり演技力無くても何とかなるし、町田朱美は結構上手いから、この配役はわりとハマると考えた。
 
このドラマの成否の鍵を握るとも言えるロッテンマイヤーには、ベテラン女優の里山美祢子(37)を起用する(実は主演よりギャラが高い!)。ただし彼女は特別出演という名目にしておく。もうひとつの重要な役・オンジは藤原中臣さんである。彼は鳥山プロデューサーに「ラピスのギャラより安い金額にしてね」と言ったので、ありがたく、そうさせてもらった。
 
ペーターは斎藤良実君である。彼は『招きマネキン』での女装があまりにも可愛かったことから、最近女の子役でのオファーがあるのをどんどん断っているらしい。今回も「男の子役ですよね?」と確認の上で受諾した。なお、車椅子はペーターが壊すのではなく、ロックが甘かったことから勝手に走り出す設定にするらしい。
 

「へー。『大工と鬼六』に主演するんだ?」
と龍虎Fは八王子の自宅で、理史に言った。
 
「実は主演って初めてだから緊張してる」
「主演したことなかったっけ?」
「まだ劇団あじさいに入る前、小学3年生の時の学習発表会で『ひときれのパン』(*2)をやった時に、主人公の“パンの包み”を持った少年を演じた」
「小学3年生に随分難しい劇をさせるな」
 
「あの先生、ちょっと変わってたし、きっとお気に入りの話だったんだと思う。翌年は再度3年生を担任して『ハムレット』をやってたし」
「異常だ!!」
 
「“尼寺に行け”というセリフにお母さん方から無茶苦茶クレームがあった」
「ああ、ボクも抗議したい」
 
(*2)『一切れのパン』は、ルーマニアの映画制作者フランチスク・ムンティアヌ (Francisc Munteanu) 著の短編小説。原題は多分 O felie de paine. 映画化された時の英語タイトルは A Slice of Bread (1984).
 
1944年のルーマニア革命を背景に、老ラビから渡された非常食用の“ひときれのパン”の包みを持って逃避行する主人公を描く。彼はその非常食を食べようとするが、「今食べてしまったら次いつ食べられるか分からない。明日食べよう」と思ってそのパンを食べずにずっと逃げて行く。そして無事、安全な所まで逃げることができてから、パンを食べようと思って包みを開けたら、それはパンではなく木片だったというもの。人は「備えがある」とか「助けがある」という気持ちがあれば、物凄く頑張れるという心理を描いたもの。日本語訳はポプラ社(『一きれのパン』)から出ているので多分図書館などで見られると思う。
 

「でも『大工と鬼六』で主演するというと、鬼六役?」
「大工だよ!」
「なんだ。でもこの話、タイトルで思いっきりネタバレしてるよね」
「そういう物語はわりと多い。アーシュラ・ル=グウィンの『影との戦い』とか」
「あれは酷い。でもあれ原題は "A Wizard of Earthsea"(アースシーの魔法使い) なんだよ」
「つまり邦題がひどいのか」
 
「鬼六は誰が演(や)るの?」
「サウザンズの獄楽さん」
「ああ。適任だ。顔だけみたら恐いもんね」
「でも凄く優しい人」
「紳士だよねー」
 
「で、さとしが演じる大工さんの名前は何だったっけ?」
「元々の民話では特に無かったみたいだけど、ドラマでは厳蔵(ごんぞう)ということになってる」
 
「ごんぞう!?」
と龍虎Fは復唱すると、お腹を抱えて笑い出すので
 
「何で笑うんだよ?」
と理史は言う。
 
「だって、さとしがゴンゾウって。その名前なら、筋骨隆驍フレスリングでもしそうな逞しい人を想像しちゃう」
と言って、まだ笑っているので、理史は龍虎に蹴りでも入れたい気分になった。
 
「どうせなら、ヤエさんとか、ハナさんとかにすればいいのに」
「それじゃ女の子の名前じゃん」
 

Timeline
 
7/02-05 アクアとモナ『浦島太郎』撮影
7/03 マリがアクアに電話して『白雪姫』しようと言う。
7/06 アクアに『ピーターパン』ウェンディ役のオファー。
7/07-10 舞音のヌード騒動
7/10-11 アクア・ビーナ振袖CM撮影(福井)
7/11 大曽根がコスモスを訪問しアクアに白雪姫を演じてほしいとオファー
7/12 コスモスが朝からアクアを訪問し、白雪姫のオファー。
 
7/13 女子寮2号館建設開始
7/14 写真集『迷宮のアクア』発売
7/15 『ロミオとジュリエット』劇場公開
7/17-8/03 カペラの隔離
7/18 第2回ビデオガールコンテスト本選。アクアは審査員。
7/19-8/10 舞音が熊谷で音源制作
 
7/23 熊谷で『白雪姫』制作開始 休み日程:24-25, 31-8/1 5-6, 13-14, 21-22
7/24 東京五輪開幕
7/24 彩佳の誕生日に指輪を贈る
7/26 『白雪姫』録音開始
7/31 アクアたちがジールマンと話す。
8/01 東京五輪、水泳競技は終了。
8/01 千里からアクアに「小さなプール置かせて」と電話
8/03 舞音『こどものうた』制作完了。水谷姉妹は仙台へ。
8/03-07 ラピスラズリ作曲家アルバム
8/05 アクアFと理史、八王子の家にプールが出来てて驚愕。
 
8/07 舞音・ビーナが弓曳き童子を見に行く
8/08 東京五輪バスケ女子決勝。
8/10 舞音の音源制作完了。その後21日までライブ準備
8/12 『白雪姫』録音終了
8/14 熊谷で朗読劇『どんぐりと山猫』(舞音・リズム)
8/15 『白雪姫』撮影開始
8/16 小浜でアクアのネットライブ
8/16-17 青葉が日食観測の選抜試験に出る
8/18 青葉は水連会長と会い現役継続に同意
 
8/20 アクアの誕生日記者会見。Mは彩佳からボールペンをもらう。Fは理史から指輪をもらう、
8/21 Fが彩佳からイヤリングをもらう。
8/21 アクアMが、紅白は紅から出ることに同意
8/22 舞音のネットライブ
8/24 招き猫バンドでローズ+リリー『イヤリング』MV撮影
8/26-29 ラピスラズリ作曲家アルバム
8/27 『白雪姫』撮影終了
8/30 Net-Fes2021 アクア、ローズ+リリー
8/31 Net-Fes2021 アクア以外
 
9/03-11 『青い鳥』撮影。ルビー・ビーナなど
9/04 アクア・舞音・ビーナなど、熊谷でガラスの家CM制作
9/05-30 舞音・水谷姉妹・夢夜・もえこ+青葉 タロット制作
9/13-25 アクア・ビーナなど『ピーターパン』撮影
9/18-20 ラピスラズリ『作曲家アルバム』
9/22 7人の歌手の集中発売日
10/1-31 §§ミュージック長時間ドラマ『八犬伝』の制作
 
Rose+Lily Album Timeline (Until September)
 
『白い雪・愛のテーマ』 6/25(金)-7/02
(ワクチン休み)
『ガラスの靴・愛のテーマ』7/10(土)-16
『湖より・愛のテーマ』7/17(土)-7/23
(ワクチン休み)
『Across the crowded room』7/31(土)-8/09
『Multiply』8/10(火)-8/16
『All of You』8/17(火)-8/23
(ライブ準備)(8.24-29 30日ライブ)
『鐘の恋文』9/2(木)-9/08
(9.5マリが夏絵を預かる 9.6大輔退院)
『イヤリングのラブレター』9/9(木)-9/15
「歯磨き味のイチゴ」9/16-22
『Burning Snow』9/23-29
『12 monthes of I love you』9/30-10/9
 

ローズ+リリーのアルバム制作は、§§ミュージック内部の会議が幾つか入ったので遅れて10月10日から次の作品『リモート・ラブ』の制作に入った。これは鮎川ゆまの作品である。今回、青葉と千里がオリンピックで忙しい中、アクアとゆまから作品をもらったのは、アルバムの体裁を整えるのに、とても助かった。
 
なお、“制作に入った”日というのは、基本的には私が自分でエレクトーンで弾き語りした録音をクラウドに上げて、七星さんに「お願いします」と連絡した日である。同時に私はマリに歌唱を指導し始める。木管・金管・弦楽器は、この時点で七星さんから、作業予定日を連絡してもらう)
 
コロナの影響で恋人たちも気軽に会えない状況が続いている。遠距離恋愛の人たちも会いに行くための交通機関が恐い。婚活業者さんも、ネットお見合い中心に運用しているようである。単身赴任の人とかも大変だと思う。
 
そういう状況の中で、リモートで恋愛を楽しむカップルを描いた作品である。
 
MVでこのカップルを演じているのは、花咲ロンドと、松田理史!である。この2人は実は同学年である。
 

実は女性側の方はロンドにお願いすることにして、男性側で適当な人はいないかなあなどと言っていたら、たまたま近くに居たアクアが「松田理史君がいいよ」と言ったのである。
 
「いいの〜?」
「だって松田君は彼女がいるから、お互いによけいな気遣いをする必要が無い」
「まあそれはあるかもね」
 
それでアクア自身!が松田君にその場で電話して、出演OKを取った。
 
実際には彼のスケジュールの空く時に1日時間を取ってもらって撮影している。
 
最初はSNSのコメントを通して2人は知り合いになる。
 
ロンドのブログに「ケーキ作るのに分量間違えて2倍サイズのケーキができちゃった」という記事が書き込まれ、それに"ogino"というハンドルの松田君が「近くだったら食べるの手伝いに行ってあげたいくらいだ」とコメントを付けた所から始まる。
 
ここで出てくるケーキは、直径50cm 高さ20cmくらいのケーキである。どうやってこれが家庭用オーブンに入ったのかという疑問はある!
 
(このーケーキはマリと美空が2人がかりで食べちゃったが、さすがに2人とも「おなかいっぱい」と言っていた。作ったのは洋菓子店のシェフさん)
 

それから2人がチャットで話し合う所、LINEでメッセージを交換する所、と進んでいき、やがて初めてのデートに至る(このデートだけリアルで会っている:撮影は川崎市郊外のレストランを3時間借り切って撮影している)。
 
その後、2人がデートする場面(コスモス所有のロードスターを使用:松田君は本当に運転している。アクアのポルシェをよく運転しているのでMTは全然平気)、ホテルに入っていく場面(TDRのホテルミラコスタで許可をもらって深夜に撮影)、ホテルの部屋の中でふたりが抱き合ってキス(寸止め)するシーンと続く。画面はそこからフェイドアウト。
 
(ロンドは、松田君が女性の扱いに慣れてる感じだったので、やりやすかったと後から言っていた)
 

2人が実際に会ったのはこの日だけである。
 
その後は、ズームを使用してリモートデートする日々である。お互い相手が映っているスマホの画面にリモートキス。お互いお布団の中でスマホで会話しながらイチャイチャ?している所(実際には通話はしておらず、1人ずつ別のベッドで撮影している)、仕事中にメールが着信して、それを見てロンドが思わずスマホを抱きしめる所(やはりフェチだと言われた)。
 
そして結婚式になるが、完全リモートである。花嫁と花婿が別の場所にいる!?神職さんも別の所で祝詞をあげていて、三三九度もリモートで行われる!?シャンパンをボーイさん(演:木下宏紀)が開け、2人は別々の場所でモニターに向かって乾杯する(どうやって注いだ?)ウェディングケーキはバーチャルで入刀し、切り分けられたケーキを2人が各々食べている(どうやって各々の手元に来た?)。指輪が宅急便で届けられる(届けたのは黒猫運輸の制服を着た舞音!)ので、それをロンドは填める。最後は各々が相手の立体映像とキスする。
 

その後、2人はリモート初夜?を経て、バーチャル新婚旅行に出かける。やがてリモート妊娠?して、ロンドが大きなお腹を抱えている所が映る。
 
そしてリモート出産?し、赤ちゃんを抱いた助産師さん、ロンド、理史が3分割された画面に並んで映っているところで終わる。
 
「リモート結婚以降はあり得ないだろ?」
「直接会わずにどうやって妊娠するのさ」
「精液をクール宅急便で送ったとか」
「そんなの楽しくない」
 
「よしんばリモート妊娠まで認めたとしても、リモート出産は不可能」
などと言われた。
 

10月17日から『元気になって』の制作に入った。
 
これは実は松山君の奥さんの話から、何か書かずにはいられない気持ちの中で書いた曲である。松山君の奥さんだけでなく、色々な病気や怪我と闘っている全ての人へのメッセージである。
 
最初はアカペラスタートである。しかし少しずつ楽器が加わっていく。
 
スターキッズは電気楽器を使っている。月丘さんにはグロッケンシュピールを打ってもらっている。詩津紅はピアノではなく、チェンバロを弾いてもらった。このチェンバロは§§ミュージックの大田区サテライトに置いているので、今回詩津紅はスターキッズの練習場の方には顔を出していない。彼女はこの楽器が戻って来て以来、毎日サテライトに行って練習していた。
 
木管パートでは、千里に龍笛(ドレミ調律)で入ってもらった。今回のアルバムで唯一、千里が参加した曲である。千里のお弟子さん・林田瑞紀さんにも来てもらって、彼女には高麗笛(こまぶえ:やはりドレミ調律)を吹いてもらっている。風花のフルート・美津穂のクラリネットと、千里・林田さんの龍笛・高麗笛とが、呼び合うようなアレンジになっている。
 
金管は最後に香月さんの明るいトランペットが入るだけである。ストリングスは間奏にだけ入る。
 

MVではスポーツをしている場面を多く取り込んでいる。品川ありさが監督を務めるソフトボールチーム“ゆりゆりーず”(*3)の練習風景、千里がキャプテンを務めるプロバスケットチーム、レッド・インバルスの練習風景、〒〒テレビに委託して撮影してもらった、水泳の津幡組の練習風景、ΨΨテレビにお願いして利用させてもらった、3×3大作戦の登山風景、テニス経験者の恋珠ルビーとスポーツ万能の山本コリンで深川アリーナにテニス用カーペットを敷いてテニスのゲームをしてもらった様子(審判は美崎ジョナ)などといったものを取り込んでいる。
 
(*3)元々は川崎ゆりこが創設したものだが、多忙になって、監督はありさに交替した(主将兼任)。ありさはサッカー選手だったが、元々腕力があるので、ソフトボールでもかなりの長打力がありホームランもよく打っている。但しボールを投げるとどこに飛んで行くか分からないという人なので、だいたい指名打者である:サッカーでも蹴ったボールがどこに行くか分からない人なのでキーパー専門だった。ついでに極度の方向音痴で付き人がいないとどこにも行けない。
 
なにしろ新宿駅からアルタに辿り着けなかった人である。2014年に契約した時、北海道に住んでいた高崎ひろかはむろん女子寮に入れたが、海老名市在住で実家から出て来て仕事をすることも可能だった(当時は仕事は土日のみだった)ありさも寮に入れたのは、彼女が海老名から東京に辿り着けなかったからである!(「今どこ?」「湯河原って書いてあります」などという会話があったりした)更に女子寮に来てもらうのに「五反野駅まで来てね」と言ったら、五反田駅前で途方に暮れていた(これは他にもやった子が数人居る)。
 
ありさは運転免許を持っていない。みんなから「ありさちゃんが運転したら、どこに辿り着くか分からない」と言われている。中学の同級生からも
「あやちゃん、タクシーの運転手さんにだけはなれないね」
と言われていたらしい。
 

病室のセットを作り、入院患者を医師と看護師が励ましているシーンも撮影したが、患者役は日吉ツバキさん、看護師が沢田峰子さん、医者は倉橋礼次郎さんである。この医師と看護師の組合せは『ときめき病院物語』の組合せで。更に日吉ツバキも当時、若い看護師役(但しセリフはほとんど無い)で出ていた。3人とも「懐かしいね」と言っていた。日吉ツバキは昨年秋に盲腸で入院した時のことを思い出したと言っていた。
 
「あの時はコロナに院内感染したりしないよね?と不安だったけど、感染対策が物凄くで不自由を感じるくらいで、何とか無事生還しました」
などと彼女は言っていた。
 
ラストにはその、日吉ツバキが、やはり『ときめき病院物語』に出ていた馬仲敦美ちゃんと卓球しているシーンが映って、曲は閉じられる。
 
今回のMVは『ときめき病院物語』の同窓会だった!
 

ところで・・・日吉ツバキは最近ではいくつものドラマに(チョイ役で!)出演していて、結構顔は売れているのだが、彼女はわりとごつい顔つきで体格も筋肉質だし、身長も172cmと高い(*4)ことから、彼女を女装者と思っている人はわりとある。それでこのMVを見て
 
「とうとう性転換手術を受けたか?」
などと(ジョークで:だと思う)ネットに書き込んでいる人たちもあった。本人は言われ慣れているので笑っていたが。
 
(*4) 本人も「私男性ホルモンが多いのかも。おっぱいも小さいし」と言っている。長身でいかにも運動神経が良さそうに見えるので中学時代バレー部に勧誘されて入ったものの、一度も公式戦には出なかったらしい。一度練習試合に出た時は、相手チームから「男子は困るんだけど」と言われたとか!生徒手帳を見せても疑いの目で見られていたが、下手なので!向こうもまあいいかと思ったようであったらしい。
 

10月24日から最後の曲『Kin Medal ... Ai』に取りかかった。
 
この曲は基本構成で演奏している、通常のスターキッズ6人(月丘さんはヴィブラフォン)に薬王みなみ・鈴原さくらのコーラスを入れただけで、木管・金管・弦楽器は入れていない。
 
MVでは、いきなり金目鯛の映像が出てくる(金目鯛は10月から解禁になる)。更に政子が美味しそうにお刺身を食べている映像が出る。これは実際に金目鯛のお刺身を食べているところである。
 
Kinmedai という文字が表示され、a の文字が分裂して Kinmeda ai となり、"l"の文字が飛び込んで来て、 Kinmedal ai となる。
 
それから、あけぼのテレビでこの夏放送した“バーチャル水泳教室”で畳の上で信濃町ガールズたちが練習している風景が表示される。その後、この番組で使用した“水槽”で、まだ水泳が下手な鈴原さくらが泳ぎの練習をしている姿、そして青葉が深川アリーナのサブプールで練習している様子が映る。
 
間奏では仙台の若林植物公園の巡回ジョギングコースで走っている人たちが映る。映っているのは実はクレールのメイドさんたちである。
 
2番の歌に乗せて、最初は子供が4人でバスケットの練習をしている所が映る。これは千里の子供たち、早月・由美・京平・緩菜である!
 
それから私がオーナーをしている女子バスケットチーム・千葉Rocutesの練習風景が映る。それから、今回のオリンピックでサブシューターとして活躍した、寺島奈々美さんの練習風景が映る(板橋の千里の個人練習場使用)。そして最後に千里が深川アリーナでスリーを百発百中させる様子が映る。
 
そしてコーダで、銀メダルを掛けた千里、金メダル2個と銅メダルを掛けた青葉の姿が映り、最後はこの4個のメダル、金×2・銀・銅がテーブルの上に並べられた図で終わっている。
 

この曲をアルバムの最後に置いて、今回の『ラブコール』の制作は完了した。
 
私は七星さん、風花、鱒渕水帆、八雲真友子課長の5人でアルバムの収録順について打合せた。制作した曲の内“ラブコール”というテーマとあまり関係無い2曲は結局シングルに回し、残り12曲を下記の順序でアルバムに収録することにして、有咲にマスタリングをお願いした。
 
(元々『All of You』は予備曲だった。また『元気になって』が急遽書いた曲なので14曲になっていた)
 
アルバム『ラブコール』
 
『白い雪・愛のテーマ』
『ガラスの靴・愛のテーマ』
『湖より・愛のテーマ』
『12 monthes of I love you』
『イヤリングのラブレター』
『All of You』
 
『Multiply』
『鐘の恋文』
『Across the crowded room』
『リモート・ラブ』
『Burning Snow』
『金目鯛』
 
シングル『ぼくたちの秘密基地』
『ぼくたちの秘密基地』
『歯磨き味のイチゴ』
『元気になって』
 
 
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【夏の日の想い出・ボクたち女の子】(4)