【ジョイの診察室・女の子が欲しい】(1)

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カインドリー・ジョイはその日最初の患者を診察室に入れた。
 
母親と5人の男の子である。いちばん上が中学1年生、そのあと小学5年生、3年生、1年生、年中さんということであった。男の子ではあるが全員髪を長くのばしている。
 
「どうなさいましたか」
「うちは女の子が欲しかったのですが、どうしても生まれてくるのが男の子ばかりで。それで次こそは女の子だろうと思って作っている内に男の子ばかり5人もできちゃって」
「まあよくあることですね」
「もうこれ以上子供を作るのも辛いので、この中の誰かに女の子になってもらえないかと思って」
「ほほお」
 
ふふ。それで女の子にしたいから髪を長く伸ばさせているのか、
 
「それであんたたち誰か女の子になってくれない?というのですが、誰も嫌だと言って」
「まあ男の子5人というのもいいんじゃないでか?兄弟でバスケットボールのチームが作れますよ」
「でもどうしても女の子が欲しいんです。先生この中の誰かどの子でもいいので女の子に変えてあげてもらえませんか」
「そんなこと言われても本人が女の子になりたくないというのを勝手に女の子に変えるわけにはいきませんよ」
 

「あんたたちジャンケンでもいいからして誰が女の子になるか決めなさいよ」
と母親は子供達に言っている。
 
「一郎兄さんが女の子になったら?よく女の子のヌード写真見てるじゃん。そういう身体になりたいんでしょ?」
「二郎兄さんが女の子になればいいと思うなあ。フルート吹くのが凄くうまいもん。フルートを吹く女の子というのが絵になるよ」
「三郎こそ女になればいいと思う。フィギュアケートやってて女の子ならスカート穿いて可愛い衣裳着れて、華やかでいいもん」
「四郎が女の子になれよ。身体付きが華奢でいつも女みたいって言われてるし、運動が苦手で、体育の時間も走るのが女子より遅いし」
「五郎が女の子になるのがいちばんうまく行くと思う。性別変えるならできるだけ小さいうちだよ。大きくなるほど大変になる」
 
「五郎が生まれた時はこの子女の子に変えてもらえませんかと出産した病院の先生に言ったんですけどダメですと言われたんです」
 
まあまともな病院ならそう言うだろうね。
 
「やっぱりあんたたちジャンケンしなさいよ」
と母親は言っている。
 

「まあ取り敢えず女性適性検査を受けてもらいましょうか」
 
それで5人全員に肉体的女性度検査と、精神的女性適性検査を受けてもらったがジョイは呆れた。
 
肉体的女性度では全員10-20%程度の女性(80-90%程度の男性)と出た。性器は一応男性器がそろっており、女性器は存在しない。しかし全員体型が女子の体型である。また顔の部品配置も女性の配置である。性染色体は全員XY, ホルモンは上の2人が男性ホルモン優位、下の3人はまだ中性である。
 
中学生の子はだいたい週に2回くらいオナニーしていると言った。小学5年生の子も月に23回オナニーすると言う。2人には個室で射精してもらい精液を検査したが、ちゃんと精子は入っていた。ただ2人ともヒゲは生えてないし体毛もほとんど無い。喉仏も無いしまだ声変わりもしてない。また男性器の発達は平均時なその年齢の子より2年くらい遅い気がした。
 
精神的な性別検査では、一郎君は90%女性、二郎君が80%女性、三郎君は70%女性、四郎君は85%女性、五郎君は60%女性である。
 
つまり全員ほとんど女の子である。それでジョイは納得した。この子たちは親が無理矢理性転換させようとしているのに反発して女になりたくないと言ってるけど内心は女の子になりたいんだ。だから全員意図的に自分の身体をできるだけ女性的に保っているのだろう。
 
中学生の男の子が女性のヌードを見てたら、普通に考えるとそういう女性とHなことがしたいと思っているのだろうと思う。ところが一郎君の場合は、二郎君が指摘していたように自分がそういう身体になりたいから女性のヌードを観察しているのだろう。
 

ジョイは一郎君とあらためて面談してみた。彼が心理的な女性度は最も高い。更に性別を変更するなら急いだほうがいい。この年齢で声変わりしないようにしているのは限界近い。できるだけ早く睾丸を除去すべきである。
 
彼は最初は警戒していたもののおやつなど食べながら話しているとついに
「ほんとうはぼく女の子になりたいんです」
と告白した。
 
それでジョイは彼に女の子の下着を着せスカートをはかせ、ブラウスを着せてみた。彼がスムースにブラウスのボタンを留められるのには呆れた。きっと親に隠れてよく女装しているのだろう。彼はスカートを穿いたまま転ばずに歩けた。スカートを穿いてよく歩いているとしか思えない。
 
「女の子になっちゃう?」
「なりたい」
 
それで母親とも話し、一郎君に性転換手術を受けさせることを決めた。
 
「ほんとに手術していい?手術しちゃったらもう戻せないよ
「いえいいです。手術してください」
 
それでジョイは彼を手術室に運び、再度意思を確認の上、手術を始める。彼の睾丸を除去し、陰茎を解体。海綿体は除去し、陰茎皮膚と尿道を利用してヴァギナを作ってあげた。また亀頭を利用して陰核を作り、尿道は女性の位置に開口させ、大陰唇・小陰唇を形成した。また人工卵巣を体内に埋め込んだ。
 
手術が完了して、自分のお股を見た一郎君あらため一美ちゃんは
 
「わあきれい。割れ目ちゃんがあるの嬉しいー」
と喜んでいた。
 

かくして男5人兄弟は姉1人+男4兄弟へと変わって母も満足そうであった。一美ちゃんは性別変更証明書を役場に提出。彼女の市民カードは女性に変更された。それを学校に提示して彼女はセーラー服を着て中学校に通うようになった。
 
「女の子になったんだ」
「うん、女の子になる手術してもらった。名前は一美に変えた」
「よかったねー」
「一美ちゃん、女の子になりたいんだろうなと前から思ってたよ」
 
そして体内に埋め込んだ人工卵巣が分泌する女性ホルモンの作用で一美には1年後には立派なおっぱいもできて、彼女は立派な女子中学生になった。
 
1年後には手術の際に採取したiPS細胞から育てた卵巣・子宮・膣のセットを仮の女性器と交換する手術をした。それで彼女は妊娠も可能になった。
 

すっかり可愛くなった姉を見て弟たちがとてもうらやましそうにしていた。
 
男5人の兄弟が女5人の姉妹になるのは時間の問題かもとジョイは思った。
 
 
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