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■雛祭りは女の子のもの!(1)

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(c) Eriko Kawaguchi 2011-03-18

 
「どう?可愛い?」
僕がスカートの裾を持ち、女の子っぽく首を横にかしげて笑顔を作ると、母は目を丸くしていた。
 

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白い木の箱の中に横たわり、お花でいっぱいに埋め尽くされた姉の姿を見て、「お姉ちゃん、どうしたの?」と僕は訊いたが、誰も何も答えてくれなかった。ただ幼心にも、もう自分は姉に遊んでもらえないのだということだけは理解していた。ただ取り乱した母が「あんたがお姉ちゃんにあまり甘えるから、こうなったのよ」と僕に言った。それから僕は「甘える」ということを、母にも祖母にもしなくなった。
 
あれから8年がたった。僕と姉は8つ離れていたので、ぼくはちょうど姉が死んだ時の年齢になった。毎日黒い詰め襟の学生服を着て、中学に通っている。祖母も僕が小学4年生の時に亡くなり、今は母と2人暮らしだ。
 
その母が半年くらい前から、男の人と付き合っているようなのには気付いていた。今までもそんな感じのことは何度かあったが、今回はかなり長続きしているようだ。でも僕ももう子供でもないし、その件については特に何もいわず、母が遅くなったときは勝手に自分で晩ご飯を作って食べて宿題して寝ていた。僕がひとりでもちゃんとやっているのを見て安心したのか、母は度々朝帰りするようになった。そのうち母が「紹介したい人がいるんだけど」などと言い出すかもな、などと僕は想像していた。しかしその想像は完璧に外れてしまった。
 
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その日、母はひどく酔っていた。こんな母を見たのは生まれてはじめてだった。僕は何か言っても慰めにはならないと思ったから母をそっとしておいた。翌朝、母は泥酔していたことを謝っていた。そのあとしばらく母はかなり落ち込んでいる雰囲気だった。ボーっとしていることも多かった。それで僕はあんなことを思いついてしまった。
 
「ねー、来月はひな祭りじゃん。うちでもパーっとひな祭りしない?ひな人形飾って、ひな祭りケーキでも買ってきて、白酒飲んで」
「何言ってんの?ひな祭りなんて、女の子のいる家でするもんだよ」
「僕が女の子になってあげるよ。ちょっと待ってて」
というと、僕は自分の部屋に行き『お着替え』してから居間に戻った。そして、その姿を初披露した。
 
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「どう?可愛い?」
「あんた、その服・・・・・」「お姉ちゃんの制服だよ」
「あの子の服は全部捨てたと思っていたのに・・・・」
「えへへ。これだけ取っておいたんだ。ひな人形も物置のいちばん奥にあるね」
「あれは処分するに忍びなくてね」
「ね。僕が女の子になってあげるから、パーっとひな祭りしよう」
 
母は苦笑していた。
「ま、たまにはいいか。でもあんた、そうしてるとあの子そっくりだね」
「姉弟だもん」
「ふふ。まあいいわ。あの子が死んで以来、ひな祭りなんてやってなかったしね。ぱーっとやろうか」
僕は久しぶりに母の笑顔を見た気がした。
 
翌日は土曜日で学校も母の仕事も無かったので、母と僕は物置の奥からひな人形と飾り段を出してきて、仏間に飾り付けた。8年間放置していた割りにはあまり傷んでなかった。5段飾りの立派なものだ。「物置自体の防湿が良かったんだね」
「そうね。季節違いの服とかもしまってるから、除湿・防虫には気をつけてたし」
 
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一番上にお雛様とお内裏様。次の段に三人官女、三段目に五人囃子、四段目に右大臣・左大臣と三人上戸、いちばん下の段には右近の橘・左近の桜に、御所車・駕籠・重箱。ほかに、金色の屏風・ぼんぼり・プラスチックの菱餅が入っていた。
 
「橘と桜って、どっちが左だっけ?」「えっと左が橘で右が桜。左近の桜って、向こう側から見て左だから、こちらから見たら右」「あ、なるほど」
「じゃ、左大臣・右大臣は左大臣が右?」「そうそう」
「なんか、こうやってお人形の飾り付けしてると、楽しいね」「うんうん」
 
僕たちはきれいに飾り付けが終わったひな人形を見て、思わずハイタッチした。
「菱餅はプラスチックの乗せたけど、本物買ってこようか」
「いいね。あと白酒も。日本酒でもいいけど」
「あんたには早い。高校出てから飲みな」
「じゃ、僕、お姉ちゃんの制服に着替えてくるよ。記念写真撮っていいよ」
「あ、待って。あの服は私も思い出が詰まってるからさ。。。。ひな祭り本番の時だけにしようか」「いいよ」「代わりに、ふつうの女の子の服買ってくるからそれを着てくれない?」「あはは、いいけど」「だって女の子がいなくちゃね」
「お姉ちゃんが亡くなってからしばらく、僕よくスカート穿かされたな」
「ああ。。。ずっと穿かせておきたかったんだけど、兄さんに叱られてやめた。ちょっとサイズ計らせて」といって母はメジャーを持ってきた。
 
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「ウェストは・・・細いな。61か。道理であの子の服が着れるわけだ」「へへ」
「バストは77。ブラはB75でいけるな」「え?ブラも付けるの?」
「中学生の女の子ならブラは付けるもんだよ。心配しなくてもパンティも買ってあげるから」「うーん、まあいっか。僕が言い出したんだし」「なんなら一緒に行って試着してから買う?」「いい。お母さんに任せる」「よし。やる気出てきた」
母はサイズをメモすると、楽しそうに出かけていった。
 
僕がご飯を炊いて、お昼の準備をしていたら母が戻ってきた。「もうすぐお味噌汁できるから」「お。昼ご飯できてるか。感心感心。あんたには一通り料理は仕込んだからねえ。いつでもお嫁にやれるわ」「僕、お嫁さんになるの?」「なってもいいよ。なんなら、おちんちん切ってあげようか?」「遠慮しとく。でも小さい頃おちんちん切るぞと脅かされて、おちんちんに大きなはさみとか突きつけられたこともあったなあ」「男の子を叱るのには定番よ。火遊びとかした時じゃないかな。でもあの時切ってたら、それから毎年ひな祭りが出来てたんだなあ」「あはは、あまり本気にならないように」「じゃ、今日はおちんちん付いたままでもいいから女の子になってもらおうか」「はーい」
 
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僕は昼ご飯が終わり、後片付けが終わると、母が買ってきてくれた女の子の服に着替えてみた。
 
母が着せてあげようかと言ったが、遠慮して自分の部屋に持ち込み、まずは袋から出して並べてみた。ちょっとドキドキする。パンティー、ブラジャー、スリップ、ブラウス、スカート、セーター。まずは自分の着ている服を全部脱ぎ、パンティを穿いてみる。「うーん。ちょっとこれがなあ・・・」僕はそれを下向きにしてみた。「あ、いけるいける」次にブラジャーを付ける。肩紐を通し、ホックを後ろで・・・・・はまった!しかしこれ女の子は毎日大変だよな。慣れると簡単にはめられるようになるのかな??スリップを着ける。ナイロンのすべすべした肌触りが心地いい。
 
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ブラウスを着てみる。ボタンの付き方が男物と反対だし、ボタン自体が小さいからちょっと苦労したが、なんとかボタンは留められた。スカートを穿く。足を通し腰まで上げてからファスナーを締める。このファスナーの位置は前?横?後ろ?よく分からなかったので、とりあえず左側にしてみた。タイトスカートなので、足にぴたりと吸い付く感じが不思議。姉の制服はヒダスカートだから、あれとはまるで感触が違う。セーターを着る。ピンクのモヘアだ。暖ったかそう。
 
こんなものかな?というところで、居間に戻ってみた。
「おお、可愛い」
母が嬉しそうに声を上げた。「でもタイトスカートでよく歩いて来れたね」
「一歩目で転びましたけど」「ま、即席女の子なら、そんなものだろうね」
「鏡に映してみようっと・・・・あ、我ながら可愛い」「うん、素質あるね」
「おかまの素質?」「いえいえ、可愛い女の子になる素質だよ。もっと女の子の服買ってくるから、ひな祭りまでそれ着ない?」「いいよ」
僕はそれで母が少しでも気が晴れるなら、いいかなと思い承知した。
それに、女の子の服を下着から初めて着てみて・・・実は気持ちが良かった。なにかほっとするような感覚がある。不思議だ。母は僕を雛飾りの横に立たせて嬉しそうに写真を撮っていた。
 
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それから僕は毎日家に帰ってくると、母が用意した女の子の服に着替えて、寝るまでの時間を過ごすことになった。最初は僕もけっこうドキドキしながらスカートやパンティー、ブラジャーなどを着ていたものの、一週間もすると、それが全然ふつうになってしまった。実は最初の数日は興奮してしまって、女の子の服を着たまま「おいた」をしてしまったが、慣れてしまうとそんなこともなくなってしまった。トイレは最初スカートをめくり、パンティーを下げて立ったまましようとしたものの、すぐに無理と分かり、座ってする方式に変えた。「便座がいつも降りているのは良いことだ」などと母は言っていた。
 
ひな段に飾るのに菱餅と白酒を買ってきた。菱餅はパックに入っているので、ひな祭りまでもつな・・・・と思ってたら、母は「食べよう。食べよう」といいひな壇から降ろしてしまった。「食べ物は食べなくちゃね」「ま、いいけど。また明日買ってくるね」「うん。よろしく」「でも、美味しいね、これ」
ここ数日、僕は母と『仲良し親子』という感じになっていた。母とはどちらかというと必要なことしか話していなかったのだけど。。。これ、はたから見たら『仲良し母娘かな』と僕は思い、心の中で笑った。その時僕はふと何かの視線のようなものを感じた。『え?』と思って見た方向には、おひな様があった。
 
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10日ほどした日、夕飯の支度をしていたら、キッチンペーパーが切れているのに気がついた。「あ。ごめん。忘れてた。ちょっとコンビニまで行って買って来て。炒めるのは私やっとくから」と母が言う。「うん、じゃ着替えて行ってくる」と言い、部屋に戻って男の子の服に着替えようとしたら母が停めた。「その格好のまま行ってこようか」「ええ?知ってる人に会ったらまずいよ」
「大丈夫、あんた女の子にしか見えないから。痴漢で捕まったら身元引受人になってあげるから」などという。なぜ女の子の服を着ているだけで痴漢になるのか、母の論理は分からなかったが、僕は思いきって、スカートを穿いたまま買物に出た。
 
ここしばらく家の中でスカートを穿いていてスカート自体には慣れていたものの、それで外を歩くのはまた別問題だ。さすがにちょっと恥ずかしい。道を行く人とすれ違う時は、つい下を向いてしまった。それに、家で穿いてた時は気付かなかったが、2月の気候ではスカートって寒い!僕はコンビニに着くなりトイレに行きたくなった。奥の方に行き、トイレに飛び込もうとしたが・・・・
 
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どっちに入る?
 
ここはトイレが男女に分かれている。左側が男子トイレ、右側が女子トイレ。いつもは左に入っている。でも今日はスカート姿だし、ブラジャーを付けて、胸も出ている。これで男子トイレには入れない気がするけど、女子トイレに入っていいんだろうか???しかしあまり悩む必要は無かった。男子トイレは使用中だった。待ってるのはちょっと辛い。緊急だからいいよね、と僕は自分に言い聞かせると、右側の女子トイレに飛び込んだ。
 
用を達してからふっと息をつき、あらためてまわりを見回すと内装が薄いピンクで統一されている。壁も床のタイルも、便器も手洗い台も。女の子になると、いつもこういう色に囲まれて過ごすのかなあ、などとふと僕は思った。
 
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しばらく座っていて体調が戻ったので、トイレを流して手を洗い、外に出た。実はトイレから出る時にちょっとドキドキした。僕を男の子と分かって咎められたりしないかな?と思ったけど、そんな心配は無かった。トイレの前で若い女の人が待っていたけど、僕はニコリと会釈して店内に戻った。
 
キッチンペーパーを買い、レジを済ませ店を出る。レジでも少しドキドキしたけどバレてないようだ。店員さんの手元を見ていたら「19の赤」を押された。きゃー。今この世の中から、男の子がひとり減って、代わりに女の子がひとり増えてるんだなと僕は思った。エコバッグに入れてもらったキッチンペーパーを持ち外に出る。やはり外は寒い。足が冷たい。でもトイレに行った後だから、なんとか平気。僕は家に戻ると「ただいま」と言って大きく息を付いた。
 
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「どうだった?初女の子外出は?」「足が寒い」「ああ、慣れたらある程度は平気なんだけどね。でも明日レギンスでも買ってあげるね」「もしかして毎日この格好で外出しろとか?」「正解。その格好でお買物に行ってもらおうかな。今度はスーパーとかに」「ひぇー」
 
そういうわけで、それから毎日僕は母に言われて、スーパーに夕飯の買物に行ったり銀行のATMにお金をおろしに行ったり、特に用事が無い場合は、自販機にジュースを買いに行ったりさせられた。初めはほんとに恥ずかしくて堪らなかったが、どうも周囲からふつうに女の子に見られているみたいと思うとだんだん開き直りが出てきて、平気になってきた。
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