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■夏の日の想い出・3年生の春(4)

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ラジオ局まで送ってもらう。入館証を見せて中に入り、顔見知りのディレクターさんやパーソナリティさんに挨拶。打ち合わせをする。
 
この日は15分の枠で、先月発売されたローズ+リリーのアルバム『私の可愛い人』、また発売されたばかりのローズクォーツの企画アルバム『Rose Quarts Plays Jazz』
のことをとりあげてもらった。
 
「このアルバム、マスカットとかサーターアンダギーとか、食べ物をテーマにした曲が入ってますね」
 
とパーソンリティさんがローズ+リリー『私の可愛い人』について言う。
 
「ええ。マリは食べ物大好きなので、美味しいものを食べると曲ができます。マスカットは岡山で、サーターアンダギーは沖縄で出来た曲ですね」
「では是非、群馬県の名物でも何か曲を」
「群馬の名物といったら何でしょう?」
「高崎のだるま・・・は食べられませんね」
「ああ。ファンの方から頂いた高崎のだるま、うちにありますよ。でも確かに食べられませんね」
 
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「峠の釜めしとか、おっきりこみとか、ありますが、個人的には焼きまんじゅうを推薦したいですね」
「ああ、焼きまんじゅういいですね。先日も甘楽PAで食べました」
「ぜひマリさんにお土産に持って帰ってください。これ用意しておきました」
と言って目の前にドーンと焼きまんじゅうのパックが積み上げられる。
 
「おお、ちゃんと出てくるのは素晴らしい予定調和ですね」
「マリさんはたくさん食べるということをお聞きしたのでたくさん用意しておきました。取り敢えず、ケイさん1本どうですか?」
「頂きまーす。うーん! 美味しい!! このタレが何とも素敵ですよね」
「ええ。ちょっとハマりますよね」
 

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ラジオ局の仕事を終えてから建物を出ようとすると、雨が降っていた。あちゃー。傘を持ってないな。駅までは300mほど。なんかタクシーを呼ぶには申し訳無い距離だ。さて、どうするかな・・・いっそあそこ行ってくるか、などと思ってバッグからメモ用紙を取り出した時。
 
目の前にすっとアクセラが走ってきて停車する。私は微笑んで助手席に乗り込んだ。
「待っててくれたの?」
「だって東京に戻るでしょ?」
「うん。ありがとう」
「放送聞いてたから。終わったからそろそろ出てくるかなと思って」
「わあ」
私は心が熱くなった。
 
「次の予定は?」
「今度は12時半までに東京麹町のラジオ局」
「じゃ、車で戻っても大丈夫だね?」
「うん。食事する時間くらいはあるかな。Hまではできないけど」
「食事パスしてH」
「いいよ」
と言って私は微笑む。
 
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「今日の午後は、1時半から政子と2人で3時間生番組やるから聴いてね」
「それは録音しとかなくちゃ」
 
「ふふ。あ、そうだ。高速に乗る前にここに寄ってくれる?」
と言って私は住所を渡す。
「いいよ」
と言って正望はカーナビをセットした。
 

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「焼きまんじゅう屋さんか!」
「うん。放送局の人から、マリちゃんへと言って焼きまんじゅうのパックを5パックもらったんだけどさ、この程度じゃ足りない気がして」
「あはは、政子ちゃん、ほんっとによく食べるみたいね。松山から聞いてたよ。ピザの食べ放題に行ってひとりで30切れ食べたとか」
「ああ、そのくらいは序ノ口」
 
私は焼きまんじゅうの2本入りパックを7個買い、1個は開けて正望と1本ずつ食べた。
 
「お昼食べる時間がなくなるみたいだから、1パックはお昼用ね」
「うんうん」
 
それから私たちは高速に乗って、関越を南下した。
 

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私と政子は6月前半の『Rose Quarts Plays Latin』の音源制作の後、続けて『Rose+Lily after 4 years』の音源制作に突入した。Rose Quarts Plays はローズクォーツの4人と一緒にだが、after 4 years の方は スターキッズの伴奏になる。この「ローズ+リリー・メモリアル」シリーズは第1作の after 2 yearsも近藤さん・宝珠さんたちと一緒に録音したもので、昨年の after 3 years はローズクォーツの伴奏でやったが、今年はまた近藤さん・宝珠さんに戻って来たという感じである。
 
「2年前に『メモリアル・アルバム』という名前を聞いた時は、もうこれでローズ+リリーは終わってしまうのかと思って、凄く残念に思ったね」
などと近藤さんから言われる。
 
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「あの時期、一応メモリアル2の制作予定はあったものの、それはもうインディーズでのリリースになるかなあ、とかも思ってたんですよね。まあ、マリがやる気を出してくれたので、ローズ+リリーも復活することができました」
と私は答える。
 
政子は「ふふふ」と笑っている。
 
もうローズ+リリーの復活という路線が確定したので、今回は春先から『ローズ+リリー・ラスト・メモリアル・アルバム』という仮題を告知している。
 

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そのタイトルの件について、私は5月にローズ+リリーの『夢舞空・風龍祭・恋降里』
の発売記者会見の席で記者さんから尋ねられた。
 
「ラスト・メモリアル・アルバムということは、メモリアルアルバムはこれで最後ということですか?」
「はい、そうです」
「それは、ローズ+リリーのアルバムはもうこれ以上作らないという意味でしょうか? それとも別のシリーズが始まるのですか?」
 
「この後は通常のアルパムになるという意味です。発売時期は決まっていませんが、『Flower Garden』という仮タイトルだけ決まっています」
 
記者さんたちがメモする。
 
「ではローズ+リリーの活動は本格的に再開されるのですか?」
「本格再開はたぶん私たちが大学を卒業してからになると思いますが、今後はライブなどもある程度やっていきます」
 
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「全国ツアーとかもありますか?」
「それはたぶん卒業後です」
 
「沖縄のライブは本当にサプライズでしたが、今年の次のライブの予定は?」
「まだ未定ですが、1年以内には、やります」
 

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今回の「ラスト・メモリアル・アルバム」のために私たちが用意した曲は次の14曲であった。
 
『旅立ち』(上島作品)『あの街角で2008』『ウォーターエッジ〜愛の水際』
『こぼれゆく砂』『SWEET MEMORIES』(ピアノ伴奏)『ここから愛が』『バナナ』
『Period is late〜遅れてるの』『液晶の嘘』『愛の道標』『ふたりの愛ランド2012』
『あの街角で2012』『After 4 years』『wake up』
 
これまでのローズ+リリーの歴史を総決算するということから、初期の頃ライブで好評だったカバー曲、『ふたりの愛ランド』と『SWEET MEMORIES』を入れている。
 
『ふたりの愛ランド』は私たちのデビューシングル『明るい水』に収録したものをその後、伴奏を差し替えて活動休止中のアルバム『長い道』に収録し、更にそれの歌唱を差し替えて一般発売しないシングル『恋座流星群』に収録したが、今回完全に新しく録り直した。
 
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演奏は明るくハワイアンっぽくしている。楽器はスティールギター、ウクレレに、ハワイアン・パーカッションを入れ、ふつうのギター・ベース・ドラムス、キーボード、サックスと合わせて演奏している。
 
ウクレレはスターキッズのリーダー近藤さんの友人で宮本さんという人が弾けるということだったので今回演奏に加わってもらうことにした。スティールギターは心当たりがいないということで、手配屋さんを通して誰か弾ける人を頼もうか、などと言っていたのだが、たまたま陣中見舞いに来たヤスが「あ、弾けるよ」ということだったので、そのまま徴用して弾いてもらうことにした。更にウリウリ・プイリ・イリイリなどのハワイアン・パーカッションについては、これもたまたま陣中見舞いに来たサトを掴まえてプイリを打たせ、私がウリウリを振り、政子がイリイリを打って演奏した。
 
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この曲はクリック音を使わず、スターキッズのドラマー酒向さんのテンポキープに合わせて収録している。
 
『SWEET MEMORIES』の方は逆に私のピアノ演奏のみの伴奏というシンプルなものである。私も弾きながら歌った一発録りであるが、ライブではこの形式でセカンドアンコールをするというのを結構やったので、その再現となった。
 
『あの街角で』は因縁の曲で、元々は2009年春くらいにリリース予定のシングルに入れるはずだったのが、2008年12月のトラブルで吹っ飛んでしまった。しかしその曲の存在は知られていて、何度かその一部を披露したのだが、最終的には2010年春の鍋島先生の追悼番組の中でフルコーラスを披露。しかしCD化されないまま時が経過し、2011年7月に発売されたアルバム『After 2 years』でやっと公開することができた。
 
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ただし、その正式発売の前、2010年秋に大手ミュージックダウンロードストアに登録された謎の海賊版(通称アルゼンチンアルバム)に出所不明のこの曲が収録されていたため(いわゆるブートレグ)、実際には多くのファンがその時点でこの曲を聴くことができてはいた。
 
今回このアルバムにはこの曲の2008年版と2012年版を収録した。2008年版は高2の時に私たちが練習で歌ったものを偶然録音していたものが、★★レコードの社内のパソコンの中に残っていたということで、それに打ち込みの伴奏を合わせたものである。この打ち込みも当時私が作っていたデータを、残っていた歌に合うように調整したものである。
 
2012年版はスターキッズに普通に演奏してもらったものに合わせて私たちが歌い収録した。両者を比べてみると、私にしても政子にしても、歌が進化したんだなというのも分かるが、逆に2008年頃のような歌い方はもう自分たちにはできないなというのも感じた。この2008年版と2012年版を一緒に収録した今回のアルバムを聴いたファンの意見でも、2008年版はこれはこれでとても価値がある、という声が多かった。
 
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「でもこの中でいちばんローズ+リリーとの関わりが長いのって誰だっけ?」
「七星(ななせ)さんですよね」
「うん。そんな気がするね。私はケイちゃんたちが高2の時の11月の全国ツアーに参加したからね。当時、この子たちって普通のアイドルとは少し違うなって思ったんだけど、何が違うのかは良く分からなかったね」
 
「ケイが女の子ではなかったことかな?」と政子。
「ああ、それは思いもよらなかったけど、性別は大した問題じゃないと思うな。マリちゃんも凄く強いオーラ持ってたしね」
 
「マリはそれが無自覚なんですよ。そのすぐ後が近藤さんですね」
「『甘い蜜』の録音に参加したからね。同じく、この子たちはビッグスターになると思ったよ。だから君たちが大学生になってアルバム制作に参加した時、わくわくしたね」
 
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「そのアルバム制作に参加したのが、近藤ちゃん、宝珠ちゃん、俺だな」
とヤスが言う。
 
「いや、実はサトちゃんも、ちょっとだけ『After 2 years』に参加してるんですよね」
と私が言う。
 
「そうそう。最後になってちょっとフレーズを追加したいという話になって、俺が8小節だけドラムスを打ったのよ」
とサト。
 
「ああ、そうだった。最後にちょこっとだけ出てきてたね」
と宝珠さん。
 
「なんかメモリアル・シリーズを始めた時のメンバーが4人も、そのシリーズのラストにも参加するというのは感無量だね」
 
「もし良かったら、来年制作する『Flower Garden』にも参加してください」
と私は言った。
 
「じゃ、縁があったら、またマラカスか何かで」とサトは言い、「俺も、みんなと喧嘩してなかったらベルリラか何かで」とヤスは言い、私たちは握手を交わした。
 
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夏の日の想い出・3年生の春(4)

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