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■庭園物語(3)

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水分村に入っていた密偵から吾作が死んだことが作事奉行の元に伝えられた。一方、西の国境の関所から、勘八が関所を破ろうとして捕まったことが伝えられた。作事奉行は関所に勘八の処刑を命じる伝令を出した。勘八の首は
 
《関所破りの重罪人》
 
として川添村に運ばれて晒された。勘八の息子も連帯責任で処刑すると言われたのだが、村の有力者たちが必死に嘆願し、出家させることで命だけは助けられることになった。勘八の妻も尼になることになった。
 
12歳になる息子が頭を丸めたところに役人が来た。
「命令なので覚悟してもらう」
と言って刀を抜いたので
「そんな! 出家すればこの子は助けるというお話だったのでは?」
と勘八の妻が息子をかばおうとしたが、役人は
「心配するな。命は取らん」
 
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と言うと、息子の服を脱がせ、褌を剥がすと、股間の突起をつかみ、刀を振り下ろした。
 
激痛に息子はうめき声をあげた。
 
「煩悩の元を絶ってやったから修行の助けになるはずだ。御家老様の御高配に感謝しろ。運が良ければ生き延びられるであろう」
 
役人はそう言うと、息子から切り取った、魔羅と玉袋を持参の革袋に入れて持ち去った。そばにいた村の住職が、薬師(くすし)の所に走った。息子は3ヶ月ほど生死の境を彷徨ったが、最終的に何とか命を取り留めた。
 
結局息子は男の根本が無くなってしまったので、男の僧にはなれないことになってしまった。むしろ女と同じということになり、戒名も女の名前を付けられて、母と一緒に尼寺に入ることになった。
 
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「お母ちゃん、結果的には一緒に暮らせるようになったんだから良かったんだよ」
と元息子の娘は言った。
「そうかも知れないね」
と勘八の妻も新しい娘をいたわるように言った。
 
「お前、顔立ちも可愛いから、女として生きるのもいいのかもね。お前声変わりもまだだったから、ちゃんと女で通せるよ。実を言うと私も女の子が欲しかったんだ」
 
「じゃこうなって親孝行なのかなあ。でもまだ小便する時に座ってするのが何だか変な気分だ」
「すぐに慣れるよ。女はそれが普通なんだから」
 

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木鳥総奉行は八重作と与吉の手配を解除した。これ以上長期に手配を続けるのは上層部から照会された時にまずいという判断もあった。
 
「故郷の村に帰れば吾作と同様のことになるだろう。関所を抜けようとすれば、手形を持っていない以上、関所を普通には通れない。抜け道を通ろうとすれぱ関所破りの重罪。勘八と同じ目になる。おそらくはふたりとも藩内のどこかの山の中にでも潜伏しているのだろうが、身動きが取れないだろう。死んだも同然だから放置してよい。もし御家老に尋ねられたら、ちゃんと全員始末が完了していますと答えておけ」
 
木鳥は金岩に説明した。
 

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松阪が普請奉行を解任された日から1年が経っていた。
 
その日、八重作と与吉は仁庵の屋敷を出発し、東へと向かった。八重作は「エイ」、与吉は「キク」と名前を変えていた。1年の間に手術の傷も癒え、また女としての立ち居振る舞いなども身につけることができていた。
 
関所の通過はかなり緊張したが、筑紫の豊後の出で、お伊勢参りに行く途中である旨を告げると、検見の婆に身体のあちこちを触られて女であることを確認された上で、予め包んでいたお金を渡すと、すんなり通してくれた。
 
ふたりは幾つかの関所を越えてやがて上方までやってきた。仁庵は結局、屋敷を出る時に餞別だと言って少しお金をくれていたので、ふたりはこのまま伊勢までも行けるし、充分まだその先、尾張や江戸などへも行くことができる状態だった。
 
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上方の開放的な雰囲気はふたりを少し気分的に酔わせていた。ふたりは旅の疲れも休めるため半月ほど滞留することにした。ここで初めてふたりは湯に行ったが、女湯に入るのは初めての経験でかなりドキドキした。しかし中に必ずしも若い女がいないので、何だかホッとした。中年の女たちに紛れると少し体つきが骨っぽいふたりもそう目立たないのであった。
 
エイ=八重作はツルとの約束をまだ守り決して酒を口にしなかったが、キク=与吉はけっこう酒を飲んで男と遊んでいた。一晩中帰って来ないこともあった。そして男からお小遣いをもらったりもしているようであった。エイは自分が女として振る舞う事には慣れたものの、男と付き合うのには抵抗感を感じていた。
 
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ある晩、キクはまた夜遊びに行っていたが戻ってくると昂揚した声で
「おい、八重作。伊勢まで行かなくてもいいぞ」と言った。
 
「どうして?」
「伊勢帰りの男から、伊勢の御札をふたつ分けてもらった。
お前の分、これな」
 
ふたりは普段人前ではちゃんと女言葉で話しているがこうして二人きりの時だけは男言葉に戻っている。エイはしばらくその御札を見ていたがやがて
 
「いや。俺はちゃんと伊勢まで行くよ。ズルするみたいで嫌だから」
と言う。
 
「そんな。これ高かったんだぞ」
「すまん」
 
「まぁいいや。俺はこの伊勢の御札でお伊勢参りの帰りという主張ができるからこのまま国に帰る」
 
「国に?それは危ないだろう」
「城下にいるさ。村には草のような隠密がいて情報を城下に流しているだろうし、そもそもこの身体では帰れないしな。城下には人がたくさんいるからそこに紛れてしまう。こういうのは案外相手の足元にいたほうが見つからないもんなんだぜ。それに城下なら、身分が不確かな者でも雇う所も幾つか知っているし」
 
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足元の方が見つからない、というのはなるほどそうかもという気もした。
 
「で、おまえはどうする?」
「俺はまず伊勢に行ってから、それからまた上方に戻って仕事探してみるよ」
「分かった。じゃ今夜が最後だ。後は、もしどこかで会っても知らぬ同士だぞ」
 
「うん。わかった。じゃ、達者でな」
「お前もな。って男言葉を使うのはこれが最後かな」
「そうだな」
 
二人は杯を合わせて別れを惜しんだ。
 

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エイ=八重作は翌朝、キク=与吉と別れて宿を出て、西へと向かった。半月滞在する予定を結局10日で切り上げたのだが、国から上方までの旅の疲れはもう癒えていた。
 
初めて見るお伊勢は素晴らしかった。二見浦では二度どころか5〜6回振り返ってその美しい景色を見た。外宮・内宮の広い境内を歩いてお参りしていると心が洗われるようで、自分が新生していくような気分であった。自分は今ほんとうに女として再び生まれ直したんだ。そんな気がした。
 

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上方に戻り、仕事を探しながら(色事の無い)飯屋で働いていた所、ある問屋さんに雇ってもらえることになった。エイは一所懸命働いた。生来の真面目さと、元々が男なので普通の女よりは無理がきく体質であること、そして工夫好きの性格で、旦那の注目する所となる。年齢は行っているが、うちの息子の嫁にならないかとまで言われてしまったが、さすがにそういうのは苦手だし、跡取りを産めない身体でもあるので遠慮させてもらった。すると店をひとつ任せると言われて、最初、堺の町の小さな店に派遣された。
 
そこは今まで旦那の息子の一人がやっていたのだが放蕩がひどく父親としても堪忍袋の緒が切れたのであった。エイが行ってみると店はその息子がアテにならなかったので気難しい顔の老番頭が取り仕切っていた。老番頭は女に何が出来る?という顔をしたが、エイが頭の回転が速いことと如才がないことにはすぐ気づき、やがて何でも相談して物事を決めていくようになった。堺の店の成績はぐんぐん良くなっていった。
 
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2年後、今度は彦根に新しく出す店を最初から任されることになる。エイは現地に行き幾つかあげられていた候補地の内、どれが最適かの選定をし、店の建築を進めながら販路の開拓をしていった。彦根35万石の城下町だけあって町人の町である上方や堺とは雰囲気が違っていた。武士たちは保守的な者が多く女性のエイの話をちゃんと聞いてくれる者は少数である。そこでエイはペアを組むことになった若い男性の番頭をうまく表に立てて、その付き添いのような顔をして商談に参加した。男性との恋愛は勘弁でも、お酌をしたりシナを作ってみせる程度は平気でできるようになっていたので、硬軟両面遣いでどんどん得意先を増やしていった。3年後、店が軌道に乗った所でエイは本店に呼び戻された。
 
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エイがこの店に入ってからもう8年の歳月が流れていた。エイを評価してくれていた旦那が病の床に就いていた。本店を切り盛りしているのは息子達の中で最も出来の良かった三男・栄助で、エイはこの息子とは考え方が一致することも多く比較的仲が良かった。嫁にならないかといわれた当の本人である。
 

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病床の旦那が最初に口にした国の名前はエイの内心を動揺させるものであった。
「たしかエイさんの出身地だったと思ったのだが」
 
良く覚えているものである。さすがに本当の出身地は言えないので、その国の出身ということにしてあった。本当にその国の出身であった仁庵から当地の言葉も一応叩き込まれている。
 
「そこの城下で大きな作事があるのだが、その木材その他の納入を取り仕切ってもらえないかと言われてね」
 
言われることの想像は付いた。しかし、あまり関わりたくない類いの話だ。そもそもその国に行くためには当然途中、本来の自分の出身国を通過する必要もある。
 
「この件をエイさんにやってもらえないかと思っているのだよ」
 
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「分かりました。で誰と一緒に?」
エイはこの老人をがっかりさせてはいけないという気持ちから迷わず返事をした。しかし老人の答えは意外なものだった。
 
「今回は番頭格は出さない。その代わり、そこに居る速水零之進どのに同行を御願いしようと思っている」
 
その侍の事は気になっていた。どこかで会っている気がするのだが、名前を知らない。一度名乗り合った相手の名前なら決して忘れない自信があったので、名前は名乗り合っていないと思うがどこで会ったかの記憶が無かった。最近本店に関わっている人かとも思ったのだが、栄助の反応から、そうでもないようだという気がした。
 
「エイさん。彦根藩の御家老のお屋敷でお会いして以来ですね」
と侍がにこやかに言う。
 
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それで思い出した。まだ彦根の店ができる前、事前挨拶に回っている時に有力者の引き立てがあって御家老の屋敷に挨拶に行くことができた。その時、部屋の隅の方で控えていた人物だ。向こうはこちらの事を覚えていたようである。
 
その店はこの問屋の支店の中でも一番の成績を上げるようになっていた。
 
ただエイは、それ以外の場所でも会っている気がしてならなかった。
 

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(C)Eriko Kawaguchi 2013-07-26
 
エイが実は自分は人別帳に登録されていなくてというのを言うと、旦那は色々手を回して、きちんと登録してくれた。そして西国まで行く手形も作ってくれた。それで速水と一緒に、筑紫の豊後国まで行くことになった。
 
旅に出て最初の夜は、西宮の旅籠に泊まった。男女の客なので、てっきり夫婦者と思われてしまったようで、同じ部屋に通された。
 
「エイ殿が着替えたりする時は、後ろを向いて目を瞑っておきます故、ご心配無く」
と速水は言った。元々紳士的で真面目な感じなので、エイも信頼することにした。
 
それでお風呂に入って来てから夕飯を食べ、暗くなってきたので寝ることにする。行灯の灯りを消して、おやすみなさいを言って、うとうととし始めた時、速水が自分の布団に侵入して来た。うっそー! さっきの言葉は何なの〜? 男ってこんなに節操無いの?
 
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「エイ殿、済まない。拙者はどうしても確認しておきたいのだ」
 
そう言うと、速水はエイの服を脱がせてしまう。エイはここで抵抗しても仕方無いと思ったので、不本意だが、速水に身を任せた。乳を吸われる。自分もかつて男だった頃は女房の乳を吸ったものだということを思い出した。ツルは無事でいるだろうか・・・・
 
しかし自分はもうツルにも、そして娘にも会うことはできない。
 
やがて速水は自分のものをエイのあそこに入れて来た。女になってしまってから10年。放置しておくとそれは縮んでしまうからと言われて、毎日「護謨(ゴム)」
という南蛮渡来の柔らかい素材で作られた陽型を入れて縮まないようにしていた。しかし今自分が受け入れているのは、陽型ではなく、本物の陽物である。キャーと思ったものの、むしろいつも入れている陽型よりスンナリ入って来た気がした。
 
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しかし・・・男の人とこんなことをするとは・・・と思ったものの、何だか少し気持ちいい気もした。そういえば、上方に最初出てきた時、与吉(キク)は随分男と寝ていたよなあ。毎晩こういうことを男としていたのかと思うと、何だか・・・・自分もしておけば良かった!という気さえしてきた。これ、そんなに悪くないじゃん!
 
やがて速水は自分の中に放出して果てた。
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■庭園物語(3)

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