【体験取材】(下)

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お風呂では「まだ男であった時の記念撮影」と言われて、僕のが立っている様子、また垂れている様子まで写真に撮られた。
 
そしてお風呂で30分ほどプレイした後、
「逆フェラしますか?」
と訊かれる。
 
「逆フェラってディルドーですか?」
「本物ですよ」
 
私は一瞬悩んだ。
 
「誰か男の人と?」
「私男ですから」
 
は?
 
「お見せしますね」
と言って、リンダは水着のパンティを脱いだ。
 
「うっそー!?」
「早く取りたいんですけどね。でも付いているおかげで、今は逆フェラ・逆Aでけっこう稼げるから。その内立たなくなっちゃったら諦めるしかないですけど」
 
「ね、これ作り物じゃなくて本物?」
「本物ですよ」
 
触っていいですよと言われるので触ってみるが、どうも本物のようである!
 
「玉は取ってあるんですね」
「男性化したくないから高校生の時に取っちゃいました」
 
こないだのニューハーフ・ヘルスで会った子はまだ玉が付いていた。しかし今日のリンダには玉が無い。
 
「玉無しでよくこんなに立ちますね」
「立つように鍛えてますから」
 
彼女のおちんちんは11-12cmありそうである。こないだの子より固くてしっかりしている感じだ。玉無しでこんなに固くできるというのはそれが驚異である。
 
結局、僕は彼女のを10分くらい舐めたあと、彼女に僕の中に入れてもらった。僕はまた潮吹きしてしまった。
 
「私、男性の潮吹き初めて見ました」
などと彼女は言っている。
 
「僕も2度目なんです。実は」
「相性が良かったのかもね」
 
このあたりで僕はまたレポートを書いて送信した。
 

時間は既に5時間ほど過ぎている。第3ステップに入る。
 
僕は凄く可愛いショーツ、フリルのたっぷり付いたフェミニンなブラジャー、そして
「ブラよりこちらで興奮なさる方が多いんですよ」
というキャミを着せられる。
 
そのあと女子高生・ナース・女教師・女自衛官・フライトアテンダント・OL・主婦の中からどれか選んでと言われるのでOLを選んだら、ストッキングにガーターベルトを付けさせられた上で、上品なブラウスと膝丈のタイトスカートを穿かされる。その上で手足にマニキュアをしてからきれいにフルメイクされた。パンプスも履かされる。
 
「やっぱり、ゆきさん凄く美人になる」
と言われる。
 
全身が映る鏡に映してみたが、自分でもびっくりするくらいの美人である。
 
「こんなにきれいになったことなかったです」
と僕が言うと
「お化粧、練習するといいですよ」
と言われる。
 
「やはり講座とかに通うのがいいんですかね」
「ええ。レッスン受けるとやはり違いますよ。私も半年レッスン受けたら見違えるようになりましたから」
とリンダは言っている。
 
「ああ。特に男の子はあまり教えられないからそうですよね?」
「そうなんですよ。私もまだ仮面男子していた頃は全然ダメだったんですけどね。お化粧に自信ができてから、大学にも女の子の格好で通うようになったんですよ」
 
「今も学生さん?」
「取り敢えず卒業しました。卒業した後は完全にフルタイム女の子になっちゃいました。実はここの仕事しながら自分の性転換手術代を貯めているんですよ。27-28歳くらいになる前には本当の女になりたいから」
「わあ、頑張ってくださいね!」
 

このOLの格好のままプレイは続く。デスクに座っている状態で男装のリンダが肩や腰に触ったりしてセクハラされるシチュエーションプレイとか、隣の部屋に用意してある電車セット!でハンドバッグを持ち吊り革につかまった状態で痴漢されるシチュエーションとかをする。ご丁寧に電車の走る音、駅の案内のアナウンスなども流れる。
 
「今日は使いませんけど」と言って、リンダは病院のセット、飛行機の座席のセット、学校の教室のセットも見せてくれた。さすが高い料金を取るだけあって設備も豪華である。
 
最後はデスクに座ったままの状態で、机の下に潜ったリンダが、私のスカートの中に頭を突っ込み、パンティを下げておちんちんを取り出し、口でしてくれた。これが何か結構ドキドキしたが、僕は逝けなかった。
 
「さすがに3度目は無理かも」
「そうですね。前に来られた方もここから先はもう射精できなかったです。普通の男の人なら逝っちゃうんですけどね」
 
「なるほどー」
 
ここで僕は4枚目のレポートを作って送信した。
 

時間は7時間を過ぎる。もう17時である。僕は「お召し替えです」と言われ、可愛い下着を着け、きれいにお化粧しなおした上で、豪華なドレスを着せられた。
 
セクシーなドレスを着た女性がワゴンを押して料理とワインを運んで来る。
 
「アンナと申します。よろしくお願いします」
と挨拶した。彼女は給仕役としてそばに控えたまま食事が始まる。
 
「美味しい!」
と僕は言った。
 
「青山の一流レストランで作られた料理ですので」
「すごーい」
「普通に食べると、この料理だけで1万5千円するんですよ」
「さすがですね!」
 
自分の分と嬢の分とで合わせて3万円ということになるのだろう。これも料金に含まれているから20万円もするわけかと僕はちょっと納得する思いだった。それにボディスキンを着せられると言っていたし。ボディスキン自体が買えば15万円くらいするはずだ。まあレンタル使用だからこそ安く済むのであろうがそれにしても直接肌に付けるからクリーニング・消毒にある程度の費用が掛かるだろうし何十回もは使えないだろうから多分5−6回で費用を回収できる程度の計算になっているだろう。ボディスキンは食事が終わってから付けることになるのだろうか。
 
食事が終わったところでリンダは
「では3Pをしましょう」
と言う。
 
なるほど!それで女性がもうひとり来た訳か!
 

「ちなみに、あなたもニューハーフさん?」
と僕はアンナに尋ねる。
 
「このお店のスタッフは全員竿ありのニューハーフですよ」
「すごーい!」
「玉はある子と無い子といますけどね」
「なるほどー」
 
それでどうやって3Pやるんだろうと思っていたのだが、僕は「タック」をされてしまった。
 
僕はこんな画期的な「おちんちん隠し」の方法があったのかと驚いた。睾丸を体内に押し込んだ(このやり方は実は知っていた)上で、おちんちんを後ろに倒し、それを陰嚢の皮で両側から包み込み、接着剤で留めてしまう。結果的に接着した「つなぎ目」が、一見「割れ目」のように見えるので、仕上がったのを見ると女の子の股間にしか見えないのである。
 
実はこの作業自体に30分掛かったのだが、ここで2人のスタッフが入った訳も分かった気がした。この作業は4本の手が無いと困難だと思えたのである。
 
それで私はそのことを言ったのだが
「上手な人はひとりで自分のをやっちゃえるんですよ」
と言う。
「それも凄いですね」
 
「タックして女湯に入っちゃうという人は時々いますね」
「それいいんですか?」
「見付かれば痴漢で警察に突き出されるかもね」
「やはり付いてるのに女湯に入るのはいけませんよ」
「うん。私もそう思う」
とリンダは言っている。
「でも私も入ったことあるけどね」
「ちょっと、ちょっと」
 
しかしリンダはバストはかなり大きい。Dカップくらいありそうだ。確かにこのバストでは少なくとも男湯には入れないだろう。しかしだからといっておちんちんが付いているのに女湯に入るのはいけないと思う。ちなみに彼女は豊胸手術は受けておらずホルモンだけで大きくしたんだと言っていた。それもなかなか凄い。
 

作業が終わったあとしばらく3人でおしゃべりをしていたが、接着剤が乾いたところで3Pが始まる。ちょうどお腹もこなれてきた感じだ。
 
僕はベッドに横になって寝て、足を閉じるように言われた。玉がまだ付いていて、かなり立派なモノを持っているアンナが前からスマタにインサートしてきた。そして後ろからはリンダがあそこにインサートする。
 
僕はふたりに挟まれて完全に自分が「征服されている」感覚になった。
 
ふたりともちゃんと避妊具を付けているのだが、やはり玉ありのアンナが先に逝ってしまう。彼女はその後僕に抱きつくようにして乳首を舐めてくれた。この乳首を舐められるのがかなり感じる。リンダはまだ出し入れをしている。そして10分くらいで僕自身も逝った感じになった。
 
「逝ったかも」
「射精はしてませんね」
「してはいないけど逝った感覚なんです」
「それドライと言うんですよ」
「へー」
「今のように前立腺を刺激されている状態では潮吹きになることもあるけど、ドライで逝く人がわりと多いんです」
「へー!でも出したのと同じくらい気持ちいいです」
「女性の快感に似ているらしいですね」
「ほほぉ」
「女性は射精できないから逝く時は必ずドライなんですよ」
「確かに確かに」
 

3Pは休憩をはさんで1時間半ほど続いた。僕は3度も逝く感覚があったが一度も射精はしなかった。終わってからアンナが食事の皿と一緒に引き上げたのがもう20時近い。僕は5枚目のレポートを書いて送信した。
 
既に10時間ほど経っている。あと2時間くらいでこの「女の子プレイ」が終わってしまうのが残念な気がした。ずっと女の子していたいな。やはり個人的に女の子の服買っちゃおうかな、などと考えたりもしていた。
 
「リンダさんは疲れないんですか?」
「疲れるけど、報酬がいいから頑張ります」
と彼女。確かに12時間プレイに付き合ったら、嬢の手取りも結構なものであろう。
 
ここでタックを外されて男のものがぶらりと股間にぶらさがるが、僕は「こんなの付いてるの嫌だな」と思ってしまった。さっきのタックしている時にまるで女の子みたいな股間になっている時が凄く良かった。このやり方、自分でも練習しようと思った。
 
白いテニスウェアが出てきて、着替えさせられる。ポロシャツ(右前袷せ)とスコートだが、アンダースコートは付けない。下に付けているのはショーツだけであり、しかもハイレグなので、物凄く頼りない。
 
「こぼれます〜」
「それがいいところなんです」
「ひゃー」
 
少しでもこぼれにくくするため、おちんちんは後ろ向きに収納するのだが、それでもやはりこぼれる。
 
リンダも同じ仕様の色違いの服を着る。彼女はピンクである。
 
「ピンクはブラ線が目立ちませんね」
「白は目立つでしょ?」
「ええ」
「下着が透けるのも羞恥プレイです」
「なるほどー」
 
それで記念写真を撮ってから地下に移動すると、テニスコートがある。ここでマジでテニスをすることになる。
 
「こんなプレイがあったんですか」
「食後の腹ごなしですね」
「なるほど」
 
「スコートを着けてテニスをするというのを喜ぶ方もおられるので」
「それはいいですけど、動く度にこぼれて」
「そうですね。付いているとこぼれるから、早く取っちゃいたいと思いません?」
「リンダさんはどうなんですか?」
「こぼれまくってます。私もゆきさんみたいに早く取りたいです」
 
ゆきさんみたいにってどういう意味だろう?と僕は疑問を感じた。
 

20分ほどテニスをした後、今度はビキニの水着を着せられる。また記念撮影するが、隣の部屋に移動すると、ちゃんとプールがある。
 
「なんでこんな施設があるんです?」
「ここ、元々スポーツクラブだった建物を買い取ったんですよ」
「それで!」
 
「ビキニの水着の感想はどうですか?」
「ビキニのパンティからまたこぼれるんですけど」
「そういう仕様です」
 
それで彼女と並んでプールを泳ぐ。彼女は水泳は得意なようで美しいフォームで泳ぎ、きれいなターンをする。僕は息継ぎが下手なのでけっこう立ち止まるし、ターンもできないのでプールの端で一度停まって泳ぎ直す。
 
「わっ。ブラが取れた」
「それも羞恥プレイの一部です」
 
結局プールを5往復ほどしてかなりクタクタになったところでプール脇に押し倒されて、僕はまたリンダにあそこに入れられた。彼女は僕のパンティを脱がせないまま、横にずらして入れて来た。こちらは抵抗する気力もなく、やられるままという感じになる。まるでレイプされている気分だ。しかし彼女も疲れているはずなのに良く立つもんだ。体力無いと風俗嬢なんてできないんだな、などと僕はぼんやり考えていた。
 
「疲れてきました?」
と彼女から訊かれる。
 
「疲れました。でも入れられるの気持ちいい」
「女の子になったら、もっと気持ちよくなれますよ」
「そうかも。もう性転換手術されちゃってもいいかもという気分」
「それはあと少しですからね」
 
あと少し待つと何か起きるんだっけ?と僕はまた疑問に感じた。
 
僕はここで6枚目のレポートを送った。最後にもう1枚書くだろうからレポートは7枚になってしまう。どれか1枚適当に課長が没にして6回にするか、あるいは7回の連載になるかも、などと考える。
 

シャワーを浴びる。シャワーしながら舐めてくれたが、僕のは逝くどころか全く立たなかった。その後またお部屋に戻るが、今度はなんと男装させられる。トランクス、男物のシャツを着せられ、ワイシャツ・ズボン・ネクタイに背広と着せられた。それで記念写真を撮る。
 
「それでは男性として最後のおしっこをどうぞ」
と言われて、廊下を歩いて少し行った所にある男女別トイレの男子トイレの方に案内される。リンダも付いてくる。そして僕がズボンのファスナーを開けておしっこをしていると、そこをビデオ撮影される。
 
「変なもの撮りますね」
「もうこれができるのは最後ですから」
 
などとリンダが言う。あ、このあとまた女装させられるのかな?などと僕は思った。実際また部屋に帰ると服を脱がされ、裸のまま舐めてくれる。むろん全く大きくならない。僕は疲れ切っていた。
 
そのあとまた可愛い白いショーツに白いブラ・白いキャミと着せられる。
 
「最後の衣装はこれです」
と言ってリンダが取り出したのはウェディングドレスだ。
 
なるほどー。こんなのはこういう場所で着ないとさすがに一生縁の無い服だなと僕は思った。
 
時刻はもう21時半。これが最後のプレイかと思う。その時、あれ〜?まだ僕、ボディスキン付けてないけどと思ったものの、まあいいかと思う。
 
ウェディングドレスをきれいに着せられ、ロングヘアのウィッグも付けられたあと、ノックがあってタキシードを着たアンナが入ってくる。アンナは先ほどは長い髪だったのだが、今は短い髪を七三に分けている。さっきのがウィッグだったのだろうか。それとも今の髪が男性用カツラなのだろうか。
 
それで花嫁姿の僕とタキシード姿のアンナが並んで、花束まで持ってリンダが記念写真を撮る。僕は実際に結婚するとしたらタキシードを着るだろうから、こんなのは一生に一度の体験かも、と思ってから、待てタキシードを着て結婚式というのも何度もはしたくないぞ、と思い直した。
 

記念写真を撮った後でリンダは僕のウェディングドレスのスカートの中に身体を入れ、ショーツをずらして僕のをまた舐めてくれた。もう疲れ切っているので、ピクリとも反応しない。それは小さいまま彼女に舐められていた。でも小さいまま舐められるのもけっこう気持ちいい。
 
今日一日女の子プレイしていて、女の子になるのもいいなあとは思ったけど、おちんちんのあるのもまたいいなあ、などと思ってしまう。ニューハーフの人たちって、やはりこういう快感を放棄しておちんちん切っちゃうのかなあ。それとも彼女らはおちんちんを触っても気持ちよく思わないのだろうか。僕はそれをリンダに訊いてみたい気がした。
 
「ではこれをどうぞ」
と言われて、グラスに入ったワインのようなものを渡される。それをリンダ・アンナとグラスをカチッと言わせてから僕は飲み干した。
 
そして僕の記憶はそこで途切れてしまった。
 

目を覚ました時、僕は見慣れない場所にいるのに気づいた。
 
ここどこ?
 
身体を少し起こして見回す。窓が全面にあり、朝日(?)が射している。僕はベッドに寝ていて、何か管のようなものが何本も毛布から出ており、1本はそばに立っているスタンドに掛けられた点滴!?のパックに繋がっている。別の1本はベッドのそばに掛けられているパックに繋がっていて、そこには黄色い液体が溜まっている。何だ?何だ?
 
まるで病院に入院しているみたい?
 
そういえば僕は風俗店に体験取材に行っていたんだったと記憶を呼び起こす。最後ウェディングドレスを着て、模擬結婚式みたいなことをして、乾杯したような気がする。もしかして僕はそこで疲れが吹き出して倒れてしまい、それで病院に搬送されてしまったんだろうか?
 
きゃー。恥ずかしいことしてしまった、と思う。
 
でも無茶苦茶体力使うコースだったからなあ、などと思う。最後はテニスに水泳までしたし!
 
じゃお店の人にも迷惑掛けちゃったかなあ、などと思う。枕元にネームプレートがあるが「円山ゆき様」なんて書いてある。女の子設定がまだ生きているのか!とちょっとそれも恥ずかしい感じだ。
 

でも何時なんだろう?と思って携帯を探すが、服はどうもパジャマを着せられているようで、ポケットの類いも無い。サイドテーブルの引き出しなどを探るが見当たらない。あれ〜。僕の荷物はどこだろう? 会社のクレカなどもバッグに入っているので、万が一にも紛失すると大変だ。
 
そこに看護婦さんが入ってくるが、良く見るとリンダである。僕はびっくりした。
 
「おはようございます。目が覚めましたか?」
「おはようございます。これまさかプレイの続き?」
「フルコースは一週間コースですよ」
「一週間!?」
「もっとも私は本物の看護婦ですけどね」
「え?そうなの?」
「あそこの風俗嬢とここの看護婦を兼任してるんです。ちゃんと看護師の資格持ってますよ」
「そうだったんだ!? え?病院」
 
「もう手術は終わりました。もう円山さん、立派な女の子になりましたよ」
「手術!?」
 
「私はさすがに12時間のプレイした後だから、寝せてもらいましたが、手術は無事成功だそうです」
「手術って何の手術?」
と僕が訊くと
「もちろん性転換手術ですけど」
と言って彼女はきょとんとした表情で答える。
 
「え〜〜?僕まさか性転換手術されちゃったの?」
「え?でも性転換手術をご希望だったんですよね?」
「ちょっと待って。フルコースってまさか性転換手術を含むの?」
 
「そうですけど。受付のところで承諾書にもサインなさいましたよね?」
 
あの承諾書は・・・・中身を読んでなかった!
 
「じゃ僕女の子の身体になっちゃった訳?」
「そうですよ。男性器を除去して、女性器を形成して。のど仏の除去と豊胸手術も一緒にしています」
「え〜〜〜〜!?」
 
それで僕は慌てて身体に触ってみる。何か喉の所に包帯が巻かれている。そして胸を触ると何か凄く膨らんでいる!うっそー!! そしてお股の付近は感触が無くてよく分からない。
 
「あのぉ、まさか性転換するつもりは無かったなんてことないですよね?」
「全然無かった!」
「でもフルコースを申し込んだんですよね?」
「フルコースって12時間のボディスキン付けて遊ぶコースかと思った」
「それはノーマルコースです」
「え〜〜!?」
 
「ノーマルコースが12時間のボディスキンコース。ショートコースが6時間のたっぷり女装プレイコース、ミニコースが3時間の女装するだけ。そして、アップルオプションがのど仏のカット、マンゴーオプションがシリコンバッグによる豊胸、ナッツオプションが去勢、バナナオプションが性転換手術、そしてフルコースはそれを全部やるコースです」
 
「知らなかった!」
「ちょっと待って」
と彼女は難しい顔をして人を呼んできた。
 
医師のような人が入ってくる。リンダは
「今店長も呼んでますから」
と言う。
 
医師は
「取り敢えず患部の状態を確認しますね」
と言って彼は股間の包帯を外す。
 
きゃー!
 
と思って僕はそれを見て絶句した。
 
全部無くなってる!
 
そしてお股の真ん中に割れ目ちゃんができていて、何のためか分からないが両脇に縫ったような傷口が2本縦にできている。
 
「傷の状態は良いですね。今まだ麻酔が効いていると思いますが、切れたらけっこう痛いので言って下さい。痛み止めを処方しますので」
 
「はい。お願いします。すみません。これってもう元には戻せないんですよね?」
 
「それはさすがに無理ですね。性転換手術の証明書を書きますから、それで戸籍の性別も女性に変更できますよ。裁判所に提出する書類も用意しますから」
と医師は言っている。
 
戸籍の性別が女になってしまう?
 
うっそー!
 

「でも円山さん、プレイ中に女の子になりたいとか、性転換手術されたいとか言ってましたよね?」
とリンダは困ったような顔で言う。
 
「うん。言ってた!」
「女の子になりたかったんですよね?」
 
僕はあらためて考えてみた。
 
そういえば小さい頃、女の子になりたいなと思って、おちんちんお股に挟んで隠したりしてたこともあったなあ。姉のスカートをこっそり穿いたりしたこともあったし。中学高校時代もあまり女の子に興味持たなかったし、むしろ女の友だちの方が多かった気もする。
 
「女の子になるのもいいかも」
と僕は言った。
「良かった。間違いだったなんてことになったら、大変だし」
と彼女は安堵したように言う。
 
「でもこのフルコースの料金っていくら?」
「200万円ですよ」
「きゃー」
「退院してからもプレイは続くから楽しみにしててね」
「え〜〜?」
 
と言ってから僕は不安になった。
「会社に連絡したいんだけど、僕の携帯はどこかな?」
「お荷物は紛失するといけないから、お店で預かってました。今店長が来ますけど、その時お荷物も持って来てくれるはずです」
 

店長は30分くらいでやってきた。僕が「ノーマルコース」と間違ってフルコースを頼んでしまったことを言うと驚いていたが、僕に
 
「女の子になるの嫌でした?」
と訊いて
「嫌ということはないですけど」
と答えると
 
「だったらいいですね」
と彼は言った。
 
店長が持って来てくれた携帯で会社に電話すると、部長と課長が来てくれた。
 
「お前、性転換オプションまで選択しちゃったんだ?」
「ノーマルコースのつもりでフルコースと言っちゃったんですよ」
「でも確認とか無かったの?」
と課長が店長の方を見ながら言う。
 
「一応こういう書類を渡して署名捺印を頂いたんですが」
と言って、店長は受付で僕がサインした書類を見せる。
 
「本コースは性転換手術、豊胸手術、のど仏切削手術を含みます。本コースのプレイをすると、生殖能力を永久に失いますと書かれているな」
 
「内容を確認して頂いたと思っていたのですが」
「済みません。全然読まずにサインしてしまいました」
「そりゃ円山が悪い」
と部長が断言した。
 
「しかし、お店の方もこういう重大な結果の生じるコースについては声に出して内容を読んだりとか、何度も意思確認するとかの手段を執ってもらえませんかね」
と部長は苦言を呈する。
 
「こういう間違って性転換手術を受けちゃうなんて人が出ることは想定していなかったのですが、ちょっとその点は早急に検討します」
と店長。
 
「それでどうでしょう?本来はこのコースは200万円なのですが150万円に割り引きした上で、円山さん個人に御見舞い金として30万円支払うという線では?」
 
「結果的に120万円に値引きという訳ですか」
「まあプロモーションということで」
 
部長は少し考えている。
 
「円山、お前は女になってこの後困る?」
と訊かれる。
 
「女になったことが無かったもんで分かりませんけど、何となく女でもやっていけるかもという気はします」
「お前美人だしな!」
「そうみたいですね」
 
と僕は頭を掻く。
 
リンダも
「円山さん、女装させていて、この人羨ましいくらいに可愛い!と思ってましたよ」
と言って彼女はプレイ中に撮影した写真のプリントしたものを出す。
 
「おお、可愛い!」
と部長・課長が声をあげる。
 
「これ新聞の記事に使ってもいい?」
「まあいいですよ」
と僕は力なく笑いながら言った。
 
「じゃ、お前女になるのは問題無いな?」
「もういいことにします。開き直ります」
「よしよし。じゃお前、退院したらもう女子社員扱いな」
「分かりました」
「この150万は会社で払うし、その御見舞い金はお前がそのままもらっていいから」
「ありがとうございます」
 
「ちゃんと女子制服を着て勤務しろよ」
「はい」
「女子制服を作らなきゃな」
「実は女子制服持ってます」
「そうだったの!」
「だったら、恥ずかしがらずにこれまででも女子制服で勤務しても良かったのに」
「あははは」
 

そして僕はこの病院のベッドで7枚目のレポートを書いた。
 
『いやはや手術が終わってからあそこを見て仰天! 棒も玉も袋も消滅して、扉と穴ができてるのを見て爆天! 棒は16-17cmあったけど、穴もやはり16-17cmあると聞いてトコロ天! 戸籍も女に直せるし、ちゃんと女として結婚できますよと言われて祝天! ついに僕の愚息は昇天してお星様になってしまいました。きっと満天の星たちはみんな元は誰かに付いていた愚息たちなんじゃないかな。さようなら、僕の愚息』
 
ということばで締めくくった。
 

しかし女になるのはこんなに大変なものかというのを僕は入院生活の中で感じた。まず最初の関門は痛みである。レポートを書き上げたあたりまではもう「じたばたしても男に戻れる訳でもないし」と開き直ったノリで書いていたのだが、やがて麻酔が切れると猛烈な痛みが襲ってきて、僕はこれと丸1日戦うはめになった。
 
翌日くらいになるとだいぶ楽になったが、痛みが取れた訳ではない。
 
3日目に導尿が終わって、トイレに行っておしっこしてきましょうと言われたが女子トイレに入るのにドキドキ。女子トイレの個室に座って、おしっこするのにドキドキ。あそこにホースが付いているのと付いてないのとでは、する時の感覚がかなり違う!
 
でも僕はこれまでけっこう座っておしっこをするということ自体はしてきていたので、これは何とかなった。もっとも最初は飛び散って拭くのが大変だったが。
 
あのあたりが痛いので、とにかく座れない。ドーナツ座布団を渡され
「これに座るといいですよ」
と言われる。確かにそれを使うと少しはマシだが、それでも痛いことは痛い。
 
手術して作った人工的なヴァギナが縮んだりしないように「ダイレーション」というのをしなければならないのだが、これがまた時間も掛かるし痛いのである。しかしやってないと縮んで使えなくなりますよと言われるので、こんな痛い思いをして作ったものが使い物にならなくなってはたまらんと思って頑張ってやったが、シリコン製の棒(これがまるでおちんちんみたいな感触)を自分であそこに入れていると、すごーく変な気分だった。
 
僕はこのような入院生活をまた記事にまとめて8枚目のレポートとして送った。
 

一週間で退院と言われていたのだが、実際には退院に10日掛かった。余分に掛かった入院費とかは特に追加料金はいらないらしい。
 
退院する時、またまた可愛らしい女の子の下着、可愛いスカートに可愛いブラウス、可愛いパンプス、可愛いバッグをプレゼントしてもらった。退院の時にはリンダが付き添ってくれた。
 
「女の子になっちゃったこと、後悔してません?」
と彼女から心配そうに訊かれた僕は、ニヤッと笑って言った。
 
「これ、凄くいいよ。君も早く手術しちゃいなよ」
 
すると彼女はかなり悩んでいる風だった。
 
またお店に行って「後半のプレイ」が始まる。
 
まず最初に女の形になってしまった股間を「記念撮影」される。男だった時の写真と並べて見せられたが
 
「これがこうなっちゃったのって劇的だね」
「うん。私も羨ましい」
などと僕はリンダとまるで他人事のように話した。
 
それから女子トイレに行き、スカートをめくって割れ目ちゃんの中からおしっこをしている所を撮影された。
 
「変な所撮影しますね」
「男の子の格好して、立っておしっこをしていた映像とつなぎます」
「衝撃的ですね」
 
これも実際に続けて見たが「すげー」と思った。この映像のどちらもが自分の排尿シーンだというのが信じられない気分だ。
 
またまたウェディングドレスを着せられるが、アンナが今度はウェディングドレスを着てやってきて、女同士の模擬結婚式の写真を撮った。
 
「円山さんとしては、男の人と結婚したい?女の子と結婚したい?」
「どちらもいいかなあという気がしてきた」
 

「次は処女喪失でーす」
と言われ、リンダが僕の新しいヴァギナにそっと挿入した。
 
「小さいおちんちんでごめんね」
「いや、最初から大きいのは入らない気がする」
 
でもリンダは射精して果てたようであった。
 
「睾丸が無くても射精できるんだ?」
「睾丸もおちんちんも取っちゃったのに射精できる人もいますよ」
「うっそー!?」
「円山ちゃんも練習してみる?」
「いい。もう射精はしなくてもいいや」
「ちなみにあの日射精した精液は冷凍保存してありますからね」
「そうだったの?」
「将来子供を作りたくなったら、それで人工授精できますよ。フルコースの料金には冷凍精子の3年分の冷凍保存料金も含まれています。期限が切れる時には更新するかどうかを問う手紙が来ますから、その後も保存したい時は自分で料金を払って下さい」
 
「分かった。でもそれって女の人との子供だよね?」
「まあ私にしても円山さんにしても卵子は持ってないから男の人とは子供を作ることはできないですね」
「まあそれは仕方ないね」
 

この日もリンダは僕の股間を舐めてくれた。手術前にされたのはフェラだが、手術後にされたのはクンニだ。これが何かフェラより気持ちいい気がした。それを言うとリンダは頷くように言う。
 
「性転換して女になってから性感があがったって言う人、結構いるんですよ。医学的には本来、どうしても性感は落ちるはずらしいんですけどね」
「面白いですね」
 
リンダは自分がタックしてレスビアンプレイもしてくれた。
 
「僕、女の子に入れるセックスって経験無いんだけど、これ男性時代のオナニーより気持ちいい気がする」
 
と言うと
 
「レスビアンプレイって果てが無いから気持ちいいんですよ。男の人は射精したら終わりだけど」
「リンダは射精しないの?」
「男の気分に心をシフトしない限りは射精しませんよ」
「あ、心理状態を切り替えるんだ?」
「そそ。ペギング(逆Aの別名)する時は気持ち的に男になりきる」
「へー」
 
手術のあとで、まだ無理できないだろうしということでプレイは3時間で終了したものの、あと9時間分プレイできますから、あとはいつでも好きな時に来店してくださいと言われ、クーポンを渡されて僕は店を後にした。
 
この日僕は9枚目のレポートを送信した。
 

なお、ここのフルコースの「プレイ料金」にはヒゲと足の毛・胸や腹の毛などのレーザー脱毛の料金も含まれているということで、僕は提携している美容外科にこの後通って、その脱毛の処置をしてもらうことになった。(この脱毛体験も後日12枚目のレポートにまとめて提出することになる)
 
実際問題として、退院直後にリンダとの「後半プレイ」をした後は数日会社を休ませてもらってその間はひたすら寝ていた。まだけっこう身体がきつかったのである。ダイレーションはちゃんと毎日していたが、これを一生していかないといけないのかと思うと、ちょっとだけ後悔した。
 
しかし僕はずっと寝ている訳にもいかないし、翌週の月曜日から会社に出て行ってまた頑張ろうと思った。
 

月曜日。
 
朝、僕は目を覚ましてから、ふっと息を吐く。
 
もうおちんちんが無くなってしまったお股にパンティを穿き、Cカップになってしまったおっぱいをブラジャーに納め、キャミソールを着て、ブラウスを着、パンティストッキングを履いてからスカートを穿いた。30分掛けてお化粧をする。そしてパンプスを履いて自宅を出た。
 
女装外出は実はわりと以前から味をしめつつあったのだが、この時間帯にこの格好で歩くのは少しドキドキした。駅で電車を待っていると目の前に真っ赤に塗装された車両が停まる。
 
あ、女性専用車両かと思い、他の車両に行こうかと思ってから「あ、今自分は女性になっちゃったんだ」と思い直し、そのまま女性専用車両に乗り込んだ。
 
ちょっとドキドキするが。車両の中は別にふつうの車両と変わりない。まあ中に乗っているのが女だけ、というだけのことだ。僕はその風景を見ながら「女になったからと言って世の中が大転換するわけでもないんだなあ」などと思っていた。
 
会社に出て行って
「おはようございます」
と言って更衣室に入ると、田島さんがギョッとしたような顔をしてこちらを見る。
 
「あ、円山か。びっくりした」
「半月ほど休んで済みませんでした。今日からまた出社します」
 
「お前、あそこで性転換手術まで受けちゃったんだって?」
「そうなんですよ。手術が終わってあそこ見て、びっくりしました」
 
「なんか軽いな?」
「うーん。悩んでも仕方ないし」
 
「あ、そうそう。お前のロッカーは女子更衣室に移動したから」
「えー!?」
「だってお前、女だろ?」
「そうでした!」
 
それで女子更衣室に入っていくと、みんなが
「お、話題の人が来た」
と声を上げる。
 
桜井さんが寄ってきて
「びっくりしたよ。女の子になっちゃって良かったの?」
と訊く。
「うーん。まあなっちゃったものは仕方ないかな。もう男には戻れないし、戸籍の性別も変更する申請書を書いて出して来た」
 
「すごいね。やはり本当は女の子になりたかったんだ?」
「どうなんだろう?でも女でもやっていけるかなあと思ったんだよね」
「じゃ女の子のことで分からないことあったら遠慮無く聞いてね。あの付近のことでも詳しく教えてあげるから」
「うん、お願い」
 

それで前々から持っていた女子制服に着替え、他の女子社員と一緒にお茶を入れて、オフィスの中の全員の机の上に配る。
 
まあこれは今までもやってた作業だけどね! 実際このお茶入れ作業には、今年入った男子社員も数名入っている。
 
それでスケジュールを確認するのに主任の所に行く。
 
「じゃ病み上がりで体力ないかも知れないけど、今日は午前中はサンホールに椿姫彩菜、午後はドラムタコスに、はるな愛のインタビューに」
 
「なんか性転換タレントばかりですね」
「うん。たまたま今日はこのふたりが重なっているんだよ。円山の専門だろ?」
「はい、確かにそうです」
 
それで出かけようとしていたら、庶務課長から声を掛けられる。
 
「円山さん、この書類を書いて提出して」
と言って渡された書類を見ると《氏名および性別変更届》と書かれている。
 
「こんな書類フォームがあったんですか?」
「氏名変更届は結婚したり養子縁組した社員のために存在したから、それをモディファイして作った」
「なるほどー」
 
それで僕は机で書類に記入した。
 
旧氏名:円山行雄、新氏名:円山ゆき
旧性別:男、新性別:女
変更理由:性転換手術を受けたため
 
と記入して捺印したが、何か心臓がドキドキする気分だった。
 
それで庶務課長に提出したが
「円山さんが休んでいた2週間は取材に伴うものとして出勤扱いになっているから」
と言われた。
「ありがとうございます」
「あと手術代を含むプレイ料金は当然経費で落としているから」
「助かります。あれ個人で出せと言われたら払いきれないし」
「でもふつうに個人の費用で性転換する人はたいへんね」
「全くです!」
 
円山ゆき名義の記者証をその場で発行してくれたので、円山行雄名義のものは返却した。庶務課長がその男名前の記者証をシュレッダーに掛けるのを見て、ああ本当に男の自分は居なくなってしまったんだなと再認識した。
 

それでその日は性転換タレントさん2人にインタビューしたのだが、僕は一応男声で話すので
 
「あなたもニューハーフさん?」
などと向こうから尋ねられた。
 
「はい、もう性転換手術も終わっているんですよ。戸籍は変更申請中で。声はなかなかうまく女声が出せなくて、あなたみたいにきれいに女の声が出せたらいいんですが」
 
と言うと、
「ボイストレーナー紹介しようか?」
と言われるので
「お願いします」
と言って、教えてもらった。
 
しかしこちらが同じ性転換者ということで、向こうは気易く感じたようで、そのあとのインタビューがひじょうに盛り上がった。
 

そんな訳で僕は何だかふつうに女子社員として、これまで通り、スポーツ新聞社で仕事を続けた。もらった「御見舞い金」30万だが、実際には女の服や靴を買ったりするのに大半を使ってしまった。これって女子社員としてのリスタートを切るための「支度金」みたいなものだったかも、などと僕は思った。
 
(桜井)純奈から「女性記者はファッションもチェックされるから変な髪型もできないから」と言われて、彼女のお勧めの美容室でカット&パーマしてもらったが料金を聞いて「ぎゃっ」と思った。洋服だって大変だ。スカートにしてもブラウスやジャケットにしても「良いもの」を買おうとすると凄く高い。それも2〜3着という訳にもいかない。
 
僕はウェスト69のスカートが穿けたし、靴もサイズが24.5cmだったので、何とかふつうに女性用の衣料を売っているお店で買いそろえることができたが、最初女物の下着とかを買うのにブラジャーが並んでいるコーナーとかパンティがたくさん入っているカゴの中を選って気に入ったデザインのものを探す時とかまるで変態にでもなったような気分だった。
 
実際問題として初めて行った時は恥ずかしかったので、純奈に付いてきてもらったのである。
 
「でも今までもこういう所で女物の服を買ってたんでしょ?」
などと言われるが
「それが初体験で」
と言うと
「じゃ今まではセシールとかばかり?」
などと訊かれる。
 
マジで女装したことほとんど無かったと言っても絶対信じてもらえないよね?
 
でもこの「ドキドキ女物下着購入作戦」も10枚目のレポートにして提出した。
 

戸籍の性別変更が認可された通知は1ヶ月ほどで届いた。裁判所からの手紙を見て僕は、ああ、とうとう本当に僕、女になっちゃったんだなあ、と改めて思った。
 
その戸籍の変更が終わった旨も会社に報告したのだが(源泉徴収の書類上の名前も新しい戸籍名に合わせられた)、その時
 
「取材で車を運転することもあるから運転免許取らない?」
と言われた。
 
それで2ヶ月ほど自動車学校に通って免許を取得したが、新しい緑の帯の運転免許証にお化粧をした自分の顔の写真が入り「円山ゆき」の名前が記載されているのを見て、僕はまたふっと息をついた。
 
僕はそのあと、銀行口座、クレジットカードの名義、電気やガスの契約、オンラインで登録している様々なサイトの登録、などの変更作業もしたが、これがなかなか大変であった。
 
銀行で
「改名したので名義を変更したいのですが」
と言うと
「新しい姓と旧姓の両方が確認できる書類を見せて下さい」
と言われる。
 
こちらが女に見えることもあり、どうも結婚したと思われた雰囲気だ。
 
「あ、いや苗字ではなくて下の名前が変わったので」
「改名なさったんですか?」
「そうです」
「では裁判所からの審判の結果通知の書類がありますか?」
と訊かれたので見せる。
 
すると性別の変更と改名が同時に許可されているというのに向こうは驚いたようであった。その窓口の子では分からなかったようで奥の方で相談して、結局副店長さんが出てきて対応してくれた。一応時々ある事例らしくてどこかに何度か電話して確認したりしながら対応してくれた。
 
しかしさすが裁判所の書類の効果は強力である。氏名・性別ともに問題無く変更してもらえた。
 
オンラインサイトの中にはオンライン上で名前や性別を変更できる所もあり、そういうところはすぐ変更したが、名前は変更できても性別は変更できないところもあり、そういうところは最終的には電話して対応してもらった。
 
このあたりの改名の手続きについて僕は11枚目のレポートを書いた。
 

新聞社の仕事だが、女になったということで、本来の担当の芸能関係以外に、家庭的なネタの取材や、中高生などの話題の取材に行くことも増えた。
 
僕はそういう「女子社員生活」とプライベートをまとめた「女の子ライフ」も13,14枚目のレポートとして書いた。僕のレポートは、紙上では衝撃の「愚息が昇天してお星様になってしまいました」というところで終了していたものの(多くの読者はフィクションと思ったようである。まあ、普通は取材のために性器を放棄する人なんてまず居ないだろうね。僕も知ってたらさすがに嫌だと思っただろうし)、その後のレポートも適当な機会にまとめて一気に掲載しようということになったようである。
 
給料については、実はこの会社、男女に微妙な?給料の差があるのだが、僕は女子並みの給料でいいですと言ったら、ほんとに下げられた!
 
「女子の給料、こんなに低いんですか?」
と(竹越)民子さんに言うと
「男女差別酷いよねー」
と彼女も言っていた。
「だってお化粧品代とかかかるのに」
「ほんと。化粧手当を出して欲しいくらいだよ」
 
僕は女子になってしまったことで「出世競争」からも外れた感じであった。僕はもとより、そんなものする気は全く無かったのだが、1年目は似たような立場の畑山君や佐藤君から敵対的な視線を感じることもあった。しかし彼らは僕が女になってしまって以来、一様に親切になった。
 
取材に行く時も一緒に行く男の子が荷物を持ってくれたりするし、高い所にある書類や機材を取ろうとしていたら、近くの男子が寄ってきて取ってくれたりする。僕は結構女の子ってのもいいもんだと思ったりしていた。
 

やがて年末年始が来るものの、僕は田島さんから言われた。
 
「おい、円山、今度の忘年会ではもう女装しなくてもいいからな」
「えーっと。男装するのでしょうか?」
「いや、お前もう女になっちゃったから、女の服を着ているのが普通でそれ全然女装じゃないから」
「まあ確かにそうですね」
 
などと言っていたのに、結局またまた女子高生の制服を着せられた!!初めて女装させられた時はセーラー服だったが、今回のはブレザーにチェックのスカートである。
 
「何か変なコレクションが増えて行きます」
「コスプレができるな」
 
「でもゆきちゃん、可愛いからまだ充分女子高生で通るよ」
などと民子さんも純奈も言っていた。
 
更に新年会では振袖を着せられたが、純奈や、1つ下の女子社員の裕香も一緒に振袖を着た。着付けは美容師さんにしてもらった。振袖はそのままもらえるのではなく、さすがにレンタルである。
 
「これ着るの大変だったけど、何かいいですねー。1着欲しい感じ」
「安いのは7−8万円であるから買うといいかもね」
「そんなに安くあるんですか?」
「それでゆきちゃん、成人式の写真を撮り直すとか」
「うーん・・・」
 
確かに今ちょうど成人式のシーズンだ。
 
「実際の成人式はどんな格好で出たの?」
「行きませんでした」
「ああ、やはり男物の服では出たくなかったから?」
 
自分って元々小さい頃から女の子になりたかったんだろうと、みんなは思っているみたいだなあ、と僕は考えた。
 

その年の年賀状に僕は「性が変わりました」と書いて、「旧名行雄・新名ゆき」と記した。年賀状でよく、結婚して「姓が変わりました」と書くところを間違って「性が変わりました」と誤記する例が結構あるなあと思うと、心の中から可笑しさがこみあげてくる。
 
僕の場合は本当に性が変わっちゃったし、などと感慨深く思った。この年賀状に対しては「びっくりしたー!」という反応が結構あった。
 
僕は実家にも帰省したが、女になった僕を見て両親は腰を抜かした。
 
「お前、女の子になりたかったの?」
「うーん。別になりたかった訳じゃないけど、なりゆき」
「それでお前いいの?」
「まあ、何とかなるんじゃない?」
 
でも姉は
「妹が欲しい気はしていたから、ちょうどいいかも」
と言ってくれた。
 
僕は「新しい娘」として多少は親孝行できたかなと思う。母と姉と一緒に近くの温泉にも行ったが
「ほんとに女の子になっちゃったんだねー」
と言って母から随分あちこち触られた。
 
「おちんちんも無いんだね」
「付いてたら女湯に入れないよ!」
 

そして1月下旬のある日のこと。また田島さんと民子さんが何か話していて、こちらをチラっと見たので、嫌〜な予感がする。
 
まあ性転換されちゃった以上、これ以上性転換されることもあるまいが。それとも男に性転換してこいと言われたりして!?
 
民子さんが僕を手招きするので仕方なく寄って行く。
 
「ゆきちゃん、ちょっと体験取材してきてくれない?」
「何の取材ですか?」
「新しい女性向け風俗なのよ」
「なるほどー」
「他の女子社員にはさすがに風俗行って来いとは言えないし、私もそんな所に行ったら婚約解消されそうだし」
 
「まあいいですよ。行きますよ」
「あなた、性交は可能なんだっけ?」
「女の子とは性交できない身体になっちゃいましたが、男とならできるはずです」
 
まあリンダとはしたしね〜。あの子小さかったから、普通の男のが入るかどうかは未知数だけど。
 
「あなた妊娠はしないんだよね?」
「生で入れるんですか?」
「まさか。ちゃんと付けるよ」
「だったらいいか。一応卵巣や子宮は無いはずです」
「だったら万一の時も妊娠しないから安心ね」
「そうですね」
 
「うちの女性向け風俗レポートしてくれていたCさん、こないだ妊娠しちゃってさ」
「何歳でしたっけ?」
「公称47歳だけど実は52歳だったのよね」
「妊娠できるんですか〜?」
「本人もびっくりしたらしい。生理も最近は途切れ途切れになっていたのにって。でももうこれ逃したら絶対に子供産めないだろうから頑張って産むと言ってる」
 
「取材で妊娠したんですか?」
 
「プライベートに付き合ってる男は居なかったらしい。取材では入れる時も毎回ちゃんと避妊はしていたらしいんだけどね。どこで誰とした時に妊娠したのか自分でも分からないけど、ひとりで頑張ると」
「すげー」
 
「でも新たに女性の風俗レポーターとか募集しないんですか?」
「今、適当な人材を探している。何人か面接したんだけど、文章書かせたら酷くってさ」
「そうか。文章が書ける人でないとダメなんだ!」
「当然、当然」
 

そういう訳で1〜2ヶ月以内には絶対新しい人採用するから、それまでしばらく頼むなどと言われ、僕は初体験となる、女性向け風俗店を訪れた。
 
僕はこの頃にはボイストレーニングの結果、ふつうに女の声に聞こえる声で話せるようになっていたので笑顔で「体験取材に来ました〜」と言うと、そのお店でナンバーワンの稼ぎ手の男性ホストを紹介してもらえた。
 
最初はそのホストと一緒に外出してお茶を飲んでおしゃべりをしたが正直会話がつまらんと思った。これを考えると、リンダは会話が上手かったんだなあと思う。まあ200万の店と3万の店では違うか??
 
その後、ドライブデートするが、この車の運転が下手くそである。自分が運転したいぞと思った。
 
その後、ホテルに入って、やっとここから本格的なプレイの開始となったようであるが、さすがにこれは上手いと思った。
 
裸になって(自主的に脱いだ)、ホストが全身のあちこちにタッチしてくるが丁寧である。そしてこちらの反応を見て触る場所や触り方を変えていく。乳首はかなり敏感になっているのを感じた。すごーい。僕って女の身体の感覚になってるんだなあ、と思う。
 
胸のタッチをかなりやってから、栗ちゃんにタッチされる。これも凄くソフトにされるので、気持ち良かった。
 
「男性とのセックスの体験はあります?」
と尋ねられたので
「1度だけ」
と答えると
「ああ。あるなら安心ですね。処女の方にはできないこともあるので」
と彼は言っていた。
 
最初に見せられたメニューには「本番行為は致しません」と書かれてはいたのだが、実際にはあるのかなあ、などと考えながら、栗ちゃんをいじられていた。
 

ホストさんとのホテルでのプレイは2時間近くに及んだが、僕は男性時代には感じたことのなかったほどの絶頂を何度も経験した(でも潮吹きはしなかった。やはりあれは前立腺を刺激されないと起きないのかも)。
 
栗ちゃんだけで何度も行ったのだが、僕が勢いで
「もう入れて〜」
などと言うと、
「本当は禁止されているんですけどね」
などと言いつつ、避妊具を装着して入れてきた。
 
避妊具が用意されている時点で、やはり本番行為は想定されているのだろう。
 
本当にあんな大きいのが入るのかなと少し不安だったが、入れられても特に痛くはなかった。でも思ったほど気持ちよくもない。やはり入れられるより栗ちゃんをいじられる方が気持ちいい気もするなと思ったが、女としての性交体験が少ないせいかも知れないという気もした。
 
もっとも風俗で性交体験は重ねたくないけどね!
 
最後はこちらは逝った振りをしてプレイを終えた。ホストさんは結局射精はしなかった。その点を訊くと
 
「出してしまうと小さくなってプレイを続けられませんから」
と笑って答えていた。
 
なるほどー! でも射精を我慢しないといけないというのも大変だね!!
 
僕は最後の20分ほど、彼が作ってくれたインスタントコーヒーを飲みながらレポートを作成。メールで送信して、この日の体験取材を終えた。
 
でもこの後もこの手の風俗の体験取材たくさんやらされそう! 誰か早く女性の契約記者さんをスカウトしてよね!
 

新しい女性レポーターさん(元ソープ嬢らしい)は3月の中旬には決まり、僕はこの手の仕事から解放されたものの、それまでに3度も女性向け風俗店のレポートをした。2つは男性ホストにしてもらったのだが、1つは女性のコンパニオンが出てくるのでびっくりした。
 
しかしこの女性に栗ちゃんをいじられた時がいちばん気持ち良かった。そのことを言うと
「だって男に女の快感が分かるわけ無いじゃないですか」
と言われて
「なるほどー!」
と納得した。
 
「でも男性ホストとのプレイは疑似恋愛なんですよ。その雰囲気を楽しむのがそういう系統のお店の売りですね」
と彼女。
 
「確かにね。でもここだけの話、今まで取材で会ったホストさん、人気No.1とか言って紹介してもらったのに会話があまりうまくなかったです」
と私は言う。
 
「うんうん。私も勉強のために時々そういうお店行くけど、会話の上手な人には当たったことない」
 
と彼女は言っていた。その彼女はトークもとても上手かった。
 

4月。この会社にまた新入社員が入って来た。僕と純奈は新入女子社員の教育係に任命されて、仕事の仕方とか、取材する時の心得、守秘義務や個人情報の保護など、そして接客の仕方なども指導した。
 
そんな中でひとりの女子社員が質問する。
 
「スポーツ新聞ってよく体験取材とかやってますけど、あれって私たちもするんですか?」
「大半は契約レポーターの人が取材して書いているんだよ」
「ああ、そうですよね」
「まあ男子社員の中には体験取材を時々やらされている人もあるみたいだけどさすがに女子社員にはまずやらせないから」
と言うと
「安心しました〜」
などと言っている。
 
「よく愚息も昇天なんて書いてあるけど、私愚息持ってないし」
と彼女。
 
「手術して付けちゃう?」
「1本欲しいなと思う時もありますけどね。おしっこする時便利そうだし」
「でもあれ付いていると、ハイレグのショーツ付けた時にこぼれちゃうよ」
と私が言うと
「ああ、こぼれるかも。オカマさんとか大変ですね」
と彼女が答える。
 
純奈が何だか苦しそうにしていた。
 
 
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【体験取材】(下)