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■夏の日の想い出・愛と別れの日々(8)

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音楽関係の人たちが大量に出席しているので、ご祝儀は恐ろしい金額になっていたようである。集計作業は、桃香が途中で音を上げたので、私がしてあげた。
 
「これお返しが大変だ」
と桃香は言っている。
 
「千里がやったらいいのに。業界関係者さん」
と言ったら
「私がやったら絶対数字が合わないから無理」
などと本人は笑っている。
 
「千里って、カメラはまともに使えないし、電化製品に弱いし、電卓で足し算させても間違うし、メールもよく宛先間違えるし、とても理系女子とは思えん」
 
などと桃香が言う。
 
「私、本当は文学部か何かに行きたかったんだけど、お父ちゃんが水産学部に行けとか言うからさ、妥協で理学部を選んだんだよ。高校の時は教頭先生との約束で医学部も受験したけど、私が医者になってたら大量に患者を殺してたと思う。私、血圧と脈拍を混同するくらいだから」
などと千里。
 
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「それでよくSEなんかやってたね!」
「千里ってSEやってて、前の旦那と知り合ったんだったよね?」
 
「いや、実は私はプログラム組めないんだよ、ここだけの話」
と千里。
「プログラム組めない人がSEできるわけ?」
「あれはできるふりしていただけだから」
「よく分からん!」
 
「前から疑惑があったんだよね」
などと言って、雨宮先生が寄ってくる。
 
「千里って、高校2年生頃から音楽の仕事をしてたけど、その仕事は巫女さんやファミレスのバイトしながら理学部などという忙しいはずの大学生生活をしていた時期、それからSEの仕事をしていた3年間も途切れていない。それどころか、超多忙だったはずのSE時代の2016年に小野寺イルザが歌ってミリオンセラーになった『マジック・スクエア』を書いている。つまりだね」
と雨宮先生はいったんことばを切る。
 
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「千里は3〜4人いるとしか思えないんだよな」
 
「ケイ3つ子説というのは昔からあったね」
と千里は他人事のように言う。
 
「千里も3つ子説か」
 
「きっとバスケしてる千里、SEしてた千里、音楽してる千里がいるんだ。だから実は音楽している千里はプログラムが組めない」
と雨宮先生。
 
「その説に賛成」
などと言って千里の妹の玲羅さんが寄ってくる。
 
「お姉ちゃんって時々物理的に移動不能なはずの遠距離で同時期に目撃されていたりするんだよね」
と玲羅。
 
「お姉ちゃんが雨宮先生たちと沖縄にいたはずの日に、千葉でお姉ちゃんは塾の夏季講座の講師をしていた。東京で仕事をしていたはずの日に、大阪で貴司さんの浮気阻止をしていたりする。バスケの試合で北海道に居たはずの日に貴司さんと大阪でデートしたりしている。これ何人かの人から聞いた話を総合していくと、その手の矛盾が浮かび上がってくるのよね」
 
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「その手の伝説はケイにも多いなあ」
といつの間にか寄ってきている政子が言う。
 
「まあ、謎は謎のままで」
などと言って千里は笑っていた。
 

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青葉の披露宴は13時から始まっていったん15時半に終了したものの、16時半から21時まで4時間半にわたって二次会が行われ、多数の友人たちが余興を披露した。千里、天津子、そして最後は花嫁の青葉自身と3人が続けて龍笛を吹いたのには、出席者は皆身震いをしてその超絶な音色の洗礼を受けることになった。
 
演奏自体も凄かったが、物理的な事件!?も多発する。
 
千里の演奏中には落雷が何度もあるし、天津子の演奏中にはホテルの窓が何枚も割れて悲鳴が上がるし、青葉の演奏中には停電してホテルの人が慌てて走り回っていた。
 
「こんな体験、きっと2度とできないよね」
と鮎川ゆまが物凄く感動したように言っていた。私も頷いた。
 
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「私このホテルからお出入り禁止くらうかも」
などと花嫁は言っていたが
「壊したものの弁償は私がやっとくから心配しないで」
と私は言っておいた。
 
またこの2次会をやっている最中、千里は友人の花園さんと会場内に持ち込んだバスケットの移動式ゴールを使用してスリーポイント対決をしていたが、途中休憩を入れながら合計3時間以上シュートを撃って、ふたりが外したシュートはその間、お互い4本ずつのみで、「私はあんたたちを再度日本代表に推薦したくなった」などと、青葉がチームの応援歌を作曲した縁で出席していた北陸に本拠地を置く実業団バスケットチーム(花園さんが以前所属していた)の監督さんが言っていた。
 

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なお、青葉は本来月火だけしか休みがないのだが、今回は特別に一週間お休みをもらったということで、彪志と一週間の新婚旅行に出かけた。青葉が休んでいる間の担当番組は、この局の元アナウンサーである森本さんが代行してやってくれたようである。スタッフの少ない地方局では、こういう時に元社員を臨時登用するのが、わりとよく行われるようだ。
 
青葉たちの新婚旅行の行き先は未定で車で気の向くままの旅をするということであったが、実際にはふたりは東北方面を走り回ったようである。
 

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私と政子は結婚式の翌日、5月24日(火)に東京に戻った。この間、私たちの4人の子供や貴昭の2人の子供の世話は政子の母と私の母がしてくれていたのだが、なかなか大変だったようである。
 
24日は貴昭は仕事が残業になってしまい、遅くなるということだったので、紗緒里と安貴穂はうちに泊めることにして、2階の6畳の部屋に、あやめ・夏絵といっしょに2人も寝せた。女の子4人で随分騒いでいて、普段は温厚な政子の母に4人とも叱られていた。
 
大輝は2階の四畳半の部屋で私がかえでと一緒に寝かせ付けた。そして政子がひとりで1階の居間で貴昭の帰りを待っていた。
 
貴昭は結局12時すぎに帰って来た。
 
「お帰り、松山君。お疲れ様」
と政子が声を掛ける。
 
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「遅くなってごめんね」
「サホちゃんとアキちゃんは2階で寝ているよ」
 
紗緒里は『さおり』であって『さほり』ではないのだが、政子はいつもこの子を「サホちゃん」と呼んでいて、紗緒里自身もその呼ばれ方がわりと気に入っているようである。
 
「悪かったね。ちょっと一息付いたら連れ帰るから」
「もう遅いもん。起こすの可哀想だよ。このまま寝せておきなよ」
「そうだなあ、そうしようか。明日の朝、顔を見に来るから」
 
「うん。ごはんも食べて行ってね。今シチュー暖めるから」
と言って政子はテーブルに乗っているIHヒーターのスイッチを入れ、こげないようにかき混ぜるる。料理が苦手な政子でも、シチューを温める程度はできる。
 
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「ありがとう中田さん」
 
政子は何か考えているようであった。
 
「ビールでも飲む?」
「そうだなあ、もらおうかな」
 
それで政子はファンからのもらいものの、レーベンブロイを開けて貴昭に勧める。
 
「ありがとう」
と言って貴昭も受け取り、1口飲む。
 
「美味しい!」
「仕事で疲れた後の1杯は特に美味しいって、よく言ってたね」
「ちょっと懐かしいね、あの頃」
 
と貴昭も昔を思い起こすかのようであった。
 
ふたりは何となく、高校時代のことに始まって、大学生時代、そして大学を卒業してからしばらくまで、ふたりが熱い関係であった頃の昔話をした。貴昭が遅い晩御飯を食べるのに、政子も付き合って一緒にシチューを食べている。
 
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「しかし中田さんに寝ている間にメイクされちゃって、服まで女物を着せられていて、途方に暮れたことがあったな」
 
「私、基本がレスビアンだから」
「まあ、僕も小さい頃は女の子になりたいと思ってたし」
「今はもう女の子になりたくないの?」
「諦めた」
「サホちゃん・アキちゃんが成人した後で性転換しちゃうというのは?手術代くらい出してあげるよ」
「その時考えるよ」
「奥さんの服をこっそり身につけて寝たりしないの?」
 
「どういう趣味だよ?」
と言って、貴昭は笑っている。
 
「でも女物の服が着れる体型でしょ?」
「僕はウェストが66・ヒップ94だから、男物の既製服が着られない。いつもイージーオーダーしてるよ」
「レディスを着ればいいのに」
「持ってないよ」
「露子さんの服も取ってあるんでしょ?」
 
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「露子の服とか化粧品は東京に引っ越してくる時全部処分したよ。甑島から出てきてくれた妹さんに、持っていきたいものは持っていってと言って、それ以外は全部廃棄した」
 
政子は少し考えていた。
 
「捨ててよかったの?」
「一周忌も済んだし」
「それまでは露子さんのパンティ穿いたり、露子さんの口紅付けたりしてたんだ?」
「だから僕はそういう趣味は無いってのに」
「何なら私のパンティあげようか?」
「要らないよ。どうも中田さんは昔から、そういう変な道に僕を誘(いざな)おうとする」
「まあ、そういう趣味だから。タックくらいするんでしょ?」
「しないよー。立っておしっこできないと困るもん」
「せっかく教えてあげたのに。女子トイレなら座ってすることになるよ」
「女子トイレには入らないよ!」
「入っても絶対騒ぎにならないと思うけどなあ。むしろ男子トイレでお姉ちゃんこっち違うとか言われない?」
「言われないって。そういう方向に僕を誘い込まないでよ」
 
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「ふふふ。だって、こういうのに反応するから貴昭君って面白いんだもん」
 
政子はここで彼のことを名前で呼んだ。すると少しだけ考えて貴昭も
 
「政子さんって、人が自主的に抑えたり控えたりしているものを、刺激して唆すのが趣味だよね。政子さんと付き合ってなかったら、唐本さんもきっと性転換に至ってないよ」
 
と言った。
 
「うん。冬は私が唆してなかったら、きっと30歳近くまで性転換に踏み切れないでウダウダしてたと思う」
 
と政子も自分が名前で呼ばれたことを自然に受け止めて言った。
 

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ふたりの会話は一緒におやつなどもつまみながら2時近くまで続いた。
 
「すっかり遅くなっちゃった。ごめんねー。そろそろ帰るから」
「でもバスとか走ってないよ」
「タクシー呼んで帰るよ」
「それもったいない。うちの離れ、空いてるから泊まっていけば? サホちゃんとアキちゃんも泊まっているんだし」
 
「そうだなあ。じゃ泊めてもらおうかな」
「案内するね」
 
と言って政子は貴昭を案内して離れに行った。玄関の鍵を開けて2階への階段を登る。階段の照明は階段の上でも下でもオンオフできるタイプである。
 
「1階は物置なんだね」
「前面シャッターだからガレージにもなるようにしてる。だから車をもう1台置けるよ」
「なるほどー」
 
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階段を登ったところで2階の電気のスイッチを入れる。2階は畳敷きの8畳ほどの部屋である。キッチンがあり、1階にはユニットバスも付いているので、この離れだけでも生活できるようになっている。
 
「あれ?エアコン付けるの?」
「この付近、今くらいの時期までは明け方結構冷えるんだよ」
「ふーん」
 
「今布団敷くね」
と言って、政子は部屋の隅に畳んで重ねている敷布団をひとつ敷いて、シーツもかけ、その上に毛布・掛け布団を掛けた。枕も1個置く。
 
「じゃお休み」
と政子が言うと
 
「うん。お休み」
と貴昭は言う。
 
しかし政子は部屋を去らない。ふたりはしばし見つめ合っていた。
 
「まぁちゃんはどこで寝るの?」
と貴昭は訊く。
 
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政子は8年ぶりに《まあちゃん》などと呼ばれてドキっとした。
 
「母屋の2階の4畳半で、冬がかえでと大輝と一緒に寝ているから、そこで寝るよ」
 
「4畳半に4人も寝るの、狭くない?」
と貴昭。
 
政子はかなり考えてから返事をする。
 
「そうだね。ここでたぁちゃんと一緒に寝ちゃおうかな」
 
と政子も8年ぶりに彼のことを《たぁちゃん》と呼んだ。
 
「うん、そうしなよ。ここもうひとつ布団敷けるよね?」
と貴昭。
 
「敷けるけど面倒くさいなあ。布団1個で間に合わせちゃおうかな」
と政子。
 
「それでもいいよね」
と貴昭は言う。
 
それでふたりは微笑んだ。
 
「私、裸で寝るのが好きなのよね」
「前からそうだったね」
「たぁちゃん、背広で寝るの?」
「まさか。脱ぐよ」
 
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と言って貴昭は背広とズボンを脱ぐ。政子もトレーナーとTシャツ、スカートを脱ぎ、お互い下着姿になる。
 
「たぁちゃん、男物の下着をつけてるのね」
「なんでー」
「女物をつければいいのに」
「そんな趣味無いってのに」
「自分のブラジャーとかショーツくらい持ってないの?」
「結婚前に捨てた」
「また買えば?」
「だから、そういうの唆すなよ」
 
結局ふたりとも裸になってしまう。部屋はエアコンのおかげで既に暖かくなっている。
 
「露子さんのこと好きだった?」
「もちろん。亮平さんや大輔さんのこと好きだった?」
「そんなでもないかも」
「そうなの〜?」
 
それで、灯りを消して一緒の布団に入った。
 
「おやすみ」
「おやすみ」
 
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と言い合う。
 
初夏の夜は静かにふけていった。
 
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