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■夏の日の想い出・愛と別れの日々(7)

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月曜日、早速朝から貴昭がふたりの娘を連れてくることになった。
 
しかしその日朝から政子は(正確には私が)大量のサツマイモと格闘していた。実は桃香の親戚で千葉に住んでいる人がサツマイモを作っていて、大量のサツマイモをもらったらしい。宮古島でお世話になったお礼と言って、その大半をこちらに持って来たのである。
 
「これどうするのさ?」
「食べるから、冬、焼き芋にしてよ」
「結局私がやるのか!」
 
それで私は朝からサツマイモを洗ってはアルミホイルに包み、ロースターで焼くというのを何度も繰り返して、テーブルの上に大量の焼き芋を積み上げた。政子のお母さんが目を丸くしている。
 
そこに貴昭が来訪する。
 
「済みません。お世話になります」
と言って貴昭は紗緒里と安貴穂を連れてきた。
 
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「いらっしゃい」
と政子の母が2人を笑顔で歓迎する。
 
「おはようございます。私が紗緒里(さおり)、こちらが妹の安貴穂(あきほ)です」
とお姉ちゃんの紗緒里が代表してしっかりと挨拶する。紗緒里は5月で6歳になるのだが母親を失ったことから、かえって自立心が高まっているのかも知れない。
 
「おお、偉いねえ、ちゃんと挨拶できるんだね」
とお母さん。
 
すると焼き芋を食べていた政子は
 
「サホちゃんもアキちゃんも、ほら、お芋食べなさい。美味しいよ」
と言った。
 
娘たちをうちに連れて来なよと言ったということは政子はまだ貴昭君のことが好きなんだろうけど、その好きな貴昭君の前でも政子って食欲を隠さないんだなと思って、私は微笑ましくそのシーンを眺めていた。
 
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紗緒里は一瞬ためらったようだが、3歳の安貴穂が
 
「わあ、おいしそう。どのくらいまでたべていい?」
などと政子に訊く。
 
「10本でも20本でも100本でも食べていいよ。足りなくなったら、冬子おばちゃんが買いに行ってくれるから」
などと言う。
 
それで安貴穂が
「いただきまーす」
と言って、食べ出すと、紗緒里も最初遠慮がちに1本小ぶりのを取って食べ出す。
 
「おいしい!」
とふたりとも笑顔になる。
 
「これほんとに美味しい芋だよ。ふたりともどんどん食べなさい」
「はーい!」
 
それを楽しそうに見て、貴昭は出勤して行った。
 
そしてこの日から、私たちは6人の子供を育てることになったのである。
 

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2023年5月23日(月)友引。この日富山県に住む青葉が、長年の恋人・鈴江彪志と結婚式を挙げた。
 
ふたりは随分昔から2022年か2023年に結婚しようと約束していたらしい。彪志は1993年11月生れで30歳になる前に結婚したいと言っていた。青葉は2020年春に大学を卒業して就職するので、就職してから最低2-3年は仕事をした後での結婚にしたいと言っていた。それでこういうスケジュールになったのである。
 
「でも凄く長い交際期間になったね」
と政子は私に言った。
「彪志君のお母さんが普通の女の子と結婚させることを諦めて、この際青葉でもいいかと思ってくれるのにも時間が必要だったんじゃないかと桃香は言ってたよ」
と私は答える。
「性別の変更って重たいんだね」
 
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実際の結婚式の日取りを聞いた時、私は青葉に
「仕事は構わないの?」
と訊いたのだが
 
「うん。別に私たちはアイドルという訳でもないし。中央局の場合はまた違うみたいだけどね。結婚してもいいからあと5年は仕事を続けてくれと社長から言われた」
と青葉は言っていた。
 
「だけど結婚後、どこで暮らすの?」
「私は仕事があるから、ずっと高岡だよ」
「彪志君は東京だよね?」
「この4月に名古屋支店に転勤になったんだ」
「そうなんだ?でもどうすんの?」
「だから彪志は名古屋で暮らすよ」
「同居しないの〜!?」
 
「土日は彪志が高岡に来るし、私は月火が休みだから名古屋に行くし」
 
青葉はスポーツ中継やイベントなどのレポート(時には司会)が多いので土日に仕事して月火が休みのパターンになっている。水木はローカルの情報番組の司会をする。
 
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「別居生活なんだ?」
 
「金曜日の夜に彪志がフリードを運転して高岡に来て、日曜日の夜に私が運転して一緒に名古屋に移動。火曜日の夜行バスで私は高岡に戻る。だから週の内、土日月火の4日間は一緒に過ごせるんだよ。まあ昼間はどちらかが仕事に行くから一緒なのは夜だけだけど」
 
「ハードな新婚生活だね!」
 

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挙式披露宴は、青葉の仕事の拠点である金沢市で行うということであった。
 
岩手県から彪志の親族や青葉個人の友人など、東京や千葉から彪志の大学時代や仕事の友人、名古屋からも彪志の同僚を呼ぶので、その交通費・宿泊費だけでも膨大なものになったようである。出席者は100人を越えている。
 
「青葉、これいくら掛かった?」
と私が訊くと
「あはは。私も800くらいから先は集計不能になった」
などと言っていた。
 
式は金沢近郊の白山比ロ羊(しらやまひめ)神社で午前中に行われたが、出席したのは、青葉側が青葉・朋子・桃香・千里・私・政子・和実・菊枝・瞬高・慶子・天津子・舞花・テレビ局の制作部長さん、彪志側が彪志・宗司・文月、宗司の兄夫婦、文月の妹夫婦、文月の弟夫婦、彪志の上司の部長さんといった構成だった。
 
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しかし青葉側に、青葉をはじめとして、菊枝・瞬高・天津子というとんでもない霊能者が並んでいるせいか、式を挙げるのに入って来た神職さんがギョッとした顔をしていた。
 
「えっと、私が結んでもいいんでしょうか?」
などと、いちばん凄い雰囲気を漂わせている瞬高に訊き、瞬高が
「ええ、お願いします」
と笑顔で言ってから、式は始まった。
 

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結婚式が終わってから披露宴をおこなう金沢のホテルに移動するバスの中で、菊枝さんが私に話しかけてきた。
 
「披露宴の出席者名簿見てたんですけど、青葉の知り合いが幾つかのグループに分かれてますよね」
「私もそれ考えてました」
「青葉の大船渡での友人、高岡での友人、金沢の大学時代の友人、アナウンサー学校での友人、放送局に入社してからの友人、霊のお仕事で関わっている人、音楽関係で関わっている人」
「それにクロスロードの面々です」
「あと、若干千里さんの知り合いが入ってますよね?」
 
「ええ。千里の妹さんと叔母さんが北海道から来ているし、バスケ関係で特に親しい友人が数人来てくれています」
「震災の直後に、私は天涯孤独の身になっちゃったなどと言って泣いてたのが嘘みたいですよ」
と菊枝は言う。
「青葉は自分で人のつながりを作って来ましたね。あれから12年の間に」
と私も言った。
「そうですね。震災前の青葉って、むしろ自分から孤独に生きる道を選んでいた感じだったのに」
と菊枝は遠くを見るような目をしながら言った。
 
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披露宴の司会は、青葉と同期で入社したものの昨年春からはフリーになっている森本アナウンサーが楽しく進めてくれた。「青葉ちゃん、私の結婚式の時は司会してね」などと言っていた。この模様は、わざわざ同局夕方の情報番組の中で録画だが10分以上も流したようである。出席者の顔ぶれが物凄いので局としても公共の電波を使って流すだけの価値があると判断したようだ。
 
余興はやりたがる人が多すぎて、かなり制限させてもらい、残りは二次会でということにした。私と政子も歌を歌ったし、鮎川ゆまは彼女が率いるレッド・ブロッサムで演奏を披露したし、スリファーズやスイート・ヴァニラズも演奏をする。青葉の高校時代の友人・空帆が率いるホローズはわざわざこの結婚式のために作った曲を披露してくれた。また青葉の友人の奈々美、千里の夫の貴司、千里の友人の溝口さん・佐藤さん・花園さんが千里も入れて6人でバスケット・パフォーマンスを披露した。元日本代表が何人も並ぶ豪華な顔ぶれだ。
 
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さすがに動けない町添社長の代理で出席してくれた加藤部長が
 
「この様子をビデオで発売したい」
などと言っていた。
 
出席者間の交流も盛んだった。竹田宗聖さんが随分人気でサービスでオーラ鑑定などをしてあげていたし、音楽関係者同士で「今度一緒に何かやりません?」など話をしている人たちもあった。雨宮先生はナンパしようとして、お目付役?の新島鈴世さんから、蹴られたり!していた。
 

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「なんか凄い霊能者さんたちが来てない?」
などと従姪の槇原愛が私に訊く。彼女は随分青葉が「鈴蘭杏梨絵斗(すずらんあんりえっと)」名義で提供している曲を歌っている。
 
「あの黄色いドレスを着ている上品な女性は高知の山園菊枝さん。青葉の実質的な先生だよ。黒い背広を着て頭を丸めているお年寄りは瞬高さんと言って、大阪の大きなお寺の住職で、青葉や菊枝さんたちの一派《長谷川一門》を統率している大僧正さん」
と私は説明する。
 
「きゃー。なんか凄そうな人だと思った」
 
「あの可愛い花柄のワンピース着て豪華な真珠のネックレスしている子は北海道在住の海藤天津子さん。青葉が唯一認めるライバルらしい」
「へー!」
 
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「あと、竹田宗聖さん、中村晃湖さん、火喜多高胤さんは知ってるよね?」
「うん。3人ともテレビで見たことある。あんりえっと先生って、随分凄い人達と知り合いなのね」
 
「まあ青葉はその中でも恐らくトップ3のひとりだと思う」
「そんなに凄いんだ!?」
 

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「なんか披露宴に出席している人の中にMTFさんが随分居るみたいな気がする」
と桃香が言う。
 
「まあ花嫁本人に千里に和実、淳さん、あきらさん、私に春奈に、青葉の高校時代の友人のヒロミさん、雨宮先生。それに会場には入ってないけどロビーでうろうろしてる緩菜ちゃん」
 
「やはり結構いるな」
「他にもいるかも」
 
そんなことを言っていたら、千里が寄ってきて
「今この会場に緩菜以外で男の娘さんが12人、女の息子さんも3人いるよ」
などと言う。
 
「そんなにいるのか」
「まあ性別なんて一種の方便だし」
「それは新説かも」
 
そこに更に瞬高さんまでやってきて
「なんか会場に人間ではない存在が紛れ込んでない?」
などと千里を見て話しかける。
 
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「まあ数人神様が紛れ込んでますね」
「やはり!」
 
「瞬嶽師匠も見かけましたよ」
「あ、居たよね?僕の見間違いじゃなかったんだ?」
「愛弟子の結婚式だし、出席したくて出てこられたんでしょう」
「師匠も、生死を超越してるなあ」
 
「きっと弘法大師とか役行者(えんのぎょうじゃ)って、師匠より凄かったと思いますよ」
「だから超生伝説が生まれたのかもね」
「だと思います。実際に超生してたんだと思います」
 
「超生って、死んだ後も生きてるってこと?」
と桃香が訊く。
「そのやり方は、わりとみんな知ってる」
と千里が言うと
「まあ、本当にできるのかは死んでみないと分からないけどね」
と瞬高さん。
 
「死んでみなければ分からないことを、なぜ生きている君たちが知っている?」
と桃香。
 
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「塩を入れた料理はしょっぱくなるだろうと想像するようなもの」
と千里が言うと瞬高は頷いていたが、桃香は
 
「私には分からん話だ」
と、少し引いている雰囲気に答えた。
 

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