【女の子にしてあげる】(1)

目次


 
その日ボクは昼休みにクラスメイトから「分からない所教えて」と言われて教えている内にトイレに行きそびれた。5時間目が終わってから行こうと思っていたのだが、5時間目の授業が少し延びてしまい、6時間目は体育なのですぐ体操服に着替えて校庭に集合しなければならず、結局またトイレに行きそびれた。
 
6時間目の体育はソフトボールだったが、ボクは外野で、そこにはほとんどボールが飛んでこず、ひたすら立ったまま冷たい冬の風にさらされていた。それで体育が終わった時、ボクはもうおしっこに行きたくて行きたくて、たまらない状態になっていた。
 
それで授業が終わると一目散に校舎に走って行って5年生の教室がある東館3階まで駆け上り、トイレに入ろうとしたら、なんかトイレが故障したとかで、工事の人が入ってなにやらやってる。
 
「あ、ごめん。トイレ?悪いけど、6年生のトイレに行ってよ」
と工事の様子を見ていた先生が言う。
 
それでボクは階段を上がって4階の6年生のトイレに入ろうとしたのだが
「おいお前」
と6年生男子に呼び止められる。
 
「はい」
「お前、5年生だろ?6年生のトイレに来るとは生意気だぞ」
「でも5年生のトイレが工事中なんです」
「だったら4年生のトイレに行けよ」
「すみません」
 
それでボクは階段を4階から2階まで駆け下りて4年生のフロアに行き、トイレに入ろうとしたら、4年生の担任に呼び止められる。
 
「君、5年生でしょ?4年生のトイレ使わないでよ」
「でも5年生のトイレが工事中なんです。6年生のトイレ使えと言われて行ったら、6年生の人から4年生のトイレ使えと言われて」
 
「そしたら職員室のそばのトイレ使ってくれない?」
「分かりました」
 
それでボクは階段を急いで下りて、渡り廊下を歩き職員室のある西館に行く。そして1階の職員室のトイレに飛び込むと、先生が4人いる。
 
「君、ここは職員トイレだよ。生徒は生徒のトイレを使いなさい」
と言われる。
 
それでボクは5年生のトイレが工事中で6年生のトイレに行けと言われたものの6年生のトイレでは4年生の所に行けと言われ、4年生の所では職員室そばのトイレに行けと言われたという経緯を説明する。
 
「それでもここはダメだよ。玄関そばの来客用多目的トイレを使ってくれない?」
「分かりました」
 
それでボクはまたそこを出ると玄関そばの多目的トイレまで来る。
 
ところがこのトイレが使用中である。
 
ボクは「えーん。もうもたないよぉ」と思いながら必死でこらえていた。じっとしているとダメなので少し歩き回りながら何度かドアをノックする。
 
そんなことをしていた時、突然けたたましい音が鳴り響いた。
 
非常ベルであった。ボクは音に驚いて
 
「わっ」
と声を挙げたが、次の瞬間
「あぁぁぁ」
と嘆いた。
 
もう我慢の限界を越えていたダムが、今の音に驚いた拍子に決壊してしまったのである。
 
そこに体育の先生が通り掛かる。
 
「お前、何やってんの?」
「我慢の限界を超えて」
「まさか、漏らしたの?」
「すみません」
 

翌日の朝の学活で、ボクは担任の先生から言われた。
 
「君、おしっこ漏らしたんだって?」
「すみません。トイレが使えなくて、あっち行けこっち行けと言われて」
「5年生にもなって漏らすって異常だから、ちょっと保健室で見てもらってよ」
「いえ、トイレが使えたらこんな問題起きないですけど」
「いいから行ってきなさい」
 
それでボクはしぶしぶ保健室に行ってくることになる。しかも保健委員のレイカが付き添っている。こういう話で保健室に行くというのに女の子に付き添われるって、凄く恥ずかしいよぉ。
 
それで保健室に行くと、保健室の先生ともうひとり20歳くらいの女性がいる。
 
「こちらは教育実習で来ているヨウコだから。気にしないで」
と保健室の先生は言う。
 
気にしないでって、結局同級生のレイカも含めて女3人の前でおしっこの話とかしないといけない訳? もう逃げ出したい。
 
それでボクは昨日、トイレに行こうとしたら工事中で使えなくて、それであちらのトイレに行って、こちらのトイレに行ってと言われたあげく、どこでもトイレを使わせてもらえず、結果的に漏らしてしまったことを言う。
 
「それはやはり早めにトイレに行ってなかったのが悪いですね」
と先生。
 
「それはそうなんですけど、昨日はたまたま昼休み同級生に勉強のこと教えてと言われたりして、行くタイミングが無かったんですよ」
 
「以前にも漏らしたことはありませんか?」
「えっと、夏休みに遊園地行った時に、トイレが物凄い列で、なかなか進まなくて結局間に合わなかったことがありました」
 
「やはりあなたは治療が必要なようですね」
 
え〜〜!? 治療って何やるのさ?
 

「いちばん根本的な治療は、もう尿道を廃止してしまうことです」
 
廃止〜〜!?
 
「開腹手術して膀胱から尿道につながる穴を塞ぎます。そうすると一生おしっこはしなくて済むようになります」
「そしたら膀胱に貯まったおしっこはどうなるんですか?」
 
「尿分解装置を取り付けますので、全て分解して体内に還元しますから大丈夫ですよ。ただし3年に1度電池交換のための手術をしなければいけないのが面倒なのと余った水分を腸に流すので、うんこが常に液状になるのが問題点なんですけどね。ただし直腸癌とかのリスクも低下するから、医者には結構これを推奨する人多いんですよ」
 
「なんかすごーく嫌な感じなんですけど」
 
「もうひとつの選択肢は尿道短縮術をすることなんですけどね」
「それも手術なんですか?」
「そうですよ。尿道を短くすれば、それだけおしっこが我慢できなくなります」
「それ逆効果みたいな気がするんですけど」
 
「そんなことはありません。おしっこが我慢できない場合、早めにトイレに行くようになります。漏らすことへの対策は早め早めにトイレに行くことなので、尿道短縮術が、おしっこをもらす人への処置として有効であることが科学的に証明されているのですよ」
 
「本当ですか?」
「医学部の泌尿器科の教科書にも書いてありますよ」
 
「うーん」
 

「そういう訳で、あなたには尿道廃止術か、尿道短縮術のどちらか受けてもらいます」
 
「え〜?その二択なんですか?」
「どちらがいいですか?」
「廃止よりは短縮かなあ」
 
「分かりました。ではあなたには尿道短縮術を施すことにします。はい。今、予約を入れました。明日手術できるそうです。今夜は夜9時以降、食べ物も飲み物も取らないようにしてください。明日の朝もね」
 
「分かりました。でも短縮って、どのくらい短くなるんですか?」
「ちょっと測ってみましょうか。ズボンとパンツ脱いで」
「ここでですか〜?」
「そうですよ。保健委員さんに脱がせてもらう?」
「自分で脱ぎます!」
 
それでボクは周りに女が3人もいることは忘れてズボンを脱ぎ、ブリーフも脱いだ。
 
「ちょっとサイズ測りたいから、保健委員さん、ちょっとここ支えてて」
「はい」
 
うっそ〜!?
 
それで保健委員のレイカがボクのおちんちんの先を持つようにした。ひぇー。こんなの女の子に触られたくないよ!!
 
しかし保健室の先生はそのおちんちんに定規を当てて長さを測っていた。
 
「長さは10cmほどありますね。でしたらあなたの尿道は推定で15cmくらいですね」
「へー」
「膀胱からペニスの根元くらいまでの尿道の長さが4-5cmあるんですよ」
「そうなんですか?」
 
「それでこのペニスを撤去しますので、4cmくらいになります。だいたい4分の1くらいの長さになりますね」
 

「ちょっと待ってください。撤去って?」
「根元から切り取ります」
「おちんちん切っちゃうんですか〜?」
「そうですよ。それで尿道が短くなります。尿道短縮術では最低でも3分の1以下にしないと効果が無いとされています。4分の1の長さになれば効果十分ですね」
 
「おちんちん切るなんて嫌です。だいたい、おちんちん切ったら、おしっこはどこからすればいいんですか?」
「おちんちんが無ければ身体から直接おしっこは出るようになります。ヨウコちゃんちょっと見せてあげてごらん」
 
「はい、先生」
そう言うと教育実習生のヨウコさんはタライのようなものを持ってくると、スカートを脱ぎ、パンティも下げた。女の子のお股なんて、じっくり見たことないので思わず息を呑む。
 
「私の尿道口はこの中にあるんですよ」
と言ってヨウコさんはお股の所にある割れ目?を指で開くと、おしっこを始めた。ボクは初めて見る女の子のおしっこシーンに心臓がドキドキした。
 
「私、おちんちんは無いけど、おしっこするのに困ったことはないですよ」
と言ってヨウコさんはおしっこが出た付近をティッシュペーパーで拭いてゴミ箱に捨ててからパンティを穿き、またスカートを穿いた。タライを片付ける。
 

「私もおちんちん無いけど、別に問題ないですね」
と付いてきている保健委員のレイカまで言う。
 
「もしかしたら、おちんちん無くなったら、女の子になっちゃうんですか?」
「取り敢えずおちんちんが無くなると、男の子ではなくなるけど、女の子になるかどうかは、あなたのご両親と話し合って」
 
「はぁ・・・」
「選択肢は3つ」
と言って先生は写真を3つ見せてくれた。
 
「いちばん左はヌルと言って、男でも女でもない状態」
写真を見ると、何もないお股に穴が1つ空いている。
 
「真ん中は見た目だけ女の子、右側は本当の女の子」
写真はどちらも、お股に割れ目?がある。
 
「どう違うんですか?」
「真ん中はおちんちんを取って、割れ目ちゃんだけ作る。右側はちゃんと膣まで作る」
「チツって済みません、何ですか?」
 
「赤ちゃんが出てくる穴だよ」
とレイカがいう。
 
「赤ちゃん〜?」
「うん。だから、あなたもちゃんと膣まで作ったら赤ちゃん産めるようになるからね」
「ボクが赤ちゃん産むんですか?」
 
ボクは自分が赤ちゃんにおっぱいあげている所を想像した。うっそー。ボクってお母さんになるの??
 
「あのお、赤ちゃん産んだらおっぱいあげたりするんですか?」
「うん。女の子になれば赤ちゃん産む前におっぱいが大きくなりだすよ。中学生くらいになればね」
 
ボクは真っ赤になった。ボクにおっぱい??
 
「とにかく、このどれを選ぶかは両親と話し合ってください」
 

「でも、どうしてもおちんちん切らないといけないんですか?」
とボクは再度訊いた。
 
「ちょっと性能試験してみましょうか?」
「性能ですか?」
 
「ちょっとまたズボンとパンツ脱いで、そこのベッドに横になって」
「はい」
 
それでボクは女3人が見ている中、ズボンを脱ぎブリーフを脱ぎ、ベッドに横たわる。
 
「膝を立てて」
「はい」
「うん。そんな感じ。これどのくらいの感度があるかもヨウコちゃん、ちょっと試してみて」
 
「はい、先生」
 
するとヨウコはボクのそれを握ると勢いよく揉み始めた。いたたた!そんなに乱暴に扱われたら痛いよぉ!!
 
「先生、全然大きくなりません」
「なるほど。ねえ、君、ふだんオナニーとかする?」
「オナニーって何ですか?」
「えーっと、これを揉んだりこすったりして大きくして気持ちよくなって液が出るとかするの。したことない?」
 
ボクは首を振った。
 
「じゃ、やはりこれ無くてもいいわね」
 
「え〜?」
「精子の生産が始まっている男性器の撤去は手続きが面倒なんだけど、まだ男性としての機能がまだできあがっていない12cm未満の男性器は親の同意があるか3日以上前に事前通告しておけばいつでも除去してよいことになっているのよね」
 
「そうなんですか〜?」
 
「じゃ書類を作って教室に持って行きますから、いったん教室に戻っていてください」
と保健室の先生は言った。
 

それでボクはまたブリーフとズボンを穿き、保健委員のレイカに伴われて教室に戻った。
 
「どうだった?」
と先生から聞かれる。
 
「治療が必要だと言われました。あとで書類を持ってくるそうです」
「うん。じゃ席について。レイカ君もごくろう」
 
それで授業を最後まで受け、ちょうど授業が終わった所に、ヨウコさんが書類を持って来て、担任の先生に渡した。
 
先生は書類を見る。
「ああ、ユウキ、ちんちんを切ることになったんだ?」
と先生が言うと、教室がどよめく。
 
「なんか切れと言われました」
とボクは答える。
 
「じゃ、この手紙をお母さんに渡して明日持ってくること」
「はい」
 
するとクラスの中から声が上がる。
 
「わあ、おちんちん切って女の子になるの?」
「女の子になるかどうかは親と話して決めてと言われた」
「せっかくだから、女の子にしてもらえばいいじゃん」
「学校で切ってくれるなんて、よかったじゃん」
「おちんちん、いらないよねー」
「あれ自分で病院に行って切ってもらうと高いらしいよね」
「うん。学校で切ってもらえばタダだもんね」
 
「ハルミちゃんは去年切ってもらったんでしょ?」
「うん。私はあまり体力無いのよね。駆けっこもいつもビリだったし。それでこのままなら3級男にしかなれないから、いっそ女の子になった方がいいと夏休み前に言われて。夏休み始まると同時に病院に連れて行かれて、手術されちゃったんだよ。最初はショックで泣いてたけど、もうだいぶ女の子生活になれた」
 
ハルミちゃんは凄く可愛い女の子だ。彼女が去年まで男の子だったなんて全然知らなかった。
 
「ああ、男子はたいへんだよねー」
「うん。高校卒業した所で検査受けさせられて、1級男か2級男にならないと結婚はできないからね」
「3級男だと、仕事も給料の安い所しかないし」
「女子だと、そんな試験も無いから、結婚さえすればのんびりと暮らせるもん」
「基本的に女子の方が人口少ないから、女子はどんなできの悪い子でもほぼ確実に結婚できるからね」
 
「ユウキも結構男としてはやばかったと思うよ」
「そうそう。ユウキも2級か3級かぎりぎりくらいの線だと思うもん」
 
そういえばボク、あんたそんなだったら3級男だよって随分お母ちゃんから言われてるよなあとボクは思った。
 

それでボクは家に帰ると、お母ちゃんに
「学校でおちんちん切れって言われた」
と言って学校からの書類を見せた。
 
「あら」
と言ってお母ちゃんはその書類を開けると読み上げた。
 
「尿道の短縮をするため、明日、ユウキ君のおちんちんを切りますので、当日は次の物を用意してきてください。
 
・カミソリ まだ陰部の発毛がない場合は不要です
・女児用パンティ おちんちんを切ったあとは男児用のパンツは穿けなくなります。
・スカート おちんちんを切ったら女児の服装規定になるのでスカートで下校する必要があります。
・タマ入れ 睾丸を持ち帰る場合は必要です。
 
あんたおちんちんの付近に毛は生えてたっけ?」
 
「生えてないよ」
「じゃカミソリは不要ね。睾丸も別に持ち帰る必要はないからタマ入れも不要だし。じゃ女の子用パンティとスカートだけ用意すればいいわね」
 
「やっぱりおちんちん切らないといけないの〜?」
 
「お父ちゃんとも話し合ってたんだよ。ユウキは男になるのは無理そうだから、女の子にしてあげたほうがいいんじゃないかって。だからそろそろおちんちん切ってあげないと、と言ってたのよ。学校で切ってもらえるなら良かったわね」
 
「切った後どういう形にするか決めてと言われたんだけど」
「そりゃ当然本当の女の子にしてもらわなくちゃ」
と言ってお母ちゃんは、
 
《ヌル・股間整形のみ・女性器形成》
 
という選択肢の中のいちばん右側「女性器形成」のところに丸を付けた。
 
「あんたは臓器ストックにちゃんと膣と子宮と卵巣のセットがあるから、そのID番号を書いておくね」
 
そう言ってお母ちゃんは番号を記入するのと同時に書類に書いてあったURLにアクセスしてID番号を登録しているようである。
 
「ふーん。それって女の子の臓器なの?」
「そうだよ。臓器ストックにはあんたの心臓とか肝臓とか腎臓とかもちゃんと予備が作ってあるんだよ」
「へー」
「おちんちんや睾丸の予備は作ってなかったんだけどね」
「なんで!?」
「睾丸なんて無くなっても困らないだろうし。必要になったら1年待てば作れるし」
 
「うーん。でもボク女の子のお股ってよく分からないや」
「お母ちゃんのを見せてあげるね」
 
それでお母ちゃんはスカートとパンティを脱ぐと、割れ目ちゃんを広げ、中を指さしながら、
 
「これが大陰唇、これが小陰唇、ここにクリトリスがあって、おしっこはその少し下、ここから出てくる。これが膣で赤ちゃんが出てくる所。あんたもここから出てきたんだよ」
 
と説明した。
 
「ボク、こんな所から出てきたの?」
「出てきた時は小さかったからね。でもこの穴はすごく大きく広がるんだよ」
「へー!」
 
「あんたも本当の女の子になったら赤ちゃん産めるからね」
 
ボクはドキドキした。
 
「赤ちゃん産む時って痛くない?」
「痛いけど、赤ちゃん産まれた時は凄く嬉しいよ」
「ボクに産めるのかなあ」
「あんただったら大丈夫だよ」
 

それでお母ちゃんは、女の子パンティとスカートを買わなきゃと言ってボクを町に連れ出した。
 
そしてスーパーに行ってボクを女の子の下着コーナーに連れて行く。ブラジャーとか可愛い色のパンティとかが並んでいて、ボクはドキドキした。
 
「この子に合う、下着を買いたいんですけど」
とお母ちゃんが言うと店員さんは
「あら、でもこの子、男の子ですよね?」
と言う。
 
女の子はふつうスカートを穿いている。ズボンを穿いているのはふつう男の子だ。
 
「ええ。でも明日手術を受けて女の子になるんですよ」
「あら、ほんと。良かったわねぇ!あなた顔は可愛いから、きっと素敵な女の子になって、いいお嫁さんになれるわよ」
 
そんなことを言われて、ボクはかぁっと顔が真っ赤になってしまった。
 
身体のサイズを測られて、あなたは140サイズでいいみたいねと言われた。身長は148cmあるのだけど、身体が細いからと言われた。
 
それで「この中から取り敢えず10枚選んで」と言われたものの、女の子パンティなんて触ったことも無かったから、かなりドキドキした。
 
イチゴ模様のを2枚、ピンクの水玉模様のを2枚、赤のチェックのを2枚、オレンジのボーダーのを2枚、そしてお尻の側に猫のキャラクターが付いているのを2枚選んだ。
 
最初無地のを選ぼうとしたら「せっかく女の子になるんだから、もっと可愛いのを穿かなくちゃ」と言われた。
 
「これまでは男の子だったから、可愛い服とか着せられなかったんですよね〜。女の子になってくれたら、色々着せられて親としても嬉しいですよ」
などとお母ちゃんは言っていた。
 
また、今はまだ全然胸が無いから不要といえば不要だけど、少し慣れるのにつけるようにしようと言われて、ジュニアブラジャーも買った。こんなのボクがつけるの〜?と思うとドキドキした。
 

そのあと、上の階の下着以外のふつうの服を売っている所に行く。
 
「まずスカートを選びましょう」
と言われる。やはり店員さんに明日手術して女の子になるんですよと言うと
 
「おめでとう!うちの息子もそろそろおちんちん取ってあげなくちゃと思ってるんですよ」
などと店員さんは言う。
 
「あら、女の子にしてあげるんですか?」
「いやぁねぇ、そんなものぶら下げて。かっこわるーい。取っちゃいなさいよ。おまたがすっきりして動きやすくなるわよ、と唆しているんですけどね。だいぶその気になってきているから『おちんちん取ってもいいよ』と本人が言うまであと少しかな」
などと店員さん。
 
ボクはまだおちんちん取ってもいいって言ってないのに!
 
それでウェストのサイズを測ってくれて、やはり140サイズでいいですねと言われた。
 
「このウェストなら130でも入りますけど、子供って成長が速いから140でいいと思いますよ」
「特に女の子はこの時期、成長が速いですよね?」
「そうなんですよ。男の子は高校に入ってからでも身長が伸びる子もいるけど女の子はだいたい中学に入る頃までには成長が止まるんですよね〜。だから今の時期って女の子は駆け込み的に身体が発達するんです」
 
それでまた自分で選べと言われて、赤と黒のチェックのスカート、緑と黄色のチェックのスカート、花柄のスカート、薄くて白い布が上にかぶさって二重になっているスカート、そして途中にいくつも継ぎ目があって、まるでバラの花のような感じのスカートを選んだ。
 
丈はみんな膝より少し下くらいまであるのにしてもらった。
 
「男の子から女の子になってすぐは、やはり短いスカートは恥ずかしがる子が多いんですよ。まずはこのくらいの丈で慣れてから、もっと短いスカートも穿くといいですよ」
などと店員さんは言っていた。
 

そのあと、上着も見る。
 
「上着って男の子も女の子も同じじゃないの?」
とボクが訊くと
 
「ボタンの付き方が違うのよ」
と言って1枚手に取って見せてくれた。
 
「これが女の子の服のボタン」
「あれ?右側が上になってる」
「そうそう。男の子の服は右前、女の子の服は左前だから」
「へー」
 
「ボタンを停めたり外したりするのに左右の手の使い方が逆になるから今日はこれ帰ってから練習しよう」
「うん」
 
それでこれもまた可愛い感じの服を5着買った。
 

おうちに帰ると、取り敢えず着てみようと言われ、着ていた男物の服をパンツまで全部脱ぎ、女の子のパンティから穿かされる。
 
「なんかすごく変な気分」
とボクは言った。
 
「すぐ慣れるわよ」
「ちんちんの形がそのまま出てる」
「明日にはそれ無くなるから、すっきりした形になるから」
 
やっぱりおちんちん取られちゃうの〜? いやだなあ。でも女の子パンティに盛り上がりがあるのもすごく変な感じがする。
 
そのあとブラジャーを着けさせられるが、ホックを締め切れない!
 
「ブラジャーのホックはね、留め金の所を各々指でしっかり持って。そうそう。それで後ろに手を回して指と指がくっつくようにすればいいんだよ」
 
「あ、できた」
「OKOK。毎日練習しようね」
「うん」
 
その後、女の子シャツを着るが、これはデザインが少し違うだけで男の子シャツと着る要領は同じだ。でもレースがたっぷり付いているのを見ると、また変な気分になった。
 
そしてスカートを穿く。
 
「これ、どちらが前?」
「スカートって実は女の子でもどちらが前か迷うもの多いんだよねー。でもこれはファスナーが左側だと思う」
 
「ふーん」
 
それでボクはファスナーの部分が左側になるようにしてスカートを穿き、お母ちゃんに言われてまずホックを留めてからファスナーをあげた。
 
「歩ける?」
「それって難しいの?」
「歩いてみてごらん」
 
それでボクは歩こうとしたのだが、いきなり倒れた。足がスカートにぶつかるのである。
 
「やはりね」
「足がスカートにぶつかっちゃった。もっと小幅で歩かないといけないのかな?」
「女の子はね、膝より下だけを使って歩くようにするんだよ」
「へー!」
 
それでボクは膝から下だけを動かすようにして歩いてみた。
 
歩ける!
 
「へー。女の子ってこうやって歩くのか」
「これも練習しようね」
「うん」
 
それで最後に上着を着るのだけど、ボタンが留められない!
 
「これボタンが小さくて、うまく穴に通せないよぉ」
「うん。男の子の服のボタンって大きいからね。でもそれは慣れるしかないよ。頑張って」
「うん」
 
それでかなり頑張ってボタンを留めた。たった3つ留めるのに10分近くかかった気がした。
 

「さて、お洋服を着たら、トイレに行く練習しようか」
「トイレって難しいの?」
「うんこする時の要領は男の子も女の子も同じだよ。でも女の子は座っておしっこしないといけないから。お母ちゃんと一緒にトイレ行こう」
 
それでトイレに行く。パンティは下げないといけないんだろうなと思い、それを下げて便器に座ろうとするが
 
「スカートの後ろ側に座ってはいけない」
と注意される。
 
「あ、そうか。それだとスカートの後ろにおしっこかかっちゃうよね」
「そうそう」
 
それでスカートの裾をいったんめくりあげるようにしてから座り、お母ちゃんに言われて前の方だけは少し戻した。
 
「あれ〜?どうやっておしっこすればいいんだろう?」
「うんこする時と似てるけど、後ろは出ないように筋肉を引き締めて。前の方の筋肉だけ緩めて」
 
と言われるので、そんな感じにしてみると、何とか出てくれた。
 
「出た出た。こんな感覚、初めて」
「うん。でも明日からはこういうおしっこのしかたしかできなくなるからね」
「うん」
 
と答えながらも、やはりボクのおちんちん切るの確定なの〜?などと思う。
 

その後、今度は女の子はお料理を覚えなきゃと言われる。
 
それで買物に行くことになるが、女の子の服のままで行こうと言われた。
 
「え〜?この格好で出かけるの?」
「だってあんた明日手術が終わった後は、ずっとそういう格好になるんだから」
 
それでお母ちゃんに連れられてスカートを穿いたまま出かけるが、恥ずかしい!
 
恥ずかしいからつい膝から下だけで歩くというのを忘れて転びそうになった。バス停まで行くが、近所のおばちゃんから
 
「あら、ユウキ君、なんで女の子みたいな格好してるの?」
などと言われる。
 
「この子、明日女の子になることになったんですよ。それで今日は練習なんです」
とお母ちゃんが言う。
 
「あら、あなたは可愛いから早く女の子になればいいのにと思ってたよ」
とおばちゃんは言う。
 
「そうですね。小学校にあがるくらいの頃に手術してても良かったかも」
 
「うんうん。あんた可愛い女の子になりそうだもん。うちのカズにも言ってるんですけどね。あんた来年高校生になるというのに、まだおちんちん付けてるなんて信じられない。そんな子いないわよ。ふつう、おちんちんなんて、小学校の3−4年で取っちゃうでしょう。おちんちんが付いてたら、身体検査の時にパンティーが変に膨らんでいて恥ずかしいじゃん。早く取っちゃおうよ、といつも言ってるんですよ」
 
「あら、そちらのカズちゃんはまだ女の子になってないんですか?」
「そうなんですよ。ボクはおちんちん無くしたくないとか言って抵抗してるから、そのうち、眠り薬飲ませて、寝ている間に病院に運び込んで手術しちゃおうかともうちの父ちゃんとは話しているんですけどね。ルイもミカも小学4年生でおちんちん取って女の子になったのに、あの子だけいまだにおちんちんつけてるんですよねー」
 
「ルイちゃんは何かのついでに手術したんでしたよね?」
「そうそう。あの子、小学4年生の時に盲腸の手術したから、盲腸を取るついでにおちんちんも取ってもらったんですよ。本人は目が覚めたらお腹だけじゃなくてお股にも包帯が巻いてあって、それでおちんちんが無くなってるからびっくりしてましたけどね」
 
「そういうのもいいですよね。何度も手術受けるとその度に痛いし」
「ですです。小学4−5年生で何かの手術を受ける男の子はその時ついでにおちんちんも除去して女の子にしてもらうケース多いらしいですよ」
 
わあ、おちんちん切る手術ってやはり痛いのかなあ、とボクは憂鬱な気分になった。
 
「ミカちゃんは自分で言い出したんでしょ?」
「そうそう。『ボク女の子になりたい。お母ちゃんお願い、手術受けさせて。おちんちん邪魔だから、取っちゃいたいの』と小学3年生の3学期に言ったんですよ」
「へー」
 
「4年生の夏休みに友だちと一緒に温泉に行こうと約束したらしいんですよ。それで自分だけ男湯には入りたくないから、女湯に入れるようにおちんちん取りたかったみたい」
「なるほどー。おちんちん付いてたら女湯に入る時に不便ですよね」
 
「ほんとにおちんちん要らないの?と訊くと『うん』と言うから、それならもう手術して取っちゃおう。代わりに割れ目ちゃんとヴァギナを作って女の子の身体にしてあげるね、と言ったら嬉しそうに『うん、お母ちゃんお願い』と言うから春休みに病院に連れて行って、おちんちん取って女の子にしてあげたんですよ。だからあの子は4年生の1学期から女の子として学校に行くようになったんです」
 
「そうやって自分で言い出してくれる子は楽で良いですね」
「ほんとですねー」
 

やがてバスが来る。乗る時は整理券を取らなければならない。ボクはいつものように青い整理券を取ろうとしたら「違う」とお母ちゃんから言われる。
 
「あんたは女の子なんだから、赤い整理券」
と言う。
「えー?それ明日からでは?」
「今は女の子練習中だから赤でいいのよ」
 
それでボクは赤い整理券を1枚取った。
 
男の子と女の子で別に料金が変わる訳ではないのだが、乗客の統計のために男女で整理券の色が別れているのである。
 
「明日からは間違えずに赤を取るんだよ」
「うん。でも学校に行く時は?」
「学校に行く時は男の子の格好で行くから青を取る。でも帰りは女の子の格好で帰るから赤を取る」
 
「分かった」
 

それでスーパーに行ってお母ちゃんと一緒に買い物をしたが、御飯作りなんてしたことがなかったので、どんな材料を使うのかも分からず初めて見た丸ごとの大根に
 
「えー?こんなのがおでんに入ってるの?」
などと言って、若干お母ちゃんから呆れられていたようだった。
 
「あんたはもっと小さい頃から買物とかにも連れてきて、料理とかも教えておけば良かったね」
などと言われた。
 
それで家に帰ってから、お米を研ぐのをやらされ、大根とかお肉とかを切るのもやらされたが、最初は包丁を使うのが怖い感じだった。
 
「毎日やらせるから少しずつ覚えていこうね」
「うん」
 
長いウィンナーを切っている時、なんか変な気分になる。
 
「どうかしたの?」
「うん。おちんちん切るのも、こんな感じで切るのかなあとか思っちゃって」
「まあ肉を切るという意味では同じようなものかもね」
「わあ」
 
「たまに病院に行かずに自分でおちんちん包丁で切っちゃう人もいるらしいよ」
「え〜?痛そう」
「すぐ病院に駆け込まないと命に関わるよ」
「だよね?」
 
「でも小学生の内はおちんちん切るのは親が同意すればいつでもできるけど、親が同意してくれない場合とか、中学生以上になってしまった場合は手続きが大変だし、裁判所の許可を得てから手術しないといけないから絶望してそんなことしちゃう人もいるみたい。自分で切っちゃえばその後は病院で女の子の形にしてくれるからね。本当の女になるにはあらためて許可を取る必要があるけど」
 
「きゃー」
「まああんたも小学生のうちにおちんちんを切ることができて良かったと思うよ」
 

しかし初めての夕飯作りは結構楽しかった。ああ、こんなに楽しいなら女の子になっちゃってもいいかなとボクは初めてちらりと思った。
 
やがてお父ちゃんが帰ってくる。
 
「なんでユウキ、女の子みたいな格好してるの?」
とお父ちゃんが訊く。
 
「この子、明日おちんちんを切ることになったんですよ。これ学校からもらった書類」
と言ってお母ちゃんが書類をお父ちゃんに見せる。
 
「へー。まあいいんじゃないの? むしろお前、ちゃんと男になれるか俺は不安だったぞ」
などとお父ちゃんは言う。
 
「腕とかも細いし、運動は苦手みたいだし、ちんこは小さいし」
などとお父ちゃん。
 
「ああ、やはり小さい?」
「うん。このくらいの男の子なら、ちんこは14-15cmは無いといけない。でもこいつのはまだ8-9cmくらいしか無いんだよ」
 
「あら随分小さかったのね。私、ちんちんのサイズなんて分からないから」
 

それでお父ちゃんは学校からもらった書類のいちばん下の
 
「ユウキの陰茎を切断し尿道を短縮する手術をすることに同意します」
 
という文章の下に署名と捺印をした。これでボクのおちんちんは本当に明日切られてしまうことになった。えーん。お父ちゃんが反対してくれることにちょっとだけ期待していたのにとボクは思った。
 
おちんちん切られるの、やっぱり嫌だよぉ。
 
ボクはちょっと泣きたい気分だった。
 
「じゃお父ちゃんと一緒にお風呂に入れるの最後になるから一緒に入ろう」
とお父ちゃんから言われて、ボクはお風呂に入った。
「明日からはお母ちゃんと一緒に入れよ」
「うん」
 
「へー。もう女の子の下着とかつけてるのか」
「練習だって言われて。なんか変な気分」
 
パンティにおちんちんの盛り上がりがあるのを見て、お父ちゃんが触る。
 
「まあ女の子パンティにおちんちんの形があるのは変だよな。まあスパっとちんこ切られて来い」
とお父ちゃん。
 
「やっぱり切らないとダメ?」
「切りたくないの?」
「できたら切られたくない」
「うーん。そうだなあ」
とお父ちゃんは考えている。とりあえず2人で一緒に浴室に入る。
 
お父ちゃんのおちんちんは凄く大きい。
 
「これが男のちんちんだぞ。お前のちんちんは小さいだろ?」
とお父ちゃんは言う。
 
「どうしたらそんなに大きくなるの?」
「毎日オナニーしてれば大きくなる」
「そのオナニーってよく分からない」
「まあ今から男のオナニーを覚える必要はない。明日女になったら女のオナニーを覚えればいい」

「やっぱり女の子にならなきゃダメ?」
 
お父ちゃんは少し考えているようだった。そしていきなりボクのおちんちんを握ると、それをゆっくり動かし始めた。
 
え?何この感覚?
 
「こういうのしたこと無かった?」
「うん」
「どのくらいまで行くかな?」
 
ボクのおちんちんはかなり大きくなっていた。こんなに大きくなったの初めて見た。そしてなんだか凄く気持ちいい。そしてやがて何かが身体から出てくる感覚があった。
 
「わ、おしっこ漏らしちゃった」
「それはおしっこではないんだよ。精液だよ」
「せいえき?」
「それを女の身体の中で出せば赤ちゃんができるぞ」
「ボクお母さんになるの?」
「違う。お父さんになるのさ」
「え?お父さんになれるの?」
「精液が出るというのは、お前が実は男としての機能を持っているという印だなでも惜しかったな。1年くらい前からこういうのしてたら、もっとおちんちんが発達してて、女になれと言われなかったろうけど」
 
「今からじゃだめ?」
「もう遅い。長さが12cm以上あるおちんちんは切るのに裁判所の許可がいるんだけど、お前のはこれどう見ても10cm無いから学校が切って下さいと言ったら、たとえ親が許可しなくても学校の判断で切っていいんだよ。お前も今1度だけ男になれたのを土産に、明日ちゃんと女の子になる手術受けてこい」
 
「やはり手術受けるの?」
 
「まあお前は性格的にも女のほうがいい気もしてたぞ」
とお父ちゃんは言った。
 
「そうかなあ」
「それに実は俺も女の子が欲しかったんだよね」
「お母ちゃんも言ってた!」
「だから生まれたての時に、こっそり性転換しちゃう?なんて話もしたんだけど10年後になってしまったな」
「まだ気持ちの整理がつかないよぉ」
「まあ寝て起きたら、あきらめが付くだろう」
「ボクが抵抗して暴れたりしても切られちゃうよね?」
「そういうみっともないことはやめろ。男なら潔く手術受けろ」
「男じゃなくなっちゃうんだけど!?」
 

その晩は、また女の子パンティにジュニアブラ、女の子シャツを着た上で女の子パジャマを着せられた。男の子パジャマと似ているけど、上着のボタンが逆についているし、ズボンにおちんちんを出す穴が無い。
 
「ズボンとパンティを下げて、座っておしっこしてね」
「うん」
 
それで朝目がさめた時、ボクはその女の子パジャマのズボンがまるでテントのような形になっているのを見た。なんで?と思ったらおちんちんが凄く大きくなっていて堅くなっていた。
 
きゃー。こんなの初めて。
 
でも最後なんだよなあと思うと、ちょっと寂しい気分になる。このおちんちんは明日の朝にはもう無くなっている。
 
それで女の子下着を脱いで、最後の男の子下着を着けた。それから男の子上着を来て、ズボンを穿く。女の子パンティとスカート、女の子シャツと女の子上着も一緒にたたんで布のバッグに入れた。
 
おちんちんを切る手術の同意書をランドセルに入れてボクはいつものように
 
「行ってきます」
と言って家を出ようとする。その時、お父ちゃんが玄関まで来てボクのズボンのファスナーを下げて中に手を突っ込み、ボクのおちんちんを握った。
 
「じゃ俺の息子さようなら。帰ってきた時は俺の娘だな」
「うん」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
 

学校に行き、朝礼の時に書類を先生に渡した。
 
「ふむふむ。手術は女性器形成まですると。ああ、ちゃんと臓器ストックがあったんだ?」
「お母ちゃんがそのURLに登録してました」
「用意がいいね。で、睾丸は持ち帰らなくていいんだね?」
「はい。捨ててくださいとお母ちゃんが言ってました」
「君はまだあそこの毛は生えてないのね」
「はいそうです」
 
「じゃこの書類と女の子パンティ・スカートを持って保健室に行って」
「はい」
 
それでボクは女の子の服を入れたバッグを持ち、保健委員のレイカに付き添われて保健室に行った。
 
「手術怖い?」
とレイカが訊く。
「それよりボクほんとうはおちんちん切られたくない」
とボクは言う。
「まあそれは今更だね。潔く女の子になりなよ」
「まだ潔い気持ちになれない」
 
レイカは微笑んでいた。ああ、女の子の優しい微笑みっていいよなとボクは少しだけ女の子に憧れる気持ちになった。
 

書類を保健室の先生に出すと
 
「昨夜9時以降は食べ物も飲み物も飲んでない?」
と再確認される。
 
「飲食していません」
「じゃ今からすぐ手術です。裸になってそこのベッドに寝て下さい」
 
ベッドには何やら防水シートのようなものが掛けられている。ボクは男の子上着を脱ぎ、ズボンを脱ぎ、男の子シャツを脱ぎ、最後にブリーフを脱いだ。もうボクは2度とこの服は着られないんだと思うと少し寂しくなった。
 
言われた通り、ベッドの上に横になる。足を曲げて広げてと言われるのでそうする。おちんちんとタマタマが無防備にさらされる。
 
「手を握っておいてあげる」
とレイカが言ってボクの左手を握ってくれた。
 
「ありがとう」
と言って微笑む。
 
やがて手術着をつけた校医の先生が入って来た。同様に手術着を着た看護婦さんも3人いる。
 
「では今からおちんちんを切って尿道を短縮し、あわせて君を女の子にする手術を始めます。臓器ストックから君の万能細胞から作った女性器も既に到着していますので、これを体内に埋め込みます」
と校医さんは言う。
 
「あのぉ、ボクがおちんちん切られるの嫌だと言ってもダメなんですよね?」
とボクはダメモトで言ってみた。
 
「君のおちんちんを切って尿道を短縮するのは学校生活上の処置として既に決定しています。君のおちんちんは長さが10cm以下なので自由に切っていいことになっています。更に君の親権者がおちんちんの切除に同意しています。悪いけど、君自身が嫌だと言っても、手術は行います。君が抵抗する場合は拘束具で固定してから手術するけど」
 
「分かりました。手術してください」
とボクは力無く言った。
 
「大丈夫だよ。ユウキはちゃんと女の子としてやっていけるよ」
とレイカが勇気づけるように言う。
「ありがとう」
とボクはレイカに微笑んで礼を言った。
 
「じゃ麻酔を打つね」
と校医が言って注射をされた。
 
「手術は簡単なものだから30分もあれば終わるから」
「はい」
 

麻酔されていたので全然痛くは無かった。手術の進行を見ててもいいよと言われたものの怖かったので見ないことにした。レイカがずっと心配そうに手を握っていたくれたのが、凄く心強かった。
 
「はい、終わったよ」
とやがて校医の先生が言う。
 
「君のおちんちんはきれいに除去した。尿道は推定で4cmくらいになっている。おしっこがかなり近くなるから、早め早めにトイレに行くようにね」
「はい」
 
そういえば、それが目的だった! おちんちん切られるというのが重大すぎてそのことは忘れてた!!
 
「睾丸も撤去したからヒゲが生えたり声変わりしたりすることもないから。お股の形はもう女の子の形になっているし、大陰唇・小陰唇ちゃんとあるし、陰核の少し下に新しい尿道口がてぎている。膣・子宮・卵巣もあるから結婚もできるよ。性転換証明書を書くからそれを役場に出せば戸籍上の性別も女の子に変わるからね。早ければ1年くらいで生理も始まるから」
 
とお医者さん。
 
「生理って?」
とボクが訊くと
「あとで私が教えてあげるよ」
とレイカが言った。
 
「これでもうあなたは立派な女の子ね。きっと可愛いお嫁さんになれるわ」
と保健室の先生も言った。
 

お股の所に包帯が巻かれているものの、明日には取ってもいいということだった。おしっこは今日だけ導尿しますと言われて、何かパイプのようなものがお股の所から出ていて、ビニール製のバッグにつながっていた。お風呂は3日後から入っていいということだった。
 
「そのカテーテル外すのは私でできるから明日また保健室に来てね」
と保健室の先生が言う。
 
「分かりました」
 

それでボクは包帯が巻かれたお股の上にイチゴ模様の女の子パンティを穿き、女の子シャツを着て、緑と黄色のチェックのスカートを穿き、女の子上着を着た。
 
そしてまたレイカに付き添われて教室に戻る。学校に登校してきたのが8時すぎ。保健室に来たのが8:30くらいだと思うので手術が始まったのが9時前だろうか。今まだ10時前だ。ほんとにあっけなく手術は終わっちゃったなとボクは思った。
 
でもボクのお股にはもうおちんちんは無いのか・・・・と思うと凄く寂しい気分になった。
 
「スカートでちゃんと歩けるね」
「昨日だいぶ練習させられた」
「帰る時はバスの整理券、赤を取らないといけないからね」
「それも昨日練習させられた」
「今日はまだ導尿されてるけど、明日からは女の子式のおしっこ頑張ってね」
「座っておしっこする練習は随分させられた。おちんちんが無くなったのでどのくらい感覚が変わるのかは未知数だけど」
 
「でも私見ちゃった」
とレイカは言った。
 
「何を?」
「ユウキのおちんちんとタマタマが切られて、女の子の形に改造されていく所」
「よくそういうの見ても平気だね?」
「私血を見るのは割と平気なんだよねー」
「ボクそれ全然ダメ」
 
「私お医者さんになろうかなあ」
「ふーん」
「お医者さんになって、男の子のおちんちんを切る手術をするの。なんだか楽しそうだもん」
「楽しいの?」
「工作でもしているみたい。なるほどー。こうやって女の子の形を作るのかって見ていて感心したよ。最初にこういう手術考えた人は天才だね」
「ふーん」
「でも間違いなくユウキが女の子になったことを私は見届けたからね」
「まあ先生も証明書書いてくれたけどね」
 
「これからは私たち女の子の仲間だから、もっとたくさんおしゃべりしようね」
「うん。それはこちらもよろしく。もう男の子とはあまり話せなくなるだろうし」
「どうしても男の子と女の子の間には壁があるからね。でもユウキはその壁を越えてこちらに来ちゃったから」
 
「来たくなかったんだけどねー。おちんちんも無くしたくなかったし」
「まあ無くなっちゃったものは仕方ないよ」
「だよねー。仕方ないから頑張って女の子として生きてくよ」
「うん。頑張ってね。でもユウキは以前から女の子向きだと思ってたよ」
 
「なんかみんなにそれ言われる」
 
「これまでも実はスカートとか穿いてたんでしょ?」
「昨日初めて穿かされたんだけど」
「それはちょっと信じられないなあ。だってみんなあの子きっと時々スカート穿いてるよね、と女の子同士で噂してたよ」
 
「なぜそう思われたんだろ?」
「でも女の子の世界にようこそ、だね」
「うん。まだ女の子になりたてだけど、よろしくお願いします」
 
 
目次

【女の子にしてあげる】(1)