【夏の日の想い出・用語辞典】(1)

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●ABC譜 譜面をアルファベット・数字、若干の記号で書き表すもの。例えば「ほたるの光」の冒頭部分は「C2|F3FF2A2|G3FG2A2|F3FA2c2|d6」のように書かれる。アルファベットが音名、数字が長さを表している。ABC譜で書いた譜面は「ABC Explorer」というフリーウェアでMIDIデータや五線譜に変換することができる。
 
 
ABC譜は五線譜を使わなくてもメロディーの記録ができるのと、似た曲を検索するのにひじょうにパワフルであることから、一部に愛好者がいる。英語圏では譜面のABCデータベース化がかなり進んでいるようである。「天使に逢えたら」
のメロディーは前日バスの中でモチーフを簡易五線紙に記録したものをもとに別府の旅館でABC譜により書き上げられた。
 
 
●AOR (Adult oriented Rock) 「おとな向けのロック」ということで、落ち着いた雰囲気の、無理しない正確な音程・高い演奏力と歌唱力・音割れを起こさない抑えた音量で、演奏するロックを言う。TOTOやChicagoなどはその代表的存在。日本ではアルフィー・大貫妙子・スターダストレビューなどがこの傾向だが、サーカス・松任谷由実・ハイ・ファイ・セットなども、これに近い傾向にある。JFMの人気番組ユキ・ラインハートの「AOR」は Adult oriented Radio を称しているが、実際に掛かる曲には結構 Adult oriented Rockも多い。ローズクォーツも、ケイという歌唱力のあるボーカルを持ち演奏も正確で落ち着いていて実はAORである。なお、「アダルト」といってもHな意味ではない。
 
 
●A&R (Artist and Repertoire) レコード会社のアーティスト担当者。その業務内容は、アーティスト側に音源制作のスタッフがいる場合は宣伝などに限定されるが、いない場合は音源制作の指揮までおこなう。またアーティストの発掘・育成なども業務のひとつである。音源制作の現場でディレクター役を務める場合もある。
 
 
●GID (Gender Identity Disorder) 性同一性障害。自分の性自認が、出生時の性と異なること。SRSを受けるにはGIDであるという診断書が2枚必要である。
 
 
●MTF (Male To Female) 出生時の肉体的性別は男性だったが性自認は女性であること。
 
 
●MTX (Male To X) 出生時の肉体的性別は男性だったが、性自認が自分で「男性」と言い切れないこと。
 
 
●PA (Public Association) いわゆる「ミキサー」。ステージ上に設置したマイクで拾った音を調整の上、スピーカーに流す仕事。どの音をどういう比率でどのスピーカーに流すかを「PA卓」を使用して操作する。
 
 
●R&B (Rhythm and Blues) 1940年代にジャズなどをベースに生まれた音楽のジャンルで、スイング感のあるリズムに乗せてパワフルに歌う感覚の音楽。
日本のR&BとアメリカのR&Bは若干傾向が違い、アダルトな雰囲気のあるポップス系の曲を称してR&Bと言っている感じもある。宇多田ヒカル・MISIA・久保田利伸などは、その代表的なアーティストである。
 
 
●SRS (Sex Reassignment Surgery) いわゆる性転換手術。睾丸とペニスを撤去し膣を作る手術。日本国内でこれを受けようとすると順番待ちが凄まじいので、多くの人がタイで手術を受けており、その仲介と付き添いをしてくれるコーディネイト会社も複数できている。
 
 
●印税 (Royalty) CDの売上、放送局・有線放送・カラオケなどでの演奏、着メロのダウンロード、他のアーティストによるカバー演奏などに応じてもらえるマージン。
マリとケイがもらえる印税は、歌唱印税と作詞作曲家印税に分けられるが、前者はカラオケ・着メロ・他の人のカバーの場合は対象外になる。マリとケイは印税の中で本来事務所取り分になる分までかなりもらっている。
 
 
●イベンター コンサートやイベントなどの現場の運営をする会社。会場の設営、入場管理、警備などをおこなう。PAや照明技術者の手配までする場合もある。有料のコンサートではチケットの発売元でもある。△△社は本来イベンターであるが、若干の専属アーティストもいて、芸能プロダクションも兼ねていた。ローズ+リリーのブレイク後は業務の半分がプロダクション部門となり、△△音楽出版という別会社を作って、そちらにプロダクション業務は移しており、ピューリーズやスリファーズはそちらの所属。
 
 
●インディーズ 日本レコード協会正会員ではない発売元から出したCDやDVDなど。
インディーズのCDをJASRACに登録する場合、メジャーのCDより条件が厳しくなる(最低販売枚数1000枚など)。なお自主制作したCDをインディーズのレコード会社に預けたものは「インディーズから出たCD」ではないので、JASRAC登録の条件は更に厳しくなる。『恋座流星群』『神様お願い』は一般発売は事実上されていない(最初から品切れ)ものの★★レコードのメジャーレーベルから正式に販売され、放送局でも流されたCDなので問題無くJASRACに登録されたし、インディーズではない。
 
 
●裏声 実声(胸声,チェストボイス)以外の声の出し方をしたものを裏声というが、裏声にもいくつもの声区があり、ミドルボイス、ヘッドボイス、スーパーヘッドボイス、トップボイス、などと呼ばれるが、人によってどのあたりをどう呼ぶかは、かなりの混乱がある。多くの意見では、女性の声はそもそもが裏声(ミドルボイス)であるとする。そのため男性でもミドルボイスのマスターが女声の獲得につながり、女性でもチェストボイスのマスターが男声の獲得につながるとも言われるが、個人差も大きいので一概には言えない面もある。
 
 
●エステミックス コンビニでも気軽に買える植物性女性ホルモン(プエラリア・ミリフィカ)。まだ本物の女性ホルモンを飲むのは怖いと思っている人たちに愛用されているが、実際にはこれを飲み始めるなら、もう男性機能は諦める覚悟が必要。
 
 
●エストロゲン (Estrogen) 卵胞ホルモン。女性ホルモンの一種で、女性的な身体を作る作用がある。製剤の商品名ではプレマリンが有名。
 
 
●オートチューン (Auto Tune) 音程の外れた歌手の声を正しい音程に補正するソフトウェア。この名前はアンタレス・オーディオ・テクノロジーズの商品名で同様のソフトとしてヤマハの Pitch Fix などもある。
 
下手な歌手の歌でも上手に歌っているかのように装うことも可能なので、こういうシステムは使うべきでないと反対している人たちも多い。ただボイスチェンジャーと同様に、この手のシステムは補正を強く掛けると、それだけ声が歪んで変な声になるので、それを逆手にとって、ちゃんと歌えている歌手の声をこれで強烈に補正して特殊な効果を出す手法が使われる場合もある。某テクノユニットなどはこの効果を利用して機械っぽい声を出していると言われている。ローズクォーツの『マルチタスク・ラブ』もこれを使って機械的な声を加えている。
 
 
●音源 CDやダウンロードなどで販売する「中身」のこと。昔はレコード制作とかCD制作、アルバム制作などと言われていたものが最近は「音源制作」と呼ばれることが多くなった。売り方が、CD, DVD, iTune, 着うたフルなど、多様になってきたことを反映したものと思われる。
 
 
●カウンターテナー 男性でアルト声域の声を出すこと。ケイは中1の頃、この付近の声の出し方をマスターしていたので、『明るい水』の時点で既にこの声域は出ていたが当初はかなり声域が狭かった。
 
 
●カストラート 変声期前に去勢することで声変わりが来ないようにし「ボーイソプラノ」の声域を保っている歌手。現代ではボーイソプラノを保つために去勢することは事実上禁止されているが、青葉は変声期前に睾丸の機能を自分で停止させ、春奈は変声期前に女性ホルモンを飲み始めたので、いづれもソプラノの声を保持しており、ケイはこの2人を「現代のカストラート」と呼んでいる。
 
●換声点 「声の出し方」を切り替えるポイント。たとえば男性でも女性でもE4付近には換声点があり、それより下の高さの音と同じ要領ではその上の高さの音は出ない。上手な歌い手は、この換声点を超えて歌を歌う時に、発声法を切り替えたことがあまり分からないようになめらかにつないで歌うことができる。美空ひばりなどはその達人。換声点で区切られたひとつひとつの声域を「声区」といい、広い声域を持つ歌手はいくつもの声区をつないで声を出している。
 
 
●ゴールドディスク (Gold Disc) 10万枚売れたレコードに与えられる称号。
 
 
●自主制作CD 自分で勝手に作ったCD。自分でレコード会社を設立したりしない限り、自主制作CDはあくまで自主制作CDでしかなく、インディーズのレコード会社に扱ってもらっても、単に販売委託しただけで、インディーズにはならない。
 
インディーズレーベルから出たCDは1000枚販売すればJASRAC登録可能だが、自主制作CDを登録するには放送局で3回以上放送されるなど、更に厳しい条件が必要である。『明るい水』は△△社が元々持っていたレコード会社から発売された形になっていたので、自主制作CDではなくインディーズレーベルのCDである。
 
 
●性別の取り扱いの変更 戸籍上の性別を変更すること。現在の日本の法律では、性転換手術が済んでいること、20歳以上で現在配偶者がおらず、未成年の子供がいないことが条件。「女に見えるか」は条件ではない。
 
マリがケイの子供をすぐに産まず精子を冷凍して8年後に受精させたひとつの理由はすぐに産むと「未成年の子供がいないこと」の条件を満たせなくなってケイが性別を変更できなくなることに配慮したこともある。(他には育児と学業の両立に自信が無かったこと、両親不在中に学生の身でシングルマザーになったら、親から何言われるか分からないと思ったこと) 
 
●ソプラニスタ 「カストラート」ではない男性歌手が技術だけの力でソプラノ声域を出すこと。これができる人はひじょうにレアである。ケイは基本的にはソプラニスタと言える。ケイが実際にソプラノを披露したのは『甘い蜜』から。
『遙かな夢』でもソプラノでコーラスしているが当時はまだ少し不安定であった。
 
 
●タック (tack) まだ性転換手術をしていない人が「うまいことやって」付いてないように見せるワザの総称。様々なやり方があるが、ケイが高校時代にしていたのは、睾丸を体内に収納した上で、ペニスを後ろ向きにし、陰嚢の皮膚で左右から包んで接着剤(初期の頃はテープ)で固定する方式。左右から寄せた陰嚢の皮膚を接着剤で留めた時にできる線が割れ目ちゃんに見える。睾丸の機能低下を招くので、まだ子供を作りたいと思っている人は絶対にしてはいけない。
 
 
●ダブル・スプーン (double spoon) 女性ふたりの体位のひとつで、背面座位または側位の形で、後ろにいる側が前にいる側の陰核やGスポットを指で刺激する。
背面座位でやる形を牡丹という。
 
 
●ダブル・プラチナ・ディスク (Double Platinum Disc) 50万枚売れたレコードに与えられる称号。
 
 
●ダブル・ミリオン (Double Million) 200万枚売れたこと。
 
 
●ディレクター (director) 番組では番組の制作を直接指揮する人。音源制作では各楽曲の演奏について直接指示を出す人。いづれもプロデューサーが兼任している場合も多い。
 
 
●ドライ (dry organism) 脳で逝くこと。マリが男の子とのセックスよりケイとのセックスの方が気持ちいいと言うのは、これを経験できるから。男の子は自分が逝ってしまうとそこでやめてしまうので、女の子は逝けないままに終わってしまう。
 
 
●トリプル・プラチナ・ディスク (Triple Platinum Disc) 75万枚売れたレコードに与えられる称号。
 
 
●パス (pass) 女装者が見た感じなどで女性に見えていること。逆はリード。
パスできることは、女性として埋没して生活を送るには有利であるが、性転換手術を受ける条件でもないし、戸籍上の性別を変更する条件でもない。トランスするのに必要なのは開き直りである。 
 
 
●ビアン (lesbian) レスビアンの略。以前は「レズ」と略されることが多かったが、近年は当事者の間ではビアンと略すのが一般的。
 
 
●プラチナディスク (Platinum Disc) 25万枚売れたレコードに与えられる称号。
 
 
●プロゲステロン (progesterone) 黄体ホルモン。特に乳房の発達に作用するといわれる。但しエストロゲンと一緒に用いないと効果は弱い。製剤商品名としてはプロベラが有名。
 
 
●プロダクション 芸能人と契約して、営業や報酬に関する事務をおこなう会社。
芸能人はみな個人事業主なので、プロダクションは実は有料職業紹介事業所である。
 
しばしば「給料」方式の報酬を受け取っている芸能人もいるが、雇用関係にある訳では無いので、実は給料ではない。給料方式は売れてない時はアーティストにとって有利だが、売れていると不利であり、それまで売れていなかったのが急に売れたアーティストの場合、しばしばプロダクションとの揉め事の種になる。
また給料方式で長く売れない状態が続くと、契約を切られてしまう。
 
最低保障があって、売れたらそれなりにマージンをもらうような中間的な契約もあり、マキ・サト・タカはそういう契約。ケイとマリは純粋に印税や出演料の一定割合をプロダクションに払うという形の契約なので、仕事が無ければ収入はゼロになる。なお、マリは妊娠して休業している間も作詞活動はしているので、その分の印税収入があり、全然困らない(実際にはマリとケイは生活費を折半している)。
 
 
●プロデューサー (producer) 制作の全般を管理する人。放送局のプロデューサーは番組のコンセプトを管理し、番組の内容・方向性を定め、制作の総指揮をする。音源制作のプロデューサーはそのシングルやアルバムのコンセプトを定め、スタッフの手配をし、制作の総指揮をする。ただ、プロデューサー、ディレクター、A&Rの業務の境界はけっこう曖昧である。
 
ローズ+リリーの音源制作では△△社時代には、津田社長がプロデューサー、美智子がディレクター。フリー時代は町添部長がプロデューサー、夜須譜津子がディレクター(スタジオでの現場指揮は秋月で秋月の名前はADとしてクレジット)で、UTPとの契約後は美智子がプロデューサー、ケイがディレクター。
 
 
●ボイスチェンジャー (voice changer) 声のピッチや響きを変更する機械またはソフト。これを通してスカイプでしゃべると、相手には本当に女性が話しているように聞こえる。ただし、元々かなり女声に近い声が出せる人が少しだけ調整するのには使えるが、全然女声が出せない人が大幅に変化させて女声にしようとすると、歪みが大きすぎて不自然な声になってしまう。
 
 
●松葉 (scissors style) 英語では「シザースタイル(はさみの形)」という。
頭を反対向きにして寝て、お互いの足を組み合わせ、股間が密着するようにする。
レスビアンでは基本的な体位のひとつ。
 
 
●ミドルボイス (middle voice) 「ミックスボイス(mix voide)」とも言う。
実声と裏声の中間の声の出し方という意味だが、ミドルボイスというのが実際にどういう声の出し方を指しているのかについては、実に様々な説があり、しばしば混乱を招いている。
 
 
●ミリオン (Million) 100万枚売れたこと。
 
 
●メジャーデビュー 日本レコード協会正会員のレコード会社からCDやDVDを初めて出すこと。
 
 
●リード (read) 女装者が「あれ?この人男だ」と見破られてしまうこと。逆はパス。
 
 
 
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