【機種変更】(1)

目次
(C)Eriko Kawaguchi 2011-10-22 (based on short story 2002-09-24) 
私はその日の朝、3日間の九州出張を終え、夜行バスで大阪に到着した。博多でもう帰りの新幹線が新大阪行きしか残っていなかったので、それで大阪に泊まるよりと思っての選択であった。会社には、今日中に戻ればいいので、13時の新幹線に乗ろうかと思い、午前中梅田の町を散策していた。11時半に少し早めのお昼を食べてから大型電気店を少し覗いてみる。
 
今使っているノートパソコンがもう6年使っているもので、OSもWindowsXPだったので、そろそろWindows7に乗り換えようかとも思い、安いのは出てないかなと思って物色していた。しかし店頭に並んでいるのはみな15〜16万円以上のものばかりで、なかなか衝動買いできそうなものは無い。いくつかの店頭展示機を触るが、決断ができないまま、私はパソコン・コーナーから離れて、携帯電話でも見ようかと確かこちらにあった筈と思う方向に歩いて行った。
 
携帯電話も既に4年近く使っている。私は「機種変更」の看板に目を留め、そちらに行ってみたのだが・・・・・ 
何だ!?ここ。
 
そこには携帯電話ではなく、異様な物がずらりと並んでいた。呆気にとられて見ていたら、お店の人が近づいてきた。
「お客様、おちんちんの機種変更なさいませんか?今キャンペーン中で1万円でできますよ」
と声を掛けられる。
 
実は目の前には大量のおちんちんが並んでいたのである。大きいものから小さいもの、色も真っ白いものから、かなり黒いものまで様々である。
 
「機種変更というと?」と聞き直すとお店の人が説明します。
 
「一応、おちんちんを、太さ・堅さ・色・伸縮率で指定することができます。
伸縮率というのは、小さくなっている時と勃起した時の長さの比ですね。標準は3倍で、通常時に5cmのものが最大時には15cmになるものですが、4倍とか5倍を希望なさる方もあります」
「はあ・・・・・」
「太さと堅さについては、最近はやはり大きめのものが流行していますね。売れ筋は長さ倍率3倍の最大18cm前後で、太さ4cmの硬さ2Bくらいのものです」
「硬さ2B??」
 
「硬さは鉛筆と同じで一番硬いものが9H,一番柔らかいのが6Bです。日本人の平均はやや固めの2Hくらいなのですが、それだと太さが3cmくらいでないとインサートした時に女性側が痛がります。アメリカ人の場合は太さ5cmくらいの人がたくさんいますが4Bくらいの柔らかさなので楽にインサートできます」
「へー」
 
「しかし逆に小さいのを好まれる方もいます。小さい方が感度が良くて、特にフェラされる時に気持ちいいというので。そういう方は倍率4倍で最大12cm前後、太さ2.5cmくらいで硬さ3Hなどといったものをお求めですね。更にもっと小さいのを好まれる方もあります。小さいほど気持ちいいので。お客様はどんなのが好みですか?」
 
へー。小さいほどフェラされる時に気持ちいいのか、と思った私は「えっと...一番小さいのがいいんですけど」
などと言ってみる。
 
「うーんと....最小は倍率2倍、最大長1cm太さ0.5cm硬さBというのがありますが.....おかしいな。なんでこんな小さいのがあるんだろ....これでは立ちションにも困りそうな気がするけど」
 
私は随分小さいなと思いつつも「それでいいです。それにして下さい」
などと言ってしまった。
 
半分はノリだったが、そんな極小のおちんちんというものにちょっと興味を感じてしまったのもあった。気に入らなかったら、また機種変更すればいいし。
 
「分かりました」お店の人は首をひねりながら私を奥の「機種変更作業場」
と書かれたところにあるベッドに寝かせ、ズボンを下げブリーフも下げて、おちんちんを露出させた。
「毛は剃らせていただきます」
と言って、電気シェーバーできれいに剃られてしまう。
 
「それでは今から機種変更致します。変更作業は5分ほど掛かります。痛くはありませんのでご安心ください。あ、それと現在ご使用の機種は回収してもよいでしょうか?」
と言いながら、何やら大型の機械を股間に装着された。
「はい。いいですよ」
 
「おちんちんからはレアメタルが取れるので回収が推奨されているのですよ」
「へー」
「お客様はこのおちんちんはどのくらい利用なさっていたのですか?」
「うーんと、変更したことなかった」
「おや、それは珍しい。だいたい2-3年で変更なさる方が多いですよ」
「そうなんですか!?」
「ではスイッチを入れます」
 
何やら凄まじい音がする。機械の先でかなり触られている感触はあるものの確かに特に痛みは無い。どういう仕組みになっているのだろう。
 
「終わりました」
といって機械が取り外される。
「あれ?」
お店の人もびっくりしたようだが私も驚いてしまった。
 
そこには元のおちんちんの姿は消えて、きれいな割れ目ができていた。
お店の人が頭をかきながらその割れ目を指で押し開く。その中に、肉中に埋もれるような感じで小さなおちんちんが収まっていた。それも周囲を指で押さえないと、そこにおちんちんがあることが分からないくらいだ。
 
「ああ、こういう形にする訳ですね。あ。今説明書が見つかりました。
このおちんちんは女性に紛れて女風呂に入りたい人向けの仕様だそうです。
用事が終わったらいつでも当社の全国本支店でふつうの男性のサイズにも機種変更可能ですので、どうぞそれまでお楽しみください」
「は、はい」
「本日は当店の機種変更サービスをご利用頂きありがとうございました」
 
私は新型おちんちんの分厚い説明書をもらい、お店を後にした。
 
私は帰りの新幹線の中でその説明書を読んだ。****製タイプ B0505-BM と書いてある。最初のBが伸縮率の2倍、次の05は最小サイズの0.5cm(従って最大長は1cm)、次の05が最大になった時の太さ0.5cm, その後のBは堅さでやや柔らかめ、最後のMはどうも色記号のようである。解説書を読んでみる。
 

B0505型は一見女性のクリトリスのように見えます。付属の陰裂の中に納められており、女性のクリトリスの位置に付いています。平常時は肉の間に隠れて、ほとんど見えませんが、触るとそこだけころころした感触があります。それを刺激すると、1cmくらいの大きさまで膨れあがります。刺激するには女性のクリトリスを刺激するのと同様に、指で押さえて円を描くように刺激したり、ローターを使うと良いでしょう。
 
クリトリスのような外見はしていますが、これは実際には間違いなくおちんちんであり、クリトリスとは違って排尿機能もちゃんとついています。ただし男子用小便器での排尿は困難ですので、個室のご利用をお勧めします。尿道口は普通のおちんちんと同様に先端に付いてはいますが、座って排尿した時に便器を汚しにくいような角度に放出されるよう調整されています。(どうしても立ってしたい場合は『マジックコーン』などの女性用立位排尿グッズが利用可能です) 
また非常にサイズが小さいため女性との性交は不可能ですが、性的に興奮すると射精に至りますので、体外受精をすることは可能ですし、また女性と擦淫性交(トリバディズム)をした場合、放出された精液が女性の膣に侵入して妊娠させる場合もありますのでご配慮下さい。避妊したい場合は、極小陰茎用コンドーム(当社製CLT-10など)を装着してください。通常の市販サイズのコンドームの利用は困難です。
 
なお通常のおちんちんに比べて尿道が短いので、おしっこが通常より近くなりやすいです。非常時に立ったまま、そのあたりですることもできませんので、あまり我慢せず、早めに行くようにしてください。特に旅行などの際はトイレがある所で確実に行っておくようにしましょう。
 
このタイプのおちんちんを装着した場合、睾丸は女性でいえば膣前庭に相当する部分のすぐそばに埋め込まれており、あまり温度が上がらないように工夫されていますので男性機能はそれほど低下しませんが(当社実験では9割の実験者で精子生産量が通常の80%以上)、2年以上継続してご利用なさった場合、個人差はありますが、生殖機能が低下する場合があるとの報告もありますので、まだ子供を作る予定のある方はご留意下さい。また、その部分を蹴られたりするなど強い物理的な刺激を受けると、普通の男性が睾丸を蹴られたのと同様のショックを受けますのでご注意下さい。
 

私はとりあえずおしっこをしてみようと思い、トイレに立った。いつもの癖で立ったままズボンのファスナーを下げ、おちんちんを取り出そうとして、あっそうか。これでは無理だと気付く。ズボンを下げ、パンツを下げて、その洋式の便器に腰掛けた。ちょっとドキドキ。
 
排尿がしにくいと感じた場合、前の方の緊張を解くような感じにしてくださいと書いてあったなと思い、そのようにすると、出た! でもこれって、何だか不思議な感じだ。おしっこは真下に放出されているような感覚である。排尿が終わった所でクリトリス、じゃなかったおちんちんの先をトイレットペーパーを少し取って拭いた。説明書にもきちんと拭き取っておかないと、通常の男性型のおちんちんより炎症などが起きやすいので注意、と書かれていたことを思い出したのである。
 
私はこのままちょっとオナニーをしてみようかと思い立った。指でその上を押さえてぐりぐりする感じにした。私も過去に女性との恋愛経験はあるので、彼女のクリトリスを刺激してあげたような感じで刺激すればいいのだろうと見当をつけてやっていたら、物凄く気持ち良くなってきた。何これ?普通のおちんちんでオナニーする時以上の快感じゃん!おちんちんは小さいほど感度が強いと言われたのに納得する。
 
あまりの気持ち良さに私はあっという間に逝ってしまった。大量に液が放出される。かなり濃い。ここ3日間の出張の間、忙しくて疲れていて、全然してなかったので溜まっていた感じである。丁寧にトイレットペーパーで拭き取り、ティッシュペーパーをはさんでブリーフを穿いたが・・・・・ 
これなら女物のパンティを穿いてもいいんじゃなかろうかという気がしてきた。
そしてオナニーした後は、パンティライナーなど装着してもいいのではないかという気もしてきた。
 
東京に着いて、会社に顔を出し、上司に出張での打ち合わせ内容を報告する。
1時間ほど掛けての報告が終わった後、会社を退出すると、私はその足でスーパーに行った。
 
いつも行く所ではちょっと恥ずかしかったので、帰る途中の駅でいったん降りて、その駅の近くの大型スーパーに行った。ワゴンセールで女性用ショーツ3枚1000円と書かれている所からとりあえず6枚を買い、それから食品フロアの雑貨品コーナーで今晩の夕食の材料と一緒にパンティライナーを1パック買った。
 
家に帰ってから着けてみると、女性用ショーツはすっきりした股間にきれいにフィットするし、そこにパンティライナーを付けてみると、何だか不思議な感じだ。私は明日またショーツ少し買って来ようと思った。
こうして私の「極小おちんちん」での生活は始まったが、おちんちんが極小になっていても特に不便を感じることは無かった。また私の基本的な生活はそんなに変わらなかったので少し拍子抜けした気分だった。おちんちんって、別に大きくなくてもいいんだな、と私は思った。
 
トイレで立ってすることができないのでいつも個室を使うことになるが、個室でおしっこをしていると立ったまましている時より、少し休むことができる感じで特に仕事中に行く場合、疲れが取れる気がした。
 
また朝の通勤電車に乗っている時にこれまではその気がないのに唐突に勃起してしまって慌てて鞄などで隠したりしていたようなことが起きずに済むので気楽な感じがした。
 
オナニーに関してはこれまで通りほぼ毎日していたが、今までよりぐっと気持ちがいいので、もうこのままふつうの男性の形に戻さなくてもいいかなあ、などと思ったりもしていた。女性との通常のセックスはできないが、今のところ恋愛をする予定もないので、そうなった時に戻せばいいかな、などとも考えていた。
 
パンツはすっかり女性用ショーツを常用するようになってしまった。また、オナニーをした後はパンティライナーを付けてショーツに液が付着しないようにしていた。全部拭き取ったつもりでも、1時間くらいしてみると結構な液が割れ目ちゃんの中に付いていて、パンティライナーにも付着しているのである。
尿管の途中に残留していた分が出てくるのであろう。
 
そんな生活を3ヶ月ほど続けた時のことであった。田舎に住む、旅行代理店に務めている妹から、今年の春の旅行ノルマが厳しいので、安い旅行でいいから何か1つ行ってくれない?という話が来た。私はちょうど有給の未消化分が溜まっていたので、木金2日間有休を取り、土日まで掛けて、3泊4日の北海道旅行に行くことにした。
 
コースを見ていたら、3泊のうち2泊が温泉に泊まる。
 
温泉か・・・・・今の自分の身体ではちょっとやばいなと思う。
 
いったんふつうの男性のおちんちんに戻そうか?しかし私はここしばらくこの極小おちんちんでの生活に慣れてしまっていたので、大きなおちんちんを自分に取り付けるのは、面倒な気がしてしまった。それにこの機種変更、1度やると次やるまで最低1ヶ月はあけないといけないことになっている。旅行の間4日間だけならまだ我慢できるかも知れないが、大きなおちんちんで1ヶ月も暮らすのはなんだか嫌だ。
 
おちんちんの機種変更をやっている会社のサイトで何か使える手がないかなと思って見てみた。その時、この会社では、おちんちんだけでなく、おっぱいの機種変更もしていることが分かった。これだ! 
おっぱいの機種変更は近くの美容室にその支店が併設されていることを知り、出かけていった。私はふだんプライベートで外出する時も背広が多いのだが、なんとなく背広では美容室にいきにくい気がして、ポロシャツとジーンズを着て、出かけた。靴もスニーカーを履いた。
 
美容室に入ると、受付の人から「はじめてですか?」「ご指名ありますか?」
などと尋ねられる。
「いや、こちらでおっぱいの機種変更ができると聞いたものですから」と言う。
「はい。できますよ。そちらの席でご相談承りますので、しばらくお待ち下さい」
と受付の女の子は言った。
 
席で待つと、受付の子がお茶を入れてもってきてくれた。美味しいハーブティーだ!「こちらに、おっぱいのカタログがありますので、お好みのものをお選び下さい」
「はい」
 
おちんちんの機種変更の所にはたくさんのおちんちんの実物が並べられていたが、おっぱいの機種変更の場合はカタログで選ぶ方式のようだ。
「一応バストサイズの確認のため、こちらにAAAカップからJカップまでの見本をご用意しております。この見本はシリコンラバー製ですが、実際にお客様に設置するおっぱいは、シリコンではなく、人工脂肪で構成されていますので、人体には無害ですので、ご安心ください」
 
私はその見本を触らせてもらい、Dカップが快適のような気がしたのでDを選ぶことにした。カタログでは色合いや形などを選ぶ。いろいろな形のものがあるものだ!私は「これか・・・・これか、かな?」などと言ったら「それではシミュレーターで確認しましょう」と言われた。
 
写真を撮られ、それをモニターに映した状態で、胸のところだけ裸になったかのような感じになり、私が迷っていたふたつの乳房の形をそこに表示する。私はおちんちんもこういうふうに事前にモニターで確認できたら良かったのに、と思った。私はふたつの乳房を見比べて「こちらがいいです」と選んだ。
 
「D73T型ですね。では機種変更しますので、こちらにおいでください」
と言われ、美容室内の奥の部屋に連れて行かれ、ベッドに寝るよう言われた。
「お客様、おっぱいの機種変更は初めてですか?」
「はい。今全然おっぱい自体が無いので」
「あら。では御新規なのですね。ではこちらの『初めてのおっぱい』という小冊子も差し上げますね」
「ありがとうございます」
 
「機種変更は5分ほどで終わります。痛みなどはありませんのでご安心ください」
「はい」
「では機械を装着します」
私は上半身裸にされ、胸の所になにやら大きな機械を装着された。
「ではスイッチを入れます」
 
なにやらすさまじい音がする。しかし、おちんちんの機種変更をした時と同様に全く痛みなどはない。機械の先?が身体に当たっている感触はあるのだが、単純な圧迫感だけである。
 
やがて機械が静かになった。
「取り外します」
と係の女性が言って取り外すと、そこには豊かなバストができていた。立ち上がって、鏡に映してみる。凄く魅力的なバストだ。いいなあ、これ。
 
「ありがとう。とてもいい感じです」
「よかったですね。毎度ありがとうございました。こちら、このおっぱいの取扱説明書です」
「ありがとう」
 
「でもお客様、声がけっこう低音ですよね」
「ええ」
「喉の機種変更などいっしょにいかがですか?」
「え?この声、もう少し可愛い声とかになったりする?」
「はい」
「喉の機種変更の場合はデュアルヴォイス方式といいまして、ご本人様の普段の声と、新しい声とを自分で切り替えて出すことができるようになります」
「あ、それは助かります。今の声を完全に変えちゃうと仕事に支障が出るので」
 
「シミュレーターで確認しましょう」
私はパソコンの前に座りマイクを持たされ、いろいろ発音してみた。カタログ番号を画面でプッシュし、いろんな声を出してみる。声は年齢・トーンなどが設定されている。私は20代後半・やや高め・森の妖精風、という声が気に入った。
 
「それでは喉の機種変更致しますね」
また喉に機械を装着され5分ほど待つ。
 
起き上がって見てみると、まず喉仏が無くなっている!そうか。ここは女性向けの支店なので、用意されている喉も女性の喉なのだ。おそるおそる「どんな声になったのかな?」
などと発音してみると、きれいな女性の声になっていた。
 
「元の声出すにはどうすればいいんですか?」
「意識の切り替えで出るはずです」
やってみる。
「元の声、こんな感じかな」
あ、出た出た。
「新しい声」
あ、こちらも出る。
 
「ありがとうございます。とってもいい感じです」
「よかったですね。1ヶ月以上のインターバルをあけましたら、またいつでも機種変更できますので、お気軽にこちらにお寄り下さい」
「ありがとう」
 
「本日は機種変更をご利用いただきましたので、サービスで髪のカットなどもできますが、いかがなさいますか?」
「あ、いいなあ。してもらおうかな」
 
そういうことで部屋から出て、美容室内の椅子に案内される。美容師さんにどんな感じにしますかと聞かれたが、さっぱり分からないので、お任せしますと言う。すると美容師さんはあれこれこちらに聴きながら、かなり可愛い感じの髪型にしてくれた。そんな髪型にされたのは初めてだったので、とても新鮮な気持ちになることができた。
 
Dカップのバスト、可愛い髪型、そして股間の割れ目ちゃん。この身体なら、やはり女の子の服を着ないといけないよなー。
 
私はまたスーパーによると、大きくなったバストを納めるためのブラジャーを数枚と、スカートをとりあえず1着買って帰った。自宅で裸になりブラジャーを着けて見る。わわ、いい感じ!ショーツを穿き、スカートも穿いてみた。
スカートなんて穿くのは初めてだ。わあ、ちょっとこれも新鮮な感覚!いいなあ、これ。でも足の毛はきちんと剃らなくちゃね。
 
鏡に映した自分の姿があまりに魅力的だったので、つい私は欲情してオナニーをしてしまった。出してしまったものを拭き取りながら考える。こんな素敵な肉体を自己所有してていつでも好きにできるんだったら、女性と恋愛する必要無いじゃん! もっとも、この身体では女性と恋愛すること自体が不可能だけどね。
 
取り敢えず外出してみようと思い、私は小型のトートバッグにお財布だけ入れて外に出かけた。靴はまた取り敢えずスニーカーを履いたが、パンプスとかも欲しいなという気がした。またスーパーに行って買って来よう。
 
電車に乗り、町に出る。町中ってなんかあちこちに鏡がある。その鏡に自分の姿が映る。一瞬向こうから女性が歩いて来ているように錯覚することもあった。
こんな格好してると、女性にしか見えないよなあ。町を歩いていて何か配っている人から反射的に受け取ってよく見たら、生理用ナプキンだ。わっ。町ではこんなものも配っていたのか。
 
靴屋さんの方に行こうとしていた時に、ふと化粧品コーナーに目を留めた。
あ、そうか。女性はお化粧するんだよな。自分は今何もお化粧とかしていない。
いわゆるスッピン状態だ。スカートとか穿いて出歩くんなら、やはりお化粧も覚えないと。しかしお化粧なんて今まで考えたことも無かったから、どんな化粧品があって、どう使うのかもさっぱり分からない。
 
そこで私は靴屋さんでパンプスを買ったあと、本屋さんに行ってお化粧の仕方が分かるような本を探して買った。カフェに入って甘いコーヒーを飲みながらそれを読む。ふーん。とにかくひとそろい買ってみるか。。。。
 
対面で販売している人のところだと、話していてボロが出そうなので、セルフ方式で選べるところでじっくり選んだ。取り敢えず必要そうなもの。。。。。。
化粧水、乳液、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、ビューラー、チーク、マニキュア、クレンジング。うーん。こんなものかなあ。取り敢えずと思ったけど、かなりの品数だ。ただ、色合いがどんなの使えばいいのかが分からない。でも取り敢えず使い方を覚えないと。
 
私は自宅に帰ると取り敢えず解説本を見ながらやってみたが。。。。。うーん。
これはひどい! やはりお化粧って今日始めてすぐできるものではないか。
かなり練習しないといけないなあ。しかし。。。。これひとりで練習しててできるようになるものか???私は少し考えていて、やはり誰かに習うべきだと思った。しかし誰に? 
会社の同僚の女性の顔を思い浮かべていく。微妙だなあ。。。と考えていた時、ふとひとりの女性のことに思い至った。
 
その週の木曜日、会社が終わってから私は毎週行っているピアノ教室に顔を出した。レッスンが終わってから、一緒に練習をしていた同年代の女性、梨本さんに折り入って頼みがあると持ちかけた。彼女とは待ち時間などにけっこう話をしているので少し話しやすい気がした。
 
じゃ、1階のカフェで少し話そうかということになり、お店に入る、少し世間話などしたあとで、私はお化粧を覚えたいから教えてもらえないかと切り出す。
彼女は大笑いした。
「何何?橋山君、女装でもするの?」
「うん。こないだから、ちょっとハマっちゃって。今スカート3着持ってる」
「へー。橋山君、ソフトな雰囲気だから女装も似合うかもね。今道具持ってる?」
「うん」
「じゃ、カラオケ屋さんにでも行こうか」
 
彼女と一緒に表通りにある全国チェーンのカラオケ屋さんに入る。
「でも背広姿でお化粧してもね・・・・女物の服とかも持ってる?」
「一応持ってきた」
「じゃ、着替えてみよう」
 
私はちょっと恥ずかしい気もしたが、確かに背広のままお化粧というのも変なので、着替えることにした。
「ちょっと、橋山君、おっぱいあるの?」
「こないだ機種変更した」
「わあ、あれやったんだ!私の友達でもBカップのおっぱいをEカップに機種変更した子いるよ」
 
私はここで声も女声に切り替える。
「こないだ美容室に行ってしてもらったの」
女声に切り替えたのと同時にことばの調子も女言葉に切り替える。
「あ、声も機種変更したんだ!」
「うん」
「あ、そういえば橋山君、喉仏無いね」
「うん。あれは別になくてもいい気がしたし」
 
「え?橋山君、女の子ショーツなのはいいとして、膨らみがないけど・・・」
「えへへ。極小タイプのおちんちんに機種変更しちゃった。実は発端はそれなんだ。長さ0.5cmっての。割れ目ちゃん付き」
「見せて」
「ここではちょっと」
「じゃ、このあとホテルに行かない?」
「え、そんなとこ行っていいの?」
「だって橋山君、その身体なら女の子とHとかできないでしょ?」
「うん」
私は頷いた。
 
取り敢えず私はブラウスにスカート、薄手のカーディガンという装いにし、靴もパンプスに履き替えた。髪型も無理矢理整髪剤で固めていたのを手でほぐして前髪を垂らす。これでぐっと女っぽい雰囲気になる。
「あ、可愛い髪型にしてたんだ!」
と言われた。そして梨本さんにお化粧の仕方を教えてもらう。最初は説明を受けながら全部してもらった。けっこう大変で一度には覚えきれない。でも女の人って毎日こんな面倒なことしてたのか!と今更ながら思う。
 
「よし、いったんクレンジングで落としてから自分でやってみよう」
「うん」
私は梨本さんにしてもらったお化粧をいったん落とすと、今度は自分でやってみた。そこは違うとか、そこはこういう感じでとか色々指導を受ける。さっき全部してもらった時に比べるとかなり落ちるが、こないだから自分でやってみていたのに比べると凄く良いできだ。
「うん。覚えが早いよ。こんな感じで毎日練習してるとうまくなるよ」
「ありがとう」
 
私達はそのあと居酒屋に入り、少し食事をしてからホテルに行くことにした。
彼女はビールを飲んで少し上機嫌になっている。会話はとても弾んだ。私は彼女とこんなに話が合うのかと少し驚きながら、様々なトークで盛り上がった。
私もビールを2杯飲んだ。
 
「橋山君とこんなに話が合うとは思ってなかった」
などと彼女も言っていた。
 
タクシーで町の外れにあるファッションホテルに入った。こんな所に来るのは初めてだ。
「じゃ、脱いでみてよ」
「うん」
私は素直に服を脱いで裸になった。
 
「すごい。完璧な女体じゃん」
「自分でこの身体に欲情しちゃうの。今もちょっと興奮してる」
「興奮したら、自分でしちゃうの?」
「うん。これ超小型だけど、ちゃんとおちんちんだからオナニーして射精できるんだよ」
「オナニーって、どうやってするわけ?」
「女の子と同じやり方」
「へー。やってみせてよ。今欲情してるんでしょ」
「梨本さんの前で?」
「見られてたら、よけい興奮しない?」
私はこくりと頷いた。
 
ベッドに横になり、私は自分で割れ目ちゃんの中の極小おちんちんをぐりぐりと刺激した。梨本さんは興味深そうに見ている。5分くらいで到達し、精液が放出される。梨本さんは「へー」といった感じの顔をしている。
 
「自分の身体に自分で興奮できるって、ある意味便利ね。梨本君って、もしかしてナルシスト?」
「そうかもという気はする」
「この身体じゃ、女の子とセックスできないもんね。男の子とはセックスできるの?」
「ヴァギナは付いてないからできないよ。そもそも男の子とセックスなんて、やだ」
「ふーん。ホモっ気は無いのか」
「無い無い」
「梨本君、恋愛対象は女の子なの?」
「うん。だからこの女の子のボディに自分で欲情しちゃう」
「なるほど」
 
「ね、私の身体にも欲情する?」
梨本さんはそんなことを言うと、服を脱ぎだした。きれいに脱いでしまう。
「きれい・・・・」
「ありがと。やってみたい?」
「でも僕のおちんちんじゃ、やれない」
「あはは、可哀想。でもレズならできるね」
「それやると、僕射精しちゃうから、それが梨本さんのに付着して妊娠させてしまう可能性がある」
「そっか」
「もしよかったら、また今度一緒にホテルに来ない?避妊具用意しておく」
「避妊具?」
「この極小おちんちんにかぶせて精液が外に漏れないようにするのがあるんだ」
「なるほどね。それ付けたら、してもいいよ」
「じゃ今度」
 
「でもさ、橋山君、この身体で社会生活に支障が起きてない?」
「今の所特に問題ないけど」
「トイレとかどうしてるの?」
「個室だよ」
「そうだよね。このおちんちんじゃ立ってできないよね。でもどうしてこういう身体に改造しちゃったの?」
 
私は発端は、おちんちんの機種変更って面白そうと思って試しにしてみて、その時思いっきり小さいのがいいと言ったら、こんなのにされちゃったということを語った。梨本さんは大笑いしている。それで来月旅行に行くので、このままではお風呂に入れないと思って、でもこの小さなおちんちんに慣れちゃって気に入っているから大きいのには戻したくない気がして、それならいっそおっばいの機種変更して大きくしちゃえと思ったということを話す。
 
「なに〜?じゃ女湯に入るつもり?」
「だめ?」
「女の子の身体見て興奮するような人を女湯に入れたくないな」
「うーん。それを言われると辛い」
「ほとんど痴漢。いや痴漢そのものじゃん」
「そこまでは考えなかったけど。私、単純にお風呂で汗を流したいだけで。別に女の子の裸を見たいから女湯に入りたいわけじゃないよ」
 
「ふーん。。。。よし。じゃ、私が監視役で付いていく」
「えー?」
「お化粧も私がしてあげるよ」
「あ、それ安心かも知れない」
 
私は妹に電話して旅行に友人と一緒に行きたいから、もう1枚チケット追加して欲しいということと、追加料金出していいからふたりで1室独占させて欲しいということを言った。
「じゃ追加するから名前教えて」
「梨本真由。27歳」
「え?女の人だったんだ」
「うん。まあね」
「了解。へー、女の人ね」
「いや、変な関係じゃないから」
「うんうん。詮索しないよ。頑張ってね」
妹は楽しそうに言って電話を切った。
 
「参ったな。恋人と思われたな」私は女声に戻す。
「まあ、ふつう思うよね。というか恋人でもない人と男女で一緒にという方がむしろ変だけど」
「梨本さん、彼氏はいないの?誤解させたら悪いなと思って」
「大丈夫。そういう人はいないから。たださ、橋山君」
「うん」
「万一、私が橋山君の子、妊娠しちゃうようなことあったら結婚してよ」
「もちろん」
「今の身体のままでも構わないから」
「そう?助かる。けっこう今の身体気に入ってて」
 
その日は結局ずっとふたりで裸のまま、ベッドに腰掛けて会話を楽しんだ。
終電が終わる前にタクシーで町中に戻り、駅で別れた。
 
私はすぐにこの極小おちんちん用の避妊具を取り寄せた。そして翌週のピアノのレッスンの後、また居酒屋でビールを飲みながら食事をし、今度はカラオケには行かずにホテルに直行した。
 
「へー。これが極小おちんちん用のコンちゃんなんだ」
「1回試してみた。吸着方式なんだ」
私はそれを割れ目ちゃんの中にある、極小おちんちんの上にかぶせると、端にある小さなスイッチを押した。中の空気が排出されてぴたっと肌にくっつく。
吸盤のような感じで、そのままでは引っ張っても外れない。
 
「最初粘着式だったらしいけど、粘着が完全じゃなくて漏れたり性行為中に外れたりすることもあったんだって。それで吸着式に改良されたらしい」
「そんな機構つけると、高くならない?」
「そうでもないよ。1個200円、10個入りが2000円だもん。ふつうのコンドームで、それより高いのもあるよ」
「へー。私コンドームって自分では買ったことないから知らなかった」
「避妊してなかったの?」
「当然こういうのは男に買わせる」
「なるほど」
「よし。じゃ避妊もできたところでレスビアンセックスしてみようよ」
「うん」
 
私達は「真由」「洋子」と呼び合うことにした。私の名前は「洋介」なのだが、女の子と見紛うようなボディで女装もしていて男の名前じゃ変だといって、洋子にされてしまった。
 
真由はレスビアンセックスをネットでいろいろ調べたらしく、いきなり松葉を仕掛けて来た。過去に女の子と(男女として)交際した時も、こんな体位はしたことなかったので、かなり興奮した。私はあっという間に逝ってしまった。
 
「えー?もう逝っちゃったの?つまんない」
「ごめん。新しいの装着してまたやろう」
 
私は精液でいっぱいになり膨らんでいる極小おちんちん用コンドームを取り外し、ビニール袋に入れて始末してから、ティッシュでよくよく拭く。そしてまた新しいのを装着して真由にキスした。再び松葉をする。さっき逝ったばかりなのでさすがにすぐまた逝ってしまうことはない。ただこちらのテンションがすぐには上がらないので仕方なく演技で補う。彼女のほうは次第に興奮度があがってきている感じだ。
 
少し体勢を変えて、彼女のクリトリスを私の指で刺激してあげた。
「あーん。気持ちいい。もっとして、して」
などというので、グリグリしてあげる。毎日自分のをしているから、彼女のをするのも気持ち良くなる力の強さとスピードがだいたい見当がつく。
「なんかこんな気持ちいいの初めてだよぉ」
などと彼女は言っている。そろそろかな?と思っていたところで、果たして彼女は潮吹きして逝ってしまった。私は強くグリグリするのはやめて、優しい愛撫に変える。彼女の興奮が少しずつ冷めていくのを感じる。
 
「なんかこんなに気持ち良かったの、初めて。潮吹きなんて経験したのも初めて。
私、恋愛経験無駄に多いけど、こんなに気持ちよくしてくれた彼氏いなかったよ」
「よかったね」
 
そうそう。私達は「恋人ではない」ということで自分達のポジションを確認していた。ふたりのレスビアンセックスは、ちょっと危険なお遊びということにしている。キスもするけど、どちらというと親愛のキスだ。だから、私達はけっこうお互いに過去の恋愛体験なども平気で語り合っていた。真由は今まで5人の男性と交際経験があるが、もう男に少し飽きてきてたから、こういうのもちょっと刺激的でいい、などと言っていた。私も前の彼女とのことを平気で語っていた。
 
「私も前に女の子と付き合ってた時はクリちゃん触ってとかいわれても、どのくらいで気持ち良くなるのかって分からなくて、彼女を満足させてあげられなかったんだけど、いざ自分にクリちゃんみたいなおちんちんが付いちゃうと、これで毎日オナニーしてるから、かなり気持ち良くなるやり方が分かってきたよ」
 
「へー、毎日するんだ」
「一応男の子だから」
「そっかー。私は自分でやることあるけど、せいぜい週に1回くらいだよ」
 
「あと、大きなおちんちん使ってた頃は、なんか出しちゃうのが目的みたいな感じもあったんだけど」
「うん」
「この小さなおちんちんにしてから、むしろすぐ出ちゃわないように、長く楽しむのがいいなと思うようになったんだよね」
「へー」
「だから射精に至らせないように、2〜3時間ずっとやってることもある」
「猿だね」
「あはは」
「でも女の子のオナニーも長時間楽しむって子が多いみたいだよ」
「なるほど」
 
その週の週末、私は真由から呼び出されてショッピングに付き合った。洋服屋さんがたくさん入っているビルでいろいろ服を物色する。
 
「私、洋服はスーパーでばかり買ってた。こういうとこ来たの初めて」
「へー。この手のピルに入ってる店って、かなり高い店もあるけど、けっこう庶民的な店もあるのよ」
「ふーん」
「だけど、洋子、女の子の格好がかなり板について来たね」
「そう?」
「最初に見た時も、わりと可愛くなるなとは思ったけど、今日の雰囲気とか、ほとんど違和感とか無いよ」
「少しは違和感あるんだ」
「注意してみないと分からないと思う」
 
その日、真由の買物がけっこうかさばったので、私は真由の家まで付き合って荷物を運ぶのを手伝った。真由がお茶を入れてくれて、少し会話をする。
 
「でも、もしかして洋子って、プライベートな外出ではいつもそんな格好になってたりしない?」
「えーっとね。会社に行く時だけ背広着てて、帰ったらもう女の子の服に着替えてる。最近は近所のスーパーに夕飯の買物行くのとかも、この格好で行っちゃうよ」
「女装にハマったな」
「うんうん。ハマった。実は下着はいつも女物しか着てない」
「じゃ会社行く時も女物の下着?」
「うん。ブラジャーも付けてる」
「夏になっても背広脱げないね。ワイシャツ姿だと、ブラ線見えちゃうよ」
「というか、背広脱いだら、胸があるのも分かっちゃう」
「そうか。もう男として生きるのが困難になってたりして」
「あはは、時々思う」
 
「もういっそ女として生きちゃえば?声も女声使ってたら、完璧に女で通るもんね。性転換とかには興味無いの?」
「無いよ。私、男だもん」
「ふーん。あそこの会社のサービスメニューには、おまんこの機種変更もあるからね。それやると、洋子、ヴァギナを身体に付けられるよ。産婦人科とかにけっこう機械が置いてあって、遊びすぎた女の子が新しい処女膜付きヴァギナに機種変更したりしてるんだ」
「へー。ちょっと興味あるかも」
 
「ただし、男の人がこれやると、おちんちんはクリトリスに強制変更されて、タマタマも撤去されちゃうけどね」
「やだ、それは」
「ふーん。タマタマは撤去されたくないんだ」
「男やめるつもりはない」
「なんか既に男やめてる気もするけどなー。会社の健康診断とかどうするの?」
 
「こないだ受けたばかりだから来年まで大丈夫。こないだはもうおちんちんをこのタイプに変更した後だったけど、パンツまで脱がないから」
「でも来年はやばいよね。胸はお医者さんに見せるでしょ?レントゲン撮る時も脱ぐし」
「だよね。それまでには何か考えないと」
「会社やめるか、女やめるかの選択?」
「うーん。。。来年までに考える」
 
私達はピアノのレッスンの後、毎週ホテルあるいはどちらかのアパートに行って刺激的なプレイを重ねた。また休日にはしばしば一緒に町を散歩した。化粧品は彼女に見立ててもらって、私の肌の色に合うものを選び直してもらった。また、女らしい仕草をかなり仕込まれた。そしてこの休日の外出の時、私は女子トイレを使うように彼女から強要された。
 
「女の子の格好で出歩くんだから女子トイレくらい平常心で使えるようにならなくちゃね。だいたい女子トイレにも恥ずかしがって入れない人が女湯に入れるわけ無いじゃん」
 
最初はもう死ぬほど恥ずかしかったし、男とバレて痴漢だと騒がれたりしないだろうかと不安でたまらなかったが、毎週やっているうちにかなり慣れてきて、ふだんの日にひとりで女装外出している時もふつうに女子トイレが使えるようになってきた。
 
翌月。私と真由はいっしょに3泊4日の北海道ツアーに出かけた。初日の朝早く真由と合流して、きれいにメイクをしてもらった。私は今回のツアーには女物の服しか持ってきていない。
 
集合場所の空港ロビーで名簿を照合する。私が名前をいうと怪訝な顔をされた。
どう見ても女性だし、声も女の声なのだから変に思うだろう。でも間違いなく本人だと言うと向こうは納得していた。最近こういう人多いから、向こうもある程度慣れているのだろう。
 
「橋山さま、男性と女性で付くサービスが微妙に違うのですが、このツアー上では、よかったら女性としてお取り扱い致しましょうか?」
「はい、それでお願いします」
 
食事の時に男性はビールやお銚子が付くのに対して女性はアイスやフルーツが付いたりなどの違いがあるらしい。アイヌの衣装を着ての記念撮影などする時も女性用と男性用で衣装が異なる。
 
私は飛行機でも、旭川空港に着いた後のバスの中でも真由と隣同士の席になっていたので、窓の外の景色を楽しみながら、いろいろ会話をして時を過ごした。
初日は層雲峡の温泉宿で宿泊した。真由に付き添われて女湯に行く。
 
「今興奮してる?」
脱衣場で真由が訊く。
「何も考えないことにしたから大丈夫」
「欲情してるなと私が判断したら即撤退するからね。そして翌日以降入浴禁止」
「了解」
 
私はできるだけ平常心を保つようにし、女性の下着姿や裸を見ても何も考えないように気をつけた。今の所、極小おちんちんは反応していない。よしよし。
 
私達は服を脱いで、浴室に入った。中はむろん裸の女性だらけである。同じツアーに参加している女の子のグループが入浴していて、私達は湯船の中で「どもー」などと声を掛け合い、おしゃべりを楽しんだ。彼女らには私が実は男であることはカムアウト済みであるが、「おっぱい大きいね−」
などと触られたりして、楽しく会話することができた。
「私のおっぱいも触っていいよー」
などと言われて、触らせてもらったが、特にHな気分にはならない。ベッドの上で真由のおっぱいを触ると欲情するのに不思議だ。シチュエーションの問題なのだろうか。
 
「真由、ちょっと触らせて−」
「いいけど」
ということで、湯船の中で真由のおっぱいを触るが、やはり今は特にHな気分にならない。
「なになに?おっぱいの触りっこするの?」
とひとりが言うと、そのあとは乱戦気味の触りっこが始まってしまった。ひとり純情そうな子が「きゃー」などと言っているが、構わず触られている。私もノリで彼女に触った。こちらも当然みんなから触られまくった。これだけの女の子のおっぱいを触っているのに、私は全然Hな気分にはならず、むしろ楽しくてたまらない感じであった。
 
「今日のところは合格ね」
と部屋に戻ってから真由が笑いながら言った。
「自分はこの女湯に入っている間は女の子って、自分に言い聞かせていた」
「どっちみち、今の身体でいる限り、女の子とセックスできないんだから、女の子の身体に欲情したって仕方ないし、もういっそ、潔く自分は女だという意識持ってたほうが楽かもよ」
「うーん。。。」
 
「実際さあ、洋子、機種変更で胸もおちんちんも元の形に戻してもらったとして、完全な男の子の生活に戻れる?」
「ちょっと自信無い気もする」
「洋子、女の子ライフの美味しい所をかなり体験しちゃってるからねー。たぶん、洋子はもう引き返せない所まで来ちゃってるよ」
 
そんなことを言いながらも、その夜は真由とレスビアンセックスをたっぷり楽しんだ。
 
翌日は網走や知床方面を見て回り、摩周湖を見てから阿寒湖温泉に泊まる。昨夜お風呂で一緒になったグループをはじめ、他の何組かの女の子グループとも仲良くなり、携帯のアドレス交換もたくさんした。お昼や夕食をいっしょにわいわいおしゃべりしながら食べたり、観光スポットで写真を撮りあったり、夜も一緒にオプションツアーに出かけたりした。お風呂はむしろ他のグループから「行こうよ」
と誘われる形で一緒に入ってきた。湯船の中でまた楽しくおしゃべりをしていた。
 
女の子たちとふつうの友達付き合いするという経験は無かったので、こういうのが、とても新鮮な感覚だった。いいなあ、こういうお付き合いって、と思う。男として女の子と付き合う時には体験できない感覚だし、会社の男性の同僚と飲みに行ったりする時ともまるで違う。私は、真由から「引き返せない所まで来てる」と言われたことを思い起こしていた。
「ね、真由。ちょっとこないだから思ってたんだけど」
「何?洋子」
私達は今夜もたっぷりレスビアンセックスを2時間ほど楽しんだ所であった。
もちろんちゃんと避妊はしている。
 
「私達さ、これ恋愛じゃなくてただの遊びってことで最初に合意したつもりではあったんだけど」
「うん」
「私、真由のこと好きになっちゃった。こういうのいけない?」
「そうね。。。私も洋子のこと好きになっちゃったかも知れない」
「恋人になっちゃう訳にはいかないよね?」
「うーん。じゃ、洋子が今の身体でいる間は恋人でもいい」
「ふつうの男の身体に戻したらサヨナラ?」
「その時はまたその時に考える」
「うん」
 
「でも、私にサヨナラされそうだから今の身体でいようとかは思わないで。元の身体に戻りたいと思ったら遠慮無く戻ってほしい。男の身体に戻りたいと思っているのに無理に女の身体のままでいる洋子とは、むしろ付き合いたくない」
「分かった」
 
最終日は札幌泊で、このツアーで唯一のホテル泊になった。お風呂は各個室に付いているので大浴場に行くわけではない。しかし私達はオプショナルツアーの「蟹料理つくしとナイトショー」に参加して、他の女の子グループたちとも充分楽しんで交流することができた。
 
旅行から戻ると、またいつもの日常が始まる。私は背広を着て会社に出かけ、仕事をする。その背広を着ている自分に物凄い違和感を感じた。会社にいる間はトイレも男子トイレに入るのだが、何度も間違って女子トイレに入りそうになり、すんでの所で踏みとどまった。ある時は、マジで女子トイレに入ってしまいそうになったところを、ちょうど出て来た同僚の神崎さんと鉢合わせてして「あ、間違ったごめん」といって慌てて男子トイレの方に行った。
 
旅行から3ヶ月ほどたったある日、神崎さんから残業している時に話しかけられた。
「ねー、橋山君、こないだからしばしば、女子トイレに入りかけては男子トイレの方に行ってるよね」
「ごめん。ぼーっとしてて」
「もしかしてふだん女子トイレに入ったりしてる?」
「えーっと」
「つまり、女装趣味があるのかな、とか思ったりして」
「うん。女装してる」
私は誤魔化してもしょうがないしと思い、正直に答えた。
 
「へー。女装姿、見てみたいなあ。橋山君、眉も細くしてるよね」
「あ。うん」
「アイブロウで太く見せてるけど。こないだから女子たちの間で少し話題になってたんだよ」
「あはは。女子にはバレるよね」
「それと、こないだから少し観察してたんだけどさ、もしかして橋山君、おっぱいがある?」
 
「触っていいよ」
と言って、私は神崎さんの手を取り、自分のバストに触らせた。
「かなり大きい」
「一応Dカップある」
「おっぱい大きくしちゃったんだ!」
「うん。実はおまたの形も女の子の形になってる」
「性転換しちゃったの!?」
「してないよ。機種変更ってやつ。女の子みたいな割れ目ちゃんの中に小さいけど、ちゃんとおちんちんが付いてる」
「ああ、一部で流行ってるとは聞いた。女の子のコスプレする人がおっぱいを大きくしたりとか。橋山君もその口?」
 
「いや、別にコスプレじゃないよ。ふつうの女装だよ」
「そりゃ女装するから、そんな形にしたくなっちゃったんでしょうね」
「うん、まあ」
「橋山君のそばに寄るとかすかにお化粧品かなって感じの香料の匂いがするのよね。男性用化粧品じゃなくて、女性用化粧品の香り」
「うん。ふだんからお化粧してるから。それが残ってるのかな」
 
「かなりハマっちゃってる感じね。ね。今週末にうちの職場の女子たちで女子会あるんだけど、それに来たりしない?女の子の格好で」
「えー?ちょっと恥ずかしい」
「でも、ふだん女の子の格好で外を歩いてるんでしょ?」
「むしろ男の格好してるのは会社にいる時だけ」
「だったら恥ずかしがることないじゃん」
 
私は何だか神崎さんにうまく乗せられてしまった感じで、週末の女子会への出席を同意してしまった。
 
女子会に私が女の子の格好で出て行くと、みんなから歓声が上がっていた。
「可愛い!」
「なんか凄く自然に女の子の服、着こなしてるじゃん」
「違和感無いよね」
「そのままOLで通るよ」
「会社にも女の子の格好で出てこない?」
「いや、それはさすがにクビになるんじゃないかと」
「あ、声も女の子だ」
「どうですか?部長」
 
今日の女子会には、総務部長の肩書きを持つ、社長の妹さんも出て来ている。
「うーん。これだけ自然なら、女子の制服を着てもらったら、女子社員扱いしてもいいよ。女の子の声が出せるんなら、電話応対とかもできるしね」
「おお、部長のお墨付きも出たよ」
「えーっと」
 
女の子たちとふつうに会話するのは、先日の旅行の時に体験していたので、その日の女子会でも、私はごくふつうに出席している女の子たちと会話を交わしていた。話題も女性同士で盛り上がる話題にふつうに付いていくし、調子に乗って同僚男子社員の品評会などでも積極的に発言して「お、その見方は新鮮」
などと言われていた。
 
あまりにも盛り上がったので、彼女たちからは「次回も参加してね」と言われた。
社長の妹さんからも「もし、あなた本気で女子社員として勤めるつもりあったら、私から社長に口添えしてあげるから」
などと言われた。
 
週明けから、私は女子の同僚たちと垣根無い感じで話をするようになった。
お昼も彼女たちと一緒に食べに行ったりすることもあったし、お茶を配るのは他の女子がやるにしても、お茶を入れたり、茶碗を洗ってくるのとかの作業には、私はしっかり彼女たちのローテーションに組み込まれてしまった。郵便物を出してきたり、社内で使うもののお買物などの作業も分担した。
 
女子会には常連メンツとなり、特に神崎さんなど数人の仲良しグループとは私も仲良くなり、よく一緒におやつを食べに行ったり、ショッピングやライブ・映画などに付き合ったりもしていた。むろんそういう時は女の子の服で出かける。
 
私がプライベートで女装していること、おっぱいを大きくしていることなどは次第に男性の同僚たちにも知られるところとなっていったが、そのことで特に何か言われることは無かった。しかし男性の同僚たちから飲みに誘われることはほとんど無くなっていった。
 
電話などは積極的に「女声で」取ってと言われた。これは好評だったし、私はいつしか電話のベルが鳴る直前の「カチッ」という音で電話に飛びつく習性ができてしまった。他の女子社員にも私は「洋ちゃん早〜い」などと言われて、悦に入った。ある時は、電話に飛びついて女声で「はい、○○株式会社でございます」
と言ったら、なんと自分の顧客だった! 
「はい、橋山でございますね?」
と私は女声のまま言うと、すぐに男声に切り替え「お待たせしました。橋山です。あ、こないだの件ですね」
などと、相手との要件に入った。
 
そばにいた男性同僚が呆気にとられていた。後ろの方の席に座っている総務部長が忍び笑いをしていた。
 
その年の社員旅行に私は部長にも勧められて女装で参加し女部屋(神崎さんたちと同じ部屋)に泊まり、女湯に入った。私は一応恋愛対象は女性だし、ふつうの状態で女性のヌードなど見れば性的に興奮するのだが、女性の友人と一緒に個室にいる場合や、女性と一緒に着替えたりお風呂に入ったりする場合は意識の切り替えで不用意に興奮したりはしないようにコントロールできるようになっていた。
 
その頃には私は女子の制服も渡され、女子更衣室に私のロッカーも用意してもらっていた。ふだんは私は背広を着て勤務しているのだが、ビジネスフェアに女子社員をキャンペーンガールとして派遣するような場合に行ってきてと言われることもあり、また女子幹部研修などにも度々参加していた。そのため私は女性用のスーツも自宅と会社に置いておくようにしていた。通勤時は一応背広なのだが、部長からは「通勤の時も女の子の服でいいよ」などと言われている。ただ自分としてはもうしばらくは一応「男性社員」でいたい気もしている。
 
真由との関係はうまく行っていた。彼女とはその夏から同棲を始めた。自分のアパートを引き払い、彼女のアパートに一緒に住むようになった。彼女とは毎晩のようにレスビアンセックスを楽しんでいる(彼女の生理中はお休み)。休日は一緒にお出かけすることも多く、会話していても楽しいし、今はとても幸せだ。
週末に一緒に小旅行に行くこともある。冬のボーナスで彼女にはエンゲージリングを贈るつもりでいる。
 
元々、こういうおちんちんにしたのは、小さいほうがフェラが気持ちいいですよという話からだったのだが、彼女にされるフェラ(クンニ?)は物凄く気持ちが良かった。以前の恋人にされていたフェラは物理的な快感はそれほどでもなく、むしろ痛いという感覚が大きく精神的なもので快感を得ていたが、真由にされるフェラ(クンニ?)は物理的にもほんとに気持ち良くて、頭が壊れてしまいそうだった。もちろん私も真由にはたくさんクンニをしてあげたし、じゃんけんで下になる側を決めて69もたくさんした。
 
「でも、洋子、もう身体を元の形に戻す気、無いでしょ」
「うん。なんかこのままでいいかな、という気になってきている。大きなおちんちんが股間に付いてる自分がもう想像できない」
 
「ヴァギナはどうするの?もし付けたら、私指とかで攻めてあげるよ」
「いや、まだ男性機能を放棄する気にはならないから」
「じゃさ、私達が結婚してから、子供を2〜3人作った所で、完全な女の子になっちゃう、なんてのはどう?」
「うううううん。。。。そう煽られると、なんかその気になってしまいそうで自分が怖い」
 
でもきっと、そうなっちゃうんだろうな。私はそんなことを思いながらダブルスプーンで彼女に極小おちんちんを責められていた。そして結婚式の時、私はタキシードなのかな?それとも私もウェディングドレス着ていいのだろうか、などというのもちょっと悩んでみたりしていた。
 
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