【受験生に****は不要!!・起】起てちゃだめよ!!

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※お断り。この物語は薬学部がまだ4年制だった時代、そして法科大学院制度が導入される前の物語です。
 

ママは突然入ってきた。
「何やってんの? また、こんなものをどこから持ってきたの!?」
ボクは友達が貸してくれた、女の人が裸で縛られている写真を見ながらおちんちんをいじっていた。
 
先週にも女の人のヌード写真を見ながらしていた所を見つかり、写真を捨てられ、ボクは罰として、女物のパンツを履かされた。ママがカリカリしているのには訳がある。ボクは今高校受験を目前にしている。本当は必死で勉強していなければならないのに、こんなことしていたからだ。でも受験勉強でずっと机の前に座っていれば、ふとおちんちんに手が触れてしまうことだってある。そんな時はボクも男の子だもん。少しいじって頭を休めようかな、なんて思っちゃうんだ。ママは女の人だから、こんな気持ち分からないだろうな。
 
でもママは物凄く怒った様子で、その友達から借りた写真を破って破って細かくすると、とんでもないことを言い出した。「何度言ってもやめないんだったらもう、おちんちん取っちゃうしか無いわね」その言葉は全然冗談には聞こえなかった。
 
ママはどこかに電話していた。そしてボクに一緒に来るよう言って車に乗り込んだ。着いたのは桜木レディースクリニックと書かれた所だった。ここは知っている。ママのお友達がやっている病院だ。何されるんだろう。
 
ママと一緒でも女の人専門の病院に入るのは何だか恥ずかしい。でも待合室にはちょうど他に誰もいなくて、ちょっとホッとした。ボクらはすぐに診察室に通された。ママのお友達の桜木さんが白衣を着ている。
 
「話は聞いたわ。じゃ、おちんちん取っちゃおうね」
「えー!?」
「心配しないで。受験が終わるまでうちで冷凍保存しておいて、あとでちゃんとくっつけるから」
「お願いするわ、ユミ」とママが言う。
 
ボクはいきなり注射を打たれると、すぐに意識を失った。

 
気が付いたら病院のベッドに寝かされていた。
ボクはしばらく記憶が混乱していたけど、やがて桜木クリニックに連れてこられて注射を打たれた所までを思い出すと、あわてて手をあそこへやった。何だか包帯が巻かれている感じ。よく分からない。もう取られちゃったのだろうか。そんなの嫌だ。
 
しばらくして看護婦さんが来てボクが意識が戻っていることに気づくと先生を呼んできてくれた。「手術は何の問題もなく終わったわ。春紀クンの陰茎と陰嚢を切除して、これは組織を壊さないように特殊な方法で冷凍して保存しています。今日は12月26日ですね。3ヶ月後の3月26日に再手術して、くっつけましょう。それまでしばらくおちんちんの無い状態で、受験勉強頑張ってね」
 
やっぱりもう取られちゃったんだ。ショック。先生は続けた「もう血は止まっているはずだけど、念のため明日の夕方まで入院していましょうか。ああ、大丈夫。トイレ・バス付きの個室を用意しているから、他の女の患者さん達の目にはさらさないからね。今君のママはあなたの受験勉強の道具を取りに行ってるよ」
 
ボクがショックを受けている様子を見ると先生はこんなことを言った。
「おちんちん無いと、おしっこする時も感じが全然違うだろうけど、女の子はみんな生まれたときからそれでやってるからね。すぐ慣れる。大丈夫よ」と。それ、何の慰めにもなってない。そうだ。ボク女の子みたいに、しゃがんでおしっこしなくちゃいけないのかな。それもなんか変だな。でも取り敢えず冬休みで良かった。

 
翌日の昼頃、先生が来て包帯を外す。それで初めて自分でそこを見た。「無くなってる」言われてはいたけど、実際に見るとまたショックだ。おちんちんもその後ろにあった袋も無くなって、代りに割目が作られている。
「何にも無くて真っ平らなのも変だからね。サービスで女の子と同じような割目を形成しておいたから。足を広げて」
ボクが足を広げると、その割目も広がり中が見える。先生はその中に指を突っ込み、割目内の上の方に突起があるのを触って言った。
「ここからおしっこが出るから。これを自分の指でおさえて、おしっこの向きをコントロールしてね。それと、おちんちんが付いている状態より、おしっこ近くなるから、早め早めにトイレに行くようにしておくこと。それからお風呂に入った時は、この割目の中まできれいに洗って、いつも清潔にしておいてね」
 
「女の人も、みんなそうなんですか」ボクは思わず聞いてしまった。
「そうだよ。おしっこなんかは物心付く前からやってれば、わざわざ指でおさえなくても、ちゃんとコントロールできるようになってるけどね。キミは女の子1年生みたいなものだから、最初から上手には行かないよ。慣れるまでは気を抜かないことだね」
「これって、女の人の形と同じ?」
「学校の性教育でやらなかった? そうか。実物までは見せないからなぁ。外見的にはほぼ女の子だよ。ただ膣が無いよね」
「膣って、どこにあるんですか」
「大胆なこと聞くね。まぁ中学生だから、教えてあげる。本当の女の人なら、この付近に穴が空いているんだよ」
と言って、先生はボクの割目の下の方を指で押さえた。
「性交の時は、男の人のおちんちんを女の人のそこの穴に入れるの。そして、その中で男の人が射精すれば、精液の中に含まれる精子が、女の人の卵巣の中から出てきた卵子と出会って、それで受精すれば、それから赤ちゃんができるんだよ」
 
性教育は受けたけど、女の人の身体の構造がスライドではいまひとつよく分からなかったから、ピンと来なかったけど、今実物の割目を見ながら説明されると、少しは分かる気がする。
「性交って女の人も気持ちいいの? おちんちん入れられて辛くない?」
「とても気持ちいいよ。キミいっそ、男の子に戻さずに完全な女の子にしてあげようか?そしたら体験できるよ」
「そんなことできるの?」ボクはちょっと興味を感じて聞いてみた。
「女の子になりたい?ただ、膣を作るのにおちんちんを材料に使っちゃうからね。もう男の子には戻れなくなるけどね」
それなら嫌だ。ボクは思わず首を横に振った。
 

 
退院までに自分の個室でトイレとお風呂を一度はしておくようにと言われた。診察を終わってから昼食を食べしばらくすると、おしっこがしたくなった。初挑戦。洋式のトイレにまたがる。O型だ。O型だと、今まではおちんちんが前にぶつかりそうな感じがしたのだけど、それが無くなっているので不安が無い感じ。さて、どうやってするのだろう。よく分からない。先生に言われたように指でその付近を押さえてみた。これが女の人と同じ形だと思うと、何故かドキドキする感じ。そういう時今まではおちんちんが大きくなっていたのだけどその大きくなる物が無い。これは変な感じ。それにしてもおしっこの仕方がよく分からない。力の入れ具合というか抜き具合がどうにも分からない。ボクはギブアップしていったんパンツとズボンを上げてベッドに戻った。
 
でもしばらくすると、もうおしっこが我慢できない感じになってくる。ええい、きっと何とかなる。ボクはもう一度トイレに入り頑張ってみた。「あ、出た」色々とやってる内に、おしっこがチョロチョロと出始めた。「やった!」と思った瞬間緊張がほぐれて、出る量が一気に多くなる。すると、今度は飛び散り始めた。ギャー、これどうしよう? そうだ、指でコントロールするんだ。指でその付近を下へ(奥へ?)向けて押さえる。少しは何とかなり始めた。だいたい出終わった時には、ボクは大きく肩で息をした。「これは大変だぁ」ボクは飛び散ったおしっこを丁寧にトイレットペーパーで拭いて一緒に流した。
 
「よし続けて、お風呂だ」ボクはバスタブにお湯を溜めた。それから服を脱いで中に入る。改めておちんちんが無くなったお股を見て、ふーっと息を付く。そこだけ見たら本当にまるで女の子だ。でも、おっぱいは無いし、喉仏はあるし、ヒゲもあるし、これを見られない限りは、男の子として通用するよな。そう思うと少し元気が出てきた。シャワーを弱めにして、その部分を洗ってみる。もう手術の傷の痛みはあまり無い。縫った所に触るとちょっとだけ痛いけど、気にせずにいられる範囲だ。でもその付近を触っていると本当にドキドキする。その内、本物の女の子のここに触ってみたいな。そんな気がした。
 

ちょうど、冬休みの最中だったのが助かった。
 
ボクはずっと家で受験勉強を続けていた。ボクは塾には行っていない。家にいる限りは自宅のトイレでおしっこできるから、安心して洋式トイレに座ってできる。冬休み中何度か外に出る機会があり、デパートのトイレにも行った。もちろん男子トイレに入るけど、ボクは小便器が使えないから、ボックスに入る。和式では自信が無いので、空くのを待ってでも洋式を選んだ。少しずつおしっこは慣れてきた。そしておちんちんが無い状態そのものにも、少しずつ気持ちが慣れてきた。
 
でも確かに無くなってしまうと突然ムラムラとすることもなくなった。今までは2〜3日に一度くらいはオナニーしてしまっていたのに、全然する気にならない。もっともおちんちんが無いからしたくてもできないけど、そもそもしたくならない。これは学校の性教育で習ったことを思い出して考えてみれば、おちんちんが無いからではなく睾丸が無いからのはずだ。それで男性ホルモンが出てないからなんだろうな。確かにお陰でボクは受験勉強に集中することができた。
 
やがて3学期が始まる。しかし3年生の授業はもう適当だ。1月の内から早い学校の試験が始まる。クラスの中に出てきていない子がたくさんいる。学校を休んで塾に行っている子もいるようだ。先生も出欠を取っていない。誰が休んでも気にしていない感じ。ちなみにボクが受けるのは2月に私立2校と3月に公立1校。私立の内ひとつはほぼ確実な学校、ひとつはかなり無理っぽい学校、公立が実は微妙な線。12月中旬の面談では確率は20%くらいだけど頑張れば可能性が出てくると言われていた。でも、おちんちんがなくなって勉強に集中できるようになったおかげで、そこに通りそうな感じがしてきた。
 
学校ではトイレはもちろん男子トイレのボックスだが、学校のはほとんどが和式。うまくいくかどうか不安だったが何とかできた。でも洋式のある職員室近くのトイレが使える時はそこを使っていた。何かの用事で近くを通ったら必ず行っておくようにしたのだ。確かにおちんちんがあった時にくらべておしっこが近い。
 

2月になった。最初の私立を受けに行く。市内の高校なので普通に家で朝ご飯を食べてから出かけた。午前中に国語と数学。午後から英語。ところが数学を解いている最中に急に気分が悪くなってきた。何とか書き上げたけど、最後の方はどう書いたかよく覚えてない。まずいなぁと思う。そこに、同級生の亀井美夏が声を掛けてきた。「どうしたの?顔が青いよ」「うん、ちょっと気分が悪くなっちゃって」「風邪?あ、そうだ。私お薬持ってるよ。飲む?」「うん。ありがとう。助かる」
 
美夏はポーチから錠剤2種類と粉薬を取り出した。「錠剤は2錠ずつ飲んでね」
「まるで病院からもらった薬みたい」「うん。こないだ私が風邪引いた時のだけど、早く治っちゃったから、とっといたんだ。全部あげる。返さなくていいから」と美夏はまるごとボクに渡してくれた。「じゃ、どこかで水を貰うよ」
と言って、ボクは教室を出た。職員室か何かを探して歩くのだが、初めて来た学校なのでよく分からない。ボクは完璧に迷子になってしまった。困った。
 
その内もう午後の試験開始の5分前になってしまう。ボクは諦めて教室に戻ることにした。それもかなり苦労したが、何とか開始ギリギリの時刻に戻ることが出来た。仕方ない。このまま頑張るしかない。幸い、英語は比較的得意だ。ボクはできるだけ急いで解答を書き上げると、速攻で答案を提出。家に帰った。そしてそのまま御飯も食べずに寝てしまった。幸いにも翌朝には体調は戻った。
 
一週間後、もうひとつの私立の受験に行く。今度は少し離れたY市にある高校なので電車で前日にY市内に入りホテルに一泊する。ママが付いてくる予定だったのだけど、急に親戚の法事の手伝いの手が足りなくなって、そちらに行くことになりボク一人で行く。一人で大丈夫だよと言ったし、ママもどうせこの高校には通るまいと思っているから、どうでもいいのだろう。この学校はそもそも制服の無いところで、私服で構わないようなので、ボクはポロシャツにジーパン、それに普段着ているスタジャンだけでは寒そうだったので去年お嫁さんに行った姉の使っていたダウンジャケットを借りて出かけた。
 
遅刻したらまずいので前日は11時には勉強を中断して寝た。寒い日なので、暖房を全開にして寝る。
 
目が覚めたのは明け方5時頃だった。ノドが痛い。暖房を全開にしたのがまずかったかも知れない。部屋がひどく乾燥しているようだ。ボクはお風呂場の戸を開けて、バスタブにお湯を溜める。これで、この湯気で少しは良くなるはず。(*1)
 
それにしてもノドが痛い。うがいはしたけど、そのくらいではなおらない。そうだ。ボクは突然こないだ美夏からもらった薬のことを思い出した。あの時は結局飲めないままになってしまったので、カバンに入っていた。
 
2錠ずつと言ってたよな。でも、たくさん飲んだらすぐに効くかな。4錠飲んじゃおう(*2)。ボクはそう思うと、錠剤を4つずつ飲み、粉薬の方だけ1回分を水と一緒に飲み干した。本当はここで寝た方がいいのだろうけど、今の時間から寝ると遅刻が怖い。ボクはもう起きて勉強することにした。
 
(*1)これをやりますと、火事と誤認されてスプリンクラーが作動する場合があります。乾燥しすぎた時は窓を開けちゃうのが一番。
 
(*2)薬を決められた量以上飲むと、命にかかわることもあります。これはとても危険です。
 
試験は9時からだけど交通機関が止まったりしたら困るので、7時にはホテルを出て会場へ向かった。何事もなく8時前に到着。しかし既に来ている受験生もある。8時には校舎が開けられて、教室に入ることが出来た。試験は今回は午前中に英語と国語、午後から数学。ところが英語が始まる前にボクはかなり気分が悪くなってきた。頭がガンガン痛い。幸い熱は出ていないようなのだが体中がたるい感じで、思考能力が急低下。こりゃだめだ、と思ったけど、そもそも期待していない学校だから、気にせずとにかく答案だけは書いて帰ることにした。
 
結局本来は得意な英語も含めて三教科とも、どんな問題が出て、どんな解答を書いたかほとんど記憶に残っていない状況で答案を出し、数学の答案を終了時刻の10分前に提出して、ボクは帰りの駅に向かった。すると不思議なことに駅に着いた頃、気分が随分良くなってしまった。こんなことってあるんだ。きっとこの高校はボクには縁が無いんだろうな。ボクはそう思うと電車に乗り込んだ。
 
しばらくして改札に回ってきた女の車掌さんが「キミ気分でも悪いの?」と聞いた。そうか。まだ顔色は回復していないのかも知れない。「ええ。でもだいぶ良くなってきました」と答える。「この車両は人が多いからなぁ。隣の車両に移るといいよ。あちら今日はかなり空いてるから」と車掌さんはボクを連れて隣の車両に移り、空いている席を指示してくれた。
 
「この車両は女性専用だから、男の人から覗かれる心配もないから安心して楽にしててね」
 
『え?』と思った時はもう車掌さんは向こうに行ってしまった。そうか姉のダウンジャケット借りてきたし、受験前で床屋さんにも3ヶ月くらい行ってなくて髪が伸びてるし、女の子と間違われたのだ。
 
改めて周りを少し見回すと、本当に女の人ばかり。きゃー、こんな所にいてもし男とバレたら、と思ったが、身体検査されてもおちんちん付いてないし。むしろ今自分は女の権利があるのかも知れない、という気がしてきた。じゃ別に構わないか。ボクは急に安心してしまった。そしてその安心感が気持ちいい眠りを誘い、ボクは熟睡した。自分の降りる駅に着く頃には、その睡眠もあって、すっかり体調は良くなった。
 
電車を降りて、出札を通る前にトイレに行こうと思ったのだが、ホームに降りたところでバッタリとさっきの車掌さんと出会った。「先ほどはありがとうございました。おかげでぐっすり眠れました」ボクはできるだけ高いトーンを使ってお礼を言った。「良かったね。さっきは声の調子も悪かったみたいだったしね。私もこの駅で列車を見送ったら交替なんだ」という。その声は....さっきは男の地声だったし。「あ、トイレでしょ。どうぞどうぞ」ボクの進行方向を見て彼女は言う。こうなると、この人が見ている所で男子トイレには入れない。えい、仕方ない。ボクは勇気を出して女子トイレに入った。
 
トイレの中ではボックスは埋まっていて、中年の女性が2人順番を待っていた。ボクは開き直って、その行列の後ろに並んだ。さすがに前の2人とあまり顔を見合わせたくないから、横を向いたり後ろを向いたりする。ところが、その後から今度は若い女性が入ってきた。きゃー。ボクはさすがに恥ずかしくてその人とあまり顔を合わせないようにした。もっともあまりオドオドしたらまるで痴漢だ。ボクは自分は女の子、女の子。そう思いこむことにした。
 
幸い、すぐにボックスが続けざまに3つ空いた。ボクはボックスの中に飛び込むと大きく肩で息をした。おしっこを済ませてから外の様子をうかがう。できれば人がいなくなってから出たいのだけど、どうやら人数は逆に増えてきているよう。ボクは諦めて、水を流したあと勇気を出して外に出て.....今度は手を洗う列に並ぶはめになった。もう開き直りの連続だ。順番が来て、手を洗うともう急いでトイレを出て、出札を通った。
 

次の公立の入試まで約三週間。時期が時期だけに何度か体調を崩したが、その度に、美夏からもらった薬の残りを飲んでおいた。すると、この薬、どうも飲むとしばらくして頭痛が来て身体に倦怠感が発生するのだが、それが過ぎると体調がとてもよくなることが分かった。どうやら、こないだの受験の時にはその頭痛が出るピークに、ちょうど試験時間がぶつかってしまったのかも知れない。まぁ、元々通りそうにない学校だから構わないけど。
 
ボクは相変わらず勉強に集中していた。もうおちんちんが無いという状態を不便とは思わないようになってきていた。ボクにとっては、これが日常という感じになりつつあった。ボクがよく勉強している様子にママも安心している。
 
でも、その頃からボクは少し身体に違和感を感じ始めていた。実は少し胸が張っている感じが良くするのだ。何だか微妙に胸が膨らんでいるような気もする。男性ホルモンが無くなったことでひょっとしたら身体が多少女性化しているのかも知れない。でも3月末になったら睾丸も戻してもらえるから、普通に戻るだろう。ボクは気にしないことにした。
 
やがて3月になる。私立の発表が公立より先にある。最初に受けた学校。何と落ちていた。これはちょっとショック。やはり体調を崩したのが敗因だったのだろう。試験問題は易しかった。だから逆に点数が高くないと合格しなかったのだろう。ママも「死んでも公立通るのよ」と言う。いや、死んだら困るんだけど。
 
そして2番目に受けた学校。何と通っていた。ウソ!体調が悪くて何を書いたか全然記憶が無いのだけど、それがタマタマ正解確率が高かったのかも知れない。友人に聞くと難問が多かったらしいからある程度の点数が出れば通ったのだろう。ママは大喜びだった。一転して「頑張ったのね」と言うが、実は偶然の産物だ。さて、そこに入る気があれば公立の受験日の前日に設定されている期限までに入学金と1年分の授業料を納めておかねばならない。結局入らない場合は授業料は返してくれるが入学金は戻ってこない。やや大きな金額なのでママはパパが長期出張で行っているブラジルに国際電話を掛けて随分話し合っていた。しかし、一応入金しておくことになったようだ。
 
「でも公立も頑張ってね」とママは言う。うちの家計ではそこの私立はやや大変なんだろうなと思う。ボクも当然公立を頑張るつもりでいた。
 

そして公立の受験日がやってきた。私立は三教科だったが公立は五教科だ。二日がかりになる。
 
1日目、午前中に国語と理科。午後から英語。英語はヒアリングもある。それが無事終わって2日目、午前中に数学と社会。その2日目の朝、30分くらい前に教室に入って、参考書を読んでいると、亀井美夏がボクの机の所に来て、「ちょっと話しがあるんだけど」と言い、ボクを校舎の外に連れ出した。
 
「どうしたの?」「あのさ、春紀くん、身体の調子がおかしかったりしない?」
「え?ボクは今日は大丈夫だよ。あ、こないだの薬ありがとう。あれ、すごく良く効くね」「やはり、飲んじゃったのね。あぁ、どうしよう」
 
ボクはちょっと焦った。「何か飲んじゃまずい薬だったの?」「あのね。私、そのつまり最近少し生理不順なんだ。だからそのことを言ってたら、風邪薬と一緒に病院では、生理不順を治す薬も一緒に渡してくれてたの」「え?じゃ、まさか」「うん。あの薬、女性ホルモンが入ってたから、男の子が飲んじゃうと、変な副作用が出たりしないかと心配して」
 
そうか。胸が張ってきたのはそのせいか。でもそれなら逆に今ボクは今月末までは中性だから全然平気だ。「いや、飲みはしたけど、特に変わった様子は無いよ」とボクは美夏を安心させるように言った。
 
「でもさ。私見ちゃったんだけど」「え?」「こないだ、春紀くん、駅の女子トイレにいたでしょ」ガーン、見られていたんだ。こちらの方がショックだった。
「その時は男の子って嫌らしい、なんて思ってしまったんだけど、昨日渡した薬のことに気づいて。もしかしたら女性ホルモンの作用で、春紀くん、女の子の気分になってしまって、それで女子トイレに入りたくなったんだろうか、て急に心配になってしまって。あの、なんて言うんだっけ。私男の子の身体よく分からないんだけど、あれ立ちにくくなっていたりしない?大丈夫?」
 
それは全然心配無いというか、そもそも立つものが今のボクには何もない。でもそんなことは言えないので、どう返事しようかと迷い「えーっと」とボクはちょっと美夏の視線を外して、一歩横に動こうとした。「あっ」「え?」
 
ボクらは同時に声を出していた。そこには地面が無かったのだ。ボクは校内を通っている小さな川の側で話していたことをきれいに忘れていた。ボクはそのまま斜面を滑り落ちると、ザブーンと真冬の川にはまることになった。「春紀くん!」「だ、大丈夫!」ボクはすぐに反応して声を掛けると、自力で川の中で起きあがり、斜面をよじのぼった。
 
「でも、ずぶぬれ」「うん。このままじゃきついな」「着替えとかは?」「何も持ってない」ボクもまさか冬に水浴びをすることになるとは思わなかったし。
「あの。私ので良かったら着る?私、試験が終わった後着替えて町に遊びに行こうと思ってたから」「うん」「ただ....」「どんなのでもいいから貸して」美夏はすぐに教室に行ってバッグを取ってくると、ボクを連れて....近くの女子トイレに一緒に入った。
 
「どうして女子トイレ?」「私が男子トイレに入ったほうが良かった?」「いや」
「それに、私の服だから、女物よ。早く、そこの中で着替えて」ボクは美夏がバッグの中から出した服を受け取ると、ボックス中に入った。
 
とにかく水に濡れた学生服、ズボンを脱ぐ。シャツも濡れている。パンツはそれほどでもないから、そのまま履いておくことにした。さて、美夏の服を着ようとする。まずは上着。ブラウスだ。あまり飾り気がないから、これなら何とか。ボタンを締めようとして戸惑う。そうか左右逆なんだ。とにかく試験が終わったら速攻で家に帰ろう。しかしこのボタン、逆に付いていると留めにくい。しかしこれを着ると、随分暖かい気がした。助かったな。それから、もうひとつのを身につけようとする。えーっと、これは.................スカート?
 
おちんちんを取られてしまってから2ヶ月半。でもスカート履くことになるとは。しかしパンツのまま受験の教室には行けない。はぁ。ボクは諦めて履くことにした。しかしこれ。どっちが前なんだか、いやあるいは横なんだか、さっぱり分からない。まぁどうでもいいやとボクは思い、ファスナーのある側を前にして両足を入れ、腰の所まで引き上げると、金具を留めてファスナーを上まであげた。それで出ていくと、美夏は「あ、違う」と言い、スカートの中に収まっていたブラウスを外に出すと共に、スカートを90度回して、ファスナーのある所を左側に持ってきた。そして濡れてしまったボクの服をビニールで強化された紙袋に入れてくれる。「さぁ行こう。もう始まるから」ボクらは教室に戻った。
 
結局ボクはこの2日目の2科目をブラウスとスカートというスタイルで受験してしまった。幸いにも同じ教室に知っている人がいないので助かった。しかし全部終わってからだと他の同級生に出くわす可能性がある。最後の社会の試験はできるだけ早く解答を書き上げ、簡単に見直した所で、終了時刻より15分前に教室を出て帰った。会場となっている高校から自宅まではバスで20分くらい。その間、スカート姿でずっと座っているのは、恥ずかしくてたまらなかったが、逃げ道もないから仕方ない。
 
家に戻るとうまい具合に母は留守だった。いそいで普通の服に着替える。しかし美夏から借りた服を洗濯しようとしていたら、母が戻ってきた。
 
「あら洗濯は私がするわよ。それより試験はどうだった?」「うん。手応えは充分だったよ」と答えながらも気がそぞろ。しかしボクが手に持っていた服は母に見事に見つかってしまった。ボクは素直に話した。「実は校内で川に落ちちゃって、ちょうどそばにいた亀井美夏さんが、着替えを持っていたんで貸してくれたんだ」と言うと、母は「あら、良かったわね。後でお菓子でも持ってお礼に行って来なくっちゃ」と言いながら、その服を手に取る。「え?あなたこの服を着て受験したの?」と呆れた風。「だって裸って訳には行かないし」
「そうね。春紀、今おちんちん取ってるからスカート履いてもいいよね」と何だか変に嬉しそうな顔。ボクは何だか嫌な予感がした。
 

その日、美夏には電話で礼を言い、翌日乾いた服を持って、自宅まで訪ねて行った。美夏には女子トイレに入る羽目になった経緯をきちんと説明した。すると彼女は大笑いで「でも良かったね。誰にも怪しまれなくて。本当にあの時、春紀ってほとんど女の子に見えたよ。私も誰か知っている子だけど、誰だっけって、その時は気づかなくて。後で分かったんだよ」と言う。
 
「でも、薬の件は本当に御免ね。もし、それで春紀のおちんちん使い物にならなくなったりしたら、私責任取って結婚してあげなくちゃって思ったんだよ」
「いや、その件は問題ないから」
「ちゃんと使えてる?」
「うん」と、これはウソだけど答える。
「触ってみていい?」
「ダメだよ」と慌てて、ボクは腰を引く。触られて無くなっていることが分かったら困る。
「だって、子供の頃はお医者さんごっこで、たくさん春紀のおちんちん触ったよ」
そうだった。ボクと美夏はそういう関係だった。ボクも美夏のあの付近を随分触っている。でも女の子の構造はよく分からなかった。今のほうが自分のをじっくり観察していて、想像が効く。
「ボクも、美夏に対して責任が取れる年になったら、また触らせてあげるから」
とボクは答えた。
「じゃ、その証に今、私にキスできる?」
 
ボクはドキッとした。もし今自分におちんちんがあったら、美夏とこのまま性交してしまいたくなるのかも知れない。そんな気もした。だけど今はそれがないから、純粋にその言葉に反応ができるような気がした。
ボクはじっと彼女を見つめると唇を近づける。彼女が途中で耐えきれないように目を閉じた。でもボクは構わず顔を近づけ、彼女の唇に触れた。
そしてそのままボクの頭の中の時計で4分28秒くらいじっとしていた。彼女も動かなかった。
 
どこかでガタっという音がした。美夏がさっと身体を離した。
ボクは彼女の手を握ると「でも昨日は本当にありがとう。助かった」
と言うと、立ち上がって彼女の部屋を出た。
 

公立の試験が終わった1週間後に中学の卒業式。そしてその2日後に合格発表がある。ボクなりにかなり自信があったので不安はなかったが、ママは自分が一緒に行ったら良くないかもと言って自宅に残ったので、ボクは一人で発表を見に行った。合格していた。これこそおちんちんを取られた成果だな、とボクは心の中で苦笑した。しかし10日もたたない内に、あれが戻ってくるんだ。「付いてるのも面倒くさい気もするな」と思ってから、ボクはなんてこと考えてるんだろう、と慌てて自分の考えを取り消した。
 
美夏がいたので声を掛けた。「どうだった?」「ドッカーン」美夏はおどけた様子で言った。「だめだった」美夏はかなり成績はいい子だ。クラスでも1・2を争っている。それが通らなかったなんて。「理科で苦手な生物問題が全然分からなかったんだよね。ヤマカンで答え書いたんだけど、あれが全部外れていたんじゃないかな」と、少しショックな様子。「春紀は?」「通った」
「やったじゃん」「でも、美夏は、どうするの?」
 
美夏はこの学校に賭けていたのだろうか。考えがまとまらない様子だったが、やがて口を開いた。「Y市のK女学園も一応合格してるんだけどね。あそこに行くしかないかな」ボクらはゆっくりと高校を出てバス停の方に向かった。
「K女学園なら、いい学校じゃない。レベル高いし。ここより上でしょ?」
「でも、私女の子ばかりの学校って嫌だな。ここに入りたかったんだけど、でも2次募集やる所ではあまりいい所残ってないし。春紀はここに行くの?」
 
「ボクは、こことY市のT高校と通っているんだけど、まだどちらに行くかは決めてない。これから親と相談して決めることになるけど」「え?T高校だったんだっけ?すごいじゃん。よく春紀の頭で通ったね」「でも授業料高いよ」
「あはは、それはK女学園も同じだ。だけど二人ともY市に行けたら、私たち付き合えるね」ボクはドキッとした。そうだ。きっとボクらの年齢では物理的な距離が離れてしまったら、恋愛じみた感情も消えてしまうんだろう。ボクらはバス停の所まで辿り着いたけど、どちらから言うともなしに、そのまま歩き続けた。
 
「美夏は、Y市に行くとしたら下宿?」「Y市に伯母がいるからね。そこにやっかいになることになるかな、多分。単独でアパート住まいとかはさせてくれないよ。女の子は面倒だよね。春紀はアテあるの?」「いや。行くとしたら今から探さなきゃ」「だったら、私の伯母の所に一緒に下宿できないかな。あの家、広いから2人増えたって全然平気だよ」「でも、男の子と女の子が、同じ所にってまずくない?」「平気。何もしなきゃいいんでしょ。何かあっても結婚すればいいし、一応万一間違いを起こしたらおちんちん切っちゃいます、くらい言っておけば大丈夫よ」ボクはまたドキっとした。今まさに切られてしまっているのだけど。
 
結局美夏とボクはうちまで歩いて帰ってしまった。そしてその間にいろいろな話をした。万一これが会う最後になってしまっても後悔しなくていいくらいに。
 

ボクが自宅に戻って合格したことを報告すると、ママはとても嬉しそうだった。
「本当に、あなたよく勉強したのね。最初のひとつはミスったけど、あと二つは合格だもんね」「うん、おちんちんが無かったから集中して勉強できたのかもね。このまま無いほうがもっと勉強できたりして」「そう。じゃこのまま無いままにしておく?」「え?」
 
ママはとんでもないことを言い出した。「ユミに聞いてみたんだけどね。冷凍しているおちんちんはだいたい5年はそのままにしておいて大丈夫らしいわ。だから、あなたこのままおちんちん付けないでおけば、高校時代の3年間もよくよく勉強できて、いい大学に進学できるんじゃないかなって。だから、あなたせっかく公立にも合格したけど、T高校の方に行きなさいよ。今朝パパから電話あってね。4月から昇給することになったから、学資の方は大丈夫だから」
 
T高校に行けるのなら美夏と、同じ下宿でなかったとしても近くにいれる。しかし、あと3年間おちんちんの無いまま? でもボクはそれでもいいかもと思ってしまった。この3ヶ月、ほんとにおちんちんが無い状態でボクは好調だった。ボクは笑いながら「それはいいけど、おちんちんないと立っておしっこできなかったりして、結構男子として学校生活するのにも不便なんだよ」と言うと、ママは恐ろしいことを言い出した「女子として生活すれば問題ないわよ」えぇ!?
 
「先生から聞いたけどT高校はあなたの学校から10人受けて合格したのは、あなた一人だけ。つまり誰も知っている人がいないんだから、女の子で通してしまえばいいのよ。というか、T高校は制服なくて私服通学だから、学籍簿の上で男子として登録されていても女の子の格好するのは自由でしょう?そういう格好でいれば他の男の子から変な遊びに誘われる心配も無いし。楽じゃない。だから、まずこれ着てみて」
 
ママがスーパーの紙袋を取り出すと、中には真新しい女の子の下着とスカート、可愛いブラウスが入っていた。「サイズはちゃんとあなたに合う筈よ」とママは言った。これをボクが着るの?いくらおちんちん取られてるとはいえ、ボク、男の子なのに。しかしママは強引だ。囃し立てられるように、ボクは着ていた服を全部脱ぎ、それを身につけた。ブラジャーなんて初めてしたけど、胸が締め付けられる感じで変。全部着せるとママはボクを鏡の前に連れて行く。
 
おそるおそる覗き込んだ。あ、何だか可愛い。えー。でもこんな服着るなんて変態なんじゃ。でも今おちんちん無いし、いいのかなぁ。「取り敢えず、今日はずっとこの格好でいなさい。どこか出かける訳でもないからいいでしょ?」
ママはそう楽しそうに言うと台所に行ってしまった。
 

その晩、美夏から電話があって、やはりK女学園に行くことにし、伯母の所に下宿することを決めたと言ってきた。美夏はボクのことも、その気があるなら言うから連絡してくれと言った。ボクは少し待ってもらうことにして、その件をママに話すことにした。
 
おちんちんいじっていて切られちゃったのに、幼なじみの女の子が下宿する家に一緒に住むなんて、とんでもないと言われるだろうなと思いながら、恐る恐る話すとママは意外にも「いいことじゃない」と言った。そして明日ママとボクとで、美夏のママの所に行き、その件を話し合いましょうということになった。
 
翌日、さすがに外出するというのでスカートは勘弁してもらって普通のジーパンを履いて、ボクはママに連れられて美夏の家に向かった。でも実は下着は女の子用を付けたままだった。男物を付けることを許してくれないのだ。
 
ボクと美夏が同じ家で暮らすということ自体に関しては美夏のママもボクのママも全然抵抗が無いようだった。「結婚させちゃってもいいですしねぇ」と双方とも言う。ボクも美夏もちょっと頬を赤らめた。「この場だから正直に言いなさいよ。もうHくらいしちゃってるんでしょ?」と美夏のママが言う。「ううん、キスしかしてないよ」と美夏が即答した。ボクは真っ赤になった。
 
「ただ、あれですよね」とボクのママが言い出した。「親としては問題なくても、実際に男の子と女の子が一つ屋根の下で暮らしているのを世間様が見たら、ふしだらなと思うかも知れません。それで、どうでしょう。うちの息子にはその3年間、女の子の格好をさせておくというのは?」「え?」これには美夏も美夏のママも驚いたようだった。
 
「でも、確かに春紀、女の子でも行けるよね」と美夏が言う「それも面白いかもね」しかし美夏のママが心配そうに言う。「でも、それでは春紀さんの学校の方に支障がありませんか?」「それ考えたんですけどね。この年頃の男の子って親の目が離れると色々と悪い遊びを教え合ったりするでしょう。女の子の格好をさせておけば、そういうのに誘われることもなく、勉強に集中できるんじゃないかと思うんです」「あ、それ確かだと思う。私も春紀に変な遊び覚えて欲しくないな。私がいるんだから」と美夏が何故か援護射撃する。「でも春紀さん、女の子の格好なんて恥ずかしくない?」ボクは充分恥ずかしいと言おうとしたが美夏に遮られてしまった「大丈夫。私が色々と教えてあげるから。お化粧なんかも練習させちゃう」
 
結局、それで話が決まってしまった。ボクは女の子の格好をして来月からT高校に通うことになった。下宿先は美夏の伯母さんの家で、美夏も一緒だ。ある意味では「新婚生活」みたいなものだけど、対外的には女の子二人が同じ家に下宿するだけ。どうやら、これでボクのおちんちんもまだ3年は帰って来ないことになったようだ。
 

翌日、早速ボクは今日はとうとうスカートを履かせられて駅で待ち合わせ、美夏と美夏のママと四人でY市に向かった。ボクのスカート姿は美夏にもそのママにも好評だった。美夏は明らかにこの「遊び」を面白がっている。
 
美夏の伯母の家はかなり大きな家で、ボクらはその2階の隣り合った部屋を使わせてもらうことになった。伯母にはボクが男の子だけど女の子の格好をさせると伝えてあったのだが「全然男の子には見えない。おちんちんなんか、付いてないみたい」と言われた。確かにおちんちんは付いてないんだけど。叔母さんはボクを気に入ってくれたようだ。
 
その週の内に荷物をまとめ、引っ越し作業。月末には美夏の方もY市に落ち着いて、ボクらは新しい生活を始めた。ボクの荷物は勉強道具の他は衣類だけど、それは全部母が買いそろえた女の子の服だ。パンティー、スリップ、ブラジャー、それにスカート、ブラウス。ポロシャツやTシャツなどもデザイン的に女の子しか着れないようなものばかり揃えてある。ズボンは1枚も用意して貰えなかったし、自分で買ったりしてもいけないと言われた。ボクの男物の服は引っ越し前日、全部捨てられてしまった。
 
叔母さんとの取り決めで、ボクらはお互いの部屋の中には絶対に入らず、話しをしたい時には階下の居間兼応接室の、誰がいつ入ってくるかも知れない場所で話をすることになっていた。でも今日はその伯母が外出中。今は二人だけだ。美夏は可愛い花柄のワンピース。ボクは長袖のTシャツにプリーツスカート。美夏の趣味で先ほど唇にルージュも入れられた。僕らはソファに隣り合って座っていた。
 
「美夏は高校出たあとどうするの?」「春紀のお嫁さんにして」「うん。でも、すぐには食べさせていけないかも」「大丈夫。春紀が大学出るまでは私が働いて食べさせてあげるから。そして春紀が就職したら、今度は私が受験勉強して大学に行くよ」「美夏がそれでいいんなら」
 
「でも春紀、最近雰囲気が変わったよね」「え?」「1月頃からかな。何故か、男臭さが消えて、それで私以前より声を掛けやすくなったんだ」そういえば、幼なじみとはいっても、ここ数年はお互いに小学生の頃ほどは話をしなくなっていた。「何というか、中性的というか。そう、まるでおちんちん無くなっちゃったみたいに」と美夏は笑って言う。
 
ボクはもう美夏には隠せないと思った。ボクはおちんちんを取り上げられていることを告白した。「うそー?マジ?」ボクは頭を掻きながら、立ち上がってスカートを脱ぎ、パンティも脱いだ。「きゃー、おばちゃんも過激ね」
といって美夏は面白そうに、ボクの割目を触った。「まるで女の子みたい、というかそのものね」「膣は無いよ」「そんなの必要ないでしょ?それとも男の子とセックスしたい?」「いやだ、そんなの」「じゃ、要らないじゃん。で、おちんちんは大学受験が終わったら返してもらえるんだ」「うん」「それまで私たちもHお預けか」「御免ね」「でもCはできなくてもBならできるよ」
ボクはドキっとした。でもこう言い返すくらいの度胸はできていた「美夏がしたくなった時には、いつでもしてあげるよ」と。
 
「じゃとにかく、今度は大学の受験勉強頑張らなくちゃね。今の高校って、ほとんど大学予備校みたいなものよ。3年間の受験生生活ね。一年の内からどんどん模試とかも受けさせられるから、頑張るのよ」ボクはウンと頷いた。そうだ。ボクは受験勉強の最中はおちんちん無しのままなんだもん。
 
「でもさ」美夏は微妙な笑い方をして付け加えた。「春紀がその身体なら、一緒に温泉旅行とかもできるね。一緒に女風呂に入れるじゃん」
 
女風呂?それはさすがに考えたことなかった。でも美夏と一緒なら行ける気もする。ボクは自分の身体がどうであろうと、この子を一生守っていきたい。そう思うのだった。これから始まる自分の「女子高生」としての生活も全然平気という気がしてきた。
 
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【受験生に****は不要!!・起】起てちゃだめよ!!